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静かな知事選を考える

 目下の知事選、事実上は現職の嘉田由紀子氏に対する前衆議院議員・上野賢一郎氏の戦いである。
 知事選というのは、いわばお国の王様を選ぶわけだから、いつの場合も激しい攻防が展開されるが、今回は、挑戦者の立ち遅れのせいもあってか、どちらかといえば静かな、おだやかな選挙戦が展開している。
◇お国というのは、昔風にいえば近江のことであり、そのお殿さま選びが知事選であるから、県民が政治に関与できる最大のチャンスである。
 ぼくがいつもいうように、総理や知事は一国、一地方の王さまであり、絶対的権力者であるから、予算も人事も行政全般を掌握しているわけである。なんでもできるえらいさんであるから、国民や県民はなびきやすく、おもねりやすい。その強大な力が自惚れとなり、過信となり、それがそのまま側近政治をつくり、カネと政治とか、カネと権力の癒着を招き失脚する例が多い。
 司直の手による失脚もあれば、選挙民の手による投票行為によってさよならを告げられることも多い。
◇前回の知事選は現職・国松氏と新人・嘉田氏の一騎打ちだったが、栗東の新幹線新駅反対が攻める側の決め手となって、同時に訴えた「もったいない県政」が県民の心に響いた。自・民・公、連合推薦の強大な現職を、社民推薦の新人の嘉田氏が破ったが、これは民主主義の勝利であり、嘉田氏は勝つべくして勝ち、ある意味ではよくぞ決意してくれた、とそのぎりぎりの立候補表明に感動したことである。
 その点、今回は県民の関心を二分する重大な争点はない。2人の候補を分析すれば、いずれも知性、品格、政治能力の点で秀れている。
 嘉田さんは、公約の新幹線新駅ストップという大難事を苦労しながらやり遂げた。これは財政ピンチを救う英雄的行為であり、意志の堅固さを証明している。脱ダムも同様である。
 以来、もったいない県政を進めながら、県民との対話を重視した。女性なるがゆえに、男性権力者のように酒席で外交的政治をすることがないのが、旧体制の人にはもの足りないかもしれないし、特定の人やグループに愛想よくするのではなく、県民全体に顔を向ける姿勢を良しとしない者もあるだろう。
 上野氏は将来の日本の政界における星として期待する声が強い。非常におう揚で、知性を表に出さず、極めて明るい民主的リーダーの資質がある。
 今回の戦いは、相手に隙や欠点がないから攻め難いのは初めからわかっており、自民党県議や一部市長から強く推されて決意したが、「なぜ、現職でいけないのか」の決定的争点がないから、県民の関心にならない。比較的静かな知事選は、県民の心のしずかさを反映しているのではなかろうか。【押谷盛利】

2010年06月30日 15:00 |


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