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治に居て乱を忘れず

 「治に居て乱を忘れず」は、古代中国の古典「易経」にある教訓だが、これは今も百年後も千年後も人間の生きる道標として心に深く刻まれるであろう。
 平和の時も、いつか訪れるであろう兵乱のことを思って、その対策やそうしたことの起きないように心を配らねばならぬという教えである。
 佐藤栄作というかつての首相は、7年余も政権を担い、沖縄返還を実現し、後にノーベル平和賞を受賞した。
 その佐藤さんが、政権を退くとき、記者会見をしたが、あれほどマスコミを通じて国民に顔を売ってきた彼が、どたん場で新聞記者会と喧嘩した。そしてテレビの記者はどこにいるのか、写真班はもっと正面へ出ろ、新聞記者は出ていけ、と大騒ぎになった。
 官房長官の竹下(後の首相)が取りなしてその場を納めたが、人気絶頂の佐藤さんでも退くときの悲哀にまで心が及ばなかった。
 調子のいいときは、それを反映して記事にするが、調子が下降すれば、またそれを反映して皮肉や悪口や厳しい批判にさらされる。鳩山さんだって、昨年夏、衆議院選を圧勝して総理になったとき、絶対多数の与党を背景にまさか8カ月で退陣することは想定していなかった。
 どんなえらいさんでも栄光の場がいつまでも続くことはない。いつまでも続くと思うのは数の力や富の力で自分を過大評価するからである。いわばうぬぼれによる。
 菅首相は野党時代はいいことを言った。その鋭い時局観察はときに痛烈なる官僚批判になった。菅さんは公務員改革で、きっといい成果を上げるだろうと期待したが、どっこい大あて外れ。
 みんなの党の渡辺代表は「菅さんの菅は草かんむりだが、草は草の根運動と呼ばれるように大衆とか弱者につながる言葉だ。今の菅さんは草かんむりの取れた『官』さんになってしまった。これでは公務員改革など絶対できっこない」と、分かり易く言い切った。
 いずれ、国民から点数をもらいつつ退くときが来るが、惜しまれて歴史に残る仕事をしてほしい。【押谷盛利】

2010年06月28日 14:38 |


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