ひいきの引き倒し所感
芸能人やスポーツの世界にはファンはつきものである。
日本の中年女性が「冬のソナタ」にヨン呆けして韓国まで「追っかけ」したという話は平和でのどかだが、ファン心理につけ込む犯罪もあるからこの世は物騒である。
相撲のファンに「たにまち」がある。通常のファンより中味が濃く、一般には「ひいき筋」「後援者」のことをいう。明治の末ごろ、大阪の谷町筋に相撲好きの歯医者がいた。相撲取りからは治療費をとらなかったことからこの名が始まった(大辞泉)。
さきごろ、大相撲の親方が桟敷席の1等場所を暴力団に提供していたことが分かり、部屋が吹き飛んだり、所属の力士の部屋替え騒動などが報道された。相撲界にはこれまでも暴力団の関係を指摘する暗い影がささやかれていたが、火のないところに煙は立たない。
プロ野球の有名投手が野球トバクのワナにはまって追放される事件があったが、あれもひいき筋の暴力団の牙の犠牲といえよう。
単なる善意の後援と思っても、つきあっているうちに暴力団の金もうけに利用されるわけで、有名歌手やタレントが「たにまち」のために人気を落としたり、引退の悲劇を招くこともある。
政界にもファンは影響する。次の自民党の星といわれる小泉進次郎氏の街頭演説は警察官が通行整理するほど聴衆をひきつけているが、そのファンの大部分は女性である。
マスクもさることながら父親譲りの歯切れのよい演説が大衆を魅了するのであろう。
それに比べると、かつては「宇宙人」のニックネームまで頂戴した鳩山人気は下がりっぱなしである。
ここにきて、ぼくはあらためて「ひいきの引き倒し」なる言葉を思い浮かべる。
目下の鳩山民主党政権は年初以来、マスコミの世論調査で人気の下降を続けているが、それに1役も2役も買っているのはひいき筋の組合と党内の鳩山ファンと小沢ファンのファッショ化による。
この内閣とそれを支える民主党の人気の下落は「政治とカネ」の疑惑と不信によるが、国民に代わってそれをただそうとしないから国民の反感とじれったさは募るばかりである。
小沢党首の場合はひっきりなしに疑惑のタネが報道され、きょうの新聞では副幹事長をつとめる辻恵議員が「検察審査会事務局」へ接触している。小沢さんを再び起訴すべきとするか、どうか極めて微妙な段階だから、一種の圧力をかけたのでは、と思われるほどの不明朗な件である。こうして「ひいきのひき倒し」はこの劇場の空気をますます暗くする。【押谷盛利】
2010年05月31日 15:58 | パーマリンク
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