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これも資源争奪戦?(見聞録)

 大西洋・地中海産クロマグロの国際取引の禁止案が、ワシントン条約締約国会議で否決された。
 大西洋・地中海産のクロマグロは1970年代から8割以上も減少したとされ、地中海沿岸のモナコは絶滅の恐れのある種として、国際取引の全面禁止を提案していた。
 クロマグロがシーラカンスのように絶滅の危機にあるとは知らなかったが、寿司がヘルシーな料理として世界に広がっているのを考えると、無秩序な乱獲では絶滅しかねない、との危機感は十分に理解できる。
 結局、「漁業を続けながら資源を回復させることが重要」との日本の主張が多くの国の支持を受け、反対多数で禁輸案は否決された。
◇クロマグロは「黒いダイヤ」とも呼ばれ、寿司店や料亭で提供される高級食材。我々、一般家庭の食卓には無縁とあって、たいした関心は無かったが、賛否の結果が興味深かった。
 禁輸案に反対したり、採決を棄権したのはアジア、アフリカ、中東などの国々。一方、賛成したのはヨーロッパの国々とアメリカ。
 この結果を見る限り、クロマグロの禁輸案の争点は、「絶滅の恐れ」を理由とする保護の是非ではなく、海洋資源をめぐる地域間対立だったのでは、と勘繰りたくなる。
◇提案国のモナコをはじめ、ヨーロッパの国々の立場から考える。
 大西洋・地中海産クロマグロの7割を消費する日本は、ユーラシア大陸の東の果て、「極東」にある辺境国。その極東の国が、お膝元の地中海や大西洋で高級魚を食い荒らし、その数を激減させている―。
 こういう視点に立てば、国際取引を禁止して、自国周辺の海洋資源を守ろう、との主張は心情的に理解できる。
 地域間の資源争奪戦のまな板にクロマグロが載せられたと、推測するわけだ。
◇今回のクロマグロ騒動から学ぶべきものは、表向きは海洋資源の計画的利用と保護だろう。
 別の見方をすれば、今後ますます、海洋資源や穀物といった食糧をはじめ、石油、天然ガス、鉱物などの資源争奪戦が国際間で加熱し、欧米諸国や大国の都合で身勝手なルールが作られかねない、との警鐘とも受け取れる。

2010年03月22日 17:01 |


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