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生態系サービス(見聞録)

 我々、人間は、日々の生活の中で地球上の自然界からあらゆる恩恵を受けている。
 例えば、植物は光合成で酸素を生み出し、我々が工場や家庭から排出する空気を浄化してくれる。
 山々の森林と土壌は雨や雪解け水を蓄え、地下水や小川として、澄んだ水を提供してくれる。植物や動物は我々の食糧として各種栄養分を提供してくれる。
 人間は地球の自然によって「生かされている」のだが、それに気付かず、貪り、今の発展を欲しいままにしてきた。
◇科学の世界では、自然界の恩恵を「生態系サービス」という聞き慣れない言葉で表現している。
 自然界が無償で我々に提供してくれる数々のサービスを指し、金額に直すと世界で100兆円とも500兆円にもなるという
 しかし、今、これらの生態系サービスが縮小しつつある。森林の吸収量を超える温室効果ガスの排出による地球温暖化、乱獲や環境破壊による種の激減などがそうであり、山の木々を伐採しすぎたために起こる土砂災害もサービス低下と言えよう。
 先日、臨湖で開かれた長浜ロータリークラブ主催のフォーラムでは、講師の菊池玲奈さんが「地球環境が人間の経済活動に耐えられなくなっている」と訴え、生態系を破壊した地球上で人間だけが幸せに暮らせるのか、と疑問を投げかけた。
◇10月に名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議が開かれる。略して「COP10」と呼ぶ。これからの、人類の経済活動のあり方を、生物多様性の側面から見直す会議だ。
 「生態系サービス」「生物多様性」「COP10」と―難しい言葉が並ぶが、要は自然を大切にしましょう、との考えに行き着く。これは、我々日本人が古来から抱いてきた信仰心に通じるのではないだろうか。
 緑豊かで、四季に富んだ大自然に囲まれた日本は、自然界の森羅万象を神々の「業」とし、崇拝してきた。山々や木々、岩、水、風に神を感じ、敬い、自然の恵みを神の息吹として、感謝の念を捧げてきた。それは八百万の神の信仰に通じる。
 COP10が、自然界の恩恵を再認識する機会となり、我々日本人も自然崇拝の心を取り戻すきっかけとなれば。

2010年02月23日 14:31 |


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