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長い太巻き寿司について

 去る30日の滋賀夕刊に長浜市北郷里小学校での長い巻き寿司作りの記事と写真が出ていた。
 子ども会、育成会、地区社協などによる恒例行事で節分にあやかった。今年は8回目で、長さ12㍍から始まり、今回は21㍍の新記録を達成した、という。
 今月1日の滋賀夕刊には、これを追いかけるように、今度は米原市近江公民館での長い巻き寿司作りが紹介された。2月3日の節分を前に、地元の奉仕団体が企画したもので地域の親子60人による23㍍の長い巻き寿司を今年の恵方(西南西)に向いて丸かぶりしていた。
 いつも思うことだが、早食い競争とか、大食い競争などのイベントは好ましくない。テレビなどでよく企画するがぼくは反対である。
 なぜかと言われれば、答えは簡単である。食べ物は見せものや遊びの対象にすることに馴染まないからである。
 もっと分かりやすくいえば、食べ物は拝んで頂くものである。感謝の心をこめて、よく噛み、よく味わい、一粒の飯といえども粗末にしてはならぬ。
 大分前の話であるが、学生が酒の一気飲み競争をしたあげく、ぶっ倒れて病院へかつがれたことがあった。元気を競う気持ちは分からぬではないが、牧水の歌のように、酒は静かに飲むべかりけり。ときには祝いごとや記念式のあとの宴会もあるが、それは歌ったり、踊ったり、楽しい癒しの空間で、食べ競争や飲み競争とは無縁である。
 決められた時間内で、ウドンを何杯食べるとか、ビールを何本飲んだとかの量的競争や時間を争う早食い会など、まるで人間を畜生かのように見下ろす見苦しい番組である。
 長い巻き寿司作りは節分という伝統的季節感にマッチした教育の一環だと胸を張るかもしれないが、それならば、そんな実用的でないものにエネルギーをかけるよりは、具材は共通にして、子ども一人一人が自分の家で食べられるような作り方を指導すべきではないか。
 それとともに大切なことは米の炊き方、具材の種類や味つけ、酢や甘みのきかせ方など、いわゆる調理における家庭での手作りに言及してゆくべきではないか。
 さらに一歩進めれば、食の安全について学習し、農薬に犯されぬ野菜や化学物質による合成食品に対する危険性などを話しあうことが生きた課外教育というものであろう。
 長い太巻き寿司や早食い、早飲み競争などは所詮、いまの日本が豊かであることの象徴だが、そういう風潮に慣れてしまうと国民全体が食べ物を神聖なものと思わず、遊びや餌のような感覚に陥り易くなる。
 ハンバーガーやホットドック、インスタントラーメンなどの即席ものが喜ばれること自体、食文化の破壊であり、日本人は原点に戻り、食品は天地からの恵みであり、拝むべきものと反省しよう。【押谷盛利】

2010年02月05日 15:45 |


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