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鳩山演説の社説比べ(見聞録)

 「いのちを、守りたい」―と、詩的な文言で始まった29日の民主党・鳩山首相の施政方針演説を受け、各新聞は30日朝刊の社説で一斉にこれを論じている。
 どの社説にも共通する指摘は、小沢幹事長の資金管理団体による土地購入問題と、日米関係修復への道筋が、首相の口から語られず、理念ばかりが先行した点だった。
◇朝日は「聞く方が気恥ずかしくなるほどの理想を語り続けた」と前置きし、「理念を語り国民の共感を呼び起こそうとするのは、リーダーにとって大切なことだ」と理解を示した。
 そのうえで、「マニフェストにせよ、資金の問題にせよ、逃げていては、政権を率いる首相の覚悟に疑問を覚えざるをえない」とし、「首相も民主党も、演説の美辞に酔っている暇はない」と締めくくった。
◇読売は「危機打開の決意が足りない」との見出しで、冒頭から「財政危機にも、政治倫理の問題にも正対せず、政策断行の優先順位も不透明だ」と、批判している。
 政治とカネ、日米関係修復問題を取り上げ、「言葉だけが走って政策内容に明確さを欠いては、施政方針としては物足りない。このままでは、内政も外交も混迷が避けられない」とした。
◇毎日も「理念先行で実現力には『?』のつく演説」と疑問を投げかけた。詩的で抽象的な文言の羅列に「主要政策をどう実現するか、手段、工程が明示されなかったのは残念」としている。
◇産経は「国益守る決意なきは残念」との見出しで、「空虚なスローガンを並べた」と論じた。しかし、「教育やまちづくりなどを行政だけでなく地域住民やNPOと担う『新しい公共』の考え方を改めて唱えた。地域社会の再生と肥大化した『官』のスリム化を同時に実行するものなら注目したい」と、期待感を示したのが、民主党に批判的な産経にしては異色か。
◇日経もNPOの活力など「新しい公共」の概念を取り上げたが、「総じて具体論に欠ける」「首相は『政治とカネ』の問題でもっと踏み込んだ見解を示す必要があった」と断じた。
◇さて、首相演説で印象に残ったはガンジーの「七つの社会的大罪」を紹介した部分。
 その大罪は▽理念なき政治▽労働なき富▽良心なき快楽▽人格なき教育▽道徳なき商業▽人間性なき科学▽犠牲なき宗教。
 なるほど、金もうけ主義で、個人の権利や自由ばかりが優先され、公共精神が失われつつある昨今の日本社会を言い当てているようで、興味深い。
 ただ、母親から毎月1500万円ものお小遣いをもらっていた首相が「労働なき富」を大罪と断じるのは、笑えないジョークだ。

2010年01月30日 15:29 |


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