宗教の規律、戒律(見聞録)
十二支の動物に扮した「ドラえもん」のぬいぐるみを販売していたシンガポールのマクドナルドが、イスラム教徒に配慮して豚(日本ではイノシシにあたる)を除外。キューピッドに差し替えて販売したところ、客から苦情が殺到し、新聞に謝罪広告を出すまでの騒ぎになった。
同社は昨年末からキャンペーンのため、十二支のドラえもんを販売。ただ、同国にイスラム教徒のマレー人が数多く住んでいることに配慮して、イスラム教で食べることを禁じられている豚を排除した。
ドラえもんはシンガポールでも人気が高いため、国民の収集熱が高まり、品切れの店が続出。さらに、人口の大半を占める中華系国民から「自分の干支がない」「コレクションが完結しない」などの苦情が相次いだ。
同社のイスラム教徒への配慮は過剰反応だったようだが、宗教の違いによる数々の紛争を見る限り、食を扱う同社が示した姿勢は決して間違いではないだろう。
◇各宗教には、それぞれ宗教上の理由で数々の食事制限があるが、特にユダヤ教が複雑で興味深い。
まず、「不浄な動物」とされる豚を食さないのはイスラム教と一緒だが、「脊椎」や「うろこ」を持たないイカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝なども食べてはならない。
特に「豚禁止」は非常に厳格で、「ブイヨン」「ゼラチン」「肉エキス」にも豚肉・骨が含まれているため不可。日本で売られている多くの食品がNGとなってしまう。
そして、特殊なのが「乳製品と肉料理の組み合わせ不可」。例えば、チーズバーガー、サラミやハムの乗ったピザ、ハムとチーズのサンドイッチ、肉入りのクリームシチューなどは食べてはいけない。献立に乳製品と肉料理が一緒にあることも許されず、一方を食べた後は一定時間(胃の中で消化されるまで?)が経過するまで、もう一方を食べることはできない。
これは「子ヤギをその母の乳で煮てはならない」との旧約聖書の教えを拡大解釈したものだそうだ。
◇ユダヤ教の禁止事項で驚くのは毎週金曜の日没から土曜の日没までの「安息日」。仕事好きの日本人には考えられないことだが、この日は家事を含め、一切の労働を禁じている。
安息日は旧約聖書の「モーセの十戒」で示され、現代社会では、パソコン、テレビ、携帯電話などの機械の操作、火を使った調理、車の運転など、すべての「労働」を禁止している。もちろん、公共交通機関はストップし、オフィスや商店は閉められる。
外出は教会への礼拝などに限られるから、ユダヤ人は家族揃って自宅で食事して団らんの時間を過ごしたり、友人を招待しておしゃべりするのが一般的。
◇この数々の規制がユダヤ人をユダヤ人たらしめていると考えるが、最近は改革派と称して、これらの戒律、規律を守らない大人や若者が増え、保守派が警鐘を鳴らしていると聞く。
人種、民族、宗教が交錯する今の世界にあって、自国の宗教や文化をどのようにして守ってゆくのか。イスラエルだけでなく、どの国家も抱える問題だ。
2010年01月28日 14:42 | パーマリンク
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