滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2009年08月31日

民主躍進と自民惨敗

 政権継続か、交代か、歴史的な衆議院選は30日、投開票が行われ、自民党が惨敗し、民主党が圧勝した。9月18日開会予定の臨時国会において、鳩山由紀夫代表が新総理に選ばれることが確定した。
 選挙の結果は早くから予想されていた通りで、自民党は負けるべくして負け、民主党は勝つべくして勝った。
 強いて特徴を上げれば、政権交代のキーポイントである小選挙区制の妙味が鮮やかに実証された。それは前回の小泉自民党の大勝にも言い得ることで、二大政党対立構想のなかで、一方に人気が集中すれば他方は逆に沈退してゆく。
 今度の選挙で、風は民主党の圧勝を呼び込んだが、逆に自民党は倒壊寸前の危機に襲われた。
 二大政党対立という小選挙区制の選挙だから、中間政党は両極を吹く風に押されて、選択肢の圏外に追いやられ、主役である民主党の晴れ姿を盛り立てることになった。
 言葉を替えれば、民主党と自民党の壮絶な戦いの中に埋没してしまった。その典型を与党では公明党、野党では社民党、国民新党に見ることが出来る。
 いま一つの特徴は選挙公示日10日前の8月8日に結成した「みんなの党」が選挙の洗礼を受けて5議席を獲得したことである。これは少数党としては共産9、社民7に次ぐ議会勢力であり、誕生間のない同党がこれだけの支持を集めたことは、麻生内閣と自民党に三下り半をつきつけて、政治改革を訴えた勇気が国民受けしたものである。
 この逆が公明党で、小選挙区は全滅し、太田昭宏代表、北側一雄幹事長、冬柴鉄三元国土交通相らが消え、比例区でやっと21議席を確保した。
 社民の7、国民新の3は、民主党の協力があったからだが、もしこれがなければ惨めな結果になっていたであろう。とくに国民新は綿貫民輔党首と亀井久興幹事長が敗れ、壊党的危機に直面している。
◇自民党は負けるべくして負けたが、それは、選挙の洗礼を受けることなく、安倍、福田、麻生の3代がたらい回しで政権を担ってきたことに対する国民の怒りの爆発ととらえられよう。
 さらに、決定的なのは麻生首相の国民無視の厚顔さと、これをたださなかった自民党執行部と派バツのボスの驕りである。
 国民世論は今年に入ってずっと、麻生内閣に否定的であり、総理にふさわしくないと調査結果が答えていた。それどころか、肝心の党内からも、麻生おろしの強風が吹いた。それなのに、次の総理を問う総選挙に国民も党も総スカンの麻生総裁を立ててのぞんだ。これでは地すべり的敗北を自ら招いたと同然である。【押谷盛利】

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2009年08月28日

インフル、求人、天下り(見聞録)

 「5人に1人」―。新型インフルエンザによる感染者数は年内に国民の20%にあたる2500万人に達するとの予測を、厚生労働省が発表した。
 ピーク時には1日当たり約76万人が感染。約38万人が入院し、約4万人が重症化してインフルエンザ脳症や人工呼吸器装着になるという。
 高齢者の多い農村部では罹患率は3割を超える恐れもある。
 過去の季節性インフルエンザの流行状況から、ピークは9月下旬から10月上旬と考えられ、十分な準備を求められよう。
 新型に対する免疫を国民のほとんどが持っていないことから、感染力は強い。ならば、感染した場合に備え、重症化しないよう日ごろから健康に気をつけることが大切だろう。
 少なくとも、食事や運動、睡眠など自身の生活を再点検し、感染に耐えられる体力づくりは欠かせない。
◇「3人に1人」―。こちらは、滋賀労働局が28日に発表した県内の有効求人倍率。求職者3万4176人に対し、企業などからの求人は1万1950人に過ぎない。倍率は0・35倍。求職者3人に対し求人1人しかない計算だが、現実は希望職種や待遇、勤務時間などにミスマッチがあり、数値以上の厳しさがある。
 特に製造現場で働いていた派遣労働者の失職は深刻であり、景気と雇用環境の好転が待ち遠しい。
◇もうひとつ「3人に1人」―。文科省の天下りに関するもの。29日付の産経新聞によると、文科省で過去5年間に民間に再就職した元幹部職員162人のうち57人が私学(学校法人)に天下っていた。
 旧科学技術庁出身者を除いた旧文部省出身者だけに限ると、4割を超えるという。
 文科省は私学の学校法人に対し、各種の助成などで年間4500億円を支出しており、大学の設立や学部学科の新設の許認可権も持っている。
 補助金獲得を求める学校法人と、高待遇で天下りを求める文科省幹部の利害が一致している訳だが、その過程でいったいどれほどの税金が無駄づかいされているのだろうか。
 与野党は、衆院選挙で天下り規制を打ち出している。就職難にあえぐ国民生活に思いを馳せ、国会に臨んでもらいたい。

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2009年08月27日

命がけの選挙(見聞録)


 政権選択の衆議院選挙はいよいよクライマックス。30日は日本の行く末を占う大きな契機になりそうで、有権者には、1票に重みを感じてほしい。
◇今、西アジアのアフガニスタンでは20日に行われた大統領選挙の開票作業のまっただなか。
 アフガニスタンは、2001年9月11日に発生した同時多発テロの後、テロ組織アル・カイーダの拠点として、アメリカなどNATO軍に攻撃され、イスラム原理主義組織タリバンの政権が駆逐された。
 2005年に暫定政権の基で大統領選挙が行われ、カルザイ氏が当選。この4年間の政権を担当してきた。
 今度の選挙はカルザイ大統領の信任を問うものだが、アブドラ前外相と競り合っている。9月3日には最終的な開票結果が公表されるもようだ。
◇タリバン政権崩壊後は、国連が中心になって政治と経済の立て直しを行い、国境無き医師団をはじめとするNGOやNPOが現地で復興を支援している。しかし、最近はタリバンが力を増し、治安が悪化。外国人を狙った誘拐や殺人が相次ぎ、昨年には日本のNPO「ペシャワール会」のスタッフが殺害された。
◇今回の選挙でもタリバンが、「投票に行けば殺害する」と国民を脅迫し、投票所への襲撃を繰り返した。これによって国連職員や警官、市民が殺害されている。
 全国約800カ所の投票所が開設できず、投票率は40~50%。前回の70%を大幅に下回る見通しだ。
 それでも、有権者の半数近くが投票の権利を行使するのは、政治参加の熱意とテロに屈しない政権の樹立への思いが、タリバンの脅しを凌駕しているからだろう。
◇タリバン政権時代は極端なイスラム原理主義が押し通され、特に女性は参政権が無いどころか、教育や雇用の機会を奪われ、自由が抑圧されていた。世界遺産のバーミヤン遺跡が爆破されたのも記憶に残る。
 そういった時代に戻りたくないとの国民の願いが大統領選挙から伝わってくる。
 そこで考えたいのは日本の姿勢。海上自衛隊をインド洋に派遣したり、軍閥の武装解除に主導的な役割を果たした日本は、テロ組織に屈しないアフガニスタン政府へ、今後、どのような協力をするのか。
 米国の国際信用の低下、中国、ロシアの経済的、軍事的台頭など、複雑化する国際社会において、日本が担う役割は何なのか。
 少なくとも、タリバンのようなテロ組織の撲滅、人権を抑圧する勢力への対峙は欠かせない。総選挙後に誕生するであろう新政権の外交スタンスを注視したい。

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2009年08月26日

日本は格差社会でない

 選挙の野党のマニフェストやその陣営の演説を聞いていると日本は不況で、国民の暮らしは厳しく、格差社会が広がっており、国民は不幸に泣いているということになる。
 何を基準にそういうのだろうか。戦争中や戦後のもの無しの時代を生きてきた人たちは、いまの時勢をもったいないくらいの贅沢だと思っている。
 だれが言い出したのか、いかにももっともらしく格差社会という言葉を流行させたが、格差社会というのは、弱者と強者を分類した言い方で、国民の多くを弱者と見立てて、こういう社会は不合理であり、政治が悪いのだ、といい、政権交代が特効薬のような言い方をする。
 格差を制度化した社会なら格差社会といえるのかもしれないが、今の日本を格差社会というのは、日本人の多くを貧乏人扱いにする刺激的言葉で、ひところの左翼陣営やその先頭集団だった学生組織の幹部が叫ぶアジ演説のたぐいである。
 共産主義を政治上実践している中国には金持ち、貧乏はいないのか。日本の野党流に言えば日本と比較にならぬほど中国は格差社会である。
 格差とは物質だけをいうのではない。仕事に就くにも、海外へ旅行するにも貿易をするにも、事業を起こすにも厳しい統制や監視があって、共産党や政府に近い者は優遇されて、それを批判する自由な考えや民主的、個性的な意見を持つものは、差別されたり、弾圧されたりする。中国や北朝鮮の社会こそ、正真正銘の格差社会といえるのではないか。
 日本はホリエモン氏ではないが、若くても学があり、発想がよく、努力家であれば一つのチャンスを生かして、金持ちになることもできるし、平々凡々でも学校を出て就職すればぜいたくは出来なくとも暮らしは差しつかえない。
 「ぜいたく」といっても、人によって価値観が違うだけで、車やパソコン、冷暖房が揃わねば貧しいと思う人もあるだろうし、住む家さえあればどんな暮らしも我慢するという人もある。
 公園や川の岸で、テント生活しているホームレスの人が見れば一般の人々はみんな幸せで、うらやましいと映るかもしれない。
 人間の不幸は、人をうらやむ心とものごとをマイナスに考える生活態度である。格差社会とレッテルを貼り、それを吹聴することは、日本人を貧乏人扱いして、不幸感をばらまくマイナス思考と言えるのではないか。
 いまの日本が一番大事にせねばならぬことは、国の尊厳と国民の安全を守ることである。そのためには外交と防衛のゆるぎなき国是の確立が求められる。その点でいえば野党の外交、防衛策は不安要素が多い。【押谷盛利】

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2009年08月25日

勝敗を左右するもの(見聞録)

 衆院選もいよいよ終盤。各報道機関の世論調査によると、300議席を超える勢いの民主党に対し、自民党は100議席台をさまよい、大きく議席を減らしそうだ。
 4年前に自民党が圧勝した郵政選挙の真逆の現象が起きている訳だが、ほとんどの選挙区で「自民か、民主か」と二者択一を迫られていることから、人気のある党が独り勝ちしてしまう。
 郵政選挙では、当時の小泉純一郎首相の訴える郵政民営化に有権者が一斉に飛びつき、候補者個人の経験、実績、人柄などとは別次元の集票力で、幾人もの新人候補を当選させた。
 民主党候補はいかに声をからしても、有権者を振り向かすことはできず、自民党の候補の前に敗れ去った。
◇今回の選挙では、当時と同質の風が吹いている。4年前は小泉首相による政治改革を、今回は民主党による政治改革を、国民が求めていると分析できる。
 さらに、首相の相次ぐ交代、改革路線の後退など、この4年間の自民党執行部の政権運営の「まずさ」が、国民の不信を買い、民主党を利する結果になった。それは、昨日長浜を訪れた古賀誠選対本部長代理が「党執行部の責任としておわびしなければならない」と、自民候補の苦戦を支持者の前で陳謝したことにもうかがえる。
◇いずれにせよ、今後、党執行部の動向次第で、ひっくり返る選挙区も出てくる。投票先を決めていない有権者も4割程おり、勝負の行方は分からない。
 苦戦を強いられる自民だが、滋賀2区には明日にも麻生太郎首相が応援に入る予定で、支持拡大への起爆剤となるか、注目される。
◇さて、気になる投票率だが、前回の滋賀2区は68・36%だった。有権者の関心は当時以上に高まっており、投票率は70%を超えそうな気配だ。期日前投票も好調で、23日現在で4661人が済ませ、前回の1・62倍となっている。
 これまで投票に行かずに眠っていた有権者が、目を覚ましつつあるのは大歓迎。政治に関心を持ち、各政党の政策を熟視し、こん身の1票を投じてほしい。

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2009年08月24日

選挙は非情であるが

 選挙は非情である。金持ちの一票も貧乏人の一票も同じ一票だから、手段を選ばず票集めをした方が勝つ。そうかといって買収など違反行為をしては元も子もなくなる。そこで、知恵を働かせて票集めの組織をつくる。それがいわゆる後援会で、元祖は芸能人である。ファンに入場券やレコードを買ってもらうには、後援会組織がものをいう。
 選挙で、後援会的意味を持つものに職業、宗教、組合、その他団体があるが、近年は団体の幹部が旗を振っても末端の会員が必ずしも、それになびくとは限らない。
 一昔前なら農協や漁業組合は上からの指示で末端まで威令が届いたが、いつごろか、そうならなくなった。
 その点、今も手足のように間に合うのは労組の組織である。民主党の小沢副代表が地方を回るとき、一番大事にするのは各府県の労組の総本山である。長年の政治的勘で、大元を締めれば、威令がしもじもの会員に届くことを知っているからだ。
 自民党は労組の後援会的組織の向こうを張って、各種の業界や団体からの推せんを重視した。
 同様に市町村の地方行政組織の長や議会の応援を求めて、地域ぐるみの集票作戦を展開してきた。
 いま、自民党が苦戦を強いられているのは、個々の候補者の優劣や評判に関係なく、東京から全国に吹き荒れている風の影響である。
 この風が民主党に追い風、自民党に逆風になっているからだが、この逆風の育ての親は、自民党の一年そこそこで辞めた総裁や派バツのボスや幹部たちで、言わば驕りの決算が今に至っているといえよう。
 今度の総選挙で大事なのは、自民党は古い政治家や体質を一新して若手や議員歴の浅い憂国の政治家によって近代化を進めることである。
 小泉さんを悪くいうのは自民党の派バツのボスであり、彼らは小泉さん時代に「うまみ」がなくなったため屁理屈をこねて小泉叩きに終始してきた。
 彼ら派バツのボスから推されたのが福田元総理や麻生現総理である。
 小泉さんは派バツの解消を半ば実現し、一内閣一大臣で、短期大臣をつくらなかった。それが気に入らぬので、派バツ連合が小泉叩きをやったが、今後の自民党に期待するのは若返りと党風刷新、派バツの解消である。
 民主党は自民党内閣のエラーで点数を稼ぎ、追い風に乗ったが、この党のアキレス腱は組合依存体質である。日の丸を切り継ぎして党旗にしたり、中国や北の機嫌とりの教科書をすすめたり、教育を組合の思想でねじ曲げたりする心配である。【押谷盛利】

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2009年08月21日

「あれもただ」「これもただ」

 「あれもただ」「これもただ」「お金あげます」「もうからねば保障します」。
 いま、総選挙真っ盛りの各党のマニフェストをのぞくと、縁日の露天商の叩き売り風景が目に浮かぶ。
 どこに、そんなゆとりがあるのか、真実、日本の財政にゆとりがあるのなら、むしろ税金や保険の掛け金を安くした方が国民に活力を与えるのではなかろうか。
 歯の浮くような特売合戦を眺めていると、ちょっと立ち止まって、これは日本人の将来をあやうくするのではないか、と心配が先立つのである。
 なぜ、そう思うのか。この叩き売り商法は、日本人を勤労の美徳から怠けものの遊び人にするのではないか、と考えるからである。
 一例をあげると、一律に子ども手当を支給するという話。お金持ちの子も貧しい家の子も一律にもらえるというのは、日本人を幼いころから「これして頂戴」「あれして頂戴」という物乞い根性に仕立て上げる危険性がある。
 このごろの子どもは、早熟だから、小学生くらいになると、結構金づかいの面白さを知るようになる。
 学校から帰って、母親に「遊びにゆくからお金頂戴」、「何に使うの」、「なんでもいいの、好きなものを買うの」、「いけません、無駄づかいしては」とたしなめる母親に子どもは食ってかかるかもしれない。
 「ぼくには児童手当が来てるんや」、「ぼくの金はぼくが使うんや」、「なに言っているの、赤ちゃんから一人前になるまでにはお金がかかるんや」そういう母親に「生んだのは勝手でしょう、育てるのは当たり前でしょう」。
 このような悲劇が子ども手当の将来に予測されているように、今の学校での教育環境には身ぶるいするようなことが多い。
 たとえば、子が親を父さん、母さんと言わずに、父の名、母の名を呼び捨てにするのが流行り出した。
 小学生の子に教師が性器の実物模型を示して性教育をする。
 なにもかも自由だというので、卒業式などで君が代を歌わず、起立もしない子があり、日の丸を上げようとする校長先生を押しのけて、あげさせないようにトラブルを起こす先生もある。
 物乞いは、乞食の風景だが、国民が国から生活費などをもらうのは生活保護家庭で、決して威張ってもらうものではなく、貧困の事情があって、一日も早く生活を立て直して、国の援護がなくとも暮らせるように、と歯を食いしばったものだが、これからは惰眠を貪る人が増えるかもしれない。【押谷盛利】

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2009年08月20日

病院に感謝の気持ちを(見聞録)

 市立長浜病院のホームページ。「医療関係者の方へ」とのお知らせの中に医師の募集案内がある。
 療養病棟専従、総合内科、消化器科、内分泌代謝・腎臓内科、循環器科、神経内科、小児科、脳神経外科、形成外科、整形外科、耳鼻咽喉科、心臓血管外科、放射線科、産婦人科、麻酔科―。診療局21科のうち実に15科にのぼる。正規、嘱託を問わず、病院見学者には旅費を支給する。
 地方公立病院の医師不足の実態がうかがえる。
◇医師不足は、臨床研修制度の改正で、新人医師が待遇の良い都市部の私立病院に集中したのが原因で、宿直や急な呼び出しなど多忙な勤務を余儀なくされる外科、小児科、産科の医師が転科したり、希望する医学生が減っているのも、偏在を招いている一因。
 ただ、医師不足の原因は、国の施策や医師の志向だけではない、と指摘したい。
 病院を利用する患者にも問題はないのだろうか。
 医療現場で医師や看護師に無理難題を押し付けたり、暴言を吐いたり、時には暴力を振るう患者が問題視されているが、そういう特異な例を除いたとしても、「コンビニ受診」と言われる安易な救急外来の利用で、病院に負担をかけていまいか。
 医療サービスが受けられるのを当たり前と思っていまいか。日ごろからそこで働く医療従事者に感謝しているだろうか。
◇病院の医師や看護師に、気持ち良く働いてもらえる環境づくりは欠かせない。
 まして、滋賀県北部の田舎の公立病院。「この病院で働けて良かった」「このまちで勤務できて良かった」と思われるように、地域住民の健康を守ってくれている医師や看護師の激務をねぎらい、感謝の思いを伝えられるよう、市民や患者の意識改革が必要ではないか。
◇産科医不足で2年半前から分娩を中止している彦根市立病院では、地元の若い母親で組織する「安心なお産を願う会」が、病院の抱える問題を市民に考えてもらおうと活動している。
 目下、取り組んでいるのが「サンクスらぶレター」。県内の産婦人科、小児科で働く医師や看護師への感謝のメッセージを募り、同会がそれぞれの病院に届けるというもの。
 会の代表を務める高居涼佳さん(35)=彦根市小泉町=は5歳と6カ月の2児を持つ母親。「出産や子育てには安心した医療機関が欠かせないが、医療提供者も安心した環境で勤務したいと願っている。お世話になった方々に感謝の思いを伝えるのは難しいが、手紙という形でお手伝いできれば」と話している。
 メッセージは、病院または医師や看護師の名前を記入して、〒529・1223愛荘町島川1003、同会事務局の冨江小夜香さんへ。
 感謝の言葉はきっと病院と利用者の意識を変えてくれるだろう。

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2009年08月19日

選挙の風と国民の眼

 世の中は変化する。暮らしも変化、経済も政治も変化する。
 これまでの選挙は地盤、カバン、看板が三種の神器だったが、いまは風が選挙を左右する大きな要素となった。
 風は形は見えないが、逆風か追い風か、膚で感じることができる。
 民主党にとって今は追い風だが、明日はどんな風が吹くかだれにも分からない。ただ言い得ることは情報化が進み、国民の政治意識が高まっていることである。
 つまり、かつての三種の神器に関わりなく、選挙民個人の批判精神や判断力が高まっていることであり、よりよき代表を出すことに誇りと自負を持っていることである。
 戦後史をひもとけば、自民党もしくは保守党が圧倒的な時間差で日本の政治を動かしてきた。
 戦後64年の長い保守政権のなかで唯一、野党が政権を担ったのが2回あった。
 一つは戦後、間のない47年(昭和22)、片山哲を総理とする社会党内閣。今一つは94年(平成6)の村山富市社会党内閣だった。
 片山内閣は党内の不統一で瓦解したし、村山社会党は庇を貸した自民党に母屋を取られたあげく、今日の社民党に見るごとき凋落を招いた。
 前者は左右の理論争いが現実政治を破綻させた。後者は政権の甘い蜜に集まる烏合の衆と化し、選挙民の意識と乖離した。自民党の強かさだけが歴史の記憶となった。
 今回の総選挙の一つの目のつけどころは公務員改革であるが、これは官僚の定年制や天下り禁止、特殊法人など政府系外郭団体の統合整理、廃止などを含む。これまでの内閣では声はすれども形は見えずだった。
 自民党も民主党も「やります」と響きはよいが、従来から国民の顔をうかがいながら話が骨抜きとなったきらいがある。
 民主党は、どこまでやれるか未知数だが、この党には組合をバックにしているお家の事情があるから、どこまで公務員改革に踏み切れるか、疑問視する声が強い。
 むしろ国民にとって警戒すべきは政府関係の組合で問題となった「ヤミ専従」である。組合の仕事を専門にしながら、表は普通の職員として給与を受けていた問題であるが、この例が示すように、組合に弱い部分が政府にも野党にもあった。
 一番心配されるのは、国の伝統とモラル、誇りに関する教育のことだが、国民は活眼をもって正視しなくてはならぬ。教育崩壊を許してはならぬからである。【押谷盛利】

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2009年08月18日

1票の価値は…(見聞録)

 きょう18日、衆議院選挙が公示された。長浜市や米原市、彦根市、東浅井郡などを選挙区とする滋賀第2区は自民候補と民主候補が事実上の一騎打ちとなった。
 今後4年間の政権運営をどの政党に任せるのか、自民か、民主か、二者択一を迫る戦い。これは4年前の「郵政民営化に賛成か、反対か」に通じる単純な対立構図で、有権者には分かりやすい。
◇両党の公約には景気回復、官僚主導政治からの脱却に加え、幼児教育や高速道路の無料化など甘い文言が並ぶ。
 国と地方を合わせて800兆円を超える借金を抱えるこの日本で、これらの大盤振る舞いの公約をどう実現し、持続させるのか、その財源の裏づけなどを慎重に吟味する必要がありそうだ。
 とはいえ、これらの公約は日ごろ政治に無関心な有権者の耳にも響きやすい。政策の「バーゲンセール」に国民が誘惑されているとも見える。財布に優しい政策は有権者を振り向かせるには手っ取り早いが、実はその負担はすべて税金なのだと認識し、有権者は冷静になって欲しい。
◇さて、若者を中心に選挙離れが指摘されて久しいが、衆議院選挙で投じる1票の価値を計算してみたい。
 日本の国家予算は一般会計と特別会計を合わせて年間約200兆円余り。衆議院議員の任期は4年間だから、おおよそ800兆円の財政運営を任せることになる。
 日本の有権者は約1億人なので有権者1人当たり、800万円の使い道を決める計算だ。投票率が50%なら、1人当たり1600万円になる。
 乱暴な計算だが、投票に行かなければ、これだけの税金がどう使われるのか、他人任せにするようなもの。税金が有効に使われる保障がないということだ。
◇30日の投票まで時間はたっぷりある。マニフェストの吟味に加え、候補の人柄、これまでの取り組みなどを分析して、どの政党、どの候補に国政を任せるのか、真剣に悩んではいかが。

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2009年08月17日

靖国と民主党の政策

 8月15日は終戦記念日である。甲子園の高校野球では試合中、正午を期して選手も観衆も戦没者に対して慰霊の黙祷を捧げた。おそらく全国の家庭においてもテレビを見ていた人たちは、サイレンを合図にしばし黙祷したことであろう。
◇中央の報道によると、この日、麻生太郎首相は靖国神社へ参拝しなかった。現職閣僚では野田聖子消費者行政担当相がただ一人参拝した。
 15日に参拝した政治家は、小泉純一郎、安倍晋三両元首相と参院議員44名。政府関係では佐藤剛男法務副大臣、岸信夫防衛政務官、萩生田光一文科政務官ら。民主党では松原仁前衆院議員、前田武志、羽田雄一郎参院議員らで、鳩山由紀夫代表も岡田克也幹事長も参拝しなかった。
 小泉元首相は自民党総裁選にダークホース的存在として出馬したとき、靖国神社参拝が公約であった。これに加えて派バツ解消など解党的党改革のアピールが国民の圧倒的支持を得て、本命の橋本龍太郎氏を一蹴した。
◇国民が今なお、小泉氏に熱い期待を寄せ、次の衆議院選に出馬しないことを宣言しているにも拘わらず、次の総理待望論では常に上位ベスト5に入れている事実は重く評価すべきである。
 靖国神社は国家のため生命を捧げた英霊を祀っている聖域であり、年間を通じ参詣者が絶えないのは国民の心に靖国崇拝が深く根ざしているからである。
 にも拘わらず、今、民主党の手によって、靖国神社を否定する国立追悼施設の建設論が浮上しているのは許せない。どこの国に遠慮しているのか、総理や大臣が靖国参拝をしないばかりか、政権交代を悲願とする民主党が新施設の設置をうたっているのは、靖国の英霊を冒涜するばかりか、国民の心を逆なでする行為としか考えられない。
◇そもそも宗教性のない、霊魂の存在を否定する追悼施設にだれが参拝するというのであろうか。ペンペン草が生えるだけで、その維持管理に莫大な国費を投じるだけである。
 全くの無意味、無駄づかいで、その構想は中国や韓国におもねる売国的思想によるものといえる。
 こういう議論が出ること自体、英霊の追悼どころか、英霊そのものの風化を招くようなもので、「靖国で会おう」「靖国で待っているぞ」と誓いあった多くの英霊が泉下で涙することであろう。
 無駄づかいを口にする民主党がなぜ国立追悼施設の無駄づかいを推進しようとするのか。【押谷盛利】

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2009年08月13日

日の丸・君が代

 きょう13日は、日本の国旗を日の丸、国歌を君が代と定めた「国旗国歌法」が制定されてから、ちょうど10年目。
 当時、公立学校の教育現場では文部省(当時)の指導により、日の丸の掲揚と君が代の斉唱が義務づけられるようになっていた。
 しかし、強硬に反対する教職員がいて、苦悩のあげく学校長が自殺するなどの事件が発生した。これをきっかけに法制化が進み、1999年6月、衆院で賛成403、反対86で可決。8月の参院でも賛成166、反対71で可決され、13日の公布となった。
◇日本のアイデンティティー(主体性・身分証明)の一つとして、日の丸と君が代が国旗、国歌であるべきだと考えるし、そもそも国旗や国歌を大切にすることは当たり前のことだと思っている。
 しかし、反対派は「国旗、国歌は軍国主義思想の精神的支柱だった」として掲揚や斉唱に異議を唱える。日本では思想や信条、言論の自由が保障されているから、反対も自由だ。
◇小生が入学式や卒業式を取材する限りでは、国旗の掲揚、国歌の斉唱はごく自然に執り行われているが、国歌の歌詞を覚えていないのか、歌わない(歌えない?)子どもは多い。
 オリンピックやサッカーワールドカップでは、必ず国旗掲揚と国歌斉唱がある。この手の国対抗スポーツでは嫌が上にもナショナリズムが高揚されるから、国旗、国歌はその象徴となりえるのだろう。
◇さて、この10年で国民性に変化はあったのか。
 愛国精神が高まったとか、軍国主義精神が復活したとか、日本人のアイデンティティーが確立されたとか、そうは思えない。
 あえていえば、日本国家という共同体よりも、利己優先の風潮が強まったと分析する。
 日本人を日本人たらしめるには、何より、日本という国家の将来を考え、憂うことではないか。
 それは政治に参加し、関心を持つことでもあるが、その精神を発揮する一つの機会が選挙や投票だと考えていいのではないか。

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2009年08月12日

戦後政治の湖北の力

 衆議院の解散に伴う総選挙はいよいよ18日に公示される。
 この選挙の注目の一つは政権交代の可否であるが、湖北にとって今一つの大きな注目点は地元代議士の浮沈であろう。
 南高北低といわれながらも、戦後の一時期と経済成長期までの湖北の政治勢力は南部に比して決してひけをとらなかった。
 例えば参議院では虎姫町出身の村上義一が運輸大臣、衆議院ではびわ町(現長浜)出身の森幸太郎が農林大臣になった。その森幸太郎は服部岩吉の跡をついで県知事に。森幸のあとは谷口久次郎(伊香)が知事になっている。
◇衆議院選を回顧すると戦後の第1回選挙以来、湖北は47年の選挙までは県の全定数5のうち多いときは2人、3人、決してゼロになることはなかった。
 ところが51年以来、約30年間、前回の平成17年に藤井勇治(東浅井)が当選するまでは、どの候補者もみな落選の悲運に泣いた。
 最早や湖北からは代議士は不可能か、そんな気分を一掃したのが前回の選挙だったが、さて、次はどうなるか。
 せっかく取り戻した湖北の政治勢力を失うのか、それともさらに発展飛躍へのコースをとるのか。
 湖北の市・町長は中央への陳情や予算獲得の上で地元代議士不在の不自由とマイナスを知っているがゆえに、思いは一段と深い。
◇参考のため昭和21年の戦後第一回の総選挙以来の湖北勢の浮沈を記しておく。
 S21年、森幸太郎(長浜)、花月純誠(米原)当選。
 S23年、森、長野重右衛門(米原)、花月の3人当選。
 S24年、27年、28年、森連続当選。
 S30年、森に代わり草野一郎平(長浜)当選。
 草野は33年に落選し、この回、湖北は議席ゼロとなったが、草野は次の35年以来、38年、42年、44年、47年に連続当選した。
 この間、42年、44年には後藤俊男(長浜・社)も当選しており、47年は上田茂行(虎姫)が草野と共に当選した。
◇湖北勢はこれを最後に30年後の平成17年の藤井勇治の当選までゼロ行進を続けた。
 その間、伊香から桐畑好春、坂田から黒田春海、長浜から川島信也、伊藤正明らが湖北の与望を担ったが、いずれも敗退した。
 そのくやしさがバネとなって、失地回復したのが前回の選挙だったが、さて湖北民の意地と良識はどんな結果をもたらすか。(敬称略)【押谷盛利】

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2009年08月11日

議長、なぜ1年交代?(見聞録)

 長浜市議会の新議長に青木甚浩氏(46)が就任した。彼は36歳で初当選し、市議会ではベテラン組。
 1市6町合併に対し、常に慎重な姿勢だった同氏が、5カ月後に誕生する新市をどう導くのか、その手腕と若い感性に期待したい。
◇実は、長浜市の議長は今年に入って3人目。というのも、合併推進を訴えていた茂森伍朗前々議長が、今年2月、合併反対派に不信任決議を突き付けられ、辞任。直後の議長選挙で就任した山口忠義前議長は1市6町合併をまとめ上げ、8月7日に辞任した。
 山口前議長の辞任は、市民にとって不可解に見えるが、そこには長浜市議会の慣例が働いている。
 市議会では、議員間で議長の任期を1年と申し合わせている。昨年8月に就任した茂森前々議長が任期途中で辞任したため、後任の山口前議長はその残任期間を務め上げたという設定。
◇議長は、各種会合に来賓として招かれるから人脈が広がるし、行政情報なんかも真っ先に手に入る。それ以上に議長という「響き」に議員の多くが憧れてる。
 そこで考案したのが、議長を1年交代で「たらい回し」するシステムで、議長を1年間務めれば、「一身上の都合」で辞任し、新たな議長を選ぶ。1期4年間で4人の議員が議長職を体験でき、みんな仲良くその名誉に浴すことができる。
 議員を2期か3期務めて最大会派に所属していれば、どんな人物でもほぼ議長になれる仕組みだ。
 ただ、1年ごとに新米議長が誕生する訳だから、議事進行がグダグダしたり、あらかじめ用意した原稿を棒読したり、事務局職員の手ほどきなしでは、その職責をまっとうできていない。少なくとも傍聴席からは、そう見える。
◇それにしても今回の市議会の議長選。1市6町合併が決まったというのに、会派間、議員間のしこりを拡大するような権謀術数が繰り広げられ、騙し騙され、裏切り裏切られの様相だったと側聞する。
 議長ポストの争奪戦は国や県を通じ野心ある政治家の宿命とも言えるが、一癖も二癖もある川島信也市長とやり合うには、1年ごとの議長交代はナンセンスだ、と思うのは小生だけではあるまい。
 1市6町合併後は議長の任期を少なくとも2年にしてはどうか。

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2009年08月10日

酒井法子と覚せい剤

 歌手デビューし、人気アイドルだった女優の酒井法子容疑者(38)が覚せい剤違反で警視庁に逮捕された。
 調べによると夫の高相祐一容疑者に奨められ一緒に吸っていた。
 いつも感じることだが、麻薬容疑で検挙されるのは暴力団関係が最も多い。その暴力団との黒いつながりが見えかくれするのが芸能関係であり、酒井夫婦がどこで麻薬を手に入れたか、常習するまでの経過を知れば犯罪捜査や若ものの転落を防ぐ意味でも効果的であろう。
 芸能界以外で覚せい剤違反で注目されるのは大相撲やプロ野球、学生スポーツである。最近は大学生の間にも流行の兆しが見える。
◇覚せい剤は強い中枢神経興奮作用をもち、疲労感や眠気がなくなり、思考力や活動力が増す薬物のことで、習慣性があり、中毒になると幻覚や妄想現象が起きる。ヒロポンやアヘン、マリファナなど知られるが、医薬用になじみのモルヒネも麻薬の一種である。
 ガンの末期患者に痛み止めとして用いるが長く続けると不安や不眠、幻覚のほか手足のふるえなどを起こす。
 覚せい剤には恍惚感をもたらす作用もあり、暴力団は売春、買春の犯罪にこれを利用するケースが多く、かくまった女や街のチンピラをこれでコントロールする。
◇麻薬がいかに恐ろしいか、その最も著しい例はアヘン戦争によるイギリスの清国支配と香港割譲であろう。
 1840年から42年にかけて、清国(現中国)のアヘン輸入禁止がきっかけで、イギリスと清国が戦争になった。敗れた清国は広東、上海など5港の開港、香港の99カ年割譲の屈辱に泣いた。
◇麻薬は困ったことに生産が途上国に集中しており、それが国民所得に大きなウエイトを占めていることである。その反面、消費は先進国家が占めており、しかもその使用が低年化していることである。
 国連総会は1988年に国連麻薬取引禁止条約を採択、90年に麻薬特別総会を開き、90年代を「麻薬乱用・撲滅10年」と宣告したが、その需要は深く闇の中を進行し、先進国の頭痛の種となっている。【押谷盛利】

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2009年08月07日

暑いときは汗をかけ

 旱魃が続くと雨を待ちこがれる。日照り続きの後の雨は慈雨であるが、降り過ぎて、山や河川が決壊すれば天をうらむ。
 ほどほどが宜しいと思うものの宇宙を支配する天神地祗の思惑に虫けら同様の人間の知恵の及ぶところではない。
 氷河期のような遠い話は別としても有史以来、人類は炎暑や酷寒、洪水、干魃、風害、雪害、震災など多くの自然現象を生きてきた。
 現代の科学社会は、そうした過去の自然災害から学習して、適当に自然の嵐から身を守る方法や災害の予知、災害時の対策などを身につけてきたが、それで安心切符を手に入れたという保証はない。
◇田園を行けば早くも稲穂が出始めた。今月下旬から刈り入れ期に入るが、農家からの情報では今年は見た目ほどには作柄はよくないし、飯にしてもうまみが例年より落ちるという。
 やはり雨期が長く続いたのと日照時間が少なかったこと、結果として稲作の条件である暑い夏に恵まれなかったことによる。
 クーラーが無ければこのごろの暑さは耐えられないほど厳しいが、統計的に見れば暑い夏にはほど遠い。
◇ほどほどがよい、と人は勝手に自分本位な気象を求めるが、人間と植物、人間と食糧品の歴史を考えれば、冬はものの凍る厳寒、夏は身を焼く猛暑こそ願わしい。
 山の木は厳寒を超えて質をよくするし、夏の野菜や果物は暑さこそが美味の条件でもある。
◇真夏の消夏法は十人十色だが、健康に生き抜くには暑を転じて体の鍛錬に供するのが望ましい。
 日に五度顔を洗うのもよし、全身シャワーで汗を流すのもいい。
 逆に限りなく汗をかくのも楽しい健康法である。スポーツや登山、ウォーキング、あるいは野外における清掃奉仕や筋肉労働などもよい。汗のあとの昼寝は最高であり、水浴もこころよい疲れをもたらせ、さらなる精神の躍動を誘う。
 汗をかかなかったら夏を過ごしたことにならない。自然の生きものである人間が四季の寒暖を科学の力で克服するのは結果的には反自然であり、宇宙の神への造反というべきで、長い目でみればクスリ漬けの弱い肉体と心をつくってしまう。【押谷盛利】

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2009年08月05日

「あれもタダ、これもタダ」

 言葉は魔ものである。あっという間に流行して人々の心に巣食ってしまう。
 アメリカの金融不安が伝染して、いっとき日本の銀行が潰れるのでは、と暗いうわさがまことしやかにささやかれたことがあった。
 だれが言い出したか知るよしもないが、そうこうしているうちに政府筋から「100年に一度の大不況」なる言葉が放送され始めた。
 政治の貧困をこの言葉でごまかすかのように政治家連中も「100年に一度」とオウム返しに唱え始めた。
 100年に一度の不況がどんなもんか、国民はだれ一人知るものはない。
◇今から80年前の1929年(S5)、日本はニューヨーク株式市場の大暴落による世界恐慌の波に呑まれた。
 生糸、絹織物をはじめ輸出産業は暴落し、加えて米価の下落と農村不況がわざわいした。地方の銀行で取付け騒ぎが起こり、銀行が倒産した。
 失業者はあふれ、大卒の就職率は39%だった。東北の農村では娘を売る話や欠食児童が社会問題化し、東京ではフトンを質屋へ持ち込むものや、死者が出ても葬式代がなくて、3日も4日も家において、結局町内会と助葬会の手で葬式をしたという話が伝わっている。(S5年・「不景気の真相」=文春昭和史1巻)。
◇いまの日本の社会のあり姿を見て、これが100年に一度の不況だといえば、ヘソが茶を沸かす。
 こころみに最近の大新聞の広告欄を見ると、外国旅行の豪華メニューがひしめいている。
 「肌を美しくしませんか」「肌にやさしい商品」などと1ページの巨大広告が出ているかと思えば「いつまでも元気に」と元気ぐすりやその方法を宣伝する全ページ広告が向こうを張っている。
 くすり、遊び、趣味、祭、自動車と買いものなどの広告が花盛りである。
 一歩外へ出れば土、日の高速道路は渋滞するほどの遊び人である。
 電車やオフィスの中は省エネや地球温暖化対策を笑うかの如く風邪を引くくらいの冷房ぶりである。
◇たまたま、総選挙の公示前になったが、各党のマニフェストを見ると高齢者医療費はタダ、高校は義務教育並みにタダ、保育所・幼稚園もタダ、農家には戸別に金を与えます、高速道路はタダにします。
 夜店のたたき売りではないが、あれもつけます、これもつけます。さあさあ買いなされ、と調子はいいが、これはなんぼでも金があるからだろうか。こんなに調子のよい振る舞いができるのは嬉しいが、それがなんで100年に一度の大不況なんだろうか。大不況を大仰に言うことになんの効果があるのだろうか。
 それをいうたびに、本当に不況になって首が回らなくなる日が来るのかも。
 病人に「あぶない、あぶない」と精神的に萎縮するようなバカをいう家族や見舞人はいない。【押谷盛利】

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2009年08月04日

もったいない話(見聞録)

 コンビニエンスストア最大手のセブン・イレブンは3日の取締役会で、消費期限の近づいた弁当の値引き販売を容認する方針を決めた。
 これまでは、消費期限の近づいた弁当やおにぎりの値引き販売を認めなかったが、公正取引委員会の命令を受けて、方針転換した。
◇コンビニの棚には、いつも新鮮な弁当やおにぎり、惣菜が並んでいるが、裏を返せば、消費期限の近づいた商品が次々と捨てられているということだろう。
 しかも、原価は店が払っているので、廃棄するくらいなら、値引き販売で少しでも売上を確保したいというのが店の本音ではないか。
 コンビニ本社は、安易な値引きは、スーパーとの低価格合戦に陥ると危惧するが、「もったいない」の消費者の声は大きい。
 「便利な」という意味の「コンビニエンス」。便利さばかりを追求するあまり、大地の恵みを無残にも廃棄する行為に、わずかながらもストップがかかったのは嬉しいニュース。
◇もうひとつ気がかりな「もったいない」は高速道路のETC(自動料金収受システム)。
 車に搭載して高速道路に乗れば、発券や支払いの手間が省ける優れもの。緊急経済対策の名の下で、ETC搭載の車に限って休日の高速道路が「1000円乗り放題」となっていることから、売れに売れている。
 電機各社は注文に対応しきれず、フル生産の状態だが、心配もある。
 というのも、今度の総選挙で民主党がマニフェストに高速道路無料化を掲げているからだ。同党が政権を奪取すれば、高速道路が無料開放されることになるから、ETCはまったく不要になる。フル生産しても、ごみになる可能性がある訳だ。
 高速道路無料化は一般市民だけでなく、流通関係者には大歓迎だが、無用な渋滞、無用なCO2を発生させはしないだろうか。
 便利さと環境への配慮。このバランスをどう取るのか。コンビニ弁当と高速道路から考えさせられる。

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2009年08月03日

古橋さんの死と日の丸

 日本の水泳界の大御所・古橋広之進さんがローマで急逝された。
 日本オリンピック委員会や日本水泳連盟の会長を務めた功労者で、ローマで開かれた国際水連の総会に出席し、同連盟の副会長に再任されたばかりである。ローマでは世界選手権大会にも足を運び、水泳界の発展に死の寸前まで尽くされた。
◇若い人は知らないが、戦後の日本で人々のあこがれの的となり、日本人に夢と勇気を与えたのが「フジヤマのトビウオ」と絶賛された古橋さんだった。
 1947年(S22)に400㍍自由形で世界新をマーク。48年には400㍍、1500㍍で、その年のロンドンオリンピックの金メダル記録を超える世界新記録を樹立した。49年の全米選手権大会では1500㍍で世界新を更新し、米国マスコミから「フジヤマのトビウオ」と呼ばれ、一躍世界のスポーツ界の人気ものになった。
◇彼が活躍したのは47年からだったが、その強烈なインパクトが日本のスポーツ界を刺激し、水泳界では彼に次ぐチャンピオンとして山中選手が登場した。
 彼の活躍はあたかも日本の経済の雄飛のさきがけとなり、日本人あこがれの東京オリンピックが64年(S39)に実現した。
 東京五輪の女子バレーボールや男子体操選手の活躍はこれまでの日本国民の敗戦ショックを立ち直らせるきっかけとなったが、同時進行の形で、日本の経済が国際的に脚光を浴びるようになった。
 いわば、古橋さんが世界のスポーツ界に上げた日の丸が、日本経済を世界第2に押し上げた国民的心情の要因となった。
◇その後のオリンピックで、日本の選手はさまざまな種目で日の丸を上げ、君が代を斉唱したが、そうした国民の喜びと感動に水を差すかの如く、いつの間にか、日本人が国旗と君が代を敬愛しなくなった。
 国家国民の象徴である日の丸や君が代を国民が敬愛しなくなったのは、一にかかって、戦後教育の国家否定の誤れる思想によるものだった。
 その誤れる国家観は階級思想ともいうべき社会主義によるもので、国民教育を第一線で進める教師の労働団体・日教組(日本教職員労働組合)の偏向によるものだった。
◇ぼくは最近アメリカに旅行したが、あちこちに星条旗の上げられているのに感心した。これはウィスコンシン州の州都・マディソン市内の風景だが、公共施設や学校は当然のこと、マンションや、公園、商店街、個人企業の店頭にも誇らしげにアメリカの国旗が上げられていた。国民の団結と国の繁栄を祝福するかの如く。【押谷盛利】

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2009年08月01日

夏カレーに刺激され(見聞録)

 きょうから8月。近畿地方では梅雨明け宣言もなく、雨天や曇り空が続く。ギラギラと照りつける夏の太陽が待ち遠しい。
◇先日の昼、長浜市内のカレー専門店に出かけた。オープンして3カ月程の新しい店。可愛らしい外観と内装に、男1人で入るには少し気後れする。
 カレーのメニューは「キーマカレー」の1種類のみ。店主自慢の逸品なのだろう。スパイスの香りが食欲を刺激し、味もボリュームも、期待を裏切らなかった。
◇夏になるとスパイスの効いたカレーを食べたくなるのは、小生だけではないはず。
 食欲がそそられる不思議は、インドや東南アジアでカレー料理がよく食べられるのと関係があるのではないか。
 というのも、いずれの地域も日本の真夏のように気温と湿度が高い。カレーのようにスパイスの効いた食事でないと、胃袋が受け付けないのでは、との推測だ。
◇カレーには、食欲増進や疲労回復、発汗作用などを持つ各種スパイスが入っている。
 例えばキーマカレーの材料は、玉ねぎ、トマト、ニンニク、しょうが、スパイスにパプリカ、ターメリック、ガラムマサラなど。
 ニンニクは抗酸化機能、しょうがは強い消化と保温作用を持つ。ターメリックは消化促進、抗菌の働きがあり、肝臓に良いとされる。
 ガラムマサラはナツメグ、クミン、クローブなど複数のスパイスを調合したもので、食欲をそそる香りを放つ。調合されているスパイスは消化促進、整腸などの作用を持つ。
◇長浜市内では複数の専門店やレストラン、喫茶店がこだわりのカレーを出している。
 夏バテ気味の体を奮い立たせるためにも、新鮮な味に出会うためにも、この夏、カレーを食べ歩くのも、面白いかもしれない。

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