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観音さんと神だのみ

 浅草の観音さんへお詣りすると、年中お祭りかと思うほど参道がごった返している。参道の両側ばかりでなく、近くの横町一帯も商店がひしめきあっている。みほとけのご利益と人間の遊び心を象徴してるが、日本人は性格がひねくれているのか、こんな言葉もよく登場する「尻暗い観音」。辞書には「尻食らい観音」ともある。
 困ったときは観音さんにすがり、一心に念じながら、その後うまく回転して事情がよくなるとご恩を忘れて、あとのことをかまわないことをいう。
 もともと「尻食らえ」は人の言動などをののしっていう言葉で、恩をあだで返し、あとを顧みないことへ非難語。
 大辞泉によると、陰暦18日から23日までの6観音の縁日のあと、だんだん闇夜になるのを「尻暗い」といい、それがののしり言葉の「尻食らえ」と音が通じることから、観音などくそでも食らえという意に解したという。
◇若い人に「じりひん」といったところ通じないので「じり貧」と文字にしてみたが、それでも分からない。
 それで勉強のためと「じり」と「貧」について説明したわけだが、先代のころ繁昌していた店が、代替わりしてだんだん左まえになってきた、というような状況が「じり貧」で、貧は貧しくなる、調子が悪くなる。じりは「じりじり」の略語で、じわじわ、ゆっくり、わずかづつの意。
 したがって、「じりひん」はだんだん家運が傾いてゆく、だんだん商売が衰えてゆく、などと表現するのに用いる。
 その反対語が「しり上がり」。これはじりじり上がりではなく「尻上がり」。あとになるほどよくなること。あとほど悪くなるのが「尻下がり」。
◇ついでながら、「しりもち」について触れておく。しりもちといえば、普通は「しりもちをつく」を思い浮かべる。漢字で書けば「尻餅をつく」。後ろに倒れて尻を地面に打ちつけることをいう。その他、子どもの初めての誕生日を祝ってつく餅が尻餅。
 「尻持ち」は餅ではなく、尻を持つと書くことから陰で助けること。後援者のことをいうが、最近は使わない。
 仲人のところへ「尻を持ってくる」とはよくいうが、これは関係者に問題を持ち込み解決を迫ること。
◇尻くらえ観音は人間の浅ましさを皮肉っているが、それでも人間は厚かましいから「かなわぬ時の神頼み」、百円のお賽銭で大学合格を祈ったりする。【押谷盛利】

2009年07月31日 15:05 |


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