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にっちもさっちもゆかぬ

 かつて自民党に席を置いていた田中真紀子氏が機知に富む野党的発言で話題となったことがある。
 その一つがある候補の応援演説のなかで出た「御陀仏」論である。「今の政権はおだぶつ寸前である」との厳しい批判であったが、表現があまりにも生々しくて物議をかもした。
 大辞泉によれば、御陀仏は「往生ぎわにアミダブツの名を唱える意から①死ぬこと②物事がだめになること、また失敗に終わること」とある。
◇このところ、緊迫した麻生政局は、田中説の表現を借りれば、まさに「おだぶつ寸前」といえるのではないか。
 麻生さんの手に起死回生の妙手はあるのか。起死回生とは、絶望的な状態のものを立ち直らせることをいう。
 その一つが内閣改造や党人事であるが、問題はそれを国民がどう反応するかである。事実上、土俵を割っている感じの、いわば死に体の形で、局面の転回を計ろうとしても「無駄な抵抗」と映るようでは逆効果になるおそれもある。
◇いまの麻生さんは、したたかに見えるがどっちに転んでも9月までの生命だと踏んでいるから、絶対的権力の王座の居心地のよさを味わっているのかもしれぬ。
 起死回生の妙手もなく、かといって野垂れ死ぬぶざまを後世に残したくない。「神よ、われに力と運を与え給え」と祈る心境かもしれない。
◇麻生さんの心境は、進むもならず退くもならず「進退谷まる」「にっちもさっちも(二進も三進も)ゆかない」のではないか。
 進めば前門に虎、退けば後門に狼。まさに党内はがたびしの揺れ通し。老朽家屋が台風予報に手当てのしようもない見苦しさをさらしている。
 党の役員を改選するにしても、内閣を改造しても所詮は解散までの命なのである。
◇「待てば海路の日和」というが、逆に「大雨になって出てゆく雨宿り」となることもある。
 確かに、待っているうちに小沢民主党代表の金権体質批判が噴出した。今度は鳩山代表のインチキ個人献金が表面化した。
 なんのことはない。敵失で点をかせいでいるわけだが、それでも大勢は大変わりしないというのが一般マスコミの予測である。それほどまでに国民の眼は冷静で本質を忘れてはいない。
 国民の思いは何か。しょんとした政権下で乱れた行政を建て直し、国民が安心して任せられる政治であり、短命内閣、短命大臣さよなら。役人の天下り禁止、無駄づかいによる消費税増税反対である。【押谷盛利】

2009年07月01日 15:12 |


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