滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2009年07月31日

観音さんと神だのみ

 浅草の観音さんへお詣りすると、年中お祭りかと思うほど参道がごった返している。参道の両側ばかりでなく、近くの横町一帯も商店がひしめきあっている。みほとけのご利益と人間の遊び心を象徴してるが、日本人は性格がひねくれているのか、こんな言葉もよく登場する「尻暗い観音」。辞書には「尻食らい観音」ともある。
 困ったときは観音さんにすがり、一心に念じながら、その後うまく回転して事情がよくなるとご恩を忘れて、あとのことをかまわないことをいう。
 もともと「尻食らえ」は人の言動などをののしっていう言葉で、恩をあだで返し、あとを顧みないことへ非難語。
 大辞泉によると、陰暦18日から23日までの6観音の縁日のあと、だんだん闇夜になるのを「尻暗い」といい、それがののしり言葉の「尻食らえ」と音が通じることから、観音などくそでも食らえという意に解したという。
◇若い人に「じりひん」といったところ通じないので「じり貧」と文字にしてみたが、それでも分からない。
 それで勉強のためと「じり」と「貧」について説明したわけだが、先代のころ繁昌していた店が、代替わりしてだんだん左まえになってきた、というような状況が「じり貧」で、貧は貧しくなる、調子が悪くなる。じりは「じりじり」の略語で、じわじわ、ゆっくり、わずかづつの意。
 したがって、「じりひん」はだんだん家運が傾いてゆく、だんだん商売が衰えてゆく、などと表現するのに用いる。
 その反対語が「しり上がり」。これはじりじり上がりではなく「尻上がり」。あとになるほどよくなること。あとほど悪くなるのが「尻下がり」。
◇ついでながら、「しりもち」について触れておく。しりもちといえば、普通は「しりもちをつく」を思い浮かべる。漢字で書けば「尻餅をつく」。後ろに倒れて尻を地面に打ちつけることをいう。その他、子どもの初めての誕生日を祝ってつく餅が尻餅。
 「尻持ち」は餅ではなく、尻を持つと書くことから陰で助けること。後援者のことをいうが、最近は使わない。
 仲人のところへ「尻を持ってくる」とはよくいうが、これは関係者に問題を持ち込み解決を迫ること。
◇尻くらえ観音は人間の浅ましさを皮肉っているが、それでも人間は厚かましいから「かなわぬ時の神頼み」、百円のお賽銭で大学合格を祈ったりする。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月30日

県の借金は9236億円(見聞録)

 収入に見合わない支出で800兆円もの借金を抱えている日本。この国の将来を問う衆院選が来月18日公示される。
 自民か、民主か、を選ぶ政権選択選挙となる模様で、両党のマニフェスト(政権公約)に注目したい。
 気がかりなのは保育園や幼稚園の無料化、子ども手当の支給、高速道路無料化、農家の所得補償など、「アレします、コレします」の心地良いフレーズと大盤振る舞いの政策が並び、財政再建の道筋が見えない点だ。
◇さて滋賀県は29日、2008年度の歳入歳出決算を発表した。
 納税者にとって、県財政の現実に理解を深めることは欠かせないので簡単に紹介すると―。
 一般会計の規模はおおよそ5000億円で、1991年の水準。
 歳入の根幹である県税収入は1820億円に過ぎず、地方交付税や国庫支出金など国からの「仕送り」が1490億円。このほか、借金で810億円、基金(貯金)の取り崩しで180億円をまかなっている。
 県税収入のうち、全体の4割を占めるのが法人税。次いで住民税が3割を占める。いずれも企業の業績やサラリー収入に左右され、景気の浮き沈みが税収に関わる。
 08年度は県税収入が前年度比マイナス4・7%、約90億円の減少で済んだが、09年度は「不景気が直撃し、少なくとも400億円の減収は免れない」(県税政課)という。
◇1兆円に迫る借金を抱える県は、財政再建に取り組み、毎年、歳出規模を縮減してきたが、08年度は7年ぶりに増加に転じた。
 というのも、景気回復の名の下に、国の緊急経済対策で大型補正を組んだから。税収が落ち込む中、国の推奨で支出を増やさざるを得なかった訳だ。
 なお、滋賀県の抱える借金の残高は9236億円で、前年度から230億円増えた。県民1人当たり65万9000円の負担。4人家族なら263万6000円の借金を抱えていることになる。
◇県の予算や決算が発表されるたびに、小紙は県財政の概要を紹介し、いかに危機的状況にあるかを紹介してきたが、国の一声であっさりと財政再建の道筋から脱線する現実をもどかしく感じる。
 選挙向けに気前の良い政策を掲げる両党だが、収入に見合った支出をいかにして実現させるのか。有権者は「財政再建」に注目してマニフェストを吟味する必要がありそうだ。国の財政が破たんすれば、景気や外交どころではない。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月29日

湖北の河川は大丈夫か

 梅雨荒れという言葉があるが、山口県や北九州を襲った豪雨は荒れどころではない。まさに梅雨地獄そのものである。山が崩れて家が土砂の底に埋もれ、増水した川が濁流となって人や車を呑み、道路や鉄道が破壊され、いまさらながら集中豪雨の恐ろしさを痛感する。
 滋賀県に住む人は、地震も台風も豪雪も豪雨もなく、本当に助かっている、と感謝しなければならない。
 天災はいつ、どこで起きるやら、忘れたころにやってくる、といわれているが、このさい、県、各市町は、郷土の防災に手ぬかりはないか、綿密に点検する必要があるのではないか。
◇ぼくは戦後、長浜市神前町の米川流域に住んでいたが、床上浸水2回、床下浸水数回の苦い体験を今も忘れない。
 一番ひどかったのは昭和34年の伊勢湾台風だった。米川流域は大通寺前の御堂前、大通寺東の御坊東、米川、神前栄町などを水浸しにし、また高田町の旧国道と駅前通りの交差する周辺を筆頭に高田、門前、神前東方面の住宅を床下浸水の恐怖にさらした。
 その豪雨で、地下の地盤がゆるみ、旧国道ががたがたになって、トラックなどの重量車両がお手上げになるなど、住居と交通に大打撃を与えた。
◇以来、今日に至るまでバケツの水をぶっかける程の大豪雨はないが、それでも台風時などは姉川の決壊を恐れて消防団などが夜警したことがしばしばあった。
◇ぼくの記者時代の体験では、あと30分も降り続けば天野川が決壊する危険場所を取材したことがある。
 旧近江町の飯集落の堤防を兼ねた国道の上まで天野川が増水した。天野川橋や下流の鉄橋も激流で流されるのではないかと思われる程の増水だった。
 もし天野川が切れたら米原地域や駅西方面の田畑や住宅は目視出来ぬ惨禍を招いたことだろう。水防関係者が雨中を徹夜で土のうを積んでいたことが鮮明に思い出される。
◇姉川、草野川、天野川、高時川、余呉川、大浦川などに、今回の西日本のような豪雨が降れば、大丈夫だろうか。
 流域の地質や環境は昭和40年代以降の開発で変化しているはずであり、また、田畑が宅地化している部分も多く、さらにほ場整備によって田んぼの湛水能力も低下していることが考えられ、念には念を入れて、洪水被害対策と堤防の点検と安全管理を一刻も早く進めることを提言する。
 同様に開発した山、荒れた山地の安全診断も焦眉の急であろう。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月28日

カードあれこれ(見聞録)

 「エディ」「ナナコ」「ワオン」「スイカ」…。人や動物、作物の名前ではない。電子マネーの呼び名だ。
 電子マネーは、日本銀行の発行する紙幣や通貨と一線を画し、企業などが独自に提供する決済サービスを指す。
 例えば、エディカードの場合、近くのコンビニで1万円を支払って、1万円分の電子マネーをカードにチャージすれば、全国のコンビニやスーパーなど30万店舗以上で1万円分の買い物に利用できる。
 カードをレジのセンサーにかざすだけで支払いを瞬時に済ませられ、財布から紙幣や小銭を出したり、お釣りをもらったり、という手間がない。
 JRなどの主要交通機関が出す「イコカ」などは、改札口のセンサーにカードを近づけるだけで、自動的に決済してくれる優れもの。切符を買う必要はない。
◇日本銀行によると、電子マネーの発行枚数は1億枚を突破し、2008年度の決済金額も8000億円を超えた。前年比45%増と急速に普及している。
 コンビニなどを中心に利用店が拡大し、小さな買い物の決済手段として定着しつつあるようだ。
 携帯電話を利用した電子マネーも普及し、携帯電話をレジでかざして買い物する姿が見られるようになった。
◇電子マネーの普及に、情報技術の進展が我々の生活をますます便利にしてくれる、と実感させられるが、今、問題になっている外資系生命保険大手アリコジャパンのクレジットカード情報流出のニュースを聞くと、少し立ち止まって考えたくなる。
 契約者が支払いに利用しているクレジットカードの名義や番号、有効期限など、アリコから流出した情報は約13万件にのぼる。これだけの情報があれば、実物のカードが無くともインターネットで買い物でき、不正使用はわかっているだけで約2200件に上る。
 いかに情報技術が高度化されようと、セキュリティーが高まろうと、人間が運用を誤まれば莫大な被害が生じる。カードの情報管理のもろさを感じさせた。
◇海外旅行に欠かせない「トラベラーズチェック」。サインした本人だけが使える小切手で、盗難や紛失の際にも再発行できるのが強み。海外で日本円を現地通貨に両替するよりも手数料がかからないのも魅力だ。
 しかし、年々、需要が低下している。欧米をはじめとする多くの国でクレジットカードが利用でき、合わせて海外でも使えるキャッシュカードが普及しているからだ。
◇カード社会は我々の暮らしを便利にしてくれているが、カード決済システムを全国に張り巡らせる莫大な費用はどこから捻出するのか?カードを持つことで消費者の無駄遣いが増えまいか?過去の買い物情報が悪用されはしまいか?
 企業側の周到な営業戦略で成り立つカード利用。我々、消費者はうまく付き合いたいところ。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月27日

白鵬の優勝、次は琴欧州か

 ぼくは若いころから大相撲の大ファンだったが、近年、国技の名が恥ずかしいくらいに国産力士が振るわず、おまけに滋賀県出身の力士が育たないため、いつの間にか、場所ごとのテレビ放送も見なくなった。
 ぼくだけかと思っていたら、やはり同じ思いの人が意外に多く、相撲離れが著しい。
 いまの相撲界を眺めると、さながらモンゴル相撲の日本版かと思うほどにモンゴル勢の活躍が目を引くが、その象徴的な図が日下開山横綱の東西の英雄、白鵬と朝青龍で、いずれもモンゴル出身。横綱に次ぐ最高位の東の大関はこれまたモンゴルの日馬富士、西の大関はブルガリア出身の琴欧州。
 わが日本産の最高位は東の大関で落城寸前の魁皇。西の琴光喜は名古屋場所の成績がよかったから次場所は東の正大関になるだろう。千代大海は張り出し大関。
 このほか東の関脇、小結にそれぞれモンゴル勢の鶴龍と旭天鵬。
 上位陣を見渡してもかくの如し、その裾野ともいうべき幕内力士にはモンゴルを筆頭に外国出身者が気を吐いている。
◇見る気がしない名古屋場所だったが、後半、朝青龍がバテ始めて以来、優勝争いに興味が湧き、珍しく13日目からテレビの実況中継を見るようになった。
 それにしても最終日の白鵬はお見事だった。
 西方の朝青龍を豪快に投げ飛ばして優勝を手中にした。
 ぼくは、全盛期のころから朝青龍が好きでなかった。モラルというか、相撲道における品に欠けるところが多かった。土俵上で相手力士を威嚇するが如くにらみつけたり、勝敗を決めた後も駄目押しで土俵外へ放り出したり、あるいは「手前なんぞに負けてたまるか」といった捨てゼリフを思わせるような殺気だった目つきなど、その土俵態度に不愉快な影がつきまとった。しかし、世間は結構なもので、ぼくの友人の中にも大の朝青龍ファンがいた。
◇国産びいきのぼくだが、角界を見渡す限り、前途はますます外国人力士の優勢が予想される。
 名古屋場所で気に入ったのは琴欧州の人柄と活躍である。まだ26歳だが、上を目指して真剣に技を磨いている姿とまじめさが伝わってきた。体格もいいし、力がありそうだし、彼ならモンゴル勢に引けめを取らないだろう。
 モンゴル以外の外国人力士では把瑠都(エストニア)と栃ノ心(グルジア)が星を残した。いずれは3役に進むであろう。
◇わが大和力士では稀勢の里(関脇)と安美錦が敢闘した。両人とも感じのいい関取であり注目しよう。どうしても勝ってほしいのは闘志と童顔の人気力士・高見盛である。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月24日

民主党に任せられるか

 選挙は水ものと言われている。
 水ものとは酒などの飲みものや水分を含む果物などをさし、そのときの条件によって変わりやすく予想しにくいものごとをいう。選挙は一晩で変わるともいわれたが、それは前夜の買収工作の激しさから出た言葉で、クリーンな選挙が合言葉の現在は通用しない。
◇今は選挙は風である。追い風に乗るか、逆風に真向かうか。
 前回の郵政解散は小泉旋風といってもいいが、改革を求める国民が小泉さんの一挙手、一投足にしびれた。言わばこれまでの自民党政治への不満の鬱積が爆発した。小泉チルドレンの圧勝がこれを証明したが、状況は今も変わらない。改革を進めて安定した政権による納得のゆく政治を国民が期待するが、その逆に舵を切ったため安倍、福田に続く3代目の麻生さんでプツンと切れかけた。
 今吹いている風は、麻生さんの不徳と不明によるところが多く、そのエラーによって民主党がたなぼた式に追い風を受ける形となった。
◇ここに来て、政権交替が夢から現実になりそうだが、国民は民主党を信じきっているわけではなく、これまでの自民党政治への不満が反動的に作用しているだけである。民主党への不安要素は幾つかあるが、最大のものは国家観と防衛、外交、教育につきる。
◇戦後、国民道徳がおかしくなり、家庭が破壊されたり、社会の秩序が乱れたりした原因の一つに教育崩壊がある。
 これは日教組(教員の組合)の影響によるところが多く、国旗や日の丸の反対、校長の学校管理への反対、子どもの世界へ階級思想の持ち込みなど憂慮すべきところが多かった。
 安倍内閣で教育改革に取り組み、愛国思想を取り入れた教育基本法の改正が実現したが、これに反対したのは民主党だった。この党には日教組、その他の組合出身者やそのバックで当選している政治家が多く、この結果、外交面でもアメリカを敵視し、中国になびく傾向が強かった。
◇民主党には旧社会党の大部分が入っているが、かつての社会党は土井たか子元委員長が示すように北朝鮮に極めて友好的で、拉致被害ですらあり得ぬと否定してきたくらいである。このことは思想のためには国民の安全をもかえりみないのでは、と心配される点である。
 例えば小沢一郎前党首が多くの信奉者を連れて数百人規模の親善訪中をしたことにもみられる。
 人権擁護への一言のメッセージもなく、ただあちらの言い分をペコペコとありがたく拝聴して、記念写真におさまってきただけである。
◇中国、北朝鮮、ロシア、ベトナムにはいい顔をして、アメリカを敵視してきたこれまでの民主党外交は、いざ政権をとった場合、日米安保条約をどう評価し、発展させるのであろうか。党内の旧社会党系は安保反対の固定的な歴史観をもっているが、それで今日の国際的外交が進められるであろうか。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月23日

自然現象に悲喜(見聞録)

 日食が日本の広い範囲で観測された22日。湖北地域でも太陽の8割が欠けた。あいにくの曇り空だったが、時々、薄雲を太陽が透かしていたので、観測できた読者も多いのでは。
 ピークの午前11時頃は、ちょうど長浜北小学校プールで行われていた水泳記録会の取材中。空を見上げると欠けた太陽を肉眼で確認できたので、デジタルカメラを太陽に向けたところ、遮光フィルターを用いることなく、簡単に写真に収めることができた。
 曇り空が太陽光をある程度、遮断してくれたからだろう。携帯電話で撮影できた人もいた。
◇さて、最大6分25秒の皆既日食が観測できる予定だったトカラ列島の悪石島は暴風雨のような悪天候に見舞われた。
 テントで宿泊していたツアー客は、竜巻の危険性があるということで近くの体育館に避難する騒ぎもあった。30万円以上もの代金を支払ったツアー客の、その心境はいかばかりか。
 お隣り、中国・上海では、降雨ロケットを発射して日食の始まる前にあらかじめ人工的に雨を降らす計画があったようだ。
 北京五輪の開幕式での降雨を避けるため、事前に打ち上げた実績があったことから、上海市民からも政府に要請する声が出ていたという。
 今世紀最大の天体ショーと言えども、お天気という自然の気まぐれ次第ということ。
◇時として、その気まぐれは、山口県防府市の豪雨災害のように、人を傷つける。
 山崩れと鉄砲水で、土砂が老人ホームを直撃するなどして、これまでに8人が亡くなり、9人が行方不明。自然の猛威を知らしめた惨事だ。
 人を感動も、傷つけもするのが自然現象。我々は驕ることなく、地球という大自然に「生かされている」ということを自覚したい。
 昨日感動を与えてくれた皆既日食は、26年後の2035年に北陸地方などで再び観測できる。また、月が太陽の内側を隠して太陽がリング状に輝く「金環日食」は、早くも2012年、九州や四国で観測の機会が訪れる。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月22日

伝家の宝刀はなまくら

 解散を宿命づけられて発足した麻生内閣ながら延ばしに延ばして、延ばし切れなくなって遂に解散した。
 解散権は首相の専権事項だから、麻生さんが決めない限り他がいくら模索しても闇の中の薮だった。
 解散は伝家の宝刀だからうかつには抜けない。抜くぞ、抜くぞと風を吹かしておいて、時間を稼いだのが麻生さんだったが、ここに来て評判は尻すぼみにくたびれてきた。
◇本来、解散は、その時点で赤じゅうたんを踏む議員先生がただの人になるのだから、荘重、かつ厳粛な儀式である。
 待ったなしで始まる総選挙で勝たねば江戸表から追放の身となるわけだから、解散証書を読み上げる議長の声もそれを聞く議員の反応も悲壮である。
◇にも関わらず、解散を求める声が成りやまなかったのは、衆議院の議員先生の任期が切れるからである。
 解散権を握る首相は、一番有利な時期を選んで解散するのが常道だが、今回ばかりはそんなねらいが通じない。
 昨年9月麻生内閣が発足した時には「新しいもの」への御祝儀相場で、40%台の支持が出たが、以後、多少の紆余曲折はあっても、大勢は下がりっ放しで、言わばじり貧を地でゆく感じだった。
◇こんな男にだれがした、と悔やむのは自民党の国会議員と総裁選に一票を投じた党員の責任である。麻生さんによって、総選挙をやらねばならぬという先の先が読めずに派バツのボスのご都合ですべては決着した。
 ぼくはあの顔では勝てぬ、と高言していたが、それは国民が政策に何を望み、首相への期待がいずこにあるかを知っているからで、何回も触れたことだが、小泉路線のさらなる改革と経済再建施策にある。
 そのなかでも最も望まれるのが公務員改革及び派バツと族議員の解消である。
 つまりは長年の自民党流に訣別する指導者が求められたのだ。それなのに、自民党の議員と党員は昔々の自民党返りを採用した。
 その大ペケぶりが国民からソッポを向かれているのである。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月21日

祭りの魅力は…(見聞録)

 18日夕方、長浜市街地で開かれた「長浜ゆかたまつり」は、過去最多の1万人が訪れ、熱気に包まれた。
 華やかな衣装をまとったグループによるヨサコイソーランやストリートダンスの披露、商工会議所青年部によるラーメン店、地元ミュージシャンのコンサート、滋賀県立大学生のエコイベントなど、街角は賑やかな催しでいっぱい。
 開会の午後5時を待たずして、市街地には色とりどりの浴衣姿があふれ、市民がこの祭りをどれだけ楽しみにしているかがうかがえる。
◇同級生や職場関係者にばったり出会い、昔話や近況報告に花を咲かせるのも魅力の一つ。
 小生も街角でスナップ写真を取っていると、何人かに声を掛けられた。日ごろお世話になっている商店主や議員だったり、昔の同僚や取材相手などの懐かしい顔に出会えた。
 5年ほど前、彦根で記者をしていたころ、脱サラしたガラス工芸家を取材したことがあった。退職金で工房を開設したばかりの中年男性。ほぼ独学で身に付けた技術を信じ、第2の人生のスタートを切った彼だったが、果たしてうまく軌道に乗るものだろうか、と心配したのを覚えている。
 浴衣祭り会場で声を掛けられた時は、すぐに思い出せなかったのだが、名前を聞いて記憶が蘇った。祭りに合わせて、表参道でガラス作品を展示・販売するため、長浜を訪れたという。今では各地で展示しているそうで、小生を覚えていてくれたことが嬉しかった。
◇長浜ゆかたまつりに限らず、夏場は各地でイベントが催されるが、人との出会いが何より面白い。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月18日

安易な登山に警鐘(見聞録)

 北海道の大雪山系で登山客ら10人が亡くなった。荒天の中で登山を決行したうえでの遭難事故だった。
 8人の死者を出したグループは18人パーティー。3人のガイドが引率していた。寒さのあまり、途中で倒れ込む人がいたにもかかわらず、体力のあるメンバーだけで先に進み、そして次々に脱落。テントを張って救助を待つも、急激に体温を奪われた結果、低体温症で亡くなった。
 公募で集まったメンバーは、経験も体力もばらばら。強風と雨の中で、歩みを進めたガイドの判断が正しかったのか。この点に疑問を持たざるを得ない。
◇中高年の間で登山がブームになって久しい。登山道の整備、装備の軽量化・高性能化に加え、ガイドの登場で、初心者でも簡単に3000㍍級の山々に登頂できる。
 大学生の頃、登山経験ゼロにもかかわらず、北アルプスの穂高連峰縦走を試みたことがある。大学山岳部OBの全面バックアップのもとで、初心者パーティー4人で挑戦。長野県側の上高地を出発し、奥穂高岳、前穂高岳、涸沢岳などを巡って岐阜県側の新穂高温泉に降りた。5日程の、のんびりとした行程で、当初は槍ケ岳へも足を伸ばす予定だったが、体力的な問題からOBに止められた。
 山頂から眼下に広がる雲海、夜空を埋め尽くす無数の星など、感動的な光景は今も脳裏に焼き付いている。
◇先人は、神が宿るとして山々を畏敬してきた。それは人を寄せ付けない険しさや急変する天候に、神秘を感じていたからではないだろうか。
 登山ブームの中で、もし、山々への畏れの意識が欠落しつつあるとしたら、今後も同様の遭難事故は免れまい。
 今回の事故は、装備やガイドだけでは御し得ない自然の厳しさを見せ付けた。
 きょうから夏休み。海や山が賑わう季節だが、決して自然を甘く見てはいけない。今回の事故を警鐘としたい。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月17日

国民の心を忘れた政治

 15日の時評で、麻生さんの雪隠詰めについて書いたが、そのなかでぼくの言いたかったのは国民の心が読めない政府や政治家は失格である、という点である。
 そういう意味では、小選挙区制は国民に分かり易い選挙制度である。内閣総理大臣が国民の心から離れていれば、次は野党へ政権を渡そうと考えるのは常識であり、政権選択のカギは国民が握っていると考えられる。
◇名古屋、さいたま、千葉、奈良の各市長選や静岡知事選、さらには東京都議選で与野党がそれぞれの推せん候補に全力を集中したが、結果は民主党が完勝した。これは次なる解散・総選挙の前哨戦であり、国民の心を推量する最も分かり易い資料といえる。
 なぜ与党の自民党が負けたのか、答えは簡単である。政府及び与党が国民の心と離れていたからである。
 ぼくはそれを「先が読めない」「国民の心が読めない」と書いたが、読めないのは長年の権力呆けによるもので、悪代官を例にとるまでもなく自惚れと傲慢さが良心ともいうべき鏡を曇らせてしまったからである。
◇今の麻生さんの不人気は、2年前に辞めた安倍さん、昨年辞めた福田さんの尻ぬぐいの部分も含めて、国民の不満が鬱積していたと見るべきである。
 安倍さんも福田さんも絶対多数の与党を擁しながら行き詰まって下野したのであるから、本来なら次なる内閣は、「やらしてもらっていいでしょうか、ダメでしょうか」と国民に問うべきであり、それが解散である。当時ぼくは、福田後継内閣は解散を目的とする選挙内閣だと訴えた。
 それなのに、自民党は多数党の驕りから派バツ方程式で麻生さんを総裁に選んだ。ボタンのかけ違いが最後まで国民の反発を招いた。民意を聞く機会を最大限に延ばして、任期いっぱいまで権力を握り続けた。
◇小泉さんが引退声明を出すまでは、次の総理にだれが適当かの世論調査の第1位は小泉さんだった。それどころか、引退声明の後に至っても、その人気は2位、3位を常に維持していた。
 ここに国民の心の反映が見られるわけだが、現実の安倍、福田、麻生政権は反小泉路線を突っ走り、派バツの復活、公務員改革の骨抜き、無駄づかいと増税路線にうつつをぬかすようになった。
 道路公団の民営化を中途半端なものにし、不採算の高速道路の凍結を解除した。
 ごく最近のケースでは郵政の「かんぽ」施設を二束三文で払い下げようとした。その責任を追及した鳩山邦夫総務相が首を切られて、疑惑を招いた西川社長は再任された。
 その前にも似た事件があった。防衛省汚職で、次官がやり玉に上がった。時の大臣・小池百合子氏が、次官のクビをはねようとしたが、防衛族がよってたかって、次官を守り、結局ケンカ両成敗で、小池大臣も次官も職を去った。
 国民には皆目分からない話で、官邸と与党は、国民の心など、どうでもよいと軽んじていたのではないか。その怒りが目下の政界を襲っている暴風であろう。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月16日

18日は浴衣まつり(見聞録)

 長浜の夏の風物詩としてすっかり定着した「長浜ゆかたまつり」が18日の夕方、市街地の商店街で開かれる。
 10年前、地元の繊維業界などが、地場産業の振興を目指して考案。今では7月上旬の夏中縁日に次ぐ催しとして、多くの市民で賑わっている。
 近年は湖北地域だけでなく、敦賀や大垣など他県からの参加者もある。お隣りの福井県では地元テレビがまつりを紹介するなど、今年も各地から多勢の人出で賑わいそう。
◇浴衣の起源は平安時代の風呂に遡る。当時は、現代のようにお湯に浸かるのではなく、蒸し風呂が主流で、「湯帷子」と言われる着物を着て入ったそうだ。
 帷子は「裏地の無い一重の衣」を指す。生地が薄くて風通しが良く、安土桃山時代ごろから、湯上りに着るようになり、江戸時代には庶民向けの気軽な衣服として定着したようだ。
 「ゆかた」の言葉の起源は「ゆ・かたびら」の省略。また、古典的な浴衣に紺色が多いのは、紺色に染める「藍」の香りを虫が嫌うという特性を生かした先人の知恵。
◇和装文化の衰退で、庶民の衣服としての地位は奪われたが、花火や縁日、盆踊りなど夏の催しには欠かせない「衣装」として、若い女性の間では人気がある。着付や値段などハードルの高い着物に比べ、気安い点も若者から支持されるゆえんだろう。
 呉服店やデパートが発売するブランド品や高級品に加え、大手スーパーや衣料品店では2000円台から豊富なバリエーションを揃えている。最近ではレースをあしらったり、肩を露出させた「小悪魔系」の浴衣など、オシャレに敏感な現代っ子向けも商品化され、最近ではペット用の浴衣まで登場していると聞く。
◇さて、ゆかたまつりの参加者が楽しみにしているであろうスタンプラリー。市街地の5カ所のチェックポイントを巡ると、素敵な景品が当たる。
 主催者や地元工業会、商店では旅行券、ホテル宿泊券、家電製品、自転車など約900点もの景品を用意しているので、当選率が高いのが魅力だ。
 夜市やコンサート、ストリートダンスなどの催しも企画されている。
 小生も当日はカメラを手に市街地をウロウロするが、どんな浴衣美人に出会えるのか、今から楽しみ。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月15日

雪隠詰めと麻生内閣

 将棋は王と王の戦いで、王を守る諸将が敵陣を突破し、敵の王を逃げ場なく追いつめるのが勝敗の醍醐味であるが、敵の王を窮地に追い込み、勝利を不動のものとする詰め将棋の一つに「雪隠詰め」がある。
 雪隠は便所のことで、言葉を詰めて「せんち」ともいう。便所はいかにも臭気ぷんぷんの感じだが、せっちんといえば多少ユーモラスな、笑いをそそる響きがある。
 「せっちん浄瑠璃」は人前では聞かせられない下手な浄瑠璃をさし、「せっちんで饅頭」は人に隠れてひっそりと自分だけいい思いをするたとえ。
 将棋の雪隠詰めは、相手の王将を盤の隅に追いこんで詰めることで、万事休すということ。
◇日本の現下の政治状況を将棋にたとえるのは不穏当かもしれないが、国民には理解しやすいのではないか。将棋は先の先を読んで、駒一つの動きが自派の王を堅守し、同時に敵陣を打ち崩す奇手となることもある。
 先の先を読むためには盤上の情報を的確に分析し、そつなく先手必勝の駒を進める必要がある。麻生という王将は彼を守る諸将にいまいち敵を圧倒する戦略と闘志を欠くのか、あるいは王自信の不徳によるものか、目下の盤上のせめぎあいは、敵の攻撃を防ぎ切れず、どうやら「雪隠詰め」に追い込まれている感じである。
◇駒の進め方も問題であるが、先を読むこと、かいつまんで言えば国民の心が那辺にあるかを全く意に介さず、権力意識丸出しの自己満足の我流で押し通した。
 政治は国民と共にある、という民主主義のイロハが分かっていないのは、戦後政治を一貫しやりぬいてきたという自惚れと傲慢さによるものだろう。
 先が読めないこと、国民の心が読めないことは、近代政治家にとっては劣等の分野に入るが、なぜ読めないのか。それは権力呆けにつきるといっていい。封建時代の藩主や悪代官が農民一揆が起きるまでは民は無条件に服するとうぬぼれていたのと同様である。
◇麻生内閣が「せっちん詰め」にさらされているのは、追う側の民主党の兵器や戦力がものを言っているというよりも、むしろ、自民党の情報音痴、いな情報無視による失策の連続によるといえよう。
 民主党は敵失によって点を稼いでいるわけだが、天の利、地の利を得ていると思うふしがある。
 自民党はいまさら泣きごとをいっても始まらないが、目下の麻生王将の雪隠詰めの苦境は安倍、福田に次ぐ三短命内閣の総合評価が落第点であることを国民が知らしめたと考えた方がよい。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月14日

衆院選まで1カ月半(見聞録)

 麻生首相は21日に衆議院を解散し、来月30日に選挙を行うことを決断した。「麻生では戦えない」と、自民党内に退陣を求める声もあるが、首相を代えたところで浮揚しまい。
 振り返れば2003年の衆院選。民主党は「マニフェスト」を掲げて大躍進を果たし、政権交代の可能性を国民に示した。
 一方、自民党は2005年、当時の小泉首相の下での郵政選挙で歴史的大勝利を収め、公明党を合わせた与党で衆院の3分の2を支配した。
 民主党の躍進と自民党の大勝利から、有権者の投票行動をどう分析するのか。
 小生は「政権交代」も「郵政民営化」もただのスローガンに過ぎず、国民はその先にある政治刷新と改革を求めたと見る。
 金権政治の打破、官僚政治からの脱却、税金の無駄遣いストップなど、戦後の自民党政治で溜まりに溜まったウミ出し。
 しかし、国民が期待した4年前の小泉改革は、安倍―福田―麻生政権で後退。その評価は、東京都議選に見ることができよう。
◇さて、地元の湖北・湖東地域を選挙区とする滋賀第2選挙区には自民・藤井勇治、民主・田島一成の現職2人と、宗教法人「幸福の科学」を支持母体とする幸福実現党の池田信隆が立候補する。
 事実上は藤井と田島の一騎打ちになると予想され、前回の投票結果を振り返って分析してみたい。
 2005年9月11日に投開票された「郵政選挙」。自民、民主、共産、無所属の4人が立候補した。郵政法案に反対した自民・小西理が無所属での立候補を余儀なくされ、「刺客」として送り込まれた藤井と激しい保守分裂選挙を繰り広げた。保守票が分散したことで、田島が「小泉旋風」をはねのけ当選。藤井が比例で復活を果たした。
 得票数は▽民主・田島6万7481票▽自民・藤井5万4067票▽無所属(自民系)・小西4万3416票▽共産・丸岡和世1万0413票―だった。
 分裂した保守票をまとめると自民9万7483票となり、田島を3万票も上回る。
 今度の選挙で気になるのは小西が獲得した4万3000票と共産の1万票あまりの行方。そして、小泉改革に賛同して藤井に投じた無党派の投票行動だろう。
◇党首の姿勢次第で、浮きも沈みもする衆院選だが、有権者には各党のマニフェスト(政権公約)をじっくり読んで評価してもらいたい。
 ただし、政党のマニフェストは「あれします」「これします」と、総花的になりやすい。このため、有権者がどの政策に主眼を置くかが、重要になる。
 政治改革なのか、税制改革なのか、それとも外交、防衛?いや、教育や農業、福祉は譲れない―など、自身の関心のある項目を見比べ、投票日までの1カ月半、候補や政党を見極める政見を養って欲しい。
 日本の将来は我々有権者の判断にかかっているのだから(以上敬称略)。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月13日

「むすび」について雑感

 正食協会の発行しているマクロビオテックの月刊誌に「むすび」がある。
 「むすび」は日本人のだれもが知っている「おにぎり」を連想する。食べものを大切にする日本人は敬意をこめて「おむすび」ともいう。このごろはスーパーやコンビニでもなかなかの人気商品である。
 「むすび」という言葉は味の深い明るい夢のあるイメージを持つのでぼくの好きな言葉の一つである。
 ぼくの子どものころは「おむすび」という上品な言葉ではなく、そのものずばりの「にぎりめし」または「おにぎり」と呼んだ。
◇「むすび」は「むすぶ」という動詞が名詞化したもので、漢字では結と書く。
 紐を結ぶ、実を結ぶ、話を結ぶ、縁を結ぶ、といったふうに、よい結果を喜ぶ、期待する心がこめられている。
 紐を結ぶのは、離れないようにしっかりと組むことである。縁組を結ぶのが結婚。願いごとの満願の日が結願。裁判で原告、被告の言い分をすべてただした上で判断を下ろすのが結審。議論の最後に落ちつくところが結論。いいにしろ、その反対にしろ責めを負わねばならぬのが結果。
◇農村には今も昔ながらの結いの制度を守っているところがある。
 この場合の結いは助け合い、手間の貸し借りのことで、友情を結ぶ、隣近所の親密を結ぶといった意味があり、繭掻きや田植え、もみすりなど時間に限りがあって忙しいときに互いに手間を借り貸しする美風である。
 結いは結うことであり、髪を結う、縄を結う、ほころびを結うなどと用いる。このごろはしきたりが薄れがちになったが、日本の婚姻の重要な儀式に結納の制度がある。婚約成立のしるしに、仲人が双方を取りもって金銭や品物を取り交わす。当事者それぞれ、親類を招いて披露し、結納を受ける側は目を通した上で「受け書」を渡し、娘の場合は正装して挨拶する。
 このごろは面倒とばかり、野合のような結婚が多くなり、仲人もなければば、親類の出番もなくなったが、そのせいかどうか、バツイチなる言葉が勲章のようにさえ思われて、日本の家族制度の美風を壊してしまった。
◇天地・万物を産み出すという霊妙な神霊を産霊といい、むすびの神ともいう。また転じて、男女の縁を結ぶ神のことをもいう。縁を結ぶ神からさらに転じて仲人のことをそういうこともある。
 正食協会の月刊誌「むすび」の名は正しい食生活を通じて健康で幸せになろうとする縁結びの心によるものと思うが、機会をみてプラスになる話を紹介しよう。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月10日

面従腹背の官僚と政治

 「面従腹背」ということわざがある。表面では服従するようにみせかけて、内心では反抗することをいう。
 よく似た言葉で「面従後言」「面従腹誹」がある。
 面従後言は、人の面前ではこびへつらって服従し、かげに回ればあれこれ悪口をいう。「面従腹誹」は表面は従うようにみせかけて、内心ではそしることをいう。
 なぜ、わざわざこんな文言を持ち出したかというと、これが日本の役人(公務員)の処世術だからである。
◇政治家は人気取り稼業であり、常に選挙を意識するから、公務員改革が必要だと分かっていながらも、いざ法律を作って改革の一歩を踏みしめる様になると、志がぼやけて形だけはそれらしくても、中身が骨抜きにされる。
 小泉さん(元首相)が最初に公務員改革の旗を上げたのは行政改革を進めて、民で出来るものは民営として、官僚の天下り先である特殊法人などの廃止や統合にねらいがあった。
 官僚は「いちいちごもっとも」と御説有り難く聞きながら裏へ回るや族議員や党の実力者に根回しをして、その法案化による実現をサボタージュした。
◇自民党の実力者も小泉さん時代には表向きに反対の声をあげることなく、中身の骨抜きを考えて、伸ばし伸ばしの、じらし戦術で官僚の機嫌に迎合した。
 安倍内閣は小泉改革の後継者として、公務員改革に意欲を見せ、渡辺喜美氏(現在離党中)を担当大臣として積極的に推進したが、役者が違って安倍さんがなめられたのか、党内の反発は予想外に強く、せっかくの公務員改革と天下り禁止が看板に偽りありで骨抜きになってしまった。
 すべては官僚の抵抗であり、それを裏から巧妙に援護した族議員たちの裏切りによる。
 労働組合の不法やヤミ専従などの問題を引きずり、福田内閣も麻生内閣も表向きは公務員改革を政策の大きな課題としながらも、実態はだんだん小泉時代の理想を離れた。官僚と族議員のなれあいの方向に進み、こともあろうに諸悪の原因を小泉改悪にあると曲解し、それをいうことが正義のごとくゆがめられてしまった。
◇だが、小泉改革が中途半端に終わったのは日本の政治の不幸であった。
 小泉さんは政治権力を官僚の手から奪うべく、まず実行したのが派バツと族議員の解消であった。小泉さんを族議員がいかに煙たがり、恐れたかは、小泉後継の安倍いじめで明白であった。
 安倍さんは親の敵のようにがたがた揺すられてその実力を発揮することなく、のたれ死のような形で退陣した。それをよいことに、党内の派バツは復活し、福田、麻生政権は国民の立場より官僚の立ち場を重視する方向さえ見せるようになった。
◇煮ても焼いても食えないほどの代ものが日本の官僚であり、彼らは総理や大臣の前ではいかにも従順な下僕のように忠勤を尽くす姿勢を見せるが、ひとたび裏へ回れば別のことを考え、別の知恵をまさぐるのだ。
 だから面従腹背などの言葉は彼らのために用意されたようなものである。このことは中央のみならず、地方でも同じで、県庁の役人、市役所の職員も議員の前では上手口をたたいて、いかにも協力し、従うようにみせかけるけれども裏では舌を出していることが多いのだ。
 すべては保身と仲間との一体的利益を考えるからである。
 小泉さんや大阪の橋下知事のような識見と行動力を持つ住民サイドのリーダーこそが今は必要なのである。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月09日

長浜市議の出席簿(見聞録)

 情報公開に積極的な長浜市議会は、本会議や委員会の出欠状況をインターネットで公開している。
 議員は通常、年4回の定例会に加え、緊急議案を審議する臨時会、各種委員会などに出席し、当局の出す議案を審議したり、市政課題について議論を交わす。
◇今年上半期(1~6月)、本会議と委員会、全員協議会は計58回開かれた。本会議は全議員に出席義務があるが、各専門分野について審議・協議する委員会は所属によりそれぞれ。
 皆出席議員を紹介すると、五十音順で秋野久子、浅見信夫、伊藤兵一郎、押谷憲雄、北川薫、北田康隆、竹内達夫、武田了久、田中伝造、寺村正和、福嶋一夫、福永利平、吉川富雄、脇阪宏一の計14人。
 会派別では長政会4人、共産党4人、プロジェクト2人、長愛クラブ2人、公明党1人、市民の声1という内訳。
◇一方、欠席議員を回数の多い順に紹介すると、野村俊明がダントツの11回。本会議や自身の所属する委員会は計32回開かれたから、3回に1回は欠席している計算だ。
 以下、阪本重光5回、青木甚浩4回、押谷與茂嗣、金山正雄、西尾孝之各3回、花川清次2回、茂森伍朗、林多恵子、東野司、溝口治夫、山口忠義、吉田豊各1回。押谷友之も1回だが、これはヤジを飛ばしたことによる出席停止処分だった。なお、いずれも欠席理由は公開されていない。
◇病気や親族の不幸など、止むを得ない場合もあるし、本会議以外にも有権者の相談に応じたり、視察や調査活動もある。出席状況だけで議員の仕事ぶりを判断することはできないが、一つの指標となろう。
 市民は自身の投票した議員がどんな働きぶりなのか、たまにはチェックしてはどうだろうか。幸い長浜市議会は本会議の様子をインターネットで生中継し、過去の動画も配信している。わざわざ、議場に足を運ばなくてもいい。
◇あと半年に迫った1市6町合併。議員定数が大幅に削減されることで、議員個人の役割はますます大きくなる。今後も情報公開を通して自らを律してもらいたい。
 蛇足だが、昨年度の本会議は定例会4回と臨時会4回。議員給与は1人当たり555万3600円。議長、副議長はもう少し多い(以上敬称略)。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月08日

ヤミ専従と舛添大臣

 前回の時評で農水省の労働組合のヤミ専従について触れたが、ヤミ専従は国家公務員の組合に限らず、地方の公務員の組合でもあり得ることで、いわゆる綱紀の弛緩は中央も地方も同じこと。親方日の丸の不愉快な事件はなかなか根断ちしそうもない。
◇今から4年前の2005年。大阪市の職員で構成する大阪市職員労働組合(市職)と大阪市立学校職員組合の役員が市から給与を受けながら勤務をせず、上部組織の自治労大阪府本部にて組合活動をしていたことが判明した。また大阪市労働組合連合会(市労連)加盟で自治労傘下の大阪市従業員労組(市従)の役員がヤミ専従やカラ残業を行ったとして問題化した。
 市民団体の見張り番から住民監査の請求があり同労組役員3人に給与など7800万円の返還が求められた。請求によると、同労組の役員3人はほとんど出勤することなく、出勤したとしても「組合活動だ」といって職場から出てしまい、それでいて給与や残業代を受けとり、同僚と登山に行っても記録上は出勤扱いになっていた。
◇大阪市の調査によると、市労連傘下の組合と市労組で、963人のうちの129人の労組役員が違法な組合活動をしていたことが分かった。また市労連も傘下の単組の自主調査の結果、2005年から過去3年間に不正受給した給与が1億5400万円にのぼるとして不正受給分を市へ返還することにした。その後の大阪市の調査で、勤務時間内に組合活動をしていた組合役員に年10億円の給与が支払われていたことが公表された。
◇社会保険庁の労組のヤミ専従問題は深刻であった。
 政府の「有識者会議」の要請により2007年から過去10年間のヤミ専従など服務違反の実態調査を行った。
 その結果、東京と大阪の両社会保険事務局において本来支払う必要のない給与が約9億円支払われていたことが判明した。しかし、問題は東京と大阪だけというのはおかしいと、日本年金機構の移行に関しての職員の採用に厳しい目が注がれた。
 この問題で全国社会保険職員労働組合の高端照和委員長は「私もヤミ専従者の一人。違法行為で国民の信頼を裏切った」と謝罪し委員長職を辞任した。
 その後、京都の社会保険事務所でもヤミ専従が判明し、舛添厚労大臣はヤミ専従を行った社保庁職員は日本年金機構の移行に当たり、採用しないことを閣議決定にし08年12月26日、40人の職員及び元職員を背任容疑で刑事告発した。
◇目に余る公務員の綱紀弛緩はまさに氷山の一角だが、中央も地方も国民が苦労して納めた汗の税金をどう心がけているのか。
 そのことを考えれば公務員改革と天下り禁止は、厳しい上にも厳しく法改正すべきであり、役人の思い上がりと不法、無駄づかいを徹底的になくすることが国民の刻下の気持ちであろう。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月07日

感謝を伝える風習(見聞録)

 日ごろお世話になっている親族や会社の上司・先輩に贈る「お中元」。
 その起源は古代中国に由来する。中国では1月15日を「上元」、7月15日を「中元」、12月15日を「下元」という季節に分け、中元では慈悲神様をまつる風習があった。それが仏教の盂蘭盆と結びついて、先祖の霊を迎えて感謝する行事に変遷し、いつしか、お世話になった人に感謝の気持ちを贈る風習として定着した。
 東日本では新暦にあたる7月初旬から7月15日かけて、西日本では月遅れのお盆にあたる8月初旬から8月15日にかけて贈るのが一般的。
◇デパートやスーパーではお中元商戦が本格化しているが、どれを贈れば相手に喜んでもらえるのか、商品選びに頭を悩ませる読者も多いのでは。
 「リビングくらしのHOW研究所」はインターネット上で既婚女性約1900人に行ったお中元に関する意識調査の結果を公開している。
 もらえたら嬉しいものは、「商品券・ギフト券」(62・2%)が1位で、以下「ビール」(46・2%)、洋菓子(42・7%)、「選べるカタログギフト」(38・4%)、「飲料水・ジュース」(32・7%)と続き、ビールなどの定番を除くと、自由に使い道を選べる商品が好まれているようだ。
◇一方、過去にもらってがっかりしたのは、多い順に「魚類」「ジュース・飲料・お茶」「麺類」「ビール」と続いた。理由は「賞味期限が短く、自分で加工しなければならない」「家族があまり食べない」「品物が重複して食べきれない」など。ただ、いずれの答えも1900人の回答者のうち、40人前後にすぎず、結局は自分が貰って嬉しいと感じる品を贈れば、問題なしか。
◇アンケート調査で興味深いのは、「お中元を贈る」と回答したのが50代以上で8割にのぼるのに加え、20代も45%になること。今の若者がこうも律儀にお中元を贈るとは想像できないが、回答者が既婚女性という点を勘案すると、実家や夫の両親に贈っているのだろう。
 デパートやスーパーの営業戦略に躍らされるのはかなわないが、お世話になった人に感謝の気持ちを伝える風習は大切に残したいものだ。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月06日

ヤミ専従はドロボウだ

 公務員のヤミ専従問題がときどきニュースになることがある。
 専門家や内部に詳しい人には分かるが一般国民には分かりにくい言葉である。
 ヤミ専従とは労働組合の役員が、勤務時間中に正規の手続きをとらずに職場に勤務しているように装いながら、給与を受け、実際は職場を離れて組合の仕事に専従していることをいう。
◇農水省のヤミ専従問題は早くから言われていたが、ろくでもない大臣の影響か、ねっからメスを入れる気配がなかった。
 今年3月、やっと省内にヤミ専従問題に関する特別調査チームが設けられたが、不思議にもこれをきっかけに、出先機関に地元の組合幹部からパソコン内の組合関係メールを削除せよとの指示があり、組合関係の書類は処分された。関係の農政局は、ヤミ専従の証拠隠滅ではないかと抗議したが、組合側は、人事異動に伴い、古い資料を処分しただけ、と回答したという。
 その他にも「組合関係書類は机の上には置かない」「業務パソコン内の整理」「受信したメールは読んだらその都度削除」などと細かく指示し、これらの次項を組合員に徹底するようにしていた(読売・6月22日)。
 これらの事実を察知したから農政局は組合に抗議したというが、このような内部規律の違反事件を厳重調査することなく、たんなる抗議ですませていること自体、農水省当局に綱紀粛正の心が全くないことが分かる。
 ヤミ専従の不正は、組合の仕事を専門にしながら、いかにも普通の職員のようにごまかして給料を受け取っているので、公金横領の疑いが濃い。しかも何十年も前からの慣行か、上も下も眼をつむっているのだが、国家の財政に与える罪は大きい。
 それなのに、政治家は動く気配もない。農水省の最高のえらいさんは大臣であるが、自ら率先して黒い霧をただそうとしないし、政府与党である自民党が国民に代わって真相追及の行動に出る話も聞かぬ。
 政府攻撃に厳しい野党も、組合の専従問題を国会で追及することをしない。組合に借りがあるのか、組合を怒らせたら選挙に不利になるからか。いい加減にしろ、と国民は腹の底から怒っているにちがいない。
 日本の国民は昔から飼いならされて、「おかみにはたてつくまい」とする奴隷のような習性が身についている。それを今に引きずっていることと、一つは豊かな暮らしをしているため、金持ち争わずの心境かもしれないが、鳩山邦夫前総務大臣ではないが「正義」を忘れては世は真暗になる。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月04日

もうすぐ日食(見聞録)

 神秘の天体ショー「日食」が今月22日、国内で観測できる。
 日食は、太陽と地球の間に月が入り、地球から見る太陽が月で隠される現象。
 湖北地域を含む日本のほとんどで太陽が部分的に欠ける「部分日食」となる。
 種子島南部から奄美大島北部では、月が太陽をすっぽりと隠してしまう「皆既日食」となり、太陽の周りに広がるコロナや、太陽の表面から吹き出すプロミネンスなども観測できるという。
◇多賀町のダイニックアストロパーク天究館の高橋進館長に長浜市役所の位置で日食の時間を算出してもらったところ、午前9時48分に太陽の右上から欠けはじめ、同11時6分にピークを迎える。最大で太陽の直径の8割が月に覆われる。終了は午後0時26分。
 日本で日食を観測できるのは、1963年以来、46年ぶりで、次回は2035年9月2日(北陸・北関東など観測可能)まで、26年間待つしかない。
◇日食は肉眼では観測できず、専用グッズが必要になる。
 過去には色の濃い下敷きや、現像済みの写真フィルム、ろうそくのすすを付けたガラス板を用いて観測したが、いずれの方法も目を傷める可能性があり、専門家が注意を呼びかけている。
 というのも、太陽は目に見える光以外に、赤外線や紫外線など様々な波長の光を出しており、専門的な知識がないまま手作りした日食グラスで、太陽を観測すると、まぶしいと感じなくても、赤外線によって網膜が焼けたり、目を痛める可能性がある。
◇日食観測用の遮光板や日食グラスは地元の量販店やインターネットで200~500円程度で購入できる。
 なお、写真に撮る場合は太陽光を抑える専用のフィルターをレンズに取り付ける必要があるが、すでにどこのカメラ店も売り切れ。入荷のメドも無いという。どうしても、写真撮影に挑戦したい方は、市販の遮光板をレンズに固定するなどの工夫が必要となる。
◇さて、一番気になるのは当日の天候だが、彦根地方気象台は「現段階ではまったく予想できない」としている。
 現在、梅雨前線が日本上空に停滞しており、この1週間は梅雨明けの気配はないという。例年は7月19日頃に梅雨明けを迎えているが、今夏はいつになるのだろうか。天体ファンならずとも、待ち遠しい。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月03日

官僚と組合の不義密通

 農水省や厚労省内のデタラメは目に余るものがあるが、最近の最も不愉快な事件は、農水省の組合のヤミ専従と証拠隠滅をはかる組合書類の大量廃棄である。
 いま一つは減反政策の資料調査がインチキ資料だったことである。
 農政の根幹に関わる重要な政策を決めるための調査が実際はやっていないのに、やったことにしてのウソの調査を中央へ上げていた。
 官僚や職員丸まかせなのだから、彼らがサボタージュしたり、農民の利益を考えずに、よこしまな視点から事実に反する資料を上げることは容易に推測される。
 いうなれば綱紀の弛緩である。桶に張っていた水がいつの間にやら無くなっていることがある。これは桶を締めているタガが弛むからであるが、タガのゆるみは、長く乾燥しておくか、材質が老朽したからである。
 公務員の綱紀の弛緩は空気の乾燥や勤務年数の古さとは関係ない。職務に忠実か、どうかの良心の問題である。良心なき公務員がはびこるなれば、国民の税金を無駄づかいするし、かっぱらうこともあり得る。
 いわば盗人を税金で養っている図である。それを厳しく監督し、指導するのが官僚であり、その上に君臨するのが大臣である。
 その官僚は組合となれあうから、厳しい態度でのぞむことをしない。大臣は官僚を支配し、その命を徹底させるのが本来のあり方だが、これが1年ぽっきりの無能大臣だから、威令など届くわけがない。
 役人は、表面はペコペコしても裏へ回れば別のことを考える。官僚の念頭にあるのは自己保身と次の天下りポストの算段である。
 下手に部下から目つぼにとられ、組合の反発を受ければ将来の転職に災いのはね返りがくるかもしれない。だから、綱紀粛正に厳しい態度がとれないのである。
 その結果、ヤミ専従にも目をつむるし、組合の不法な動きにも干渉しない。
 言葉を換えれば国民のための行政組織が悪魔の手でゆがめられ、まさに百鬼夜行の親方日の丸天下である。
 その具体的現れとして、国交省などで問題視されている公用車購入の官製談合がある。さらには防衛省などで明るみになった水増し請求書による過払いと隠し金の積み立てになる。
 何千億、何兆円もの巨額の防衛予算が談合や随契で使われたりする。そういうデタラメがあらゆる行政組織に存在しながらも内部告発がない限り発覚しないし、おとがめもない。
 行政の隅々でごまかしや不正、インチキが一番よく分かるのは末端の組合員であるが、彼らもまた不正の恩恵を受けるのか、上司に報告したり、「ノー」とサインしたり、行動することをしない。組合は待遇改善などの要求には熱心だが、国民のために奉仕するまともな仕事の推進には無関心である。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月02日

この国の政治家(見聞録)

 この国の政治家はいったい何を目指しているのか。ここ最近の政治に、つくづくそう思う。
 「党役員人事を断念」は、2日の朝刊各紙が伝えたニュースだが、麻生首相は何のための党役員人事を画策したのか?
 宮崎県知事や大阪府知事への立候補の打診はなぜ?共感する政見があるのか?
 高速道路1000円、定額給付金、エコポイント制度などの大盤振る舞いの狙いは?
 2009年度の税収が当初予想の46兆円を下回る気配なのに、44兆円もの過去最悪規模の国債を発行するのはなぜ?
◇今の政治を家庭に例えれば、不景気で夫婦の年収が減っているのに、新たに年収と同額の借金。慌てて買い替える必要もない車やテレビのため、高速道路を使った旅行のため、子ども達への小遣いのため…。
 近所同士で環境に優しい生活を目指そうと約束したのに、車を乗り回してCO2を排出し、家電製品を次々と買い替える。家長が「買え、買え」と消費を促す。モノが売れて会社が儲からないと、収入が増えないから、と。
 将来、この借金を誰が返すのか。子や孫だ。両親や祖父母がつくった800兆円もの借金を。
◇不景気と選挙を、口実にした政治の迷走ぶりに、国民は呆れている。麻生内閣の低空飛行の支持率がそれを代弁している。
 政治家は日本という国家を破たんに導きたいのか。国家の維持よりも、政権の維持が大切なのか。
 ここ最近の政治に、日本という国家の行く末を大いに心配するのは小生だけではないはず。

| | トラックバック ( 0 )

2009年07月01日

にっちもさっちもゆかぬ

 かつて自民党に席を置いていた田中真紀子氏が機知に富む野党的発言で話題となったことがある。
 その一つがある候補の応援演説のなかで出た「御陀仏」論である。「今の政権はおだぶつ寸前である」との厳しい批判であったが、表現があまりにも生々しくて物議をかもした。
 大辞泉によれば、御陀仏は「往生ぎわにアミダブツの名を唱える意から①死ぬこと②物事がだめになること、また失敗に終わること」とある。
◇このところ、緊迫した麻生政局は、田中説の表現を借りれば、まさに「おだぶつ寸前」といえるのではないか。
 麻生さんの手に起死回生の妙手はあるのか。起死回生とは、絶望的な状態のものを立ち直らせることをいう。
 その一つが内閣改造や党人事であるが、問題はそれを国民がどう反応するかである。事実上、土俵を割っている感じの、いわば死に体の形で、局面の転回を計ろうとしても「無駄な抵抗」と映るようでは逆効果になるおそれもある。
◇いまの麻生さんは、したたかに見えるがどっちに転んでも9月までの生命だと踏んでいるから、絶対的権力の王座の居心地のよさを味わっているのかもしれぬ。
 起死回生の妙手もなく、かといって野垂れ死ぬぶざまを後世に残したくない。「神よ、われに力と運を与え給え」と祈る心境かもしれない。
◇麻生さんの心境は、進むもならず退くもならず「進退谷まる」「にっちもさっちも(二進も三進も)ゆかない」のではないか。
 進めば前門に虎、退けば後門に狼。まさに党内はがたびしの揺れ通し。老朽家屋が台風予報に手当てのしようもない見苦しさをさらしている。
 党の役員を改選するにしても、内閣を改造しても所詮は解散までの命なのである。
◇「待てば海路の日和」というが、逆に「大雨になって出てゆく雨宿り」となることもある。
 確かに、待っているうちに小沢民主党代表の金権体質批判が噴出した。今度は鳩山代表のインチキ個人献金が表面化した。
 なんのことはない。敵失で点をかせいでいるわけだが、それでも大勢は大変わりしないというのが一般マスコミの予測である。それほどまでに国民の眼は冷静で本質を忘れてはいない。
 国民の思いは何か。しょんとした政権下で乱れた行政を建て直し、国民が安心して任せられる政治であり、短命内閣、短命大臣さよなら。役人の天下り禁止、無駄づかいによる消費税増税反対である。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
 
長浜市
長浜市議会
長浜観光協会