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西松建設事件と国民

 スピード違反を挙げられた男が「他にも違反者がある筈なのに、なぜオレだけを挙げるのか」と開き直ったところで、それはナンセンスである。
 民主党の小沢一郎代表(当時)の秘書が政治資金の規正法違反の疑いで逮捕されたとき、当の小沢氏や民主党の鳩山由紀夫幹事長(当時)は政治権力による不法逮捕だといきまいた。
 その後の報道で、自民党の二階通産大臣、その他の名も出始めたころ、「なぜ、小沢だけが」「自民党側への捜査はなぜやらないのか」の声が出た。
 折りも折り、内閣官房副長官という警察上がりの元官僚が「自民党へは波及しない」むねの発言をして大騒ぎとなった。
 一党一派に偏した犯罪捜査などあってはならないが、おかしなことに、一時は大火になると予想された西松献金問題がいつの間にか下火となり、ボヤ程度の騒ぎでおさまる気配である。
 政治資金が法で厳しく規制されたのは田中金脈事件をきっかけに清新性を買われて登場した三木武夫内閣時代である。
 その後、何回かの改正を経て今日に至っているが、法がこれほどまでに政治資金に介入するのは、暗い金、黒い金による政治のゆがみをなくするためで、明るく清潔な民主政治の前提である。
◇スピード違反のネズミ取りにかかったか、かからなかったかはともかく、西松建設による実態のないダミー団体からの政治献金は明らかにすればするほど灰色が黒色になるかもしれないし、政治の汚れの実態を国民に知らせることになるかもしれない。
 そのことは政治の刷新や民主化にとって極めて大事なことであり、検察の信頼にも関わることである。
 ところが、しばしば指摘されているように、なぜ巨額の政治資金なのか、どこに使われているのか、という疑問に対する説明責任が小沢氏側からされていない。
 また検察側からも小沢氏の秘書逮捕と他に疑いの報ぜられた二階大臣の捜査に関する沈黙の説明責任もなされていない。
 政権に関わる重要な時期(解散)というだけで、西松事件の捜査が尻すぼみになるようなことになれば、強いもの勝ちの世の中になるのではないか。片方は次の天下さんになるかもしれぬ民主党、他方は今、権力を握って何でも出来る自民党。
 国民はアホーではないから、じっと眺めているが、ふに落ちないことは腹の中で覚えている。
◇ところで、民主党が委ねた「第三者委員会」が「不適切な公権力の行使が闇に葬り去られてしまうとすれば民主主義にとって重大な脅威になる」としたのは注目される。この事件を公権力の行使ときめつけたからである。国民はしっかり記憶すべきであろう。【押谷盛利】

2009年06月12日 14:49 |


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