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90、100歳時代は夢でない

 女優の森光子さん(89)に国民栄誉賞が贈られる。めでたくも、うれしいニュースである。
 放浪記の単独主演の記録を2017回まで伸ばしたばかりでなく、今もなお現役を続け、引退など考えたこともないというから高齢者の鑑である。
 主演の座を確保したのは40歳を過ぎてからというから遅咲きの方であるが、子供のころから歌や踊りをしっかり身につけ、プロとして大成する家柄と環境に恵まれた。
 歌手としてより女優として大成し、同一演目の舞台に主演として2000回を超え、なお記録を伸ばしている偉業は神業に近い。
 彼女の才能を発見して東京へ呼びよせた劇作家で演出家だった菊田一夫の眼鏡に狂いはなかった。
 「放浪記」は作家・林芙美子の自伝小説だが、菊田一夫が劇作化し、大衆演劇に新境地を開いた。
 ラジオドラマでも「鐘の鳴る丘」や「君の名は」など名作がなつかしい。
◇ぼくは森光子さんの輝かしい活躍に脱帽し、生きる希望と勇気を頂いているのだが、世の中には森さん同様、90歳、100歳になってもなお元気じるしで、第一線にがんばっている人があり、それらの大先輩の背後には後光が差しているようで、合掌したい思いである。
 いま、朝日新聞に時代小説「麗しき花実」が連載されている。作者は乙川優三郎さんで、その挿し絵が実に優美である。
 ぼくは愛読しているが、実はその挿し絵に惹かれて読み始めた。挿し絵の画家は中一弥さんで、98歳という超高齢。
 花や風景、登場人物を小説に合わせて毎日描き上げる大層な仕事だが、女性の髪型や小さな櫛に至るまで実に繊細なタッチで、とても100歳近いお年寄りの作品とは思えない。
 その挿し絵の魅力が小説の舞台である江戸期の美術工芸家の生きざまを引き立てており、100歳現役時代が夢でなくなった。
◇29日の夜、虎姫町中野の法徳寺で行われた「医者いらずの超健康法」はぼくも聴いたが、講師の丹後喬介さんは91歳で、姿勢といい、声といい元気そのもの。御堂を埋める聴衆を前に腰痛を訴える人をその場で3人完治させたが、著作に講演に、指導に若もの顔負けの活躍ぶりを披露した。出席者は力強い刺激と幸福感に酔った。

2009年06月01日 15:49 |


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