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2009年06月30日

デートより残業(見聞録)

 デートの約束があった時、残業を命じられたら、あなたはどうしますか?
 これは、財団法人「日本生産性本部」が企業の新入社員3172人に行ったアンケートの一部。
 同財団は毎年の意識調査で、「今どき」の新入社員の心情を分析しており、昭和44年から続いている。昨29日、今年の調査結果を公表した。
 さて、先述の質問は若者なら多いに悩むだろうが、「デートをやめて仕事をする」(82・8%)との回答が「断わってデートをする」(16・6%)を大幅に上回った。
 今どきの若者は仕事よりもプライベートを優先させるドライな思考と思いきや、意外にも仕事優先。特に女性は9割が「残業派」で、結婚後の共働き志向も男性の4割に対し、女性は6割超と、調査開始以来、過去最高だった。
◇プライベートよりも仕事を重視するスタイルは景気低迷の反映だろう。
 2、3年前を振り返ると、製造業を中心に好景気に沸き返り、大手企業では新入社員の大量採用が続いた。雑誌では「超売り手市場」「バブル期を超える空前の採用数」と、派手な見出しが使われた。
 しかし、昨秋の金融危機以降の不景気で、すべてが暗転し、新入社員の仕事への意識が、がらりと変わったのだろう。
 会社に対して「いずれリストラされるのではないか」(39・8%)、「いずれ会社が倒産・破綻するのではないか」(27・7%)と危惧し、夢よりも不安を抱えて社会に船出している心情がうかがえる。
◇仕事優先の考えは、先行きの不透明な社会の中で、まずは目前の仕事に集中し、自分の立場を確立したいという焦燥感の現われとも分析できるし、不安な将来への自己防衛策なのだと受け取れまいか。
 そういう、新入社員の意識変化と対比して、自己防衛の欠片さえ見せないのが政府。
 収入に見合わぬ支出で800兆円もの赤字を膨らませたあげく、経済危機を口実に無駄な出費を繰り返す。今度は高速道路1000円をお盆前後にも拡大させるという。正規料金との差額はすべて税金で補てんして高速道路会社に支払われる。税金の無駄遣いの加速だ。
 社会に出たばかりの新米でさえ、生活防衛意識を高めてているというのに、政府は防衛どころか、浪費しか考えていない。
 これでは将来を担う若者の努力が浮かばれない。

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2009年06月29日

鳩山邦夫前大臣の演説

 28日、大津プリンスで開かれた自民党県連の政経パーティーは、おりからの解散風吹くなかで時の人、鳩山邦夫前総務相来演というので会場は2000人に達する大盛況だった。
 どちからというと、このところ影が薄くなりつつある麻生人気を終盤でひっくり返す勢いが鳩山氏にみられた。
 鳩山氏も全国を回っていて、県民の心が奈辺にあるかを先刻承知とばかり、兄・由紀夫民主党代表との違いをユーモラスに説きながら、民主党では日本の危機は救えないと強調した。
 鳩山氏は麻生首相の盟友であり、麻生応援団の会長として、その総裁選を取り仕切ったが、今回は郵政かんぽの問題で、西川社長の退陣を迫り、土壇場で逆に自分が首を切られた。
 鳩山氏がその胸中をどんなふうに説明するのか、聴衆はかたずを飲んだが、辞任当初の正義を振りかざす気負いは感じられなく、ただ、辞任に至る経過と、いまの自民党ではダメであることを訴え、自分が自民党を変える政治勢力の中心として活躍することを宣言するような演説をした。
 かんぽの宿という国民共有の財産を二束三文で売却しようとした西川社長の責任を追及した理が通らず「詫び状」で留任を認めるようにという総理の要請を一蹴した結果、辞任を迫られたと当時のいきさつを公開し、「私は郵政民営化に賛成したし、いまもその心境に変わりなく、問題は経営方針が国民の側に目を向けているかどうかにある」と庶民感覚重視の政治スタンスを明らかにし、会場を感銘させた。
◇さらに兄の由紀夫氏に言及し、本来相容れざる金権体質の小沢一郎を立てて、がまんしながら民主党の代表となったが、故人から政治献金を受けている疑惑の中に民主党の危機を感じるし、日の丸や君が代の国歌を否定する民主党に日本の将来を任すわけにはゆかぬ。兄はしたたかであるが、弟は情けである。私は民主党を作った一人であり、だれよりも民主党を知っている、と自信をこめて自民党の再生と改革を訴え大きなどよめきの中にその存在感をアピールした。
 国会議員の挨拶の中では第2選挙区の藤井勇治代議士がNHK大河ドラマで再来年に決定した「戦国・浅井三姉妹」に触れ、戦国時代を生き抜いた浅井長政の3人の娘のしたたかな歴史を生かし、湖北湖東の発展を、と呼びかけたのが印象的だった。【押谷盛利】

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2009年06月26日

貧には知恵の鏡も曇る

 「貧すれば鈍する」とは昔から伝わる教訓であるが、麻生太郎総理や古賀誠選対委員長らのえらいさんにピッタリの言葉でもある。
 このことわざは「貧には知恵の鏡も曇る」と同様で、人ごとならず、かみしめたいものである。
 人間、貧しくなれば、いらいらして考えに慎重さを欠き、スカタンをしかねないという戒めだが、腹が減っては知恵の鏡が曇ると考えてもよい。
 麻生さんは日本の総理であるから知恵のないはずがないし、鈍なことをしでかすほどのおろか者ではない。
 それなのに、今のように人気が下降すると、政治家としては貧の方向にあると考えられる。心ならずも貧の方向にあるというのはいわゆる支持率の低下である。総理として、党の総裁として常にそのことが気がかりで、貧から富へと転回の機をうかがっているといえよう。
 しかし、教訓は恐ろしいもので、刻下の支持率下降は貧そのものであり、無意識のうちに鈍が話題になる。
◇最近の話だが、近く告示される東京都議選の勝利を期して自民党候補の激励に回ったはよいが、その応援演説の中で「惜敗を期して」とやってしまった。あわてた側近代議士が耳打ちしたので、間違いと気付き訂正したが、「必勝を期してがんばってもらいたい」というべきところを「惜敗を期して」では、やはり貧の影響による鈍だったのかと笑いを超えて淋しさがつのる。
◇同じことは古賀選対委員長にもいえよう。古賀氏はかつては幹事長を経験しており、自民党の重鎮として今度の総選挙の陣頭指揮をする。
 彼の念頭にあるのは劣勢といわれる自民党の人気の挽回と、次の選挙の勝利である。しかし、現状は支持率のダウンなどマスコミ情報は厳しい。これをわかり易く貧富にたとえれば、貧の部に属する。小泉時代の自民党は富を誇っていたが、今は下り坂の貧にあるといえよう。
 それが頭にあるから古賀さんの知恵の鏡も曇り始めた。
 23日、宮崎県庁に出向き、東国原英夫知事に次の総選挙に自民党から出馬することを正式に要請した。
 待っていたとばかり、知事は「自民党は自浄能力を発揮して変わってゆかねばならぬ」として、受諾条件に①自分を次期総裁候補とする②全国知事会でまとめた地方分権に関する方針を政権公約のマニフェストに盛り込むことをあげた。
 冗談か、おちょくりのように世間は受け取ったが、知事本人は本気だと語っている。
 自民党内は失笑と嘆きで、そこまで落ちぶれたか、と古賀氏の独走を批判する声が続出した。負けてはならぬという思いの古賀氏の知恵が貧すれば鈍するを地でゆくが如く、世間のもの笑いの種となった。
 自民党の人気上昇を考えてのことだが、行為の鈍が結果的に麻生さんの人気にマイナス作用となった。「哀れというもおろかなり」。【押谷盛利】

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2009年06月25日

梅雨は気まぐれ?(見聞録)

 梅雨入りしたのに、本格的な雨が降らない。湖北地域の梅雨はいつまでもシトシトと降り続くというイメージを持っているが、昨日、今日は夏を思わせる日差しで、梅雨を通り越して夏本番がスタートするのかと錯覚さえ起こしそう。
 主婦は布団や洗濯物を天日に干せるので大歓迎。部屋干しで室内が臭くなる心配もない。
◇一方、空梅雨で頭を悩ませているのは、水不足の歴史を持つ四国地方。
 高知県の早明浦ダムでは4月以降、降雨が少なく、現在の貯水率は30%程度で、平年の85%を大きく下回っている。今月に入ってから香川、徳島への用水供給を削減し、徐々に取水制限を強化している。今後も少雨が続けば、来月上旬にはダムの利水容量を使い切るというから深刻だ。
 隣りの愛媛県内では、雨不足で地下水の水位が下がり、一時、夜間断水に踏み切った自治体もある。
 現在、日本の南東で台風が発生しており、西日本にやってくる可能性があるというが、やっかい者の台風も、四国の水がめを潤すとなれば大歓迎だろう。
◇インドでは、この時期から9月までモンスーン(雨期)が到来し、酷暑の同国に恵みの雨をもたらすが、どうやらあちらも、モンスーンが来ず、農家が慌てているようだ。
 同国政府は24日、降水量が例年を下回るとの見通しを発表した。日本のように農業インフラが整っていないから、農作物が影響を受けるのは必至で、それがそのまま物価高騰に直撃するようだ。
 産経新聞では、連日、インド各地で行われている農家による雨乞いの様子を写真入りで紹介している。寺院の前で上半身裸の男性4人が楕円形の風呂桶(?)に入り、何やら儀式を執り行っている。
 日本でも農村部に雨乞いの神事が残るが、現代では定期的な行事となり、空梅雨だからといってわざわざ行わない。
◇空梅雨は地球温暖化という人為的現象が引き起こすのか、それとも自然界の気まぐれか。
 後者であれば、「神頼み」の風習も報われようが、前者であれば、科学的分析に基づく、生活スタイルの見直しが迫られるだろう。

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2009年06月24日

農水省労組の黒い霧

 22日の時評で「日本を潰すのは役人か」と書いたが、詳しくいえば官僚と組合である。官僚も役人なれば組合も役人で構成している。役人は明治以来の一般的俗名で、明治時代はその地位が高かったから「官員さん」と言った。
 戦後の民主化とともに職員と一般的にいうが、正確には公務員である。国の職員が国家公務員、地方のそれが地方公務員。
◇ところで、日本を潰すのかと心配と義憤を感じさせる官僚と組合であるが、この二つは根が一つだから、互いの利益を念頭に「なれあい」をしている公算が強い。それをバックアップしているのが政党で、55年体制下では官僚を支えるのが自民党、組合を支えるのが社会党だった。
 いまは社会党がかすんでしまったから、野党第一党の民主党が組合をバックアップしている。
◇これまでの社会党は、なんぼがんばっても天下が取れないと諦めていたから、野党攻勢によるかけ引きに終始し、国会では何でも反対の理論を展開、行政面では組合の団体交渉が官僚を苦しめた。
 その結果、互いの「なれあい」が国会の上でも、行政の上でも国民を無視した形の「でたらめ」を進行させた。
◇今は二大政党時代のよき展開となったから、政府の失政や評判の悪さは直接政権に響き、政府を支える与党に代わって、反対党の野党が国民の信を得て新しい内閣をつくるようになった。
 この制度に切り換えたのは細川政権の功労であり、いわゆる小選挙区の導入の効果である。
 従って、いま、民主党の鼻息が荒いのは、小泉内閣以後の短命内閣による不信感が極度に高まったからで、あえていえば与党と内閣のエラーで、労せずして民主党が勝ちゲームに乗る機運となった。
◇ただし、ローマは一日にしてならず、民主党に心配はなきや、不安はなきや。
 ありあり、大ありである。だから国民は困ってしまう。
 さきに書いた「日本を潰す役人」について、「農水ヤミ専従」「労使なれあい、3年で交渉2万2070回。1万2000時間」「リゾートホテル泊まり込み」「管理職入れ替わり終日説明」の17日付、読売の記事と見出しを紹介した。
 21日の読売には「全農林幹部、全労済でも無許可役員」「公務員法違反、農水省兼業調査」と報じている。
 こういう聞き捨てならぬ大問題を民主党が国会で取り上げることをしないのはなぜか。
 果たせるかな限りなくダークに近い灰色の組合が大あわてして証拠隠滅の疑いをかけられている。それが22日付読売1面のトップ記事である。
 「組合書類を大量廃棄」「農水省出先、ヤミ専従発覚後」。実にゆゆしき問題であるが、ヤミ専従については、国民の問でも知らない人があり、日をあらためて説明する。【押谷盛利】

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2009年06月23日

ペルシャの大国は今(見聞録)

 ペルシャの大国イランが、イスラム革命以来の危機を迎えている。
 反欧米強硬路線を取る保守派のアハマディネジャド大統領の政策に対し、首都テヘランなど都市部の若者を中心にデモが発生し、一部が暴徒と化している。
 政府は武力で鎮圧し、これまでに数百人が死傷している模様だが、マスコミ関係者を国外退去させたり、拘束して取材を徹底的に妨害しているため、デモの詳細は不明だ。インターネット上にデモの写真や動画が公開されるなどして、断片的に情報が国外に漏れ伝わっている。
 デモの引き金は、大統領選挙で敗れた改革派のムサビ元首相が、選挙に不正があったと指摘したこと。
 日ごろから鬱憤を蓄積していた都市の若者の不満が爆発したわけだ。
◇2年前にイランを訪れた際、首都テヘランなどで若者何人かと話したが、大統領批判が多かった。
 核開発による経済制裁で大学を卒業しても就職先が無いとか、アメリカを「大悪魔」、イスラエルを「地図から抹殺する」といった大統領の反欧米路線で観光客が減っているとか、若い女性なら、頭をすっぽり覆うフードを強要されて、外国人のようにオシャレできないとか、様々。
 戒律に厳しいと言われるイスラム教シーア派の牙城イランにあっても、若者はインターネットを通して外国の自由な文化を知り、憧れている。
 しかし、宗教警察が欧米文化を「反イスラム的」として取り締まり、都市部の若者は「仕事もディスコもお酒もない」と不満を溜めている。
 小生に外国の文化を尋ねては、羨ましそうにしていたのが、今でも印象に残っている。
◇いつの時代、どの国でも、現状を維持しようとする「保守」と、改革を求める「革新」の両勢力がせめぎ合い、その中で時代にあった国のあり方や制度に改善されてゆく。
 イランの場合は、1979年の革命で従来の親米政権が倒れ、厳格なイスラム教に基づく政治が構築された経緯がある。
 今回のデモは、その厳格さへの反発で、保守派がいかに武力で統制しても、改革は徐々に進んでゆくだろう。ただ、中東という土地柄、テロの応酬を生みはしまいか。その点が心配だ。

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2009年06月22日

日本を潰すのは役人か

 日本は「役人天国」「親方日の丸」といわれて久しいが、この悪しき慣行が是正されるどころか、近年ますますひどくなり、国民の政治不信を増幅している。
 6月19日の「国民は怒らねばならぬ」の時評の中で、この国は官僚と組合の仕放題であると書いたが、この不道理を許してきたのは国民代表である政治家がその責を果たしていないからである。
◇こころみに最近の大手新聞の中から、いかに役所がデタラメの限りを尽くしているかを「見出し」の上から報告しておく。
 5月から6月にかけてのニュースからであるが、まるで国民の納めた税金を白昼堂々とドロボーしている図であり、毎年毎年、年中行事のように役所の不正、汚職が続いている。
▽「職能協会3500万円不正」「補助金で職員飲食」(読売・5月15日)。
 「職能協会不正」「宴席にコンパニオン」「福井4年で飲食990万円」(同)。
 職能協会は厚生労働省の所管の法人「中央職業能力開発協会」のことで、国から補助金、事業委託費などを受けている。役人の天下りポストでもある。
▽「全農林幹部、無届け兼任、静岡新潟でも」「役員20年前から常態化か」(読売・5月15日)。
 「全農林」は農水産省の職員で作る「全農林労働組合」のことで、その幹部が労働金庫(労組の金融機関)などの役員を無届けで兼任していたという問題である。
 国家公務員でありながら無届けで兼任し、労金から報酬を受けていた。
▽「厚労省天下り法人」が「事務所費4000万円不正請求」「補助金2法人にまた貸し」(読売・5月28日)。
 この天下り法人は中央職業能力開発協会で、常勤役員はすべて厚労省のOB。1999年以降、同省OBが再就職している2法人に事務所を「また貸し」し、2法人の払うべき賃料や諸経費まで同省からの補助金でまかなっていた。
▽「社団法人、不正に財産取り崩す」「元官僚に多額報酬」(朝日・5月30日)。
 ここにいう社団法人は「日本農林情報システム協会」で01年度以降、所管の官庁の承認なく約4億4000万円あった基本財産を取り崩し、今年3月末時点で6億5000万円の債務超過に陥っていた。
 この協会が別の団体「情報システム技術会議」に仕事の一部を委託していたが、技術会議の事務所は協会の中にあり、職員の多くは協会の職員と重なっている。協会の役員が技術会議の役員を務め、副会長は技術会議からも月100万円を受けていた。
▽「農林中金、再建中に厚遇天下り職」「子会社の理事長に元次官」(朝日・6月8日)。
 農林中金は09年3月期に5721億円の巨額赤字に転落し、経営再建中にもかかわらず、農林省からの天下りポストを増やすため、子会社の「農林中金総合研究所」に理事長職を設け、農水省の元次官を充てることにした。農水省の天下りの御三家は農林中金、中央競馬会、旧農林漁業金融公庫、首脳ポストは大物次官OB指定席だった。
▽「日本農林情報システム協会」「自己破産手続き、負債14億円」(朝日・6月10日)。
 農林省には6月1日現在421の公益法人を所管している。
▽「農水ヤミ専従」「労使なれあい、3年で交渉2万2070回、1万2600時間」「リゾートホテル泊まり込み」「管理職入れ替わり終日説明」(読売・6月17日)。
 東京都の副知事・猪瀬直樹氏は「こんなに組合活動の時間があるなんて、農水省は仕事があるのか、疑問に思う」といっている。
▽「組合集会、勤務中1400回」「3年間、農水省出先、常態化」(読売・6月17日)。
▽「農水省減反データ捏造」「新たに17機関56人処分」。
 農水省はインチキしたデタラメのデータで減反政策を打ち出しているのか。話にならぬ悪党ぶりである。【押谷盛利】

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2009年06月20日

日本を飛び出そう(見聞録)

 浅井中学校の体育教諭で、長浜市平方町の大島千穂さんが来週、青年海外協力隊員として中東シリアに渡り、国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)の運営する学校で、パレスチナ難民の子ども達に体育を指導する。
 シリアは、アラビア半島の付け根付近に位置し、イスラエルやレバノンに隣接することから、危険なイメージを抱くが、国内は割と安定していて、首都ダマスカスは観光客に人気のある古都。
 そして、国内にはイスラエルに土地を奪われたパレスチナ難民が数多く住んでいる。
 その難民に教育や福祉を提供しているのがUNRWA。大島さんが関わる教育部門はUNRWAの中核事業で、予算総額の半数が注ぎ込まれているという。
◇パレスチナ難民は、イスラエルと周辺イスラム諸国による4回に渡る中東戦争で生まれ、今ではその2世、3世が、故郷を失ったまま、難民キャンプに住む。一部は、周辺国に溶け込んで暮らしを再建したが、多くが職も無いまま、諸外国の支援を頼りに貧しい生活を強いられている。
◇平和で恵まれた経済環境で暮らす我々日本人には想像も付かない暮らしは、世界のあちこちで営まれている。
 日本は教育や福祉が行き届き、水道、ガス、電気、交通網などのライフラインは充実。スーパーには世界中の食品が並び、家にはテレビ、冷蔵庫、エアコンなど、高機能の家電製品がある。
 果たして、これだけ裕福な国が世界にどれだけあるだろうか。
 恵まれた国に「運良く」生まれてきたことに感謝すると同時に、苦難にあえぐ国々にも思いを馳せられる日本人でありたい。
◇「広い視野を持ちたい」と隊員に応募した大島さん。外の世界を知ることで、一回りも二回りも成長することに期待したい。そして、今の若者にはたとえ短期間でも安穏とした日本を離れ、世界の現実を直視する機会を持って欲しいと願う。
 また、教職員としての席を確保したまま休職扱いで大島さんを送り出した教育委員会の判断を歓迎したい。

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2009年06月19日

国民は怒らねばならぬ

 借金で首が回らぬというのに、この国の政治はいつまで国民をアホにするつもりか。
 腹が立ってしようがないが、政治家の毅然とした対応の聞こえぬのが気がかりである。日本には総理や大臣はあることはあるが、実質的に国の台所を動かしているのは官僚と組合である。
 官僚は政権与党と、もちつもたれつの関係で、国の将来や国民の幸せには関係なく、自分たちの保身と利益だけに生きてきた。組合は労働組合の権威を傘に、野党ともちつもたれつの関係を続け、法を無視しても、自分たちの利益にのみ走る。
◇自民党と社会党とのなれあい政治がかつての55年体制で、国民は繁栄のかげで、正邪の感覚すら麻痺したが、あの55年体制こそ諸悪の根源で、日本の政治の質の悪さを内外に知らしめた。
◇その55年体制の自社のなれあい政治が93年の細川政権で、ぶち切れたと思いきや、なんのなんの、厚顔無恥の官僚と組合は策をめぐらし、国民を無視して自分たちの力の温存と繁栄にこれ努めてきた。
◇いまのところ、この国は官僚と組合の仕放題であるが、その原因は何か。最大の理由は短期内閣と短期大臣である。1年そこそこで大臣がくるくる替わるから大臣の威令など役所内に通じるはずない。
 官僚から講義を受け、国会答弁書を書いてもらうだけでなく、国の方向を示す政策の立案ですら役人まかせなのである。
◇一方の野党はどうか。政権党ではないから予算を組んだり、事業を進めることはできないが、政治接渉のテクニックの上で、党の支持母体や団体の利益をはかることができる。
 ことにいまの参議院のように、野党の議席が与党より多い場合は、野党の顔を立てねばらなぬときがある。野党のうち、最大の力を持つのは民主党だが、この民主党の中で力を持つのが組合出身の議員である。
 現に民主党の参院議員会長は日教組出身の輿石議員である。前民主党代表の小沢さんが地方回りしたとき、一番に挨拶するのがその府県の労組の親方衆のところである。
◇そこで、日本の政治がどう動くかであるが、短期大臣で足元をみられている自民党は、官僚のワルや官僚組織の不都合を征伐すべく公務員改革の手を上げるが、その都度、腰砕けになる。
 その結果、官僚の横暴と天下りと無駄づかいが目に余るようになる。同じことは民主党にもいえる。組合に頭が上がらぬから、組合の不都合なことや不利益なことを言わない。
 農林水産省の勤務時間中の職場集会は国家公務員法で禁じられているが、実際は平気でこれを破り、昨年までの3年間で1400回も行われている。しかし、組合のご機嫌を損ねるから、民主党はそれを追及しない。
 これらについては、今少し具体的に述べるが、天下りといい、公務員改革といい、無駄づかいをやめようといったところで、スローガンはともかく、どこまでやれるのか。この点で毅然と方向を打ち出す党と政治家を国民は支持するだろう。【押谷盛利】

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2009年06月18日

合併へのプレゼント(見聞録)

 2011年のNHK大河ドラマに、浅井三姉妹の末っ子、江(1573~1626年)を描いた「江―姫たちの戦国」が決まった。
 「秀吉」(1996年)「功名が辻」(2006年)に次いで、再び、湖北地域の歴史に全国の注目が集まる。合併を控える湖北地域への「プレゼント」と受け止めたい。
◇3年前の「功名が辻」上映の際には、長浜を主会場に「一豊・千代博覧会」が開かれた。長浜の観光客は前年より71万人増え、観光消費も40億円増加した。
 長浜の観光関係者はその翌年から、新たな大河ドラマの誘致に向けて、浅井三姉妹に着目。観光協会では「昼ドラより面白い歴ドラがあります」と銘打った少女漫画タッチのポスターや漫画を作成して、PR活動を始めたばかり。
 大河ドラマは、各自治体が政治家を巻きこんで、し烈な誘致合戦を行っていると側聞するが、PR活動2年目で浅井三姉妹があっさりと取り上げられたことに、結局は扱う「素材」しだい、ということ。
◇ドラマが放映されるのは湖北地域の1市6町が合併して2年目。新市の住民が結束する良い機会ではないか。
 「合併後、市民全員で担げる神輿が欲しい」との声を、以前、議員から聞いた。
 湖北地域には曳山祭りをはじめとする数々の伝統行事があるが、新市全域を対象とする催しは存在しない。新市の住民が一体感を醸成するには、全員で盛り上がるイベントなどの「仕掛け」が必要では、との指摘だった。
 そういう「仕掛け」を大河ドラマと見るとき、これを機に湖北地域の歴史・観光資源を再発掘することは、それぞれが地元の価値を見い出し、また、お互いの持つ歴史や文化を共有するきっかけになると思う。
 「行政のリストラ」というネガティブなイメージを併せ持つ市町合併において、1市6町の住民が力を合わせて取り組める格好の材料となることを期待したい。

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2009年06月17日

ここ4年の4人の総理

 小泉さんの郵政解散で自民党が大勝したのは4年前の05年9月1日。衆議院の任期は9月で切れるから、もう解散・総選挙は秒読みの段階である。
 この4年間を振り返ると大勝した小泉さんは翌年(06年)の9月、任期満了で惜しまれつつ総裁を辞めた。同時にいさぎよく総理も辞めた。
 小泉さんの後は安倍さん、3番目が福田さん、そして4番目が現在の麻生さん。小泉さんの後は力不足なのか、1年か1年足らずの短期内閣である。
 麻生さんは解散の時期を失して風圧が日増しに強くなったが、政界は一寸先は闇だから、この先、何が起きるやら、蓋を開けるまで分からない。
◇文芸春秋6月号が、この4年間、総理の座についた4人の「通信簿」なる記事を載せているが面白いので紹介する。
 採点するのは、東大教授・御厨貴、慶應大教授・前鳥取県知事・片山善博、時事通信・解説委員長・田崎史郎の3氏。
 以下は4人の採点。
 御厨=4年間で4人もいるということ自体、及第点はあげられぬから基本的にはみんな不可。小泉さんは勝利をもたらしたことを評価して50点。安倍さんは官僚制度と戦おうとしたが失敗して35点。福田さんは何もしなかったけど1年間持ちこたえただけで40点。麻生さんは最初に解散をしなかった点、補正好きという点もマイナスになって30点。
 田崎=小泉さんは最後の1年間は何もしなかったので10点。安倍さんは年金問題と辞め方が問われて20点。福田さんは中継ぎとしてそこそこがんばったから35点。麻生さんは未曾有の経済危機の下での舵取りはまあまあで40点。
 片山=小泉さんの最後の1年間は40点。なまじそれまでいい成績をあげていたのだから慢心して勉強しなくなった生徒の通信簿。安倍さんも40点。意欲と意気込みは旺盛だったが、勉強不足と体力と気力が足りない。福田さんは30点。自分が何のために勉強しているのか、よく分かっていなかった生徒。麻生さんは25点。もともと勉強する気がない生徒。明るいお調子者で、努力もせずに世間をすうすう渡ろうとする。
 さて、読者の皆さんなら4人にどんな通信簿の採点をするだろうか。【押谷盛利】

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2009年06月16日

近江絹糸の労働争議(見聞録)

 滋賀労働局が日本電気硝子に偽装請負を是正するよう指導していたことが明らかになった。
 県労連によると、同社能登川工場で働いていた請負労働者18人の勤務実態は派遣労働で、「偽装請負そのもの」だった。
 派遣として労働者を受け入れた場合、勤務期間が3年を超過すれば、会社側に直接雇用を申し入れる義務が生じるが、それを免れるため、「請負」という形に見せかける、というのが偽装請負の手口だ。
 空前の利益をあげた有名企業の製造現場でまかり通っていたこの手口は、2006年ごろから朝日新聞が徹底的に追及したことで、明るみになった。
◇生産量に応じて簡単に採用、解雇できる非正規労働者は、企業にとっては都合が良いが、当の労働者はいつクビを切られるか、不安定な生活が続き、結婚も難しくなる。
 「正社員」だけが残り、「非正規労働者」が切り捨てられる弱肉強食の構造を放置すれば、社会問題化するのは明白だろう。
◇共産党系の「滋賀民報」で5月からスタートした「近江絹糸人権争議」は、半世紀前の彦根市の紡績工場を舞台に、当時の労働者がいかに会社側と戦ったのかを伝えたタイムリーな連載。近江絹糸工場で働いていた白石道夫氏が綴り、「証言」コーナーでは、争議に関わった人々が手記を寄せている。
 愛媛県出身の同氏は、戦後の貧乏暮らしの中、「働きながら学べる」との宣伝に惹かれ、中学卒業後、工場に入ったが、そこでは、各地からの卒業生が集団就職し、工場は塀で囲まれていた。
 信書の開封、私物検査は当たり前で、「チチキトク」の電報は、信書開封係によって伏せられ、「チチシス」で初めて、労働者に連絡された、という。
◇1954年6月2日から105日間にわたって行われた労働争議では▽仏教の強制反対▽結婚の自由▽外出の自由▽信書の開封や私物検査反対―など、封建的な労務管理の撤廃を求め、全従業員の8割強が組合活動に参加した。
 会社側は拒否を貫き、工場で働いていた元長浜市議の野崎幸子さんは「会社は製品搬出を阻止しようとスクラムを組んでいる労働者を、暴力団に襲わせた」と振り返っている。
 争議は政府の介入を促し、会社側が労働者側の主張を受け入れて妥協。当時、過酷な環境を強いられていた労働者に自覚と勇気を与えた。
◇さて、現在は当時に比べると労働環境は格段に良くなり、福利厚生も充実している。しかし、大企業は世界規模の競争に勝ち抜くため、何のためらいもなく労働者を切ってゆく。
 労働者のために企業があるのか、企業のために労働者があるのか。企業の本質を考えさせられる。

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2009年06月15日

鳩とカラスのことわざ

 「鳩に三枝の礼あり、烏に反哺の孝あり」という。
 人間には礼と孝がなくてはならぬと説いた先人の分かり易いたとえ話だが、味があって面白い。
 ぼくは、この言葉から民主党の小沢一郎前党首と、今の鳩山由紀夫党首の関係を思った。
 鳩に三枝の礼は、鳩の子は木の枝に止まるとき、親を敬って三本下の枝に止まることを指す。小沢さんが、秘書の逮捕をきっかけに、マスコミや世論から批判を受け、辞任論が飛び交うなか、当時幹事長だった鳩山さんはのらりくらりと批判をかわしながら、いずれ時が解決するかの如く、ソフトに小沢さんを守ってきた。
 「説明責任はある」と分かったような分からない言い回しで、結局は説明責任を回避したまま小沢さんは辞任した。鳩山さんは小沢さんの辞任を主張したわけではなかったが、早晩その日の来るのを予測していたのかもしれぬ。党の最大の功労者を政治権力のワナの犠牲にしては相すまぬ、という親への礼が鳩山さんの煮え切らぬ態度であった。
◇小沢さんは子である鳩山さんの礼に応えるべく、さきの党首選で鳩山さんを全力で支援した。
 今度は親である小沢さんが年をとって、政治的力がなくなるのか、それとも若返って、再び民主党を背負うのか、それは分からない。
 ただ、法律的に起訴をまぬがれたからといって国民の疑心が消えるという甘いものではない。特定の準大手ゼネコンがらみで、巨額の政治資金を受け、東北地方における大型建設事業は小沢事務所詣りをしなくては仕事にならぬといわれ、談合の司令塔が小沢事務所ではなかったのか、との疑惑報道は国民の心に深く浸み込んでいる。
 そういう現実を直視すれば、小沢の再登場は影が薄い。
 そうなると「烏に反哺の孝あり」が見られるかもしれぬ。大切な親で、かつては子を育ててくれたが、その親も老化し、力が弱まると自分で餌を取れなくなる。烏の子は親の恩を知っているから、今度は口移しに餌を親の口に食べさせてやる。反哺は口移しに餌をやることをいう。
◇鳩山民主党代表が一本立ちして、国民の与望に応え得るか、どうか。これは国民の関心事の一つだが、差し当たり、次の党首討論がその答えのヒントになるかもしれない。
 そこで、ぼくはこれも昔からのことわざであるが、名言を一つ紹介しておく。
 「万卒は得易く、一将は得難し」と、凡庸な人物はいくらでもごろごろしているが、傑出した人物にめぐりあうのは極めて珍しい。これは自民党にも言えることだが、だからといって政情不安に鈍感であってはならない。

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2009年06月12日

西松建設事件と国民

 スピード違反を挙げられた男が「他にも違反者がある筈なのに、なぜオレだけを挙げるのか」と開き直ったところで、それはナンセンスである。
 民主党の小沢一郎代表(当時)の秘書が政治資金の規正法違反の疑いで逮捕されたとき、当の小沢氏や民主党の鳩山由紀夫幹事長(当時)は政治権力による不法逮捕だといきまいた。
 その後の報道で、自民党の二階通産大臣、その他の名も出始めたころ、「なぜ、小沢だけが」「自民党側への捜査はなぜやらないのか」の声が出た。
 折りも折り、内閣官房副長官という警察上がりの元官僚が「自民党へは波及しない」むねの発言をして大騒ぎとなった。
 一党一派に偏した犯罪捜査などあってはならないが、おかしなことに、一時は大火になると予想された西松献金問題がいつの間にか下火となり、ボヤ程度の騒ぎでおさまる気配である。
 政治資金が法で厳しく規制されたのは田中金脈事件をきっかけに清新性を買われて登場した三木武夫内閣時代である。
 その後、何回かの改正を経て今日に至っているが、法がこれほどまでに政治資金に介入するのは、暗い金、黒い金による政治のゆがみをなくするためで、明るく清潔な民主政治の前提である。
◇スピード違反のネズミ取りにかかったか、かからなかったかはともかく、西松建設による実態のないダミー団体からの政治献金は明らかにすればするほど灰色が黒色になるかもしれないし、政治の汚れの実態を国民に知らせることになるかもしれない。
 そのことは政治の刷新や民主化にとって極めて大事なことであり、検察の信頼にも関わることである。
 ところが、しばしば指摘されているように、なぜ巨額の政治資金なのか、どこに使われているのか、という疑問に対する説明責任が小沢氏側からされていない。
 また検察側からも小沢氏の秘書逮捕と他に疑いの報ぜられた二階大臣の捜査に関する沈黙の説明責任もなされていない。
 政権に関わる重要な時期(解散)というだけで、西松事件の捜査が尻すぼみになるようなことになれば、強いもの勝ちの世の中になるのではないか。片方は次の天下さんになるかもしれぬ民主党、他方は今、権力を握って何でも出来る自民党。
 国民はアホーではないから、じっと眺めているが、ふに落ちないことは腹の中で覚えている。
◇ところで、民主党が委ねた「第三者委員会」が「不適切な公権力の行使が闇に葬り去られてしまうとすれば民主主義にとって重大な脅威になる」としたのは注目される。この事件を公権力の行使ときめつけたからである。国民はしっかり記憶すべきであろう。【押谷盛利】

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2009年06月11日

漫画センターを墓標に(見聞録)

 政府が9日発表した経済政策指針では、歳入不足を補うために消費税を最大12%に引き上げることが示された。
 税収減や経済対策で国の借金が膨らみ、財政再建のためには消費税を2011年から毎年1%ずつ引き上げて、15年度には10%に。そしてそれ以上の引きが上げが必要という。
 麻生首相も「税制抜本改革を着実に具体化させることが不可欠」として、消費税増税による財政再建が不可欠との考えを示している。
◇無駄な道路や空港を建設し、天下り団体を創設・温存。税金を散々無駄遣いしながら、財政が厳しいので「増税よろしく」の政治。
 5月下旬に成立した緊急経済対策だけでも14兆円もの財政出動。定額給付金、高速道路利用1000円、家電製品エコポイント、自動車減税など、これらの施策を手放しで喜んでいた国民は、消費税増税の方針に、そのツケを自身で賄うことに気付いただろう。
 14兆円を国民1人あたりの税金に換算すると約11万円。4人家族なら44万円の負担だ。果たして「元」を取れるだろうか?
 少なくとも、自動車、家電業界、関連の天下り団体などはホクホクだろう。
◇今、経済対策の無駄遣いとして槍玉に挙がっている一つに「国立メディア芸術総合センター」(仮称)がある。漫画やアニメなどのサブカルチャーの拠点を、都内に建設するというもの。展示内容など構想は白紙なのに、建設費117億円を盛り込んだ予算は成立している。
 文化庁はセンターについて、「4~5階建て」「運営は民間に委託」などの概要しか示していないうえ、漫画の原画など収蔵品の購入予算は見積もられず、年間運営費の試算もしていない。
 あまりにもずさんな計画に与野党から批判が出ているが、国会が予算を認めた訳だから、事務方としては、センター建設に向けて予算執行を粛々と行うだけ。
◇このセンターは、ちょうど消費税増税がスタートするとみられる2011年度に開館する見通し。
 2年後の政治が刷新されているかは未知数だが、国民の税金を無駄遣いし続けてきた政治の墓標となっているのではないか。墓標を見上げることで政治への関心が深まれば、センターにも意義ありか。

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2009年06月10日

与野党にちくりと一針

 政治不信のだらだら続く世情の混沌に国民のいらいらは募るばかりだが、遅かれ早かれ解散・総選挙は目前に迫った。一番長く見ても9月には待ったなし。現職議員の任期が切れるからだ。
 そこまでゆかずに途中のチャンスを見て解散するのが麻生首相の胸のうちだが、ひょっとして内閣の評価ががた落ちしたら与党の内部から政権交替の声が上がり、総裁選の繰り上げが行われる可能性だって無しとしない。
◇いずれにしても次の政権を何党に委ねるかは国民の胸三寸にある。
 しかし、白黒はっきりさせるほどの与野党の影はない。
 いうなれば自民党もいまいちだが、かといって野党の民主党も信をおけない、というのが国民の率直な声であろう。
 今年の初めごろは民主党の圧倒的人気でいつ解散・総選挙があっても勝負にならないと思われていたのに、5月この方、形勢ががらりと変化した。
 小沢一郎民主党代表の秘書の逮捕がきっかけで、小沢氏の政治資金と西松建設の不透明献金疑惑が国民の良心を直撃した。
 民主党よ、お前もか、どっちもどっちだと、これまでの民主党に対する清潔イメージに霧がかかった。
◇次期総理最有力候補の小沢氏が一転して説明責任を問われる身になった。本人は、そして逮捕された秘書も「やましいことはない」「法に従って届け出ている」と語るが、西松側の実体のないダミー団体からの献金であることはこれまでの報道で明るみになった。
 法律の裏をくぐればまっとうである、というのは世間の常識では通らないが、これまでの自民党流はすべてこれで押し通した。
 それが田中金脈事件であり、金丸信の脱税事件であり、竹下時代のリクルート事件だった。
◇そうした不快な事件を知っているがゆえに国民は今回の小沢秘書逮捕を重視した。
 小沢氏が党首に踏み止まれば、民主党は選挙で不利になること必定。結局、後ろ髪引かれる思いで、小沢氏は辞任した。
 しかし、代表代行の重要ポストで選挙を仕切ることになった。自民党からの攻撃やマスコミの批判の声がしずむのをいいことに事実上の権力の座にいるわけだが、一度、落とした国民の信頼はそう簡単に回復するものではない。甘く見ているフシがあるが、それは麻生総理の脇の甘さによるものといえよう。
 西松がらみでは二階という大臣を抱えているから、あまり民主党を攻撃できないとする魚心水心の微妙さだが「バカこけ」と怒る国民の正直さこそ本当は政界再編成を願っているといえよう。
 今の政治、与野党とも国民の立場に立っていない。

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2009年06月09日

カネで少子化対策?(見聞録)


 昨晩、放送された政治バラエティ番組「TVタックル」。少子化問題をテーマに政治家や評論家が議論を交わした。
 番組内では、少子化の原因について、経済的理由、国・企業の支援不足、将来への漠然とした不安、非婚・晩婚化などが挙げられた。
 出産を理由に解雇する「育休切り」、児童扶養手当の減額、母子世帯手当の廃止なども取り上げられ、政府や企業が妊婦に冷たいとの印象を受けた。
◇女性論者が求めるのは、出産や子育て支援の充実。経済的困窮で子育てに困っている家庭への支援、産休や育児休暇を取り易い環境づくりだった。
 フランスのように結婚しなくても子どもを自由に産める制度を求める意見も出たが、これは脈々と続いてきた家族制度を否定するもので、極論だろう。
◇番組内に漂うムードは、政府や企業が支援すれば、女性が安心して子どもを産め、少子化が解消されるというものだった。
 確かに、日本の子育て費用は高いと指摘される。国民生活白書によると子ども1人に対し、基本的に1300万円の養育費がかかり、さらに高校、大学への進学費を含めると最低2100万円にのぼるという。
 しかし、経済的支援があれば、少子化が解消されるという理論は正しいのか。
 ひと昔前、まだ一人っ子が珍しい時代、出産、子育ては夫婦にとって何よりの喜びであった、と小生は推測する。
 しかし、現代では、社会より個人、家族より個人の都合が優先されがちではないか。
 誤解を恐れずに書けば、「子どもは1人で十分。2人目、3人目の出産、育児でカネを使うくらいなら、家や車、趣味に使おう」との考えが広がっている気がしてならない。
 政治評論家の三宅久之氏が、男女が好き合って結婚すれば、おのずと子どもができると、カネの問題ではないと指摘したのが、まっとうに思えた。
◇経済的に困窮している家庭への支援は欠かせないが、少子化問題は自治体や企業だけでは解決できないだろう。
 今一度、結婚、出産、育児の楽しさ、喜びを再認識する必要があるのではないか。
 もし、今の家庭が子ども達の笑い声の絶えない温かなものだったら、そこで育つ子ども達は、大人になったらきっと子どものいる家庭を築きたいはず。
 少子化問題の解決策。それは、家庭にありはしないか。

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2009年06月08日

郵政かんぽ問題と大臣

 このごろ、ふに落ちないことの一つに郵政という民営会社の西川社長をめぐる鳩山邦夫総務大臣と自民党の対応である。
 郵政は郵政省が民営化したものだが、国が100%株式を保有しているので、人事権などにも発言力を確保している。
 ことの起こりは「かんぽの宿」の経営不振に関わる売却問題で、何十億もの大金を投資しながら、不明朗な公売手続きで二束三文の払い下げをしたという経営責任である。
◇鳩山総務大臣には郵政の不明朗な経営情報が伝わっているのかもしれないが、国民にはかんぽ問題を含めて西川社長の責任を問う黒い話の内容が明らかにされていない。
 西川社長は民営化に当たり民間の実力者として迎えられ、今日に至ったが、最近の株主総会で再任された。しかし最終的に総務大臣の同意が得られない場合は効力を発揮しない。
 鳩山大臣は「責任を負うべきだ」として、あんに「クビ」をほのめかせているが、鳩山大臣を任命しているのは麻生総理である。それでは麻生首相や自民党の考えはどうか。残念乍ら「私はこう思う」という確たる信念の発言は聞いていない。
◇日本には昔から「臭いものには蓋をする」ということわざがある。
 かんぽ問題に関する総務大臣の西川社長追及の弁には正義感あふれる憂国の情が感じられるが、その信念を裏書きする郵政会社の不明朗な運営や、かんぽの利権的払い下げについての詳細な内容は伝わっていない。鳩山大臣の怒りが、なぜ自民党や麻生総理に通じないのか。
 これまでの報道では、総理も自民党も西川社長を守っている感じで、正義という錦の旗を振っている鳩山氏は孤立している。
 国民は総理や自民党が鳩山氏に同調せず、なぜ西川氏を守っているのか、その点が分からない。
 つまり肝心な点がオブラートで包んでおり、その点が「臭いものには蓋をしている」と取られかねないのである。
◇もう一つ分からないことがある。ことは解散、総選挙前の大変大切な時期である。
 野党である民主党の動きに、かんぽ払い下げや西川社長の責任問題に関する切れ味のよい声が聞かれないことである。まるでなりゆき任せの感じである。民主党の鳩山由紀夫代表は二羽の鳩で黒を追放するのだと演説会では言っているが、党の政策として、どうとらえているのか。かんぽの不当公売で国益を損なっているとしたら、それこそ党をあげて、これを国民とともにたださねばならぬが、そのような意気込みは感じられない。
 このまま推移して、解散、次期内閣送りに、うやむやにすますつもりなのか。なんにしても鳩山大臣の怒っている内容を詳しく国民に知らせる必要があるのではないか。【押谷盛利】

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2009年06月06日

宇宙人はいるの?(見聞録)

 「宇宙人って本当にいるん?」―先日、知人の子どもに尋ねられた。
 宇宙人、エイリアン、地球外生命体と呼び名は様々だが、無数の星が輝くこの宇宙に、地球以外にも生命が存在するのだろうか?誰もが考えたことのある素朴な疑問だろう。
 「宇宙戦争」「未知との遭遇」「ET」など、フィクションの世界では、侵略、探査など様々な理由で宇宙人が地球を訪れているが、現実には証明されていない。
◇我々が住む銀河系には2000億もの恒星(太陽)があり、さらに宇宙には銀河が1000億以上もあるという。その天文学的な太陽系の数を知る限り、地球外生命体の存在を問われると「どこかに必ずいる」と考えるのは当然だろう。
 ただし、その生命体が地球を訪れているのか、という点では疑問符が付く。
 コラムニスト・松尾貴史さんの著「なぜ宇宙人は地球に来ない?」(PHP新書)では、仮に存在したとしても100光年も1万光年も離れた地球にわざわざ訪れる訳がないと指摘している。
 また、137億年もの歴史を持つ宇宙に対し、地球に人類が誕生したのはたった20万年。複数の生命体の歴史が重なる可能性も限りなく低いとしている。
 ナスカの地上絵やミステリーサークルなど、目的が不明だったり、不思議な模様や建造物などは、「宇宙人の仕業では」「宇宙人が地球に来た証拠では」と空想しがちだが、何光年も離れた星に住んでいる宇宙人がわざわざ地球に不可解な絵を描きに来ると考えるより、60億人もが住む地球人の仕業と考えるのが妥当だろう。
◇現在、地球外生命の探査は、電波望遠鏡で受信した電波を解析するという手法が大規模に行われている。
 中でも「SETI@home」(セティ・アット・ホーム)と呼ばれるプロジェクトは、インターネットの利用者に無料でソフトを配り、電波の解析を手伝ってもらっている。パソコンが自動で解析するので誰でも簡単に参加でき、日本でも数万人規模の参加者がいるという。
 プロジェクトのスタートから10年が経過するが、今のところ地球外生命体からの電波は確認できていない。
 だが、飛躍した空想で存在を主張するよりも、宇宙からの電波を解析するほうが、よほど科学的だし、ロマンティックではないだろうか。

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2009年06月05日

今の世情の混沌を伐る

 世情混沌というのが今の日本の姿ではあるまいか。
 不況の風を煽るように新型インフルが生活と産業をおびやかしたが、それに追い打ちをかけてアメリカの最大自動車メーカーGMが破綻した。
 日本は医療制度と社会福祉が破綻しかけているが、原因は何かといえば金がないからである。国家予算は入るを計って出を段取りするのが常道だが、今はそのバランスを崩して、税金という入りを無視して、足りない分を国債という借金でつじつま合わせをするから、借金の雪だるまは次の世代の生活を直撃する。
◇金がないのに、金を使うのはどだい無理な話で、これは国も国民もみな同じこと。
 今は妙な空気がはびこってなんでもかんでも国におんぶするやり方だから、教育にしろ、医療にしろ、福祉にしろ、金は湯水のように出てゆく。そのしわよせはいろんなところへ出てくる。
◇国民の「ねだり根性」もいけないが、それを逆に利用して、近づく総選挙の人気取りを考える麻生さんの罪は大きい。
 金の使い場を決めないうちに何兆円という巨大な金を丸投げ同然にばらまこうとするのであり、喜ぶのは官僚である。
 大盤振る舞いをすれば景気の刺激はともかく、撒き餌に魚が集まるように国民の人気が湧くとみる麻生さんだから、この下手な手品で自らの解散権を断行し、政権維持を考えるわけだが、それがそもそも世情混沌の因なのである。
◇麻生さんの看板では選挙が勝てない、と踏んでいるのは他ならぬ自民党の国会議員である。それが証拠に、近づく解散、衆議院選に備えて、全国各地でポスターがにぎやかだが、そのポスターの顔は、その選挙区の代議士と、党の将来を担うとされている有力政治家先生である。
 本来ならば麻生さんと2人で写して訴えるべきなのに、麻生さん抜きとなっているのは意味深長である。
 だとしたら、解散までに総裁の繰り上げ選挙をして、新しい総裁で衆院選にのぞめばいいと思うのだが、その動きは党内で抑えられている。
 これも混沌の一つである。
◇今、自民党は将来の財政建て直しのスケジュールを議論しているが、その大前提は消費税アップの大増税である。そんな話は例のばらまき予算や大盤振る舞いで先刻承知である。必ず借金のつけは税金にはね返る。それが景気を冷やすことは今のアメリカの経済が教える通りである。【押谷盛利】

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2009年06月04日

タイ料理に舌鼓

 フランス、中国、トルコの料理は世界3大料理として有名だが、東南アジア料理も、世界で広く認知されている。ベトナム、タイ、フィリンピン人らが出稼ぎや難民として世界中に散っているからで、海外旅行の先々で、それら東南アジアの国々のレストランや食堂を見かける。
◇居酒屋やレストラン、バーの新規出店が相次いでいる長浜市でも、先日、タイ料理店がオープンしたというので、早速、訪れた。
 最近、雰囲気や店のイメージを先行して、内装や盛り付けを工夫する一方で、肝心の料理の味やボリューム、価格がイマイチの店が多い中、この店ではタイ人コックが肩肘張らずに料理を提供していた。
 世界3大スープの一つで、辛味と酸味が効いた「トムヤムクン」、ニラやモヤシの入った焼きそば「パッタイ」などの定番メニューを注文したが、いずれも満足な味だった。
◇タイ料理は「辛い」とのイメージがつきまとうが、実際はその辛さに加え、酸味や甘味が調和して料理の奥深さを構成している。
 味付けの基本は魚醤「ナンプラー」。唐辛子もよく使われるので、辛い料理が多くなる。スープには「パクチー」と呼ばれる東南アジア独特の香草やレモングラスが使われ、酸味のある香りを作りだす。
 また、砂糖、ナンプラー、粉唐辛子などがテーブルに出され、客が料理に振りかけて自由に味付けできるのも一般的。
 香草が苦手な人には敬遠されがちだが、あの辛味と酸味の調和に病み付きになる日本人も多いのでは。
◇外食文化の素地が乏しいと思われるこの湖北・長浜で、欧米や東南アジアなど、各国の料理を楽しめる店がオープンするのは、新たな食文化に触れられるという点で大歓迎。

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2009年06月03日

GM破綻と日本の覚悟

 世界最大の自動車メーカー・GM(ゼネラル・モーターズ)が遂に破綻した。負債総額16兆円というが、米製造業では過去最大、金融業を含む米企業全体で史上4番目の倒産になる。
 アメリカの自動車大手のビッグ3のうち、クライスラーは4月に破綻しており、残るフォード・モーターも危険水域にあるといわれている。
 大きな樹には大きな風が吹くというが、アメリカの不況の深刻さが世界に連鎖反応するのは避けられまい。日本の企業への影響も悲観的予測が先立つであろう。
◇GMを筆頭に米国の大手自動車ビッグ3の危機は昨年秋から伝えられていた。
 今回のアメリカの大不況は昨年秋の住宅産業、住宅金融の破綻に端を発しているが、静かに考えれば国民の暮らしと企業の生産性との矛盾が発ガン物質のようにアメリカ経済に巣食い始めた。
 それは経済に引っ張られる政治の惰性ともいえるが、分かり易くいえば経済界と労働界と政治が馴れあった堕落の産物である。
 どういうことかといえば、経済はとどまることなく伸びるという前提に立ち、もし大企業がおかしくなれば国は税金を投じて、これを救ってくれるという甘えである。
 だから、大企業は「破綻」のおどしをかけて政府から税金をせしめようとする。
 労働組合は企業の先行に不安があろうと、現実に売り上げが減り、赤字決算になろうと、自分たちの賃金や福利を犠牲にすることは絶対しない。確保した権利は守り切ろうとするから合理化には反対する。企業は政治家を動かすから、政治家は政府を動かす。
 アメリカ経済が今後どうなるのか。今の不況のそもそもの原因は何なのか。それを追及せずに、税金を導入すれば景気は回復するし、企業は立ち直る、と20年30年前の感覚でことに処する。
◇この3者の堕落はアメリカだけの話ではない。日本も今、同じことをやっている。
 浅慮というよりもその場しのぎ、その日暮らしの政治となっている。いつの日にか、必ず破綻する。それを見抜く眼力と、不退転の改革の勇気がいまほど問われるときはない。
 アメリカを他山の石とせよ。【押谷盛利】

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2009年06月02日

努力が夢を叶える(見聞録)

 おととい5月31日の日本ダービー。スポーツ新聞の記者と一緒にテレビ観戦していたところ、「この騎手、確か米原出身やで」との情報。デビュー4年目ながら、今年のレースで好成績を挙げ、ついにダービーへの出走権を獲得したそうだ。
 結果は、18頭の出走で6着。13番人気というのを考えれば、素人目に見れば健闘したところか。
◇翌日、滋賀夕刊の過去の新聞をあさると、2002年正月特集号で、「馬に思いを馳せる若者達」との見出しで当時15歳、中学3年生の北村少年を写真入りで紹介していた。
 小紙にアルバイトに来ていた女子大生記者が、浅井町三田のライディングクラブで馬の世話していた北村少年を取材し、原稿にしたものだった。
 記事によると、北村少年は、体格の小さな騎手が大きな馬に乗って走る姿に憧れて、中学1年生の頃から同クラブを訪れている。毎朝5時から始まる馬の世話のため、自宅のある近江町から自転車で通い、休日のすべてを馬の世話に費やした。
 前年に受けた競馬学校への入学試験は不合格。「惜しくも新人ジョッキーの仲間入りを果たせなかった」と記者は綴ったが、この年の試験で見事合格し、ジョッキーとしての道を歩み始めた。
◇小生にも、小学生の頃から野球や競輪の選手に憧れ、プロの舞台で活躍している同級生がいる。彼らは生まれ持った天性にも増して、努力に努力を重ねた。「夢は叶う」ということを、ごく身近で示す生き証人だ。
 「夢は叶う」―。今の子ども達だけでなく、大人にも持ち続けて欲しい言葉だ。

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2009年06月01日

90、100歳時代は夢でない

 女優の森光子さん(89)に国民栄誉賞が贈られる。めでたくも、うれしいニュースである。
 放浪記の単独主演の記録を2017回まで伸ばしたばかりでなく、今もなお現役を続け、引退など考えたこともないというから高齢者の鑑である。
 主演の座を確保したのは40歳を過ぎてからというから遅咲きの方であるが、子供のころから歌や踊りをしっかり身につけ、プロとして大成する家柄と環境に恵まれた。
 歌手としてより女優として大成し、同一演目の舞台に主演として2000回を超え、なお記録を伸ばしている偉業は神業に近い。
 彼女の才能を発見して東京へ呼びよせた劇作家で演出家だった菊田一夫の眼鏡に狂いはなかった。
 「放浪記」は作家・林芙美子の自伝小説だが、菊田一夫が劇作化し、大衆演劇に新境地を開いた。
 ラジオドラマでも「鐘の鳴る丘」や「君の名は」など名作がなつかしい。
◇ぼくは森光子さんの輝かしい活躍に脱帽し、生きる希望と勇気を頂いているのだが、世の中には森さん同様、90歳、100歳になってもなお元気じるしで、第一線にがんばっている人があり、それらの大先輩の背後には後光が差しているようで、合掌したい思いである。
 いま、朝日新聞に時代小説「麗しき花実」が連載されている。作者は乙川優三郎さんで、その挿し絵が実に優美である。
 ぼくは愛読しているが、実はその挿し絵に惹かれて読み始めた。挿し絵の画家は中一弥さんで、98歳という超高齢。
 花や風景、登場人物を小説に合わせて毎日描き上げる大層な仕事だが、女性の髪型や小さな櫛に至るまで実に繊細なタッチで、とても100歳近いお年寄りの作品とは思えない。
 その挿し絵の魅力が小説の舞台である江戸期の美術工芸家の生きざまを引き立てており、100歳現役時代が夢でなくなった。
◇29日の夜、虎姫町中野の法徳寺で行われた「医者いらずの超健康法」はぼくも聴いたが、講師の丹後喬介さんは91歳で、姿勢といい、声といい元気そのもの。御堂を埋める聴衆を前に腰痛を訴える人をその場で3人完治させたが、著作に講演に、指導に若もの顔負けの活躍ぶりを披露した。出席者は力強い刺激と幸福感に酔った。

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