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2009年03月31日

上司にしたい武将は?(見聞録)


 転職情報を掲載するインターネット・サイト「リクナビNEXT」(リクルート社が運営)が先日、「上司にしたい戦国武将ランキング」なるものを発表した。ネットユーザーが、理想の上司を戦国武将から選んだ。
 最も支持を集めたのは織田信長。「秀吉を見い出し、重用した眼力の鋭さに信長という人間のすごさを感じる」「圧倒的不利な軍勢の中、部下をうまく鼓舞し戦いに勝利した点(桶狭間の戦)や、楽市・楽座など大胆かつ理にかなった改革を実行し国力をアップさせたところに惹かれる」などの意見が寄せられた。
 そのカリスマ性に加え、34歳で「天下布武」を公言し、南蛮文化や鉄砲による戦闘で戦国時代の覇者となった信長。新しい技術を取り入れて目標に突き進むその姿勢が、今の社会人の理想の上司像に映ったようだ。
◇次点以下を紹介すると、②徳川家康③上杉謙信④豊臣秀吉⑤武田信玄⑥真田幸村⑦直江兼継⑧伊達政宗⑨前田利家⑩明智光秀。
 家康は「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の精神で、不遇の人質生活を辛抱強く耐え、最終的に天下を握った。どんな苦境に立たされても動じないその姿勢が、不況下の今、求められている。
 謙信は「敵に塩を送る」エピソードで知られるように、「利」より「義」を重んじた。私利私欲に溺れる現代社会の経営者にその爪の垢を煎じて飲ませたいところ。
 秀吉は部下を褒めて伸ばし、「人たらしの天才」と呼ばれた。「殺してしまえ…」の上司・信長を反面教師とし、「鳴かせてみよう…」の精神で、敵を味方に変えた。その人身掌握術はビジネスにも不可欠。
◇サブプライムローン問題に端を発した経済危機により、雇用環境が悪化し続けている今の世は、労働者や求職者にとって戦国時代。
 信長、家康、謙信、秀吉のようなカリスマ性や忍耐、才能、人情を備えた経営者や上司の元で戦いたいとの願いは今も昔も変わらない。

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2009年03月30日

政治浄化と河川の流れ

 政界の汚れや疑惑は国民の不信を募らせるが、戦後の政治史を振り返ると摘発、検挙、辞任、解散、新党、政界再編成など多彩である。
 小泉さんが自民党の総裁を満期で辞めて以来、今日まで総選挙なしに、安倍、福田、麻生内閣と続いてきたが、その間、多くの不祥事や大臣の首のすげ替え、役所の不信行為などが続出してきた。
 国民がどう思っているか、政党は国民に対してどう対処しようとするのか、そうした点を明らかにして人心一新をするのが政治の倫理であり、そのためには衆議院の解散こそ至上命令である。
◇戦後政治史の黒い霧や灰色の霧を見てきたぼくは、ちょっと立ち止まって、きれいな政治というのは口でいうほど生やさしいしろものではない、とあえて国民に一石を投じたい。
 話は飛躍するが、政界には自浄能力がないのか、と疑うのはぼくだけではなかろう。自浄とは川の水が自らの力で美しくすることをいう。
 川に入ってきた汚濁物質は沈殿、吸着、微生物による分解など自然の作用で浄化される。だから昔から「流れる水は美しい」「溜まり水は腐る」という。
 政界は解散という流れの中で自然に浄化することを期待したいが、なぜか、ここ3代の首相は解散を避けてきた。解散という水の動きがないから、政界という川の汚れがきれいにならないのだろうか。
◇国会は国民に代わり、法律を作り、政策や予算を審議する場だから、これが自然浄化の作用をなくすると、百鬼夜行やろくでなし政治がまかり通り、国民は政治を信じなくなる。民主主義の挫折であり、国民の不幸でもある。
◇百年河清を待つという。かつてイギリスでは選挙が腐敗し、政治不信が続いた。選挙制度を改正し、選挙違反を厳しく罰すると共に政治浄化の国民運動を展開した。
 その結果、イギリスの選挙は違反が減り、明るくなって、世界の民主主義のお手本となったが、ここまで達するに100年の年月を要した。
 それを思うと日本の選挙や政治はまだまだ弟分で歯がゆいが、それでも戦後何回かの疑獄事件や選挙制度の改正で、試行錯誤を繰り返しつつもなにがしかの清浄化を進めてきた。
◇政治浄化は政治家の責任であるが、審判をする国民の責任でもある。
 惚れた政治家や惚れた政党が永久に信頼されるとは限らないのに、国民はややもすれば、安易に2世、3世議員の選出に肩を貸す。2世、3世議員は先代や先々代の力と顔、さらには長年つちかわれてきた地盤と業界や組合のつながりで当選しやすい環境にあるが、しかし、実力や能力がそれに伴うかは怪しい。むしろ、暗い陰を引きずっている部分があるかもしれない。
 それを考えると国民は政治浄化の一策として世襲議員ノーの行動力を示す必要があるのではないか。
 言葉を換えれば国民の政治を私物化してはならぬ、ということを投票の上で国民が示す必要があるといえよう。【押谷盛利】

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2009年03月27日

国民をなめたらアカン

 近づく解散・総選挙で、政権交替の可能性が高まっていた政局は、小沢民主党代表の秘書の逮捕でおかしくなった。
 24日に秘書の起訴が発表されるや小沢代表は続投を宣言した。続投を心から歓迎しているのは身内の民主党ではなく自民党、わけても麻生首相や執行部である。
 これからの一日一日が民主党にとっては針の筵であり、自民党は待てば海路の日和である。
◇なぜ、民主党は小沢おろしが出来ないのか。考えれば、そこにこの党の不思議さと危険を垣間見ることができる。
 いま、民主党内で最も強く小沢続投を支持しているのは労組などを背景に持つ旧社会党や民社系である。いわゆる市民派といわれる菅代表代行やそのグループ、あるいは地方選挙から勝ち上がってきたさむらいたちは続投反対である。
 もっとはっきりいえば左派が小沢支持、右派が反小沢の色を濃くしている。
 双方が争って、寄り合い世帯の欠陥をさらせば国民の不信と反発を招くから、ここはひとまず鳩山幹事長に任せて、こと穏やかに、ほとぼりの冷めるのを待つがよかろう。言わば人のうさわも75日、そのうち反転攻勢を仕掛ければよい、との戦略を採った感じである。
◇なんという甘い考えだろう。国民をなめたらアカンぞ、といいたくなるが、小沢党首及び党の幹部は、今回の秘書逮捕の重大性に極めて鈍感である。
 国策検挙だ、とうそぶくが、結果としてこれまでの捜査上で判明したことは特定の準大手ゼネコンから常識を超えた多額の献金を受けていたことだった。
 献金側は西松という名を隠すため身代わりのダミー2社を通じての迂回作戦を用いているが、洗えば洗うほどボロが出そうなウサン臭い話である。
 小沢陣営が表向き強気を装っているのは西松疑惑が自民党にも飛び火することを考えているからである。事実、26日の大手の新聞には二階俊博経済産業大臣側への西松建設の事務所提供が報ぜられている。
 検察側の今後の追及がどんな展開になるか。少なくとも国策検挙だとする小沢側の批判に答えるためにも二階見送りは困難だろう。
◇それかあらぬか、自民党の民主党叩きも静かであるし、民主党の国会活動も予算審議などスムーズに進んでいる。両者傷のなめあいなどしていたら、それこそ国民の怒りはどう爆発するか分からない。
 なめたらアカンぞ、と国民が立ち上がるときは、救国新党が声を上げるときだ。
◇農林水産省や厚生労働省の組合役員が専従しながら、一般職員並みに国から給与を受けていた「ヤミ専従問題」にしても民主党の攻撃は蚊の鳴く声ほどに力が弱い。それは参議院の興石議員会長が日教組出身であることを考えればよく分かる。
 その興石氏が小沢代表の強力な支えとなっていることも衆知の事実である。
 民主党はガンを病んいるが、あちこち転移している可能性もあり、困っているのはまともな議員と支持してきた国民であろう。小沢辞任は早ければ早いほど国民に好反応することを知るべきである。【押谷盛利】

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2009年03月26日

男性保護法を!(見聞録)

 年頃の男性なら、女性から「モテたい」と願うのは当然のことだが、いつの時代にも「モテる」男性がいれば、「モテない」男性もいる。
 モテない男性が一生、女性と付き合えず、結婚もできないかというと、そういう心配はない。近所の世話焼きおばさんや、親族の介入で何とか結婚にまでこぎつけている。
 ただし、これは自由恋愛が社会的に許容されず、お見合いが多かったひと昔前に限った話で、現代社会では、モテない男性は結婚できないばかりか、格差社会の下層で苦しむ厳しい時代になっている―。
 と、何とも深刻なレポートを紹介しているのは、元雑誌編集長の三浦展氏の著書「非モテ!男性受難の時代」(文春新書)だ。
◇同書はモテない男性が、現代社会でどういう苦境に立たされているのか、若者へのアンケート調査などを元に、科学的に分析。モテるか、モテないか、容姿が良いか、悪いか、という格差が、所得、学歴、職業の格差に関係しているという冷酷な事実を突き付けている。
 その内容を詳しく紹介すると、誤解や偏見を招く恐れがあるので、省略するとして、筆者の三浦氏がなぜ、こんな分析を行ったのか。そのきっかけは、昨年の秋葉原無差別殺傷事件にあった。
 マスコミは、犯人の派遣社員という立場、そこに連想される格差社会を、犯行の背景ににじませた。しかし、三浦氏は「それだけでは、納得できまい」と、犯人の男が抱いていた容姿へのコンプレックス、女性にモテないというマイナス思考が、自滅的犯行に追いやったのでは、と推測したのだ。
◇その結果は、若者男性のモテる、モテないの意識差が、社会的にも経済的にもマイナスのスパイラルに陥いる傾向にあるというもので、三浦氏は、このままモテない男性を放置すれば、社会問題化すると指摘し、「男性を保護せよ!国会議員は今すぐ男性保護法を国会に提出すべき」と鼻息が荒い。
 これは、冗談と受け止めるとし、保護が必要なほど、男性が弱体化している原因は何なのか。
 「肉食系」女性が、「草食系」男性を食い散らかしているからなのか、それとも「必殺仕事人」の中村主水のぼやきに世の男性がうなずくように、元々弱い生き物なのか。
 いずれにせよ、男性保護、急務です。

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2009年03月25日

2党首の表情と政局

 過日の時評「ピンチとチャンス」の末尾に謎めいた言い回しで、自民党の麻生、民主党の小沢両党首の名をあげた。
 24日、夜のテレビに登場した2人の表情にはそれと分かる明暗が読みとれた。沈没寸前だった麻生さんがにこにこ顔で「解散権は私にある」と胸を張った。側近の政治家も延長戦でWBCを制した日本野球の選手のように明るさを取り戻した。
 その逆が小沢さんと民主党である。小沢さんは涙しながら「無念残念」と第1秘書の起訴に反発した。
 鳩山幹事長以下執行部の表情も冴えないが、党内からは微風ながら小沢下ろしの声が立つ。
◇ここ半年間に確実に行われる解散・総選挙に勝利100%、小沢首相誕生か、と推測されていた政局は一転して闇夜の大嵐。持ち直した麻生さんは株価の値上げに相乗して、攻守ところを変える強運さ。
◇だが待てよ。自民、民主のお家の事情はともかく、次の政局の主導権を握るのは国民であることを確認しておこう。
 沈没寸前と思われた麻生丸が持ち直したのは起死回生の大ホームランではなく、思いがけない敵失による。小沢が転けたらみな転ける、ということにならぬよう、鳩山以下民主党執行部は結集して政権奪取へ内部を固めたが、それが国民感情を逆撫でする感じになって、喜びに拍車をかけているのが自民党である。
 でっかい顔の出来ぬ麻生自民党が小沢批判を控え目にして、時間を稼げば稼ぐほど敵失の波紋は深く広がってゆく。
◇国民の気持ちは複雑である。小沢さんは秘書の起訴容疑を否定し、収支報告の記載間違いの形式犯ではないか、過去に逮捕や起訴の例を見ない、と検察批判を繰り返す。
 金をもらっているのは小沢さんばかりではない。自民党にも大物の顔が何人か取り沙汰されているではないか。小沢潰しは政権維持のための不公正な権力行使ではないか、という声もある。事実、政府高官の「自民党には波及しない」むねの内緒話が表面化した。
◇ぼくは、小沢さんの秘書逮捕と同時にその容疑の重大性から「小沢氏は党首を辞任せよ」と書いた。
 たとえ権力の不公正行使であったとしても、容疑内容が国民の心の常識の範囲を超えていれば道義という最高規範にただされねばならぬ。
 それを国民に示すのが政治家であり、立法府の信頼されるゆえんでもある。
 これを書きつつ、古代ギリシャの哲学者ソクラテスを思い出した。彼の哲学が神に背くものとして告発され、裁判で死刑を宣告された。彼は毒杯を仰ぎつつ「悪法も法なり」と弟子の嘆きに答えた。彼は今も生きている。【押谷盛利】

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2009年03月24日

「廃県置藩」の考え

 長浜城歴史博物館の太田浩司さん執筆の「近江が生んだ知将石田三成」では、家康と三成の戦いの本質は、国家改革をめぐる戦いだった、としている。
 三成は先鋭的な中央集権国家を目指したが、その敗北により、江戸時代は藩が地方を治める地方分権型の社会になった。
 そして270年の歴史の中で幕藩体制は疲弊し、欧米列強に対抗しうる強国を築くため、「廃藩置県」などの明治維新という大改革を経て中央集権国家を成立させた。
 振り返れば、歴史は改革の連続で、大きな戦乱のたびに、古い体制が突き崩され、新しい体制ができあがり、それもまた時間とともに、疲弊、腐敗した。
◇そして、現行の政治システムも官僚中央支配という制度が、時代にそぐわなくなり、地方分権化の改革の声が出ている。
 中央集権化を図った明治維新の「廃藩置県」になぞらえ、その逆の「廃県置藩」とも呼ばれているが、ようは地方の裁量権を大胆に拡充させた道州制への移行。国の仕事は、外交や防衛などに限定して、市民生活に関わるすべての仕事を、地方に移すという考えだ。
◇「週刊朝日」3月13日号に、元経済企画庁長官で経済評論家の堺屋屋太一氏と経済学者の中谷厳氏の対談が掲載されていた。
 2人は「日本は明治維新のチャンスを迎えている」と語り、「廃県置藩」による地方分権を訴えていた。
 中谷氏は明治維新について「廃藩置県で300の藩主のクビを切った大改革」、堺屋氏も「まず第一に武士の身分を廃止した」とその意義を語り、武士という身分を廃止したように、今の日本でも公務員という身分を廃止し、一般職業化することを求めている。
 中谷氏は霞ヶ関の規模を現行の3分の1に圧縮し、有能な官僚を地元に返し、地方行政を充実させよ、と持論を展開している。
 その大改革を先導する坂本龍馬や西郷隆盛が地方から現われるのを待つばかりだ。

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2009年03月23日

ピンチと2人の政治家

 「ピンチはチャンス」という。甲子園の高校野球でよく登場する言葉である。負けていた試合を9回裏のドタン場でひっくり返したのは選抜第1日目の倉敷工高だった。
◇よく似た言葉は多い。逆境にあってもひるむことなく頑張れば光が差してくるという先人の教えである。例えば失敗して落ち込んでいる人を励ますのに「裏があれば表がある」「失敗は成功の母」などという。
 若いころ夫に死別し、何人かの幼い子を育て、貧窮のどん底から息子を大統領にまで成功させたフジモリ・ペルー前大統領のお母さんが96歳で亡くなった。
 祖国日本で晩年を送り、幸せな生涯を送ったが、若いころの移民先での困苦は筆舌では尽くし得なかったことだろう。
◇フジモリ大統領の例は国際的スポットからいってもケタ外れの成功例だが、その元大統領が今は追われて、犯罪人扱いだが、それも逆にいえばチャンスの後のピンチで、驕るものは久しからずの平家の轍を踏んだのかもしれない。
◇タイの旧称「シャム」で17世紀のころ活躍した英雄・山田長政も日本人の誇りである。慶長6年(1611)ごろ、シャムに渡り、外交と貿易で手腕を発揮、日本人町の長となり、また内戦を治めて国王の信任を受け、国王に次ぐ実力者となったが王の死後、毒殺された。
 異国での活躍にはピンチもあったろうし、生死に関わる危機もあったに違いない。そうした先人の破天荒の歩みを思えば、いまのわれわれの苦労などというのは苦労の中には入るまい。
◇それにしても昔の人はよい言葉を残してくれた。「苦は楽の種」もその一つである。苦という種から楽という花が咲き、実が生るというのだから「若いときの苦労は買ってでもせよ」といった。
 そうかといって、成功したものに苦言を忘れない。「勝って兜の緒を締めよ」「油断大敵」「前車の轍を踏むなかれ」。
◇この時評を書きつつ、ぼく脳裡に浮かんだのは2人の大物政治家である。一人は与党の大将・麻生太郎さん、あとの一人は野党の大将・小沢一郎さん。

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2009年03月21日

太田さんの三成考(見聞録)

 長浜城歴史博物館の太田浩司さんが執筆した歴史本「近江が生んだ知将石田三成」(サンライズ出版)は、三成という人物を、新たな視点で解き明かす極めてユニークな本だ。
 秀吉に仕えた三成はその「恩」に報いるため、関ヶ原の合戦で西軍の大将として裏切り者の家康と対峙し、江戸時代は徳川崇拝者により三成悪者説が流布された。現代ではその人物像が見直され、「忠義の臣」との見方が一般化している。
◇しかし、太田さんは同書で「江戸時代の三成評を否定しようとしている我々が、江戸時代の儒教思想に基づいた『君に忠』の思想に呪縛されてどうするのであろう」と述べ、歴史学者が三成を「忠義の臣」と評価するのを「正しくない」と指摘している。
 三成は秀吉のもとで、太閤検地や刀狩りなどを行ったが、これは農民と武士を分け、平和社会を世に築くための大改革だった。太田氏はそういう改革に着目し、三成を戦国時代の社会構造を打破し、その上に新たな政治・経済システムを構築した「政治家」として評価している。
 三成がいなければ、古い利権に侵された戦国時代とは決別できず、江戸時代という新しい社会は生まれなかった訳だ。
◇政権内部に集う人々の権益を否定し、自己犠牲を払ってでも改革を行う三成のような精神は現代人にも求められている、と指摘する太田氏。
 しかし、現代日本は、天下分け目の合戦が迫っているのに、構造改革の旗手「三成」が現われるどころか、不正献金のお家騒動で戦の準備もままならない。

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2009年03月19日

彦根東の敢闘を祈る

 春は「センバツ」から。いよいよ21日、全国高校野球センバツ甲子園大会が開幕する。
 今年の大会は、地元の名門校・彦根東が出場するだけに早くも前評判は過熱気味である。
 なにはともあれ、彦根東野球部の出場の栄誉を称え、堂々たる活躍を祈念するものである。
 彦根東は大会5日目の第3試合で関東の強豪・千葉習志野と対戦する。相手にとって不足なし。日ごろの練習の成果を発揮して、城にあやかる井伊の赤鬼旋風を期待したい。
 ちょうど今、彦根は全市民あげて「井伊直弼と開国150年祭」に取り組んでおり、全国からの観光客に文武両道の名門・彦根東高を売り出す絶好のチャンスでもある。
◇彦根東が、今年第81回選抜高校野球において、全国3校の「21世紀枠、特別選考」の一員に選ばれたことは県民の喜びでもあり、自慢でもある。
 創立132年の伝統と校風に加えて野球部のこれまでの努力と活躍が評価されたもので、その背景に県民の支援と同窓会、野球部後援会、同OBの熱意と協力のあることを忘れることはできない。
 今回の選抜出場についてもPTA、同窓会、後援会、野球部OBなどがいち早く「甲子園出場実行委員会」(中村善一郎会長)を組織し、募金並びに支援体制を進められていることに敬意を表したい。
◇振り返れば、彦根東の選抜出場は56年ぶり3回目の快挙で、最初は戦後間のない昭和25年、2回目は同28年。
 同校は昭和21年秋、中部近畿選抜中学野球で準優勝したほか、24年秋は近畿大会で優勝し、翌年の選抜につながる。2度目の選抜出場は昭和28年だから、今年は実に56年ぶり。関係者ばかりでなく県民の鼻が高い。
 それは同校が県下でも屈指の進学高校でありながらも、学力のレベルの高さに埋没することなく、スポーツに成果をあげているからである。野球部はもちろんのこと、短艇部は何回となく国体で3位に入り、新制高校全国大会では連続優勝している。
 このほか水泳、陸上、テニス、ソフトボール、バドミントン、バスケットなどで県下を制し、全国大会に出場するなどめざましい活躍の伝統を誇る。
 野球においては狭い運動場で練習にもこと欠く悪条件を克服しての快挙であるから文字通り文武両道の平成のさむらいである。【押谷盛利】

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2009年03月18日

食卓の思い出(見聞録)

 長浜市の飲食業組合が3月8日を「鯖の日」と語呂合わせして、湖北地域の郷土料理の「焼き鯖そうめん」を割引してお客さんに振る舞った。
 焼き鯖そうめんは「5月見舞い」の料理としても知られる。農家に嫁いだ娘が農繁期を忙しく過ごしているだろうと、実家の両親が心配し、娘の嫁ぎ先に焼き鯖を届けたことに由来し、親の愛情のこもった料理だ。
 今の若い家庭では作る機会が減り、湖北地域に生まれながらも口にしたことのない人も多いかもしれない。
 「鯖の日」の設定は、そういう人達に、郷土料理を知ってもらおうとの思いが込められている。
◇伝統料理が親から子へ継承されないのは、家族で一緒に食卓を囲む機会が減っているからかもしれない。
 そういう危機感を抱いた長浜市内の主婦や元保育士らのグループが、地域の住民から募集した食にまつわるエピソードを冊子にまとめた。
 冒頭に登場する朝日町の林良子さんが投稿した「すき焼きの風景」は、懐かしさを誘う。
 家族でちゃぶ台を囲んでのすき焼き。両親が作り方や味付けを教えてくれたり、煮えるのを待ちながら、家族それぞれが一日の出来事を話したり、聞いたりと、当時の思い出を綴っている。
 林さんは、ややもすれば、仕事や塾、スポーツ教室などの忙しさから、家族揃って食事する機会が減っているのではと、現代の家庭を憂い、「食をつつき合う時間、心を開けるひととき、そんなことがたくさんあったらなぁと、あの子どもの頃のすき焼きの風景が、何だかとても大事に思えてきます」と筆を納めている。
◇最近の若い家庭では、食事の際に家族がバラバラの料理を食べる「個食」や、一人で食べる「孤食」が増え、食卓を囲んでの家族の団らんが減っている。
 しかし、子ども達にとって、食卓の時間に両親や祖父母から、様々な話を聞かされることによって、常識を身に付けたり、新たな知識に出会ったりするものではないだろうか。
 冒頭の焼き鯖そうめんのような家族愛のこもった郷土料理も、そういう団らんの食卓を囲む中で親から子へ継承される。食卓のあり方を見直したい。

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2009年03月17日

給付金の使い道(見聞録)

 景気対策なのか、生活支援なのか、目的がよく分からない「定額給付金」なるものが、間もなく湖北地域でも全住民にばら撒かれる。
 「もらえない」より「もらえたほうがいい」とは聞くが、税務署が苦労して集めたお金を、人件費を浪費して、わざわざ国民に還元するというから、思考停止の愚策もいいところ。
 しかし、そうは言ってられないのが、不景気で売上低迷の各業界。せっかく総額2兆円ものカネがばら撒かれるのだから、少しでも営業不振の補てんにと、あれこれ工夫を凝らしている。例えば旅行会社はソウル3日間や国内の宿泊旅行を「1万2000円ぽっきり」で提供し、百貨店では2万円の入学準備セットなどを企画している。
◇景気対策にカネをばら撒くのは何も、日本だけじゃない。台湾でも1月の春節(旧正月)を前に、国民1人あたり約1万円「消費券」(商品券)を配布。消費意欲が高まる時期にタイミング良く配ったことで、国民から好評を得て、政権浮揚につながったとか。
 一方、オーストラリアでも昨年のクリスマス前に、年金受給者や低所得家庭に約5万8000~8万1000円の一時金を支給。
 不景気への素早い対応に、国民の反応はまずまずだったが、後になって大きく疑問符がつく結果に。
 というのは、一時金が配られた12月、同国のスロットマシンが記録的な売上になったからだ。
 現地の報道によると、同国ビクトリア州の12月のスロットマシンへの賭け金は過去最高の2億4800万豪ドル(約144億円)に、クイーンズランド州でも前月比で10%増加。景気対策のはずが、ギャンブル業界を潤わせる結果となり、国民から批判の声も。
 同国も日本と同様、スロットマシンをはじめとするギャンブルが盛んで、依存症が社会問題化している。
◇さて、もうすぐ配られる定額給付金。何に使うおうが自由だが、原資は税金。我々は思考停止に陥らず、知恵を絞って有意義に使いたいところ。

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2009年03月16日

新聞、かわら版、やらせ

 少し品はよくないが「目糞、鼻糞を笑う」は市井でなじまれている言葉である。お互いに相手の欠陥をあげつらうことを指す。
 兄と弟の喧嘩がそうである。弟は兄の暴力を母親に訴えて泣く。兄は弟が勉強の邪魔をするといって譲らない。母親はどっちの肩を持つわけにもゆかず、「兄ちゃんは兄ちゃんらしく、坊やは兄ちゃんに無理を言わないで・・・」と、分かったような分からないような物言いで、双方をなだめる。
◇悪口をいうのも、悪口を言われる側もどっちもどっちだ、と賢人ぶるのは人の常だが、人間の性の悲しさ、なんでもかんでも人の噂を種にして、話の花を咲かせたがる。
 そのくせ、人の噂も75日と、いつの間にか忘れ去られてゆく。
 噂は古来、無責任、不確実、人格無視の毀誉褒貶に関わるものばかりだが、その段になると高い木に風当たりが強いように、政治家や高級官僚、あるいは俗にいう「えらいさん」は噂の標的になり易い。
◇噂を飯の種にするのがマスコミだと言えば怒る人がいるかもしれないが、新聞の元祖は「かわら版」である。
 江戸時代に発行されたもので、天災地変、火事、心中などの事件を速報記事にして街頭で売り歩いた。木版印刷物だが、もとは粘土に文字や絵を彫り瓦のように焼いて作ったという。噂は風のようにつかみどころがないが、かわら版は版元があり、発行者の責任が明らかであるから進歩した言論といえよう。
 ところが、お上に都合の悪いことを書けば弾圧されるからこの場合、だれが発行したのか分からない怪文書の形で闇から闇へ流れる丸秘かわら版も出た。
◇マスコミの発達は民主主義と文化の向上に不可欠の条件だが、古来、絶対制君主や独裁国家の権力はマスコミの自由を許さない。それは権力批判を恐れるからである。
 近いところでは中国や北朝鮮には新聞、テレビ、ラジオの自由はない。政府の発表ものや、政府の許容した範囲のニュースや話題を提供するだけである。民主化されつつあるはずのロシアでは、政府批判の記者が殺されている。
◇小沢民主党代表の秘書の逮捕が小沢ダメージを盛り上げる検察ファッショの一環ではないかの批判が出ているのは去る日の政府高官の発言に起因しているが、この高官のクビを温存させているようではこのごろ流行の政府筋の「やらせ」と受け取られてもやむを得ぬ。そこが問題である。【押谷盛利】

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2009年03月13日

小泉総裁で救国新党を

 小沢が転けたら麻生が生き返った。変な話である。このところ、自民党では政治資金の話はやめておこうという雰囲気。同じことは民主党にもいえる。民主党では小沢おろしは禁句だが、外から眺めていると、はれものに触るようにびくびくしている感じである。
 小沢さんの強気はほんものなのか。政権どたん場の好機を前に後へ退けぬ使命観から虚勢を張っているのか。
 いずれにしても、時の経過とともに世間の風当たりは強くなってゆく。風速がどう強まるか。今後の世論調査がそれに答えるが、戸惑いをするのは国民である。
◇小沢が転けたら麻生を「よいしょ」というわけには参らぬが、国会を見ていると、委員会の攻防に薄もやが立ち始めた。二階大臣の不明朗献金を攻めているのは共産党だけで、巻き返しすべき自民党は小沢追及を見送っている。
 自民党も民主党も出せば出る膿を抱えているから、ここのところは「お互いさま」とばかり不戦協定を暗黙のうちに結んでいるのかもしれない。
 こういう姿勢を「馴れ合い」という。黒い霧か、うすい靄か、どっちに転んでも政治改革への道は遠く、国民の不信は募るばかりである。
◇いま、衆議院を解散したら、国民は困ってしまう。眼前の二大政党への支持に迷いが生じるからである。
 小沢疑惑の表面化までは、民主党の圧勝説が出るほど麻生は劣勢だったが、以後の転回による小沢人気の下落で民主党から自民党へ風向が変わるのか、そこに国民の迷いがあり、国民感情は「どっちも、どっち」「どいつも、こいつも」。
 こんな場合、「喧嘩両成敗」という言葉があっても当面の政治で与党第一党と野党第一党を袖にするわけにはゆかぬ。
 世論調査の次期総理1位の小泉さん待望はこのような事態を前に国民の率直な声として評価したい。
◇今の自民党は、福田―麻生両総裁の二代がかりで小泉改革を潰しにかかったが、見るものが見れば時計を逆回転させており、派バツの復活と族議員政治がまかり始めた。
 引退を表明している小泉さんに再登場を期待する声は哀れでもあり、ナンセンスと思われるが、それほど、政界に人材がないのか。考えればおかしな話で、麻生おろしの声がある反面、これに代わる人物が自民党内から浮上しない。同様に、小沢に代わる党首候補が民主党に見当たらぬ。
◇この際、国難を救い、国政を国民のものとするため、小泉再登場の下、渡辺前行革相、小池前防衛相、舛添厚労相、大阪府の橋下知事、前三重県知事北川氏、民主党の前原前代表、岡田元代表らの呼びかけで救国新党をつくるがよい。【押谷盛利】

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2009年03月12日

チベット盗んだ中国(見聞録)

 中国、清朝の離宮「円明園」から150年前のアヘン戦争で英仏連合軍に略奪されたとされるウサギとネズミのブロンズ像が先月末、パリでオークションにかけられ、落札者の中国人が「中国に所有権がある」と代金の支払いを拒否し、ちょっとした話題になっている。
 このオークションでは、故イブ・サンローラン氏の遺品が扱われ、問題のブロンズ像2点はそれぞれ1400万ユーロ(約17億4600万円)で落札された。
◇この話題について、華僑が多く住むシンガポールの有力紙は、2国間問題になると分析。
 中仏関係を巡っては、中国のチベット政策に抗議したサルコジ大統領が昨夏の北京五輪の開会式をボイコット。これに反発する中国国民がフランス製品の不買運動を起こし、両国の関係がギクシャクしていたが、同紙は今回の騒動で2国間がさらに冷え込むだろうと指摘している。
 中国政府は今回のオークションにブロンズ像が出品される前から、返還を求めていたが、フランス側は国際ルールに則って買い戻すべきだと、受け付けなかったからだ。
 さて、男性の支払い拒否宣言について、中国国内では「よくやった」と絶賛する意見が主流。中国の歴史的文化財を取り戻す愛国主義的行動であると、男性を英雄視している。「国際ルールを平気で無視するやり方だ」との批判もあるが、おそらく少数派だろう。
 そこで、シンガポール紙はこんな声を紹介していた。「像が盗まれたのは間違いないが、中国はチベット全土を盗んだ。それを返すのが先だ」。

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2009年03月11日

政局の展望、三つの不信

 いま、日本の民主主義が試されている。それは、刻下の国民の抱えている三つの政治不信に象徴されている。
 一つは自民党、一つは民主党、いま一つは検察を含む司法不信である。この三つの政治不信は本来は政局の転換、国会解散、公務員の改革につながる喫緊の重要事であるが、マスコミを先頭に国民の声は寛大である。
 マスコミと国民の寛大さは皮肉にも日本の政治を左右する二大政党の人物難を証明するとともに、安心安全の日本の生活のゆとりに起因している。
◇自民党への不信は、麻生内閣発足以来、暴風圏内に入っている感じだが、小泉内閣以後の安倍、福田、麻生内閣は行き詰まりを重ねつつも信を国民に問うことを回避してきた。
 麻生内閣に至っては、世論調査を見る限り末期的崩壊状況にありながら党内から政権交替や衆議院解散の声が上がらない。国民の心と全く相反しているといっていい。
 それでは、自民党に対抗する野党最大の民主党への不信は何か。
 与党が転けたら野党第一党が代わる。これが小選挙区制の大義である。したがって、西松建設の政治献金が明るみ出るまでは、民主党への希望が日増しに高まり、今年に入ってからの首相待望は小沢一郎党首が麻生太郎自民党総裁を退けて第一位に躍進した。
 ところが、小沢党首の第一秘書が逮捕されたことをきっかけに国民の民主党離れが急速に進み、最近の世論調査による次期首相は小泉元首相が第一位になり、小沢、麻生氏は下位にランクされた。
 それにも拘わらず、民主党内で党首交代を求める声が上がらず、ちまたには小沢に代わる人物難が問われている。
◇検察を含む司法不信はかつての治安維持法を想起させるだけに問題は余りにも大きい。
 それは、小沢党首秘書逮捕後、元警察庁長官で現・内閣官房副長官の発言が政府高官の名で「今回の西松事件は自民党へは波及しない」と報ぜられた内容を指す。
 これに先立ち、小沢党首は秘書の逮捕を国権の乱用だとばかり怒りをあらわにし、鳩山民主党幹事長は「国策捜査だ」と批判した。政府高官は否定したが、多くの記者が聞いており、しかも連日の報道を通じ捜査の内容が洩れている疑いが濃い。
 もし、首相が高官の発言を不穏当とみるならば、解職して疑いを晴らすべきだが、それはしない。むしろ、小沢党首への攻撃が沈みかけた麻生丸を救済する天与のチャンスとほくそ笑む状況にある。
◇ここに至って、次期政権を託すにふさわしい政治家が待望されるが、国民は怒りつつもむなしさを覚えているのではないか。そのむなしさが形で表れているのが小泉さんへの次期首相第一位ランク付けであろう。次の解散を機に政界引退を表明しているにも拘わらずである。
 このような混迷の政局に立ち至りながら、マスコミも国民も騒がない。それは、たらふく食っているからであり、どうせ、どいつもこいつも似たりよったり。いわば諦めからくる政治不信からである。【押谷盛利】

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2009年03月10日

ビラの効果は?

 2010年1月1日の湖北1市6町合併に向け、焦点は長浜市議会が17日に行う合併関連議案の採決だけとなった。現在のところ、合併推進派が過半数を占めているが、反対派と僅差のため、採決のその日まで、どんな事態が発生するかは分からない。
◇ところで、今、共産党がまいたビラが問題になっている。
 共産党の長浜市議が時々発行するビラ「ひきやま」は、国政から市政まであらゆる問題を取り上げ、小生も勉強資料として愛読している。
 今般の1市6町合併問題も度々登場し、共産党市議らの視点で徹底的に反対している。
 彼らが合併反対を訴えるの自由だが、先週発行したビラは、合併推進派議員14人全員の電話番号を列記して、読者に「強行採決止めよの電話を議員に集中しましょう」と呼びかける内容だった。
 議員は公人ゆえに電話番号を秘匿していないが、主義・主張の対立する議員の電話番号をビラに列記して、集中的な電話を呼びかけるのは、少々乱暴ではないだろうか。
◇推進派議員の自宅にはお年寄りもいれば、赤ん坊もいる。チラシの呼びかけに応じて何人もの読者が議員宅に電話を「集中」させたら、家庭内がどうなるのか、想像力を働かせれば理解できよう。
 チラシが出て以降、自宅に無言電話がかかってきた議員宅もあり、家族には気味の悪い話だ。
 幸い「いたずら電話」対策機能のついた電話を備えている議員宅は、無言電話のような怪しげなのは事前にシャットアウトできている。
◇とは言うものの、議員や家族は相当の心理的圧迫を迫られる。合併推進派議員は「プライバシーの侵害で、威力業務妨害だ」と猛反発し、共産党議員に回収を求めているが、一度配布されたチラシを元に戻すのは不可能。
 結局、17日の採決まで、合併推進派議員は新たな問題に悩まされている。

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2009年03月09日

巨額の政治資金に思う

 「百年河清を待つ」というたとえがある。中国の古典「春秋左伝」にある言葉で、常に濁っている黄河の水が澄むのを待つように、いつまで待っても実現する見込みのないことをいう。
 いま、国民が注目しているのは、西松建設をめぐる政治家と献金のウサンな話の解明であり、民主党の小沢一郎代表の去就と自民党への飛び火である。
◇政治家と金の腐れ縁は江戸期から続く日本の恥ずべき伝統であり、明治維新後は政党の総裁ポストは金が左右し、金づくりの出来ぬ政治家は総裁や総理になれなかった。
◇戦後の最初の国政選挙で、自由党が大勝し、鳩山一郎総裁が総理に選ばれる直前、占領軍の指令による公職追放令に引っかかり、一時失脚した。後任総裁は鳩山の友情から吉田茂に譲られた。このとき、吉田は引き受ける代わりに二つの条件を出した。人事は勝手にやるから承知してほしい。金づくりはしないから党の方で段取りすること。どたん場のことで、やむなく自由党はこれを飲み、以来吉田のワンマン白足袋政治が続いた。
 この結果、大野伴睦、河野一郎などの実力者が金づくりに力を発揮し、一方、吉田は官僚の池田勇人や佐藤栄作を重用して、後々の官僚政治のきっかけを作った。
◇戦後政治は岸信介の日米安保条約の改訂を機に党人派と官僚派政治家の対立図式を抱くようになり、必然的に与党国会議員を買収する総裁選が火花を散らした。後世に指弾されるように巨額の政治資金が動いた。
 その金は財界及び、黒い世界から流れたが、当然ながら利権に結びついた。利権は国内の復興事業がらみのほか、韓国やインドネシアに対する賠償に関わる事業が含まれ、それぞれに商社や政治家が暗躍した。
◇そうした恥ずべき伝統を継いで最高度に花を咲かせたのが、列島改造を花火とした田中角栄元首相だった。彼は絶対的帝王の如き支配権のもと、与野党の政治家、官僚、マスコミ界にさえにらみをきかした。その恐るべき力はロッキード汚職で逮捕され、被告となって法廷闘争する間ですら、キングメーカーとして、歴代の総理・総裁を動かした。
◇田中政治の反省から三木内閣が誕生したが、その後の中曽根、竹下、宮沢、橋本内閣時代を通じ政治家の金権体質は続いてゆく。
 金食い虫の政治を浄化するには、国が政治資金を出すしかないと考えて生まれた制度が政党助成金である。ところが国から莫大な資金を受けながら旧態依然として政党も政治家も金づくりに法網をくぐる。
 今回の西松献金は氷山の一角である。国民は百年河清を待つというような諦めをやめて清新な政治家を育て、真の意味の政治改革に立ち向かわねばならぬ。【押谷盛利】

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2009年03月07日

世界で最も美しい権力者(見聞録)

 ウクライナの女性政治家、ティモシェンコ首相が、今月25日前後に初来日する模様だが、このニュースに喜んでいる男性諸君は少なくないはずでは。
 というのも、この首相、48歳でありながらも、その若々しい美貌が絶賛されているからだ。ウクライナ女性の伝統的な髪型である三つ編みを巻いた金髪がトレードマークで、ファッション誌「ELLE」の表紙を飾ったことでも知られる。
 ロシアの影響力が強かった同国で、2004年、親米政権が誕生した「オレンジ革命」の立役者として注目を集め、当時は「ウクライナのジャンヌ・ダルク」などと呼ばれていた。
 ガス事業を営む大富豪でもあり、世界で最も美しい権力者と言っても過言ではない。
◇過去の選挙結果は、その美貌で国民の支持を取り付けてきた感じだが、ウクライナは今、世界的金融危機の直撃を受けており、彼女の手腕が試されている。
 昨秋以降、通貨の価値が対ドルで4割も下落し、政府と民間の債務残高は1050億ドルにのぼっている。政府は日本、米国、欧州連合のほか、革命以降、関係がギクシャクしていたロシアにまで融資を求めているから、その深刻さがうかがえる。
 そういう危機的状況があるから、ティモシェンコ首相自ら日本を訪れ、麻生首相ら政府要人に、経済支援を求めるという。
◇経済破たんの危機に直面しているウクライナだが、その対策の陣頭指揮を取るべき政治家は、親露派と親欧米派で対立。さらに、オレンジ革命の同志だった、首相とユシチェンコ大統領が天然ガスの利権を巡って火花を散らし、治安当局も介入しての泥沼の政争と化している。
 この内紛に国民は呆れているようで、美貌の首相も支持率たった17%。
 しかし、もっと深刻なのは大統領(男性)で、わずか2・9%の支持率というから、麻生首相も真っ青になるくらいの超低空飛行。
 5年前の民主化と政治刷新のオレンジ革命は何だったのか。利権のうごめく政治で、国民の信頼を失うのは、どの国も同じ。

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2009年03月06日

小沢党首は辞任せよ

 「民主党お前もか」。町を流れる民の声は小沢一郎党首への不信と怒りに溢れている。
 準大手ゼネコン「西松建設」との黒い霧が検察の手で払われようとしているが、多額の献金を受けていた小沢氏側はひるむどころか検察ファッショといわんばかりに牙をむいた。
 野党第一党の豪腕で検察側をねじ伏せるのか。あえなく返り血を浴びて積年の夢を泡と消し去るか。
◇正直言って政界の改革浄化は一筋ではゆかない。
 西松建設との癒着の構図は小沢代表の公設第一秘書と西松前社長の逮捕で明るみにされるが、いわばそれは氷山の一角で、これを端緒に広く深く政界の悪の膿(うみ)を出してもらいたい。
 この悪の膿は破天荒の大仕事で、これまでの経験から国民は半信半疑で眺めている。
 なぜ半信半疑なのか。検察や司法はなぜか政治家に弱いからである。
 かつてロッキード汚職で逮捕された田中角栄元首相は被告であり乍ら日本の政治を支配し、ときの総理や官僚を意のままに動かした。
◇暴力団を動かして竹下内閣を生ませた金丸信元副総裁は5億円の違法な献金の処理で失脚したが、罰金20万円でけりをつけた。
 リクルート汚職で潰れたはずの政治家は中曽根、宮沢ら、いずれも蘇った。
◇最近の事件を見ても小池百合子防衛大臣(当時)と刺し違えた防衛庁の次官は逮捕されたが不信と灰色だらけの防衛庁の役人と業者、防衛族政治家への追及の嵐は吹かずじまいだった。
 「なんとか水」でごまかしきれずに自殺した元農水大臣は農水省の天皇のような存在だった。これを契機に緑公団を廃止したが、看板を換えただけで利権構図は温存された。
 本県の岩永峯一衆議員については宗教団体からの6000万円の献金が届出されていなかったと摘発されたが、検察の動きは鈍い。
◇国民は汚れた自民党を捨てて清い民主党を、と期待していたはずだが、今回の西松事件で、頭を殴られた。
 小沢党首はなんらやましいことはないと大見得を切ったが、世間さまの常識は通らない。民主党は火が拡大すれば自民党へも飛び火するだろうと読み、事実、自民党の大物にも西松資金が流れていた。
 これからどうなる、ではない。不況の嵐の中で苦しむ国民を前に何千万、何百万円の大金が業者と政治家間で動いたというウサン臭い話は徹底的に洗わねば国民は承知しない。
◇小沢党首が責任をとって辞任するのは当然だがその声が与野党とも上がらないのも不思議な話だ。信じた人から裏切られたという思いは民主党よ、さよならと発展しかねない大問題である。【押谷盛利】

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2009年03月05日

新聞の国際面が面白い(見聞録)

 仕事がら、毎日、いろんな新聞に目を通すが、政治、社会面に比べ、国際面はバラエティに富んでいて、読み比べを楽しんでいる。5日の4大紙は―。
◇いつも、国際面が面白いと感じるのは「産経」。特に中国、韓国、北朝鮮の報道に、ピリッと辛味を効かす。このほか、欠かさず掲載される記者のコラムが楽しみ。
 この日は、大韓航空機爆破事件の犯人、金賢姫・元北朝鮮工作員が産経新聞に寄せた手紙の全文を公開。日本語教育を受けた拉致被害者・田口八重子さんへの思いなどを綴り、日韓協力での解決を求めている。
 また、「中国国防費14・9%増」との見出しで中国の軍拡を大きく伝え、実質は「公表の2~3倍」との米国防省の指摘を付け加えている。
 コラムは、韓国が日本統治からの解放を求めて起きた独立運動の記念日「3・1節」を取材した記者が、「反日」の変化についてレポートしている。
 3月1日の記念式典に参加し、記者同士で日本語で話していても、何の「嫌がらせ」もなかったというもの。以前は3・1節には、日本人が街を歩ける雰囲気ではなかったという。情緒的な「反日」から理性的な「反日」へ変化したと、締めくくっている。
◇「朝日」は、建国60年を迎える中国関連の記事をシリーズで掲載。「節目の年、くすぶる騒動の火種」との見出しで、不正のはびこる政府や裁判所に対する国民の暴動を、どのように抑えつけるのか、政府の警備体制などを紹介。先月、北京の繁華街で、政府に不満を持つ男女3人が抗議の焼身自殺をしたことにも触れている。
◇「読売」は、「ド派手!中国カリスマ探偵」と題し、コピー商品や詐欺などのトラブルが絶えない中国で、私立探偵が存在感を増していると報じている。黒い帽子にサングラスでパイプを咥える探偵の写真が大きく配置され、目を引く。
 また、南アジアの国民的スポーツ「クリケット」のスリランカ代表がパキスタンでテロリストに襲撃された事件を取り上げ、「英雄へのテロ、衝撃」と、同国内での波紋を伝えている。
◇「毎日」は、米ロ外相会談を紹介し、「核軍縮どう進展」と、その経過を伝えている。
 このほか、「青天井の中国国防費」「失業農民工2000万人、国民の不安、不満増幅を警戒」と、中国関連報道が充実。
 「スマイル」と題したコーナーで、赤ちゃんを抱く若いベトナム人母親の写真を掲載し、アンハッピーなニュースの目立つ国際面にあって、安堵感を提供してくれている。
◇読者にとって、複数の新聞を読み比べる機会は、決して多くはないだろうが、国際面をはじめ、いろんな視点の記事を読み解くのも、新聞の楽しみ方かも。

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2009年03月04日

授業料未払いと卒業

 高校を卒業することになったが、授業料が未払いなので、卒業証書がもらえない、というニュースが話題となった。
 卒業証書を渡さないという校長をけしからぬと批判する内容だった。おかしな話で、入学のとき、授業料の支払いは百も承知のことであり、学校にはそれぞれ校則もある。
 生徒には親か親に代わる親権者があるはずで、教科書のほか必要な学習教材その他は親が負担するのが普通である。もちろん授業料の支払いもまぬがれるわけにはゆかぬ。
◇今はほとんどの子が進学するが、戦前はどんなに頭がよくても、あるいは勉強が好きでも家が貧しければ進学を諦めねばならなかった。
 担任の先生が、「お宅の子は優秀な成績を残しているから是非進学させてあげてください」と家庭訪問しても「先生、お言葉は有り難いが、私とこはまだ弟も妹もいます。その日の暮らしに追われていますので、とても上の学校どころではありません」と断るのがおきまりだった。
 それでも、勉強したい子は親に頼んで仕事に就きながら、夜学に通う「苦学」の道を選んだ。理解のある親類があれば「授業料だけは出してやるから勉強させよ」と助けてくれることもあるが、これは例外だろう。
 ところによっては早くから「育英資金制度」が確立していて、その資金を借りて進学するものもいた。
◇現在は育英資金制度が広く普及し、中央や地方のほか、学校にも恩恵を受ける制度が確立しているが多くは専門学校、大学等の学生が利用しており、内容も卒業後、分納の形で返済する制度と、返済の義務のないのもある。
◇新聞に報道されていたケースは、親や家庭環境のことには触れていないが、なぜ、授業料を払わないのか。あるいは払えないのかが問題である。
 たとえば、生活扶助を受けながら高級な外車に乗っているというものや、パチンコ通いしているものもある、と、国の税金の使い道の安易さが指摘されているケースがある。
 生活に困っていなくとも子の授業料を払わぬ親があるかもしれないし、事実、金がありながらわが子に給食費を渡さない親もあり、先生が困っているという話もある。
 仕事がうまくゆかずに破産したり、会社の倒産で職を失った人もあるだろう。この場合の授業料は大変な負担になるかもしれないが、それでも昔風の気質であれば親類に借金したり、質屋から金策したりして急場をしのいだ。万一、そういう金欠状態に陥り、学費が支払えないと分かれば、同級生や学校関係者、親類などの同情によって援助の手を差しのべることもあるだろう。
◇問題は、余裕のあるものが「ずる」をして、あるいは横着をきめて払うべきものを払わずに国や県に責任を負わせる不徳行為である。自分の尻は自分で拭くことの基本的なことが最近おろそかにされているのではないか。【押谷盛利】

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2009年03月03日

いよいよ最後の局面(見聞録)

 長浜市と東浅井・伊香郡6町による合併協議会は2日までに、すべての合併協定項目を承認。きょう3日夕方に協定書への調印式を迎える。
 あとは、各市町議会が「廃置分合」議案を議決すれば、合併が正式に決まる。
 ここに至るまでの紆余曲折は、長浜市議会の意見分裂が原因だった。最後の局面を迎える前に、市議会の実情を簡単に紹介したい。
◇そもそも、市議会は共産党を除いて、合併そのものには反対していない。合併による自治体運営の合理化を認めているからだ。
 しかし、川島信也市長の進め方を「性急すぎる」として、反対の声が徐々に台頭。そして、反対派が合併特別委員会の主導権を握ってからは、露骨に合併協議への反発を鮮明化させた。さらに、合併推進派の論客を「出席停止処分」で本会議から追い出すなど「前例のない」手段で、協議を翻ろう。
 ただし、あくまで、合併を成功に導くためには慎重な議論が必要との主張で、法期限内(2010年3月31日)の合併には賛成してきた。
◇市議会の過半数は合併推進派が占めている。多数決という民主主義の原則を用いれば、協議はもっと早く前進するはずだった。
 前進しない原因は、合併特別委員会にある。というのも、反対派が委員会の過半数を占めているからだ。各会派の所属議員数に応じた委員配分で、そういう構成になってしまった。
 「なぜ、市議会の過半数を占める推進派が、こうも苦労しなければならないのか」との嘆きも聞かれるが、推進派と反対派が僅差であることに加え、反対派の戦略が上手だと言えよう。
◇ところで、合併特別委員会の委員長は、合併協議会の委員を兼ねている。
 そして、協議会は運営規定に「全会一致の原則」を盛り込んでいる。これは、たった1人でも反対があれば、協議が進まないことを意味している。
 反対派は、合併特別委員会を通して協議会に反対派議員を送り出すことで、協議の破たんを狙った訳だ。
 ところが、川島市長に「全会一致の原則」を破られたため、叶わなかった。
◇今後は、6日の市議会本会議に提案される廃置分合議案の可否が最後の攻防となる。
 数では上回る推進派だが、反対派も慎重な議論を求めるとみられ、予断を許さない状況だ。
 いずれにせよ、合併の可否は、最終的に有権者の代表である市議会が多数決で判断する。
 議長、委員長の不信任動議が飛び交った市議会にあって、湖北地域の将来を占う最後の局面を、いかに公平に、公正に運営するのか。それは市議会の代表である山口忠義議長の手腕にかかっている。

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2009年03月02日

ふるさとの自然に還る

 口語自由律短歌誌「未来山脈」の宮崎信義代表が正月に亡くなった。97歳だから白寿といっていいだろう。葬儀の日、バンザイが三唱された。遺言によるもので、白寿というめでたさを思えば永遠の別れにふさわしい見送りの祈りといえよう。
 元旦は家族で祝い、二日の昼過ぎ、たった一人で昼食を食べるべく居間に座り、そのまま眼を閉じて眠ったように逝かれたという。
◇去る2月21日、京都弥生会館で未来山脈社葬の「偲ぶ会」が開かれ、ぼくも参列した。会の終わりにやはり弟子の剣持政幸氏の発声でバンザイが三唱された。
 宮崎さんは滋賀県の旧坂田郡息長村出身なので親近感が深い。
 旧国鉄神戸駅長を退職後、70歳からすべての職を辞し、歌一筋の晩年だった。昭和6年、前田夕暮の「詩歌」の会員となり、以来約80年間、口語自由律短歌に拠り、戦後は月刊「新短歌」を創刊し、後、光本恵子さんの「未来山脈」と合併し、歌壇の発展と後進の指導に当たった。
◇「未来山脈」の編集発行人・光本恵子氏は18歳の学生のころ宮崎さんを訪ねて弟子入りした一人で、足腰の弱まる晩年の宮崎さんを支えて、子が親に仕えるように親身に尽くされた師弟愛は文学作品を超えた崇高な人間の歩みを示されたものとして心を打たれた。
 あるとき、光本さんが長野から京都の宮崎さんに電話を入れると散歩中だった。
 「歩かねば歩けなくなってしまう」という師の一途な生活習慣への覚悟に言及し、長寿は偶然ではなく、並々ならぬ平常からの生命のこだわりによるものと3月号の誌上で述べている。
◇90歳を超えてからは、いつお迎えがあっても微動だにしない悠々達観の人生観が作品に出ており、その一部紹介する。
 「うすい煙が煙突から上がり出したいま私が焼かれている」
 「これからは年をとらない一人の旅か会いたい人には会えるだろうか」
 「白い骨になった脚の骨は意外な逞しさ九十五年を生きてきた」
 「骨壷に入って家へ帰ってきた静かに経を読むのは私である」
 次の歌は09年1月号の「未来山脈」に出ている絶筆である。
 「いつまで生きていられるか手足を広げて日光浴だ」
 「生きるのも死ぬのももうお任せだ神さま仏さまでお決めてください」
 「生きていようが死んでいようがどちらでもよくなったよいお天気だ」
 「自然はすべてを引き受けてくれるそのままに何事もなかったように」
 「ふるさとの自然に還る―それが何より―生まれ育ったところなのだ」。【押谷盛利】

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