滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



不遇の非正規労働者(見聞録)

 急速な景気の減退を受け、派遣や期間社員など非正規雇用の従業員の解雇が相次いでいる。
 湖北地域にも長浜キヤノン、ヤンマー、日本電気硝子などが地域の雇用を支えているが、不景気による受注の減少で、生産量を大幅に抑制している。現場の労働者は「仕事量が半分に落ち込んでいる」「3分の1以下になっている」と語り、生産ラインがストップすることも少なくないという。
 長浜市が昨年11月に行った調査では派遣労働者ら非正規雇用の労働者が昨夏に比べ2割、約500人が減少していることが明らかになったが、年末年始にかけてさらに大幅な人員削減が断行されている。
◇県内5工場で期間従業員約500人の半分にあたる250人の削減を決めたヤンマー。対象者には14日の「夕礼」の際、来月2月15日に満了となる契約を更新しないことが伝えられた。期間従業員には寝耳に水だが、生産量の激減を受け、覚悟していた従業員もいた。
 残された250人の期間従業員は胸を撫で下ろしたが、今後も半年ごとの契約更新となっており、「次こそは」と解雇の危機に怯えることになる。
◇湖北地域の他の製造現場では、深刻な「派遣切り」の実態を聞く。「手袋を忘れた」「証明書を所持していなかった」などを理由に、その日のうちに解雇に追い込まれ、派遣会社の寮も追い出されるケースも。
 14日夜、JR長浜駅の1階待合室で、派遣会社の寮を追い出された男性(34)が一夜を過ごそうとしているのを、長浜市議が保護した。男性は1カ月ほど、湖北、湖東地域の公園や駅で野宿を繰り返しており、市議が風呂に入れたり、電車賃を手配するなどして、住民票のある福井県内へ見送った。男性は訳あって神奈川県内の実家に帰ることができず、今後、大阪の派遣会社を目指すという。
◇一方で、嬉しいニュースも。今朝、派遣会社を解雇され、新しい職場を探していた知人の女性(32)から「正社員採用が決まった」とのメール。彼女は大手金融機関に勤務していたが、1月末での解雇が決まっていた。同じく解雇される同僚ら約90人とともに、新しい働き口を探していたが、「コンピュータープログラマーなど技術職なら月給20万円以上の正社員採用があるけど、ほとんどが15万円前後。35歳以上は満足な求人さえない」と厳しい現状を目の当たりにした。35歳以上の同僚は、未だ、職を探しているという。
◇請負・派遣の非正規雇用の労働市場はここ数年で巨大化した。大手メーカーの仕事ができるというブランド意識も手伝って、20代、30代の若い労働力がどんどん請負、派遣業者に吸い込まれた。
 しかし、不景気で雇用環境は一変。非正規の従業員は元々、生産の「調整弁」的役割のため、真っ先に人員整理の対象となっている。
 企業を支えてきた非正規労働者の不遇を聞くたび、労働者の生活を守り抜こうという家庭的精神を抱く経営者は、今の日本からいなくなったのか、と悲しくもなる。

2009年01月16日 15:34 |


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shigayukan.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2743

過去の時評


しが彦根新聞
 
長浜市
長浜市議会
長浜観光協会