逆境で夢を抱く(見聞録)
昨年末から急降下する経済情勢に、仕事初めを暗たんたるムードで迎えた方も多いことだろう。
寮を追われた派遣労働者のホームレス化、わずかな売上金を狙ったタクシー運転手の強盗殺人など、日本の先行きを不安にさせるニュースが年末年始に相次いだ。
金融危機を引き起こしたアメリカでは、解雇により路頭に迷う国民が溢れ、ローン滞納による住宅の差し押さえで、ゴーストタウン化する町もあると側聞する。
◇物質的豊かさを謳歌してきた日々の生活が急降下するのだから、不安を抱くのは当然だが、嘆いてばかりもいられない。
今、パレスチナ自治区ガザでは、イスラエルによるイスラム教原理主義組織「ハマス」の掃討のため、空爆に続いて地上戦が始まり、市民生活が破壊されている。そして、イスラエルの攻撃を誘発したハマスは、ガザ市民を守る訳でなし、市民を盾にした市街戦で徹底抗戦するもようだ。
被害に遭っているのは、ハマスの戦闘員だけでなく、女性や子どもら一般市民。住居を破壊され、家族を殺され、逃げ出す場所もなく、水も食糧も枯渇した生活の中―。
明日を生きられる可能性さえ見出せないガザ市民、それ以上に民族虐殺、飢饉、貧困、病気が蔓延する後進国の国民を思うとき、日本の不景気は人が生きられない程の危機なのか。
そういう乱暴な視点に立てば、経済的逆境を嘆くよりも、焼け野原から経済大国を築いた先輩方の汗と夢に思いを馳せたい。
◇新しい夢に前向きでありたいと願う新年早々、小生は突然、元プロ野球投手と栗東市で食事する機会に恵まれた。
小学校、中学校、高校時代に同級生だった彼は、社会人リーグなどを経て単身渡米し、マイナーリーグで活躍。29歳にして日本プロ球界入りし、オールドルーキーとして注目を集めた。2004年以降77試合に登板し、昨年、戦力外通告を受けた。
スポーツ紙記者の計らいで、10数年ぶりの再会となり、昔話で盛り上がった。もちろん、プロ選手生活について、例えば全国各地での転戦の様子だったり、各選手の人柄だったり、各地の旨い焼肉屋の話だったり―。
「今が一番投げられる。今後10年は米球界で活躍してみせる」と語る彼だが、その自信は、これまで重ねてきた努力と経験に裏打ちされたものだろう。何より「野球を出来る喜び」を希求しているのではないか。
プロという夢を叶えた彼は、現在は「無職」だが、米球界への復帰を目指して日々トレーニングを重ねている。
どんな境遇にあっても、己の力を信じ、夢を抱くこと。それが今の日本人に求められている。
2009年01月06日 16:47 | パーマリンク
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