滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



内需振興と財政出動

 もうすぐクリスマス、お正月、というのに世の中の表情は明るくない。
 世界同時恐慌という物騒な言葉が新聞やテレビに出るようになったが、それが一過性のものではなく、長く続くのではないかという悲観的観測が恐ろしい。
 手元の辞書で「恐慌」を引くと、「生産過剰などの原因により、経済が一挙に不況のどん底に落ちる現象。価格の暴落、失業者や滞貨の増大、企業の倒産、銀行の取り付けなどの混乱が起こる。パニック」と説明している。
◇世界一の車生産を誇ったトヨタが減産体制に入ったとたん、名古屋を中心に中部地方の経済が風邪を引き始めた。
 アメリカのGMなどビッグ3の大手自動車メーカーの危機にはアメリカ政府が緊急の財政出動に出たが、国や地方自治体が「助けて」の声に一々財政出動をすれば国の財政がパンクする。
 国の支援の限界と財政出動の効果的政策が問われるが、経済そのものが生きものであるから数学で方程式を解くようにはゆかない。
◇円高影響で輸出産業が手痛い打撃を受けている日本だが、では、それをカバーする意味で内需の開発振興に力を入れては、という意見があるが、それは理屈であって今、日本に内需喚起の起死回生の政策はあるのか。
 例えば、麻生内閣の実施しようとする2兆円の給付金。これは国民に一律、お年玉をプレゼントするようなものだが、それが内需を呼ぶきっかけとなって景気にはね返るか。専門家の多くは否定的であり、逆に2兆円という財源の乱費が財政秩序を壊すのではないか、という厳しい意見がある。
◇それでは、大胆な公共投資を進めては、という提言もある。いつの時代にも公共投資への財政出動は景気振興のカンフル剤の如く言われてきたが、これも特定業界をうるおすだけで、厖大な投資による財政赤字や赤字公債なる負の部分が警戒されるようになった。
◇公共投資は何も建設業界の専門用語とは限らない。医師不足に対する対策、高齢者用の福祉施設、山林資源の保護整備、健康保険の国庫負担の増額、食糧自給率向上の対策。その他、国民負担を軽くする財政出動は枚挙にいとまないが、しかし、それらの財源はどこに求めるのか。政府は年度の始めに一年間の歳出歳入予算を決め、なし得るぎりぎりの線で国家国民の繁栄を図るべく、国会の承認を得ている。
 もし、年度途中で、特別な財政出動を実施しようとすれば、単純にいえば、歳出を減らすか、増税するか、赤字国債を発行するしかない。歳出の圧縮は逆に民需の陰りを誘うことになり、国民の反発を招くであろうし、増税は消費税で明らかなように国民の理解が得がたく、それ以前に行政改革から始めるべき、との声が強い。
 赤字公債の発行は非常時には許されても平時にこれを易々と行うようなことがあってはこれは政治ではない。
 国の財政規律を根本的に崩すのみならず、次世代へ重い借金を背負わす結果になり、まじめな政策とは言えない。
 以上、考察したように内需振興の国策的妙案とは言うべくして、行い難いのが実情である。
◇ここで内需を考えてみよう。内需とは国民が財布の紐を解(ほど)いて、ものを買ったり、旅行したり、好きなことをしてお金を使うことである。
 内需の筆頭は住宅及びその関連、自動車、電化製品、情報関連機器、これに次ぐのが衣料、食糧、医薬、さらに生活内容を充実するためのレジャー、教養、趣味、旅行、観光。
 ちまたには格差社会を批判する向きもあるが、今の日本の国民の多くは、生活の質に恵まれており、まごうことなく中産階級化している。したがって、欲しいものは一応満たしており、さらなる内需を期待することは非常に難しい。しかも金融不安がそれを抑止する傾向にあることを知るべきだ。【押谷盛利】

2008年12月22日 14:36 |


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shigayukan.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2704

過去の時評


長浜市
長浜市議会
長浜観光協会