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鎮魂と復興の願い込め(見聞録)

 「○○ちゃん。これって何で光っているか知ってる?」「これはね、地震でたくさんの人が死んで、その人達を忘れないように光っているんやで」―。若い母親が5歳くらいの女の子に話しかけていた。
 先週から始まった「神戸ルミナリエ」の会場での話。若い母親がこう教えるように、神戸ルミナリエは未曾有の被害を出した阪神淡路大震災の犠牲者を鎮魂し、都市の復興を願い、大震災の発生した1995年の12月に初めて開催された。
◇港町・神戸を象徴するように外国人公館などが並んでいた旧居留地内の通りに、独特の幾何学模様のイルミネーションを飾り、近くの遊園地に、敷地を取り囲むように光の壁を建てている。
 クリスマス時期の神戸のイベントとしてすっかり定着し、全国各地から観光客が訪れている。14回目を迎える今年は開幕5日間(4日~8日)ですでに145万人が足を運んだ。
 大混雑のため、一帯の歩道、車道はすべて規制され、大阪―神戸間には臨時列車が運行されている。
 昨年は400万人の観光客が訪れたという。
◇震災時、神戸に住んでいたことから、当時からルミナリエ会場に足を運んでいるが、観光客の増加に反比例して規模は年々縮小しつつある。
 というのも、開催を支えてきた企業の協賛金が年々減り続けているためだ。昨年は赤字になり、前年度からの繰越金で補てんした。このまま、赤字が続くようであれば、存続が危ぶまれるという。
 このため、会場では観光者からの善意を募り、募金箱を持ったスタッフが「来年も開催できるように協力を」と呼びかけていた。
 また、14回目ともなると、単にイルミネーションを楽しむクリスマスの催しと化し、会場ではカップルが電飾にうっとりしたり、記念写真を撮ってはしゃいだりと、犠牲者の鎮魂というムードは感じられない。
 今の神戸の復興を象徴しているとはいえ、もし、犠牲者の鎮魂という主旨が忘れ去られているならば、開催当初から見守っていた被災者や神戸市民には複雑な思いがあることだろう。
◇そこで冒頭の母親の会話が出てくるのだが、単に芸術的イルミネーションに感動するだけでなく、そこに込められた願いや思いを知り、震災の記憶を受け継ぐ「きっかけ」として、末永く開催されれば、と来年以降の存続を願っている。
 神戸ルミナリエは15日まで。

2008年12月09日 18:30 |


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