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反自然生活への反省点

 人知が進んで世の中が開け、精神的、物質的に生活が豊かになったことを文明というが、それがいつの間にか精神文明の方を置き去りにして物質文明を限りなく追求するようになった。その結果、科学、技術に溺れ、心の重要さと大自然に生かされていることを忘れるようになった。むしろ自然を征服するのが高度文明であるかの如く錯覚するようになった。精神の狂いや不可解な犯罪が増加する今日的危機は、天上の神の「自然に還れ」の警鐘と理解すべきだが、残念にもその神の声は無視され続けてゆく。
◇ぼくは、厚生省元次官らを襲撃、殺傷した小泉毅容疑者の犯罪を通じ、さきの秋葉原の無差別殺人事件など一連の不幸な事件は容疑者の脳の狂いによるものではないか、と推論し、その原因について、現代の高度文明社会のもたらした複合汚染によるものだ、ときめつけた。そして、その複合汚染の実態は、水、空気、土、農水産物、食品、電波、ITを含めた情報化、子育て、教育等における広汎、かつ複雑な汚染の混合による心と肉体の破壊につながっている、と推論した。
 この複合汚染の実態を別の面から見れば、まごうことなき自然への反逆につながっており、それゆえに近年、「地球を自然に返せ」「地上に緑を」「地球の温暖化を防げ」等のキャンペーンが国際的に言われ出した。
 自然に対する反逆が人間の心や肉体を傷つけることを知った人は幸せだが、それが真に人類の幸せに通じるためには、それを知った人が勇気と情熱で「反自然」と戦うことが不可欠である。
 しかし、この戦いは容易ではない。ガンでいえば4期、5期に進んでいるからだ。
 ぼくは声を大にして、同胞を救うため自然に還れの運動を提唱しているが、その輪の広がりを期待するばかりである。
◇いま、国民は時計を見て時間を判断するが、その時計はデジタルである。デジタル以前は長針と短針を見極め、11時15分前、11時15分と脳の働きで判断した。幼児の計算能力の出発点でもあった。今は見た瞬間、何時何分と数字が示し、考える必要はなくなった。コンピューター技術の進歩によるものだが、これがドアの開閉や空調、炊事、洗濯、風呂など日常生活は申すに及ばず、あらゆる生産現場に駆使され、ロボット時代へ突入した。
 他方、現代医薬の発展は、人の死を限りなく延ばし、百人が百人、クスリ漬けの生活を余儀なくされている。
 人間が創造の神から頂いた自然治癒力は時とともに弱まり、長寿はしても人の介護なしには生きられぬのが実態であり、歩くための足が機能しなくなってしまった。
 今年は柿の大豊作だが、農村へ行けば分かるが鈴なりの柿が収穫されず、日に輝いている。子供はもちろん大人さえも柿を食わない。
 農家に聞くと夏の西瓜(すいか)さえ、近年はあまり喜ばれなくなった。無花果(いちじく)も食べる人が少なくなった。子供たちは皮を剥いたり、種を出したり、噛むことを拒むようになった。飲みものやクリーム状にしたものを好み、総じて原型のものより加工したものに目が向く。
 ものを噛むことをしないから歯の力もアゴの力も弱まるし、噛むことによる唾液の殺菌の効果も得られなくなる。
◇食生活でいえば脂肪分の取りすぎがやかましいが、今はあらゆる食品に脂肪が用いられる。砂糖の取りすぎも指摘されるが、一切の加工食品に甘みがふんだんに使用されて、食べ物の本来の味が忘れ去られてしまった。
 食生活の豊かさと飲料加工品漬けの結果、おなかを悪くしたり、いつも満腹感を持つものが多く、結果的に胃腸のクスリを併用することが目立つ。人を健康にし、働く力を付与する食品が逆に病人を増やす作用をする。
 これらはごく一例だが、自然に反する生き方は必ず自然の反発を受けることを知らねばならぬ。【押谷盛利】

2008年12月08日 17:24 |


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