複合汚染と幸せの鍵
人間の身体と心を壊す原因について、複合汚染の恐怖に触れてみたい。
汚染とは汚れることであり、その汚れが貯まったり、ひどくなると身心の健康に悪い影響をもたらす。体の汚染で一番分かり易いのは水俣病など公害による魚類、猫、人間の被害である。
この系統はイタイイタイ病にもつながるが、水俣病は汚染が集中的だったため被害範囲が広く、死亡や重症者が顕著だった。
琵琶湖も一時期、死の湖直前に至ったが、漁業が海ほどの規模でなく、食生活での依存度も海水産に比べて低いので、大騒ぎにならなかったが、それでも湖魚の病気、変形、死滅が問題になり、湖水をクリーンにする運動が急浮上した。
湖魚の水揚げが往時の10分の1以下になったのは100%公害による。
ぼくの友人が、いたいいたいと十年余りも苦しみ続け、最後は死亡したが、ぼくは湖魚による一種の「イタイイタイ病」ではなかったかと推測している。
◇汚染は広く環境汚染でくくられるが、そのなかで一般的なのは空気汚染と水汚染である。ところによっては鉱山や工場内での粉塵汚染もある。
空気汚染はガソリンや重油によるものが一番ひどく、川崎、名古屋、尼崎、四日市など国を相手の被害者裁判で国が敗訴したことは衆知の通りである。これらのほか工場内での有毒ガスもしばしば問題化している。
水の汚染は近年とくに頻発している。工場跡地の化学物質が地下水を汚すケースが多く、また全国的に広がった開発の影響で、化学物質による地下水汚染は想像以上である。全土に建設されたゴルフ場の場合、芝生保全のための除草剤などが地下水を汚していることはまぎれもない事実。近年流行の登山熱のもたらす人糞被害も限界に達している。
その他、産業界全体が費消する化学物質の被害は捕捉しにくいが、広範囲に長時間、見えぬ形で水や空気や土を汚染している。
その最大のものは殺虫、除草剤等の農薬であり、今一つは家畜類からの排泄物と水産養殖業の用いる化学物質であろう。
農業においても昨今は果実のほか促成・抑制栽培における薬品使用が増えるばかりである。
このほか騒音公害、建物の資材による薬品公害、各種電波による見えざる公害も無視できぬ。
◇空気や水、騒音などによる肉体的、精神的汚染が東の横綱とすれば、食品汚染は西の横綱であろう。食品汚染は偽装や産地ごまかしなど目に余るものがあるが、最大の心配は化学物質の限りなき普及である。
もはや、日本の食品に自然食を求めるのは不可能になった。農家が自家生産する味噌や漬物ぐらいで、他の一切の市場流通食品は化学物質に丸漬かりである。
日常生活で不可欠の醤油や酢、茶に至るまで自然の姿は消えてしまった。すべてが人工の調味料や色彩、匂いで、われわれの舌の感覚を麻痺させてしまった。
魚も肉も野菜も果物もすべてが化学物質やクスリの洗礼を受け、それらの物質の安全許容量は規制されているが、摂取した後の体内での蓄積による影響は無視されており、例えば胎児における母乳公害など戦慄(せんりつ)すべきものを抱えている。
◇以上の水、空気、食品の3大汚染に今一つ、近代化汚染が後を追う。
さきにもふれたが電波汚染のほか、テレビ、インターネット、ケータイなどIT汚染が人間の頭脳を汚し壊してゆく。そうして、これらありとあらゆる汚染が互いに混(ま)じりあい、いわゆる複合汚染を形づくってゆく。だから体をやられているとか、心をやられていると疑っても、どこの汚染なのか、何による被害なのか、単純にきめつけられなくなった。
つまりAの汚染、B、C、Dと幾つかの汚染が混じりあって、ときには体をおかしくし、ときには脳をおかしくしてゆく。
政治も、国民も、これから眼を離してはならないし、それに気づけば生き方に変化がある筈。それが現代人の幸せの鍵である。【押谷盛利】
2008年12月06日 17:45 | パーマリンク
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