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脳内の司令塔と教育

 現代の悲劇は、幸福を目的とする近代文化によって、不幸と破滅への墓穴を掘りつつあることだ。
 近代文明が人間を破滅するとは信じ難い矛盾ではないか。
 しかし、その矛盾が至るところにぼろを出し、わけの分からぬ殺人事件があちこちに頻発している。
 狂っているとしか言いようのない不可解な殺人事件はもとより、「なんでそんなおろかなことを」と思われるような事件があきもせず起きており、そのなかには社会的地位や指導的ポストの人もあって、逮捕されたり、職場をクビになったりしている。
◇ぼくは善悪をコントロールする脳内の司令塔が故障したり、正しく機能していないからだと述べたが、それでは脳内の故障は何によるのか。
 一つは先天的なもの、今一つは後天的なものといえる。
 先天的は遺伝子もあるが、そうではなくとも精子、卵子による受精の影響もあれば、胎児の受ける環境や母乳も大きな関わりを持つ。
 胎児の影響を受ける環境とは妊婦の生活すべてといえる。汚染された食べ物や情緒不安のテレビ、ネットがそのまま胎児に影響することは、子と母が1本のヘソの緒でつながっていることからでも理解できる。妊婦と胎児はまさに一体なのである。
◇後天的とは、生まれて成長してゆく段階で、乳幼児期はもちろんのこと成人になるまでの親や家庭の責任は大きいし、学校での教育も大きなウエイトを占める。
 いま、子どもの精神的健康面で一番問題視されているのはケータイ、メール、ネット、テレビゲームである。ろくでもない過激な映像に刺激されたり、出会い系サイトによる不純交際や売春、集団万引、暴力など情報産業のもたらす子どもへの悪影響は目に余るものがある。
 かつて、森喜朗元首相は在任中、「IT革命」を振りかざしアホの一つ覚えのように宣伝した。業界にどれだけの功績があったのか知らぬが、02年から全小中学校にパソコンの導入がすすめられた。
 これの悪影響によって子どもたちはパソコンやゲームから離れず、勉強を捨てて非行に走ったり、問題を起こすことが多くなった。
 大学生の大麻汚染も無関係ではない。
◇子どもの精神汚染はそればかりではない。生まれて、この方、大人たちの生活や社会のもろもろのあり姿をしっかりと眼と耳で感知しているのだ。
 これを簡単にいえば自然の広場で、多くの人間とのふれあいの中で成長するのではなく、閉じこもった家の中、大人の近代化社会のひずみの中で親の愛、社会の愛から疎外されて育ってゆく。
◇さらに教育公害が輪をかける。「競争は悪い、差別を招く」として、小学校の通知簿に反対したり、運動会の1等2等をやめたり、子どもの前で校長おろしをやったり、デモにゆくからといって授業を放棄したり、日本の歴史や伝統を否定するばかりか、国旗や君が代を足蹴(あしげ)にするばかりの先生が教育界をリードしてきた。それがいま問題になっている日教組(日本教職員組合)の社会主義革命路線なのである。
 子どもの心にやさしい情緒を植えつけるのではなく、闘争と破壊の運動の種をまいてきた。これらが相乗効果して、子どもたちの精神汚染を深めてきた。
 子どもの柔らかな肉体と精神は摂取する飲食物と教育環境によってプラスの方向へもマイナスの方向へも伸びてゆく。
 飲食物の汚染のひどさは稿を改めて書くが、こうして抵抗力の弱い子どもが全身的な複合汚染の犠牲になり、体を壊すもの、心を壊すもの、それをひきずって大人になってゆく。【押谷盛利】

2008年12月04日 15:23 |


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