滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



国から金がもらえる話

 分からないことの多いのが政治である。
 変な話である。国民に分かる政治が本当の民主政治と思うのに、実態は必ずしもそうでなく、目下、もたもた迷走している国会解散、総選挙も、麻生総理が打ち出した新総合経済対策もフタを開ければなんのことはない、一にも二にも選挙に勝つことを前提にした戦略である。
 自民党の中には、一部に敗戦覚悟論がある。これまでの安倍内閣以降の政権のもたつきと目下の世界的経済危機を考えると、いつ選挙をやっても負ける公算が強い。どうせ負けるのなら任期いっぱい来年の9月まで解散をしなければよい。そうすれば麻生内閣も短命に終わることなく、ほぼ一年間政局を担当できるのだ、とする考えである。
◇これに対し、民主党に政権を渡すことはできない。それが国民に対する自民党の責任である。
 ならば、選挙民に支持される政策を現実に打ち出し、反応の一番いい時期を選んで解散し、有利な選挙に持ち込めばよい、という積極派の意見が有力である。積極派はそこで、国民受けのする現実的政策を考えた。これが麻生首相の発表した新総合経済対策である。
 この新政策、分かり易くいえば釣り師がよくやる撒き餌である。釣り場一帯に広く餌を撒くと魚類が集中する。それを狙って目的の魚を釣るやり方がこれである。撒き餌であるから評価され、みんなが飛びついてくる内容を盛らねばならぬ。
 そして、何よりも分かり易く、手っ取り早い方がよい。
 だから一律に全世帯に定額給付するとか、高速自動車の使用料を1000円に減額するとか、住宅減税などを約束するのである。
 世間ではこれをバラマキという。バラマキでなければ撒き餌の効果はないのだから小難しい理屈は言いっこなしが、目下の自民党の政策本部の本心である。
◇ぼくが分からないことの多いのが政治であるといったのはこれを指す。国は歳出は増える一方だのに収入である税収は伸びず、台所は火の車。福祉を減らしたり、埋蔵金を崩したり、ことによっては赤字国債も発行しなくてはならぬ。
 そんな財政困難を百も承知しながら気前よく国民にお金をくれてやるというのだ。
 間もなくクリスマス、そしてお正月だからそのプレゼントやお年玉なのかもしれない。総理の演説を聞くと全世帯を対象に、4人家族で6万円ぐらいのバラマキだ。
 だれだって無条件で国からお金がもらえて悪い気はしない。人間はもともと欲の皮の厚いもので、頂けるものなら日暮れの葬礼でもいといはしない、というくらいだから結構な話ではないか。
◇ところで、この話、最初は定額減税に出発した。減税である以上、納税者を対象に税を減らすか、一部を戻すかのどちらかである。しかし、納税者を対象にすれば、税を納めていない貧乏人をおいてけぼりにすることになる。それでは一律におかみのご威光が届かないではないか。
 もともとこの発想は選挙に勝つための仕掛けであるから、国民みんなに喜ばれる方法にせねばならぬ。
 だから減税と言わず、定額給付と呼ぶようにした。要するに、もれなく配るのである。この、もれなくというのがミソである。
 そうは言ものの自民党の中で異論がないわけではない。
 与謝野経済財政相は2千万も3千万もの収入のあるものにも渡すというのはおかしい、と主張している。
 これに対し中川財務・金融相は市町が交付手続きをするので、高所得者を除くのは手続きが複雑化して難しく、年度内支給が困難になる、といって一律バラマキを首相に進言した。
 もれなく一律というのは「満遍(まんべん)」にということ。まんべんなく配るということで、それは有り難いが、国にはお金があるのか、ないのか、もしあるのなら、もっと知恵を出して、と思うのだがやっぱり政治は分かりにくい。【押谷盛利】

2008年11月05日 16:25 |


過去の時評


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
“新聞広告の資料請求、ご案内はこちらから"
 
長浜市
長浜市議会