北に屈した米国外交
アメリカ政府が11日、北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除したことが日本外交を痛撃した。
事前に米政府から話を聞かされていた日本政府は中曽根弘文外相を通じて遠まわしに反対の意志を伝えていたが、日本政府がもたもたしているうちに問答無用とばかり、さっさと解除を発表してしまったアメリカ。
◇それにしても後味の悪い日米外交である。日本外務省のとらえているアメリカ側の情報がどの程度のものであったかは今度のケースが明らかにしたが、正直言って間ぬけのお馬鹿さんだった。
15日付の産経によると、米朝間では10日に解除するとの密約があったという。
10日というのは朝鮮労働党創建記念日で、たまたま労働党の党首であり、国家の元首でもある金正日将軍の脳梗塞病臥情報も作用して、いわば北朝鮮の顔を立てて断行したが、日本との調整のずれで11日になった。
予定の10日がストップしたので、日本政府はやれやれと安心したのであろうが、先方は事前に日本に話した、との道筋論で、その批判を封じる作戦だった。
いずれにしても日本の反対を無視して、解除に踏み切ったのは確かで、ブッシュ政権の頭の中は日本よりも中国や北朝鮮の方が大事なのであろう。
米政府の対日本への裏切り行為に日本政府がどんな反応をするかが注目されたが、なんのことはない。麻生首相は14日の参院予算委員会で米政府のやり方について「不満ではあるが、核の問題を動かす一つの手段として分からなくもない」としぶしぶ理解の態度を述べた。
◇これで、日本国民が心配している拉致被害者救済問題は吹き飛んだ。
北朝鮮は「つべこべいうな。アメリカは理解してくれたではないか。これから制裁もなくなり、食糧、肥料その他の援助もあるはずだ。日本も経済制裁をやめるがよい。そうすれば、拉致問題も調査する」とふんぞり返るに違いない。
いずれにしても今回の件はアメリカ史上における屈辱的外交であり、ブッシュ政権の苦悩とあがきを際立たせた。
ブッシュ大統領は、イラクの泥沼闘争から手を引きたいし、差し迫る大統領選までに北朝鮮から名目上の核停止外交を確立しておきたかった。
したがって、ごてごていう日本につきあいきれず、先行して指定解除に踏み切ったといえよう。
◇しかし、アメリカ世論はどうだろう。アメリカの国会はそれをOKと拍手するだろうか。
北朝鮮という「ならずもの国家」は現実に日本人や韓国人を拉致して、いまだに帰すことを拒んでいるではないか。
そればかりか、今度の米朝間の決定についても「核実験場など未申告施設への査察には北朝鮮の同意が必要である」むね明らかにした。
いま北が査察に応じ、施設の無能力化を約束しているのは、老朽化して、最早や必要のない寧辺だけである。北は取るものは取り、どうでもよいものだけを渡したのであり、その代償は大きい。【押谷盛利】
2008年10月16日 17:13 | パーマリンク
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