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生態系サービス(見聞録)

 「生態系サービス」なる言葉をご存知だろうか?
 生態系が人間にほどこすサービスを指し、分かりやすい例を挙げれば、植物の持つ二酸化炭素吸収能力だったり、森林の水源保全機能だったり、ミツバチを介した受粉もそう。
 このほか、動物、魚は人間の食料に、植物は建築物や衣服の原料に、風や水は発電などのエネルギーに、微生物は廃棄物の分解にと、あらゆる生活の中で生態系は人間にサービスを提供している。
 にもかかわらず、人間は生態系から恩恵を受けるのを「当たり前」と思い込み、大気や水、土壌を汚染し、森林を伐採し、自然を酷使してきた。
◇今、その生態系サービスを、経済的指標で評価しようとの気運が高まっている。
 バルセロナで開かれている国際自然保護連合の総会で興味深いデータが明らかになった。
 生態系の破壊を、経済的損失で換算したもので、現在進行中の破壊がこのまま続けば、人間が受ける被害額は少なくとも年間5000億ユーロ(約6兆7500億円)に上るという。
 国際研究グループが発表した報告書によるものだが、報告書では、2000年時点で残されている自然の11%が50年後には農地造成や開発により破壊されると予測し、森林伐採による二酸化炭素の吸収量の減少、水源保全機能の喪失、土地の荒廃による農林業の減産などの損失を、排出量取引市場で売買される二酸化炭素の価格などを参考に算出した。
 年間6兆円を超える損失とは尋常ではないが、実はこの数値、陸上の生態系破壊のみから算出しており、海の生態系を含めるとさら膨れ上がるとみられる。
◇人間は、地球の育む自然の恩恵を受けて、豊さを追求してきた。
 鉱石や石油、ガスを掘り起こし、野原や山を削って道路を造り、大気を汚して車を走らせた。森林を伐採し、湾を埋め立て、工場やマンションを建設。飲料や工業用水のため、地下水をくみ上げ、汚して、川に流した。また、防災のためと、谷に巨大なダムを建設し、河川をコンクリート化した。
 地球温暖化により、自然との共存を無くしては未来が無いことに気付いたが、ただと思って酷使してきた自然の生態系の代価、決して安くはないようだ。

2008年10月14日 15:58 |


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