農村の原風景を訪ね(見聞録)
先週末、草津、有馬と並ぶ日本三大薬湯のひとつ、松之山温泉を訪ねた。
長浜市平方町のペン画家・小野信吾さん(82)夫妻と、小野さんの友人の写真愛好家というメンバーに、運転手役として参加。
新潟県の山中にある松之山温泉までは、北陸自動車道を利用して5時間ほどの距離。
我々が訪れたのは温泉街から少し離れた高台に立つ明治39年創業の宿。建物はレトロな雰囲気が味わい深く、庶民的な気安さがある。創業当初から守り続けてきた木造の浴室が自慢で、洗い場も板張り。四角い木の浴槽が2つ並んでいる。
松之山温泉は古くから湯治に利用されており、1200万年前の海水が地中に閉じ込められたという源泉は塩分を帯び、とてもしょっぱい。
◇新潟の山奥ということもあり、非常に肌寒く、宿では我々の到着に合わせてストーブを出してくれていた。女将によると、この地域は豪雪地帯で、冬場の積雪は4㍍前後に、水墨画のような白と黒の世界になるという。積雪が6㍍を超えた年もあり、これほどの豪雪地に人が暮らすのは全国でも珍しいとか。
高台にあるということで、早朝、遠くに雲海が広がっているのが見えた。
◇今回の旅行の目的は、温泉ではなく、茅葺き集落が田んぼを囲むように立ち並ぶ「環状集落」を訪れること。
小野さんは全国の茅葺き集落や古い町並みのスケッチをライフワークとしており、この旅行では、新潟県柏崎市から少し東へ入った高柳町の「荻の島かやぶきの里」という集落を目指した。
ここは、農林水産省などが主催する「美しい日本のむら景観コンテスト」で大臣賞を受賞したこともある集落で、20戸余りの茅葺きの家が大切な田んぼを守るかのように、たたずんでいる。
昭和初期には100戸ほどだったが、今は過疎化で40戸ほどに減っている。それでも、半分が茅葺き屋根を守り続けている。
収穫を控えた稲穂と畦(あぜ)に咲くコスモスが風に揺られ、日本の農村の原風景を彷彿させる。ただ、牧歌的な雰囲気を楽しめるのも、あと少し。ここも、あの宿一帯もすぐに雪に埋もれてしまうことだろう。
◇それにしても、小野さんのバイタリティには驚かされる。旅行の日程を決めてから1週間も経たないうちに、目的地と宿を探し、道程をチェック。インターネット、カーナビを駆使して、何から何まで手配した。小欄は小野さんの指示通りにハンドルを握るだけだった。いくつになっても探究心を持ち続けるその姿が、今回の旅で、最も印象に残った。
2008年10月03日 14:42 | パーマリンク
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