被害がなければ安全か
このごろ、腑(ふ)に落ちないことが多いので、読者からも痛烈な政治批判や役所批判の声が寄せられています。
ぼくは腹が立つと、すぐまくし立てる性格なのですが、これは私憤ではなく公憤です。インチキ商品のまかり通る世の中は、大量生産、大量消費をいいことにいわゆる商業道徳がかすんでしまったからですが、インチキにもよりけりで、いやしくも人命や健康に関する限り、毅然とした行政指導や監督が望まれる。
ところが最近問題になっている汚染された工業用コメや、中国からの輸入牛乳加工品、さきの毒ギョーザ事件、インチキウナギなどに対する政府当局の対処は、国民の健康を思っているのか、業者の健康を思っているのか、まことに歯がゆいばかりである。
例えば、牛乳は水を割って、その薄めた部分を有害な化学物質を添加することによって偽装しているわけだが、これを原料に粉ミルクにして中国では死者まで出る騒ぎである。
この原料牛乳を使って中国の工場で加工した乳製品が菓子の原料として日本に持ち込まれたり、なかには製品化して日本に入っているケースもある。
マレーシア、シンガポール、その他国民保健に鋭敏な国は、すぐさま輸入禁止の処置をしているが、日本はマスコミが騒ぐだけで、なんら積極的な安全策をとらない。
◇毒ギョーザでも同様で、当初から中国の工場もしくは中国内の流通過程で混入されたにも拘わらず、日本の外務省は日中双方で調査をするという。先方主導の無責任流に乗ってしまった。
そのあげく、中国では、毒ギョーザで、あちこち被害が出ているが、それにも拘わらず、この問題の究明に極めて消極的である。
◇今度の工業用加工米は、汚染されていたり、カビが生えていたりして、食品には全く不向きであるのに全国的規模で大量に出回った。
ただに近い超安値で農水産省から買い入れた業者が「安くて、儲かる」ことを吹聴して、あちこち酒造業界、菓子業界等に売りつけていたものだが、買った業者は「知らずに買った」と被害者顔をしているが、「安さ」の魅力で買ったのではないか。加工すればわからない、と安易に思いついたのではないか。そういう疑問が国民には残る。
もう一つ合点の出来ぬことがある。役所はいつの場合も「被害は出ていない」と御の字のようにいう。被害が出ていないから「安全」だというのか。
人を傷つけるため、ごく微量の毒性化学薬品を使う不届者がいないとは限らない。しかし、被害が出ないからといって、その不届者が許されるはずがない。
被害が出る、出ないの問題ではない。毒性物質を含む商品を売りつけること自体が許されぬ行為であある。今回の毒性コメについていえば政府から買い入れて、流通させた業者は食品法違反で即刻逮捕して徹底的に流通ルートや売買価格、加工商品の販路などを調べ、国民のためにその情報を詳しく知らせるべきである。
ぼくの知人も名の上がった問題の焼酎を持っているが、どう処理しようかと相談を受けた。製造元へ連絡して引き取ってもらったら、とぼくはアドバイスしたが、「変なものが混じっている」「食用に使ってはダメなコメが原料になっている」と分かればだれだって、そんな焼酎を飲みはしない。
それなのに、政府の行政指導は甘くて甘くて、蜂蜜のようだ。98回検査しようと200回検査しようと、「検査に行くから」と前もって知らせておいて、黒の結果が出るはずがない。明らかに業者と役所が癒着しているとしか思えない。これらは氷山の一角である。ことほど左様に役所は信用が置けぬ、と同時に国民代表の政治家もどっちを向いているの?と問わねばならぬ。
役所も政治家も国民の方に目を向けるようにしなければならぬ。それが改革である。【押谷盛利】
2008年10月02日 15:38 | パーマリンク
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