金もうけは「よぞい」か
前にも書いたが人間の悪(わる)を「よぞい奴」と陰口を叩くことがある。人間の糟(かす)ともいうが、手っ取り早くやくざな奴と切り捨てることもある。
よぞいは方言で、本来の正しい言葉は「おぞい」という。漢字では「悍い」と書くが難しい。
漢和辞典によれば「悍」は「かん」と読み、あらい。気が強くあらあらしい。たけだけしい。つよい。気が強く勇ましい。などの意味を持つ。
おぞいが、よぞいに音変化したのは分かるが、いま、われわれが使っている「よぞい」は、あらい、強いよりは、もっと悪い意味で、人が嫌がったり、軽蔑するときに用いる。
われわれが今使っている「おぞい(よぞい)」は、むしろ発音は違うが、「怖気(おじけ)」に近い。怖がってびくびくするのを「怖ける」というが、暴力団に怖けるのは暴力を恐れるからである。
◇さて、よぞいは「よぞくるしい」ともいうが、皮肉なことにわれわれは「よぞい人間」を軽蔑し遠ざけようとするのに、実際はよぞい人間の横行によって世間が成り立っている。
矛盾した話のようだが、こと金銭に関わる話になると人間のよぞさが余りにもきわ立つ。百聞は一見にしかずというが、工業米や汚染米が日本列島を騒がしているとみるや、あれよ、あれよといっている間に、その毒された米が滋賀県にも入り、長浜や彦根、近江八幡、その他にも消費されていることが分かった。
「悪貨は良貨を駆逐する」とはグレシャムの法則だが、流通経済の場合、悪い商品が良い商品を蹴り飛ばすのは、値が安いからで、安ものを仕入れて、普通の商品なみに売れば儲かるにきまっている。
インチキ商法が濡れ手に粟で金もうけするのは商業道徳に反し、長い目でみれば自ら墓穴を掘るのだが、現代社会のようにモラルが地に落ちては、ウソやごまかしが幅をきかし、消費者は何をつかまされるやら何を食わされるやら、だれを信じてよいのか、と物一つ買うにも怖気づくあんばいである。
金もうけの「よぞい」部分の一例である。
だが、この地上から物の流通が消えたらどうなるのか。産業は成り立たぬし、人々の生活にも不自由を来すのではないか。
◇このごろは高度なコンピューター社会になったから、政府は学者にうんと研究費を出して、ウソ発見器を開発したり、駅の改札をすっと紙きれで通るように探知機を当てれば有害物質がすぐ反応するような商品を世に出せばよい。
「これは中国のウナギです」「これは、かびの生えている輸入米です」と、すぐ分かるから商人は控えるかもしれない。
なかには毒を承知で、安いからと原料に使う不心得ものがあるかもしれないから、消費者は毒発見の器を有効に使うことを考えねばならぬが、これは政府の仕事である。
しかし、そこまで進んでも役所と商売人が癒着すれば万事アウトである。とことん金に執着するからであるが、ほんで、お金はよぞいとも言える。
◇いま国に借金が800兆円あるとか言うが、歴代内閣の放漫政策のばらまきの陰にその何割かが無駄に消えていった可能性もある。金もうけもよぞいが、官僚も政治家もよぞい。それを考え議論しながら国民は成長してゆかねばならぬ。【押谷盛利】
2008年09月18日 16:32 | パーマリンク
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