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ダムによらない治水(見聞録)

 熊本県の蒲島郁夫知事が11日の県議会で、国が同県相良村に建設を計画している川辺川ダムについて、白紙撤回を表明し、「ダムによらない治水対策を追求する」と脱ダムを宣言した。知事の反対表明により、川辺川ダム計画は中止に追い込まれる可能性が高いという。
 川辺川ダムは、1966年に計画が発表された治水、発電などの多目的ダムで、貯水量1億3300万㌧は九州最大級。すでに2000億円が周辺整備に費やされ、水没する五木村の移転もほぼ完了している。
 国土交通省は貯水型と穴空き(流水)型の2種を検討していたが、治水効果、自然環境への影響、財政負担などの点で県民から反対の声が続出し、蒲島知事はそういう声に耳を傾け、ダムに頼らない治水対策の判断を下した。
◇川辺川ダムをめぐる蒲島知事の「脱ダム」宣言は、同じく流域知事の賛否が注目される余呉町の丹生ダムなど淀川水系4ダムにも影響を与えそう。
 国土交通省近畿地方整備局の諮問機関、淀川水系流域委員会は13年に及ぶ研究のすえ、その治水効果に疑問を投げかけ、「ダム建設は不適切」と判断した。しかし、整備局は今年6月、4ダム計画を盛り込んだ河川整備計画案を発表し、「ダムありき」の姿勢を見せつけた。
 河川整備への住民意見の反映をうたった「改正河川法」の主旨をないがしろにする姿勢に、県民から批判の声が渦巻いているが、整備局はどこ吹く風。
◇10日から12日まで行われた長浜市議会一般質問でも、竹内達夫議員が丹生ダム問題を取り上げ、「事業費は、新幹線新駅の6倍、1430億円にのぼる」と指摘したうえで、今本博健・京都大名誉教授(前流域委員長)の「ダム優先の発想転換が必要」との言葉を紹介し、ダム推進を訴える川島信也市長に翻意を促した。しかし、川島市長は「治水、渇水対策、特に瀬切れ対策に必要不可欠」と、丹生ダムの必要性を訴えた。
◇蒲島知事が県民の意見に耳を傾けた判断を下したのは、改正河川法の主旨をないがしろにする「ダムありき」の国土交通省へのけん制として喜ばしい。
 滋賀県の嘉田由紀子知事は12月議会に丹生ダムについて意見表明する。貯水型ダムの建設を求める地元自治体首長、治水効果に疑問を投げかける流域委、そして知事選で寄せられた県民の声に挟まれて、苦悩を続けているであろうが、県民意見に耳を傾けた蒲島知事の判断をどう受け止め、ダム計画を容認するのか、反対するのか、その判断が注目される。

2008年09月12日 15:01 |


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