臭いのものに蓋をする
汗くさい、陰気くさい、泥くさい、バカくさい、ドンくさい、などと、名詞の終わりに「くさい」をつけてある雰囲気をかもす用法がある。
この場合の「くさい」は臭いと書く。あまりいい意味に使用しないから、気をつけねばならぬが、体臭などは自分で気づかない場合があるから厄介である。
臭(にお)いは鼻でかぐものであるが、すべての「におい」が不快感をもたらすものではない。「香り」もにおいだが、これはいい意味に用いられる。
「香」はかんばしい、よいにおいがする、の意味であり、香気、香水、香味などのほか、香華(こうげ)、香炉、線香、などは耳なれた言葉といえよう。
少し難しいが聞香(ぶんこう)や抹香もある。
香華は香花とも書くが仏前に供える香と花。聞香は「もんこう」ともいうが、香をかぎわける風流な遊び。
香を入れる小さな容器が香合、香盒(こうごう)で、漆器や蒔絵、陶磁器など美術品が多い。
◇短歌などに詳しい人は、においを「臭い」と「匂い」に使い分けて、いやなにおいは「臭い」、いいにおいは「匂い」。
したがって「花が匂う」「ご馳走が匂う」と書き、通常「花が臭う」とはしない。
文字で書く場合は「臭い」「匂い」で区別できるが言葉で発音する場合は、かなりデリケートで、前後の言葉を通じて不快なものか、こころよいものかを判断するしかない。
「魚の腐ったようなにおい」は分かりやすいが、「ふな寿司のようなにおい」となれば、聞き手によって、いいにおいともとれるし、逆に不快に思う人がいるかもしれぬ。
「におい」については日本人は特に敏感で、風にも雪にも雨にもそれを感じるが、それは主に文学の世界や芸術の領域であり、嗅覚を超えた神秘的ともいえる感性で、目で見る、耳で聴くにおいというべきであろう。
◇ぼくは化粧品のメーカーに勤めている人に聞いたことだが、化粧品の命は「におい」で、いかにその人に合うにおいか、市場でもてはやされるにおいか。要するに「におい」の研究とその実用化が製造の原点であると聞いて、なるほどと感心したことがある。
女性が化粧品に凝(こ)るのは美しい容姿への憧れであるけれども、その美しさの前提が「匂い」である。
その裏返しが「におい消し」である。トイレに香を置くのもそうであるが、昔の人は「臭いものには蓋をしろ」といった。
このごろ流行の食品偽装はもともとは「臭いものに蓋」をしていたわけだが、あまりあつかましすぎて、悪発酵したと解すべきであろう。太田誠一農水相は事務所費の臭い問題で蓋をしたままドロンを決めこむのか。【押谷盛利】
2008年09月04日 15:27 | パーマリンク
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shigayukan.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2359

- 07月 19日 W杯歓喜と放射線汚染禍(見聞録)
- 07月 16日 つぶやく菅、孫、堀(見聞録)
- 07月 15日 組織は40年でダメになる
- 07月 14日 不健康な食生活に課税(見聞録)
- 07月 13日 高校再編とあるべき姿
