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党利党略の福田退陣

 福田内閣は発足後、1年も経たずして崩壊した。
 9月1日は震災記念日だったが、まるで大地震で大きいビルが潰れたように、この日の夜9時半、福田総理が辞任を表明した。
 日本は、経済は一流、政治は三流というのが国際評価らしいが、その通りです、と世界に恥じをさらした格好であり、当然ながらマスコミを通じる国民の声は「不可解」「無責任」とばかりである。
 与党の自民党、公明党は本音を言わず、複雑な表情だが、暗黙のうちに「やれやれ」の声が見られるというのも非情なこの世界の現実であろう。
◇だれが、どんな角度から、どう、ひいきめに見ても今度の福田退陣は大ペケである。
 考えても見るがよい。人心一新、景気をよくし、国民に希望の持てる安全な生活を、と大見栄を切って内閣改造したのが去る8月1日であった。
 人のうわさも75日どころか、まるまる1カ月で希望の星が消えてしまったのである。
 内閣改造の大騒ぎは何だったのか。全く時間と労力と金の無駄づかいに終わってしまった。
 開けてびっくり玉手箱というが、中から出てきたのは自民党政治の最も唾棄すべき党利党略だった。
◇自民党は長い間、日本の政治を動かしてきただけに経験も豊かで、知恵者も多いはずなのに、なぜ、昨年の参議院選で負けたことを素直に認めようとしないのか。
 日本の政治権力は代議政治によるのだから、国民の政治に関する直接的な声は、直近の国政レベルの選挙がそれを集約するとみなければならぬ。
 直近の国政選挙は昨年7月の参院選であり、この選挙によって自民党は民主党に敗れ、その結果が衆参のねじれ国会を生んだ。
 衆議院は自民党が圧倒的多数を占めているが、これは3年前の小泉郵政解散の当時の国民の声だった。
 いかに、国民が小泉改革に期待したかが証明される史実であるが、不見識にも自民党の実力者たちは、小泉さんの退陣を「時こそよし」とばかり、急角度に路線を変更して「反小泉路線」に切りかえた。
 その犠牲にされたのが安倍前首相であった。正確にいうならば、小泉後継の安倍を、反小泉陣が寄ってたかって潰してしまったのである。
◇安倍さんが投げ出したのは1年前の9月12日だったが、その後継争い劇を通じて国民に鮮明に映ったのは古い自民党への先祖返りであった。
 つまり、小泉さんが一掃しようとした派バツの復活だった。
 派バツの復活は族議員時代への逆コースであり、官僚との癒着であり、同時進行の形で、靖国叩きと、中国、韓国寄りの政治、さらにいえば北朝鮮への制裁解除政策である。
◇福田さんが大見栄を切って内閣を改造しても御祝儀人気は出ずじまいで、むしろ下降線をたどっている現実をみれば、国民は派バツ政治の復活と中国や北朝鮮にでれでれしている福田流に愛想をつかしているのでは、と見るのが公正な判断であろう。
 もし、福田さんが虚心に国家の将来や今後の国政について考えるのであれば、8月1日の内閣改造などをやめて、その時を契機に衆議院を解散して国民の声を聞くべきであった。
 もし解散を断行する自信がなかったならば、いさぎよく、その時点で内閣を放り出して、後は次の総理に任せるべきだった。
 内閣改造という横道をしたのが党利党略であり、一見個性の強い政治家と思われたのに、実際は操り人形のように党の実力者や派バツの力学の前に無力そのものであることを露呈した。【押谷盛利】

2008年09月03日 18:28 |


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