アフガンでの出来事(見聞録)
アフガニスタンで農業指導をしていたNGO「ぺシャワール会」の伊藤和也さんがテロリストに拉致され、殺された。31歳だった。
同会は1983年、中村哲医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成された。現在では、パキスタン、アフガンで医療支援だけにとどまらず、水源開発、農業活動などを支援している。
伊藤さんも同会の一員として、5年前、現地に入り、アフガン復興への高い志、そして、現地住民と一緒に汗を流すその姿に、地元との信頼関係を築いていた。
◇アフガンは、イスラム原理主義勢力の「タリバン」が支配していたが、アメリカ同時多発テロに端を発した、テロ掃討作戦により、政権を追われた。
だが、外国人や敵対勢力に対する誘拐、殺害などを繰り返し、国土を混乱させることによって、勢力を再び拡大させている。
タリバンは、その無差別な殺人行為から、イスラム原理主義の「アルカイダ」と同類にされるが、「アルカイダ」がアラブ系の国際主義であるのに対し、タリバンは土着主義。
外国軍がアフガンに駐留する限り、タリバン勢力はテロ行為を繰り返して排除を目指す。
中村医師は「2000万人のパシュトゥン民族を抹殺せぬ限り、タリバン運動は消滅しない」と、対テロ戦争の見えない出口を指摘している。
◇長浜市八幡中山町の柴原規子さんもペシャワール会の会員。寄付などを通して、その活動を支援してきた。
昨日、柴原さんに、その会報を見せてもらうと、最新号に伊藤さんら4人の農業指導者による共著のレポートが掲載されていた。
「地域に広がり始めた試験農場の成果」と題し、2007年度の農業計画を報告している。
現地で栽培した日本米の面積当たりの収穫量が、現地米の1・5倍にのぼり、大評判となったこと、「千歯こき」を試作して脱穀に挑戦したところ「日本の戦前の道具を持ち込むとは怪しからん」と現地人から冷やかされたこと、子ども達による盗み食いにより、毎年、収穫前に全滅していたブドウが、初めて収穫できた喜びなどを伝えている。
「少しでも多くの成果がアフガニスタンの将来に引き継がれることを願い、これからも一つ一つの積み重ねを大切にしていきます」―。こう綴ったのが伊藤さんの最後のレポートとなった。
◇アフガンの平和と安定を希求する日本は、国際社会の一員として活動を行ってきた。経済支援のほか、海上自衛隊によるインド洋での給油活動だ。これら政府による支援は、ペシャワール会などNGOによる活動と合わせて、アフガン復興の両輪となっている。しかし、政府の関与は原理主義者の神経を逆撫でし、NGOを標的したテロを誘発しかねず、それが現実になった。
柴原さんは「あれほど親日感情があり、絆が深まっていたのに大変残念でならない」と嘆いている。
しかし、国土荒廃のため、現在も多くの子ども達が餓死の危機にさらされている。柴原さんは「私達が何気なく食べているスナック菓子1袋を買うお金で、アフガンの子ども達5人をとりあえず餓死から救えます。そういう現状を日本の子ども達にも考えてもらえれば」と話している。
2008年08月29日 14:33 | パーマリンク
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