中国自治区の一揆現象
北京からの華やかな五輪ニュースを皮肉る如く、中国ウイグル自治区内での反政府テロが生々しい。
12日は、検問所が襲撃され、保安要員3人が死亡し、1人が負傷した。今月の4日以降、同自治区での警察など襲撃事件は頻発し、死者は容疑者らを含めて31人に上る。
中国の武装警察は自治区内での警戒を強化し、隙のない治安体制を実施しているが、民衆のうらみは地の底にうごめくマグマのように、いつ、どこで噴火するか分からない。
江戸期の日本の各地で、重税と圧政に泣く農民が決死の覚悟で一揆を起こしたが、今のウイグル自治区内の警察襲撃事件は、一揆が代官所を焼き払ったようなもので、報道されていない陰の部分にライトを当てれば、悲惨なウイグル族の血の叫びが浮き彫りされるかもしれない。
◇11日付の産経に、ウイグル自治区のクチャから、野口東秀記者が最新情報を伝えている。これによると、街中は戒厳状態にあり、中心部は武装警察で封鎖されている。極めて緊迫した状況で、外出は禁止されている。
10日未明の警察襲撃では11人が死亡しているが、これ以外にも10カ所以上が襲撃されたといわれ、市民や観光客は通行を止められ、報道も制限されている。
ウイグル自治区のウイグル族の反政府の激しい実力行使はただごとではない。その点で注目されるのは、広島の原爆死没者慰霊式に参列した中国ウイグル自治区出身の外科医・世界ウイグル会議英国代表のアニワル・トフティ氏の談話である。これは産経新聞が同氏との会談内容を11日付で報道したものであるが、心を痛めるのは、1964年以来、中国はウイグル地区で46回もの核実験を行ったという事実である。この事実は極秘にされているが、この結果、ウイグル地区内での住民は核実験の死の灰の影響を受けて、多くの人が内臓異常や腹、のどなどの肥大、先天性異常の大脳未発達で歩くことも話すこともできない障害児ばかりが生まれる村もあった。
山で木を伐って調べたところ、広島原爆の300倍もの放射性反応が出たという。
トフティ氏は、区都ウルムチの病院の腫瘍専門外科医だったが、病床に占めるウイグル人の割合が極めて大きいことに気付き、調査したところ、ウイグル人の悪性腫瘍発生率は、中国の他の地域の漢人と比べ35%も高かった。漢人でもウイグル自治区に30年以上住んでいる人は、発生率がウイグル人と同程度に高かった。
同氏は英国テレビ局のドキュメンタリー番組に協力し、取材で潜入した所で、放射能汚染の影響とみられる数々の悲惨な光景を目撃したが、これによって、99年英国に政治亡命することになった。
◇核実験による放射能汚染の悲惨さは人類初の被害者である日本人が一番よく知っているところであり、戦後ではロシアのチェルノブイリ原発事故が知られるが、中国は、核実験46回の事実も、それによる放射能汚染も、そして後遺症の存在すら認めていない。のみならず、海外の医療団体の調査立ち入りも認めず、すべて闇から闇に葬り去ろうとしている。「死か」「抗議か」、ウイグル人の決死の叫びが、警察襲撃となり、五輪を通じて、世界の関心を引こうとするのは充分理解できるし、それこそ世界の安全と平和のため、日本人も声援の連帯を送るべきであろう。
そして、記憶すべきことは、中国が初めて、核実験をしたのは東京五輪の開会期間中だった。その陰で過去から現在まで、実験のモルモットにされたウイグル人の人権、生命、土地、資源の行方は?
こうした隠された事実への怒りがこの国の人々の一揆現象とみるべきであろう。【押谷盛利】
2008年08月13日 15:41 | パーマリンク
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