採掘場を訪ねて(見聞録)
石灰岩の採掘により、大きくえぐられている伊吹山の現状を視察するため、田中章五、西川敏輝両県議や、伊吹山自然再生協議会の委員が10日、採掘場を訪れ、小欄も同行させてもらった。
◇採掘は標高1240㍍の地点から麓に向けて、37度の角度で行われ、現在は標高940~980㍍で採掘中。この部分が長浜や米原、彦根から平に見える部分だ。
発破で石灰岩を砕き、大型ショベルとダンプで回収して、山中に掘った坑道を通して標高548㍍地点にまで運ぶ。そこから地上に落下させ、ベルトコンベアで工場へ運搬する仕組み。
採掘場にあるブルドーザーはショベルの部分だけで大人の背丈を超え、ダンプトラックは98㌧を積載できる大きさ。その規模が山を削るという大事業を物語っている。
◇案内役は滋賀鉱産伊吹鉱山部の部長・中山智博さん。地質学専門で、鉱山歴28年というだけあって、鉱山業にかける思いにブレがなく、自然・景観保護を訴える県議や委員の要望、質問に、理論的に切り返し、この手の視察への準備は十分との印象を受けた。
西川県議が、何も地域のシンボルである伊吹山をこれ以上、傷つけることはないではないか、将来の子や孫のために、今の伊吹山の形を残してもらえないかと要望すれば、中山さんは、子や孫のために鉱物資源を掘り続けるのが鉱山業の仕事です、と返す。
◇採掘現場への視察に同行して、最も驚かされたのは伊吹山の特徴。伊吹山は99%が石灰岩質と聞かされていたが、採掘現場でその事実を目の当たりにした。
というのも、重機で地面を削った部分の断面を見ると、石灰岩層の上、わずか50㌢程しか土がなく、そこに木々や草花がしがみつくように根を下ろしているのだ。
伊吹山は、表面に薄い膜状に土が付着し、かろうじて緑が生まれている訳だ。
◇採掘跡では30年以上前から緑化が行われているが、ペンペン草が生えた程度しか緑が復元できていない部分もあった。
中山さんによると、まずはそういった草を定着させ、それが積もり積もって土を作り、そして木々が生えてくるという。
伊吹山は、植林すれば済む単純な構造ではなく、緑化には50年、100年という相当の時間を要するように感じた。
◇石灰岩はセメントの材料としてだけでなく、ガラス、タイル、蛍光灯、プラスチックなど、我々の幅広い日常の中で使われる。
そういうことは承知なのだが、地域のシンボルである伊吹山が今後も、5年間で10㍍というペースで確実に削られてゆく。遠い将来、長浜南部から見て、伊吹山の左側、東浅井郡から見て、正面にあたる部分はすべて削り取られる。
地域経済を支え、そして日本の高度成長の礎となった伊吹山は、今後もその犠牲的な姿を見せ続けるのだろうか。そろそろ、一服させてあげたい。
2008年08月12日 15:53 | パーマリンク
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