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「プラハの春」から40年(見聞録)

 ソ連がチェコスロバキアの民主化運動「プラハの春」を戦車で弾圧してから今年で40年目。チェコの国内では当時を偲ぶ追悼の催しや講演会などが盛んに行われている。
 「プラハの春」は1968年にチェコスロバキアで起こった民主化運動を指す。自由が制約された社会主義体制への批判が高まったことを受け、共産党第1書記に就任したドプチェクが「人間の顔をした社会主義」をスローガンに掲げ、改革を打ち出した。
 党への権限集中の是正、市場経済の導入、言論・芸術活動の自由化、西側との経済関係の強化などを提唱し、検閲法、言論統制法を改正したり、結社・集会の自由を認めるなどし、国内で一気に民主化への気運が高まった。
 しかし、民主化の波が他の中欧・東欧諸国に波及することを恐れたソ連はワルシャワ条約機構軍を率いて8月20日、チェコスロバキアに侵攻。非武装の市民を相手に戦車約6300両、航空機約800機、大砲約2000門を投入し、全土を占領下に置いた。民主化を求める若者ら100人以上が犠牲となった。
 この弾圧により同国の民主化は1989年の「ビロード革命」まで、20余年も遅れることになった。
◇弾圧の舞台になったチェコの首都プラハは、オーストリアのウィーン、ハンガリーのブダペストと並ぶ中央ヨーロッパの古都。3都市はいずれも旧社会主義国の首都で、冷戦時代は旅行に訪れるのが困難だったが、民主化された今では世界中の旅行客の憧れの的となっている。
 中でもプラハの美しさは別格で、市内の中心をヴルタヴァ川が流れ、古い町並みや建物が数多く現存している。川のほとりの歴史地区やプラハ城は、中世にタイムスリップしたかのような幻想に酔わせてくれる。
 中欧や東欧の魅力は、冷戦時代の社会主義体制下で経済発展が遅れたことから、古い町並みが改造されることなく残り、時代と素朴感を残していることだろう。
 その素朴な町並みが残る背景に、民主化を求める声が、たびたび、時の政権や軍部によって弾圧されてきたことを思うと、現在でも中国やロシアが民主化を弾圧している事実が気味悪い。
◇奇しくも、今、ロシアの戦車が小国グルジアを踏みにじっているが、40年前の「プラハの春」と重ね合わせ、ロシアにソ連の亡霊を見ている中欧・東欧人が多いのではないか。
 その点、戦後60余年、侵略や弾圧の危機にさらされず自由を謳歌してきた日本人は、40年前の「プラハの春」弾圧や、現在進行中のグルジア侵略よりも、北京オリンピックに夢中になり、チベットや新疆ウイグルでの中国政府による弾圧も、どこか遠い地域の話と思って頭の隅に追いやっているのではないだろうか。

2008年08月22日 16:57 |


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