滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



甘え体質と政治腐敗

 甘い親、甘い塩について書いたのはほかでもない。強い人間、たくましい人間、人のため、世のため役立つ人間になりたい、なってほしいの願いからである。
 このごろは、なにごとによらず甘さが目立ち、このまま進めば人類の将来はどうなるのか、淋しさを通り越して恐ろしくなる。
◇長くアメリカに住んでいる人から聞いた話だが、アメリカは州が独立国家のような自治体制を持ち、義務と権利が市民意識として明確に根づいている。
 例えば救急医療制度について言えば、救急車を利用するのは生死の重態の患者か、事故の被害者の場合で料金は非常に高額らしい。日本のように無料で、タクシー代わりに利用するようなことはあり得ない。
 アメリカでは入院費が高額な一面もあるが、長期間入院させるシステムはない。
 一番顕著な例は産婦人科の出産治療である。
 普通の出産の場合、日本は短くとも一週間は入院させるが、アメリカでは入院1日で、翌日退院させる。出産は病気でない、という考え方である。
◇日本は戦後、欧米流の福祉思想が無原則に取り入れられ、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」の政策が政党間の人気争いにまで過熱した。その結果が今日の財政赤字の一因にもなっている。
 例えば「老人の医療費無料化」、「児童の教科書無償」、「学校給食の無料化」その他、各都道府県、各市町の独自の福祉施策のなかには競うかのように只(ただ)乗り論が横行し、実施されている。
 こういう考え方は、国家依存、公共依存の体質づくりにはなっても、国民一人一人の足腰を鍛える自主、独立の気風を損ねる。
 極端にいえば、食べることも寝ることも子育てや教育も病気治療もみんな国や役所の責任に帰するやり方である。
 それが窮極の社会主義に通じるのであるが、それによる味気なさと人間の不幸は、かつてのソ連、今の中国、北朝鮮の実態で広く証明されている。にも拘わらず、それで選挙民を釣る政党が存在することを見極めねばならぬ。
◇しかし、一方で甘えたがる国民の心理を利用して、政権に座り、官僚と癒着する政治が行われてきたことも事実である。
 それは具体的に説明すればどんな政治なのか。例えば補助金制度である。「歴史で町づくりをしなさい」、「自然の風景を利用して観光産業を発展させなさい」、「遊休地を開発して、レジャーや保養の町づくりに」…などという官僚のアイディアには、必ず資金面の面倒や投資に関する補助制度を恩に着せる。
 「あれもできるといい、これも実現すればよい」と地元の市町は住民に甘い夢を吹いて、計画に立ち向かうが、帰するところは国民の税金であり、建設後の維持管理は市、町の責任となる。
 こういういい加減な見通しでどれだけの無駄が消え、どれだけの国費と市町民の税金が消えていたか。多くは失敗し、中には二束三文で処分されたり、閑古鳥が鳴き、草ぼうぼうの地さえある。甘えを利用して一握りのだれかがうるおっている政治があまりにも見え見えである。【押谷盛利】

2008年07月30日 15:09 |


過去の時評


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
“新聞広告の資料請求、ご案内はこちらから"
 
長浜市
長浜市議会