中国と北朝鮮の戦略
ぼくが、何回にもわたって北朝鮮問題などを論じているのは実は日本を愛し、日本人の幸せを強く願っているからに過ぎない。そういえば一国利己主義のようだが、そうではなく、日本の将来を考える対朝鮮観が同時に韓国の政治家や国民に道を誤ることのないような友情のメッセージを送ることにつながるのだ。
もし、韓国が北によって武力革命の洗礼を受ければどういうことになるのか。
当然のことながら、労働党(共産党)が権力を握る。その政治手法は現在の北朝鮮と同様に、党の独裁支配下、人民の自由は一切剥奪される。
報道の自由、旅行の自由、政治団体その他の組織を結成することの自由、職業の自由、集会やデモの自由など一切が許されなくなる。
企業の自由活動も許されず、一切が党組織と党官僚の手に委ねられ、強力な軍事と警察国家になる。
いわば人民は金正日将軍と党の奴隷にすぎなくなる。
◇ぼくが、そう訴えるのは、現在の北朝鮮や中国の実態がそうなっているから確信をもって言いきれるのだ。
中国は小平時代の開放政策によって外国資本の導入を許し経済特区を先例に、自由国家並みに資本主義的成長を続けているが、それはあくまでも党の管理下、党のお墨付きの範囲を出るものではなく、いつ何時、封鎖や解体、没収などの制裁を受けるかもしれない。
いまは仮面をかぶって工業化と近代化を急いでいるにすぎない。それは一握りのお金持ちと各地区に網の目のように派遣されている共産党幹部の繁栄と権威が保障されているだけで、13億人ともいわれる人民大衆の多くは貧困と人権無視の暴政に苦しんでいる。
その苦しみの現れが、各地にひろがっているデモや当局との激しいトラブルに証明されている。
◇北朝鮮の国内状況のみじめさは中国の比ではない。
飢餓に泣き、強制労働に泣き、スパイに監視されながら、国を脱出することもできず、集団の力で政府や地区の共産党に訴えることも許されない。もし、そうした動きがスパイの手にキャッチされたら、本人のみならず家族全員が刑務所送りを覚悟しなければならぬ。
しかも、一切の内部の情報は閉ざされ、人民は知る権利を奪われ、都合のよい宣伝及び、人民の愛国心をそそるニュースや解説を一方的に見聞させられる。
すべての生殺与奪の権は金正日将軍が握っており、将軍のお慈悲で餓死が救われている、と人民を洗脳教育しているのが実態である。
◇中国にとっても北朝鮮にとっても最大の敵はアメリカであり、それと同盟関係にある日本である。これは厳然たる両共産国の最大の戦略である。
もし、アメリカがにらみをきかせていなかったら、とっくに中国は台湾を攻略し、その支配下に置いたはずだ。
同様にアメリカ軍が韓国から引き揚げたならば、即刻、北は南を武力征服し、名実ともに朝鮮民主主義人民共和国を樹立するだろう。
だから両国とも強力な反アメリカ政策が政治権力の根底にあるのだが、中国は近代国家の建設を先行させて、時をかせいでいると考えてよい。
北朝鮮は韓国内に反アメリカ感情を浸透させるため、あらゆる機会を利用して、アメリカの悪口をいい、アメリカ帰れをキャンペーンする。
両国とも日本に強い姿勢でのぞんでいるのは、日本国民がアメリカとの連帯を拒否することを願っているからである。そして巧妙に日本国内の政治家や経済人、報道機関などにくさびを打ちこんでくるのである。
要するに中国は台湾を、北朝鮮は韓国を共産支配下におくのが最大のねらいである。【押谷盛利】
2008年07月24日 14:33 | パーマリンク
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