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李大統領を敵視する北

 今の韓国大統領・李明博(イ・ミョンバク)氏が当選したのは07年12月19日だった。前大統領の廬武鉉(ノ・ムヒョン)系の与党の候補・鄭東泳(チョン・ドンヨン)氏や無所属の李会昌(イ・フェチャン)氏に大差をつけ、得票率48・7%の完勝だった。
 分かり易くいえば、これまで10年間続いた金大中、廬武鉉大統領による親北政権の北に対する太陽政策がストップし、対アメリカ重視の親米政権が誕生したことになる。
 北朝鮮は、過去10年の金・廬時代を通じ、韓国に北朝鮮びいきの強いきずなを布石した。そのことは韓国の政府や行政を親北勢力で牛耳り、近い将来の南北統一への地ならしでもあった。ところが、今回の大統領、ふたを開けたら、国民の声はむしろ反北で、アメリカ・日本との親善外交に傾斜する路線を採択した。
◇したがって、李大統領の出現は「胸くそ悪さ」を超えて1日でも早く潰したいのが北朝鮮の本音である。それを最も的確に示したのは、北のマスコミである。北朝鮮の報道機関はすべて労働党直営の官営メディアで、労働新聞や朝鮮中央通信がこれにあたる。
 これら北のマスメディアは、李大統領の当選について、昨年12月19日以降、今年2月25日の大統領就任式に至るまで実に50日以上も全く報じていないのである。
 南北統一をいう北が、隣国の韓国の政局転換に50日以上も国内報道をしないというこの国の陰険さと国民の知る権利を奪う闇の政治の恐ろしさを示す一事だが、その根底にある李政権憎しの心は、韓国内の工作員やスパイ、親北分子のゲリラ戦となって、ただ一途に李政権潰しの大衆運動を激化させるであろう。
◇その最初の組織的反政権闘争として取り上げたのが、米国牛肉の輸入反対デモ騒動である。
 これは、韓国のマスメディアの煽動もあるが、学生が主力となって食の安全を口実に反米、反李政権の闘争に盛り上げたところに注目したい。
 大統領選における国民のとった対北太陽政策破棄の巻き返しというべきで、選挙では北朝鮮派は負けるから、デモやストで革命的に親米政権を潰すという戦略である。これに似たのが昭和34年、35年、1960年前後の日本の安保闘争である。
 岸内閣による日米安全保障条約の改訂に反対する大々的デモを2年間にわたって組織したが、その大半は全国の大学生を動員した全学連の指導によるものだった。岸内閣によって安保改訂の調印は終わったが、その後、岸総理は辞任した。
◇国会の審議という民主的ルールを排してのデモやストによる大衆的闘争戦術で政治や政治権力を変えようとするのは共産主義的革命のイロハであるが、その革命ののろしに火がつくのは与党政権の失政や国民の貧困と飢えが最高の条件である。
 しかし、治安組織が確立している場合や国民の教育的民度が高ければ、闘争は学生たちの一時的はね上がりと冷静視される。最も危険なのは、ゼネストという労働組合の全面的ストと学生のデモが統一して、相乗効果を上げるときである。
 本来なら、北朝鮮でこそ、そうした革命闘争が勃発すべきなのだが、彼の国ではそれは不可能である。
 一切の権力は労働党が握り、軍と警察が一体化し、国民の末端居住地域単位に至るまでスパイ網が張りめぐらされ、金正日将軍や北政府を批判するものは問答無用で逮捕、銃殺されるからである。
 韓国李政権の運命は日本の安全、平和に直結するのであるが、日本のマスコミはそれに触れたがらない。なぜか。それが問題である。【押谷盛利】

2008年07月17日 15:35 |


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