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北朝鮮5000億利権

 安倍晋三前首相と山崎拓元自民党副総裁の北朝鮮問題に関する激しい争いは国民の注視するところだが、不思議にもこの論争、7月3日付の週刊新潮の記事を契機にパタッと鳴りを沈めた。
 ことの起こりは、拉致問題に関し、山崎元副総裁が「圧力一辺倒では何等前進がなかった。対話の努力は百害あって一利なしという人もいるが幼稚な考え方だ」と安倍前首相を批判したことに始まる。
 これを聞いて安倍前首相は「交渉中の政府より甘いことを国会議員がいうのは百害あって利権ありといいたくなる」とかみついた。
 山崎派は親分の一大事と血相を変えていきり立ったが、日本国民の大勢は、「再調査する」との北の文言に目がくらんで北への制裁解除に踏み切った福田首相に不信感を抱くと同時に、その露払い役のように北朝鮮にいい顔をする山崎氏に対して何となく生臭い感じを持ち始めた。
◇百害あって利権ありは、けだし明言であり、日本の独立と国民の安全を心底から願っている安倍氏ならではの毅然たる発言である、とぼくは思う。
 果たせるかな、7月3日付の週刊新潮の特集記事は山崎氏を始め、親北議員の心胆を寒からしめた。
 見出しは「百害あって利権あり」、「安倍・山拓戦争の裏に」、「北朝鮮5000億利権」。
 この記事の中見出しに解説風に大ゴシックの文字が鮮明に国民の関心を呼ぶ。
 「拉致の解明を2の次にしてでも国交正常化に突き進もうとするのが山崎拓・元自民党副総裁を会長に頂く、日朝国交正常化推進議員連盟。2元外交に危惧した安倍晋三前首相は、百害あって利権あり、と批判した。背景には5000億とも言われる利権がある」。
◇ここに登場する日朝国交正常化推進議員連盟は、5月22日、約70人の議員で旗揚げしたばかりである。
 会長は山崎元副総裁。顧問に加藤紘一元自民党幹事長。このほかの大物に菅直人民主党代表代行、福島瑞穂社民党首ら。
 旗揚げの会合の日、この議員連盟のメンバーの中から「日本は拉致問題に拉致されている」とか「国交正常化なくして拉致問題の解決なし」の発言が飛び出した。
 これは、北朝鮮に対して「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」とする方針のもと強い姿勢で臨んできた政府の立場を足元から弱めることになる。
 新潮子は「2元外交こそ百害あって一利なしにも拘わらず、なぜ、そんなに国交正常化を急ぐのか。そこに百害あって利権ありの疑念が湧く」と分析し、過去の日朝交渉の裏面史を伝えている。
◇1990年、元自民党副総裁の故・金丸信氏を団長とする訪朝団が平壌を訪問して以来、政府間の日朝交渉が度々行われるようになり、同時に金丸氏は利権を手に入れた。
 その利権の一つが、日本の建設業界にとって魅力のある川砂利利権。
 次に利権の取り沙汰をされたのが、北朝鮮へのコメ支援。95年3月、故・渡辺美智雄氏を団長とする自社さ与党訪朝団によってコメ30万㌧の支援が決定した。コメ支援を積極的に主導したのは加藤元幹事長。
 コメ支援は付随して、コメを入れる麻袋、運搬用のトラック費用、保管のための倉庫代など、かなりの額で業者が潤い、そこに政治家の口利きが入る。第1次支援以後、数回にわたり、日本は100万㌧以上のコメを支援してきたが、その間、拉致問題は解決するどころか、テポドンまで撃ち込まれた。
◇山崎拓元副総裁は、小泉政権以来の政府方針を無視して、04年4月、突然、中国の大連に渡り、北朝鮮の高官と密談しており、昨年1月には北朝鮮を訪問している。
 国民は冷ややかな眼で眺めていたが、何の話を詰めてきたのか、なしのつぶてであった。
 もし、国交が正常化すれば、莫大な利権が生まれるのでは、とみられるが、その一つが、戦後補償を含めた有償無償の経済援助であり、5000億とも1兆円ともいわれている。
 その巨額の金は、北朝鮮のインフラ整備、例えば電力、鉄道、道路、湾港、ダムなど、いずれも日本の大手ゼネコンがノドから手の出るほどの魅力ある大事業。北は労働党(共産党)独裁。金正日の鶴の一声で動く政治だから、そこを取り持つ日本の親北政治家がいいカッコをするのは目に見えている。
 欲のために国を売るというのは毒ギョーザやインチキウナギの比ではない(7月3日号、週刊新潮参照)。【押谷盛利】

2008年07月05日 17:30 |


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