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ならずもの国家と日米

 北朝鮮を「ならずもの国家」と呼んで、テロ支援国家に指定したアメリカが、北の甘言に釣られて、指定解除することになった。これと呼応して、日本政府もまた経済制裁などを解除するという。これに関し、ぼくは、暗愚なブッシュ大統領と福田総理は国を誤ると批判した。国を誤るだけでなく、世界の平和と秩序を誤る下策である、と指摘しておく。
◇結論から言えば、アメリカの期待するような、北の核放棄はあり得ないし、核拡散のストップもあり得ない。日本人の拉致被害者の真相発表や救済、日本帰国などの誠意は見せない。
 なぜ、大胆に、そんなふうに結論づけるのか。理由は簡単である。過去の北朝鮮の外交的歩みや、もろもろの対外的不法行為を分析すれば一目瞭然である。
 いま、北朝鮮が6カ国会議のテーブルについて、微笑の風を吹かしているのは、一にも二にも「死地」から逃れんとする「助けて」の叫びなのである。食糧を、医薬を、肥料を、エネルギーを、日常の生活物質を、援助してほしい、という叫びにほかならない。
 その「助け」と引き換えに、核開発はやめます、核兵器は持ちません、核拡散はしません、と手形を切るわけで、過去の言動から推論すれば、この手形はことごとく空手形に終わり、約束の守られたためしがない。
 日本人の最も関心の強い拉致被害者についても、韓国へ亡命している元工作員らの証言を通じて、ごく一部を知るだけで、全体像は闇の彼方に閉ざされたままである。
◇北は民主国家のように政権交替がなく、共産党独裁で、金日成―金正日と続く親子の絶対的権力―将軍さまの支配する国であるから、国家や国民の姿は、すべて厚いベールに包まれたままである。例えば、食糧危機を救うため、アメリカ、中国、韓国、日本から多大の食糧や肥料が送られても、それがどんなふうに国民に届いたか、そして、その恩恵を国民がどう感謝しているか、は一切不明である。ひどい話は、食糧の多くが、軍隊へ回された、ともいう。
◇日本の拉致被害者は100人以上とも言われるが、それを知っているのは北朝鮮権力だけ。死亡したとか、先に返した5人以外は生存していないとか、交渉のたびに言うことが違っている。今回の再調査約束にしても、「調査したが該当者はいなかった」と答える可能性が強い。
 3日付の産経記事によれば、1983年ころ、北朝鮮で活動していた工作員の目で、死んだとされている横田めぐみさんの実像が伝えられている。それによると、美しく明るく、厚遇されている、とある。
 日本に入っている拉致被害者に関する情報は、かなり厖大なはずだが、日本政府は、なぜか、北に遠慮して、その情報を国民に知らそうとしない。
 そればかりか、政治家の中には、救援活動に対する冷淡さが聞こえてくる。明らかに妨害する動きさえ伝えられる。
◇ぼくが、北朝鮮は絶対に核放棄などするはずがない、というのは、それを恫喝のカードにするからである。北は韓国に対しても、いざとなればソウルを死の都市にするぞ、と脅すのである。
 1987年、北朝鮮は、大韓航空機をミャンマー沖上空で爆破したが、これは工作員やスパイの巧みな決死的犯罪であることが世界に証明された。その汚名が消えやらぬ10年後の98年、こともあろうに、日本の上空にミサイルを飛ばした。日本をまたいで三陸沖に着弾したが、その戦略はアメリカ本土に向けられている。
 目下、北の目標は韓国の北化と、これの終局での軍事的占領―統一である。その最大の邪魔がアメリカである。だから、一方で、アメリカ帰れ、アメリカ牛肉反対のデモ騒動を仕掛け、親米、親日の李政権の崩壊を狙うわけだ。それに乗せられているのが日本の福田政権と、その誕生の背景政治家である。【押谷盛利】

2008年07月03日 15:27 |


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