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2008年07月31日

イチロー選手おめでとう

 大リーグ・マリナーズのイチロー選手の日米通算3000本安打の達成おめでとう。
 災害や通り魔殺人など不快なニュースの続くなか、暑さを吹っとばす明るい話題である。
 記録男の日の当たる部分のみを眺めているわれわれだが、見えないところで黙々と己を鍛えている影の部分こそ称賛されるべきであり、生きたお手本とすべきであろう。
 彼は決して華やかでもなく、饒舌でもない。チームに溶け込む人気ものでもない。アイドルの如く周囲に騒がれることもない。ただひたすら安打を狙い、守ってはホームランを外野飛球にしたり、ヒットによる2塁走者の生還を許さない強肩ぶりが敵味方の観衆をしびれさせた。
 ことにアメリカ野球に旋風を起こしたのはその走塁の速さだった。彼の場合はバントが安打になったり、ショートゴロがヒットになるのは決して珍しいことではなかった。野手の捕球と一塁投球の僅かの時間を超える彼の足のスピードの勝利であった。
 かつての日本のプロ野球で、世界のホームラン記録を塗り替えたのは王貞治氏(現ソフトバンク監督)だった。彼の打撃もまたイチロー同様、天才的な技術を持っていた。対戦チームの監督は彼の打撃記録から割り出して、その飛ぶ方向に守備システムを固めるための一時的な「王シフト」を開発した。王貞治は、その守備の裏をついて、相変わらず安打を量産した。
 現在のイチローの場合も同様に、守る側は内野を浅く、特に3塁手は本塁近くまで進んで、彼のバント安打を警戒した。彼の場合、流し打ち、引っぱり、そのとき、そのときの投手の球や守備陣の位置を目にして、打法を縦横に切りかえた。
 まさに打撃の職人の風貌だが、その自由自在のバットの振りや緩急、角度などは到底教科書で覚えたり、コーチの指導で上達したものではない。いわば持って生まれた資質に不断の研究と精進の集大成というべきである。
 彼は練習の鬼であると同時に、他方、体調の自己管理にベストを尽くした。病気にならないため、ケガをしないため、人知れず、たゆみなく、生活に気を配っている。肉体こそ唯一の資本であることをわきまえ、決してスター顔に世俗の垢に身を汚さない。彼の球道一筋は、比叡山の名僧の千日回峰の荒行にたとえられよう。彼の努力はそのまま一つ一つが記録の更新でもあり、次なる大記録の一里塚でもある。われわれは彼の次なる4000本安打を期待し、さらに間近に迫っている8年間連続200本安打の達成を祈念するものである。
◇さて、日本のプロ野球は、中休みして、いよいよオールスター戦を迎える。今年のプロ野球は、セ・リーグが阪神、パ・リーグが西武の独走状況だが、相変わらず、外国人選手のいわゆる助っ人が勝敗の色を濃くしている。
 国技である相撲がモンゴル他外国人にお株を奪われているのは歯がゆい話だが、若貴や千代富士、北の湖時代を知るものは、英雄出てこいと祈る気持ちである。
 プロ野球も同様である。いまのところ、ホームラン王も打点王も外国人選手ばかりである。巨人の小笠原、阪神の金本、横浜の村田、中日の中村、楽天の山崎ら、ベテランが年齢を超えて活躍しているのは嬉しいが、彼らの領域を超える若い戦力の台頭がもどかしい。
 その点、投手陣は、各チームとも素質のある新人や若手が開花しつつあるのは頼もしい。
 みんな、暑い、と水に浸かって昼寝をしたいだろうが、打っていくら、投げていくらのプロである以上、ゼニを払っている客にそっぽを向かれぬためには1にも2にも練習あるのみ。それぞれのファンに汗を忘れさせる健闘を願ってやまない。【押谷盛利】

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2008年07月30日

甘え体質と政治腐敗

 甘い親、甘い塩について書いたのはほかでもない。強い人間、たくましい人間、人のため、世のため役立つ人間になりたい、なってほしいの願いからである。
 このごろは、なにごとによらず甘さが目立ち、このまま進めば人類の将来はどうなるのか、淋しさを通り越して恐ろしくなる。
◇長くアメリカに住んでいる人から聞いた話だが、アメリカは州が独立国家のような自治体制を持ち、義務と権利が市民意識として明確に根づいている。
 例えば救急医療制度について言えば、救急車を利用するのは生死の重態の患者か、事故の被害者の場合で料金は非常に高額らしい。日本のように無料で、タクシー代わりに利用するようなことはあり得ない。
 アメリカでは入院費が高額な一面もあるが、長期間入院させるシステムはない。
 一番顕著な例は産婦人科の出産治療である。
 普通の出産の場合、日本は短くとも一週間は入院させるが、アメリカでは入院1日で、翌日退院させる。出産は病気でない、という考え方である。
◇日本は戦後、欧米流の福祉思想が無原則に取り入れられ、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」の政策が政党間の人気争いにまで過熱した。その結果が今日の財政赤字の一因にもなっている。
 例えば「老人の医療費無料化」、「児童の教科書無償」、「学校給食の無料化」その他、各都道府県、各市町の独自の福祉施策のなかには競うかのように只(ただ)乗り論が横行し、実施されている。
 こういう考え方は、国家依存、公共依存の体質づくりにはなっても、国民一人一人の足腰を鍛える自主、独立の気風を損ねる。
 極端にいえば、食べることも寝ることも子育てや教育も病気治療もみんな国や役所の責任に帰するやり方である。
 それが窮極の社会主義に通じるのであるが、それによる味気なさと人間の不幸は、かつてのソ連、今の中国、北朝鮮の実態で広く証明されている。にも拘わらず、それで選挙民を釣る政党が存在することを見極めねばならぬ。
◇しかし、一方で甘えたがる国民の心理を利用して、政権に座り、官僚と癒着する政治が行われてきたことも事実である。
 それは具体的に説明すればどんな政治なのか。例えば補助金制度である。「歴史で町づくりをしなさい」、「自然の風景を利用して観光産業を発展させなさい」、「遊休地を開発して、レジャーや保養の町づくりに」…などという官僚のアイディアには、必ず資金面の面倒や投資に関する補助制度を恩に着せる。
 「あれもできるといい、これも実現すればよい」と地元の市町は住民に甘い夢を吹いて、計画に立ち向かうが、帰するところは国民の税金であり、建設後の維持管理は市、町の責任となる。
 こういういい加減な見通しでどれだけの無駄が消え、どれだけの国費と市町民の税金が消えていたか。多くは失敗し、中には二束三文で処分されたり、閑古鳥が鳴き、草ぼうぼうの地さえある。甘えを利用して一握りのだれかがうるおっている政治があまりにも見え見えである。【押谷盛利】

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2008年07月29日

防災への心構え(見聞録)

 近畿、北陸地方は28日、雷を伴う豪雨にみまわれ、河川の氾濫、鉄砲水、浸水被害など、自然災害の恐ろしさを見せ付けられた。
 神戸市では河川敷で遊んでいた子どもを含む4人が鉄砲水に流されて亡くなり、金沢市では河川の氾濫により2万世帯が避難。京都府向日市で幼稚園のバスが水没し、園児ら8人が救助された。大津市では橋が冠水し、キャンプ客が一時孤立。落雷による停電や、公共交通の運転見合わせなど各地で混乱した。
◇今月18日の大雨では長浜で1時間84㍉の集中豪雨を記録。市街地を流れる米川は一瞬で容量をオーバーし、一帯の道路が冠水。住宅も11軒で床上、203軒で床下浸水の被害を受けた。
 大雨のたびに水害に悩まされていた米川一帯の住民は、上流の「長浜新川」の完成で洪水の被害から解放されたという安心感を抱いていた。
 このため、「新川があるのに、なぜ浸水被害が起こるのか」との苦情が市や県に寄せられた。先週、地元で聞き取り調査を行った県の流域治水対策室は「米川の許容量を超す大雨の量と、屈曲部が多い川の構造が原因」と語り、「新川が米川に流れこむ水量を上流でカットしたので被害が少なくなったはず」と説明している。
◇長浜市街地はこれまでに何度も水害に見舞われている。全国で死者・行方不明者約5000人を出した1959年の伊勢湾台風で甚大な被害を受けたのをはじめ、1980年の豪雨では300戸が床下浸水。1994年から3年連続で台風や豪雨により50~100戸程度の床下浸水が発生している。
 記録的大雨による米川一帯の水害は宿命的だった。
◇天災による被害を完全に防ぐことは不可能だが、用意周到な準備と対策があれば、最小限に食い止めることができる。
 これまでは、徹底したインフラ整備に重点が置かれ、河川の整備や堤防強化、ダム整備が主流だった。例えば、米川へ流れ込む水量を減らすために上流に整備された「長浜新川」もそうだ。
 しかし、一方で、住民の防災意識も欠かせない。嘉田由紀子知事は、ダムに頼った治水が住民の防災意識を低下させ、ダムの許容量を超える豪雨が発生した場合、かえって被害を拡大させる可能性を指摘している。
 災害にどう備えるのか。今回の水害は、新川の整備で洪水は過去のものと、安心していた我々に警鐘を鳴らしたのかもしれない。
 日本は台風、豪雨、地震、豪雪と、自然災害が多い。ダムや堤防といった土木事業だけに頼りきっていては家族や隣人の命を守れない。日ごろから防災への心構えが大切。

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2008年07月28日

父を殺す子と甘い塩

 このごろ思うことは、世の中、諸事、なにごとも砂糖のように甘くなったことである。
 戦前は、恐いものの代表格に、地震、雷、火事、親父があげられていた、親父以外は今も変わることがないが、親父は一転して、恐いどころか、甘い部類に移籍した。
 もの分かりのよい、やさしい親父で、前の晩は娘とカレーライスを作ったりした。そのお父さんを中学生の娘が夜中に刺し殺した。
 最近、埼玉県で起きた事件だが「なんで」と国民みんなが不審がっている。逆に息子に殺された父親もいる。テレビなどで知る範囲の風評は、いずれもいいお父さんだった。
 殺した息子や娘は、異口同音に「勉強せよ」と言われるのがいやだったとか、腹が立った、ともらしているが、それだけで親を殺せるものだろうか。
◇ぼくは、つくづく、今の父親はかわいそうだと思う。こんな些細なことが親殺しの動機のように報道されると、それでなくともやさしい父か、今後どう息子や娘に真向えばよいのか。うっかり「勉強しろ」とも言えなくなるのでは。
 いつの世でも「勉強しろ」と言うのは、言わば親の務めである。いい子になってもらおう、社会へ出て恥ずかしくない人間になってほしい、との親心があるからこそ、「勉強しろ」と言うのである。世の親で、わが子に勉強しろ、と言わない親があるだろうか。
 勉強ばかりではない。ああもしろ、こうもしろ、と口うるさいのは、いい人間になってほしいからで、これが「しつけ」である。そればかりでなく、ときには「やめときなさい」「してはいけません」と抑制したり、ストップをかけることもある。すべては子のためを思うからである。
◇その「ありがたい」お父さんが子に背かれ、殺される、とあっては、今の世は一体、どうなっているんや、親子の価値観は?と今さらの如く自信をなくしている親が多いのではなかろうか。
 その原因を詮索すれば、いろいろあげられようが、その一つに、冒頭指摘した、世事一般の甘さがあるのではないか。地震、雷と同列の怖さを持つ親が、戦後一転して砂糖のように甘くなったのはまぎれもない事実である。
 獅子は、たくましいわが子の成長を願って、わが子を谷底へ突き落とす、というではないか。父は子を厳しく叱って、いわゆる愛の鞭を加えただけではないか。乃木希典という日露戦争時、旅順を攻略した大将は幼少のころ、泣き虫の弱虫だった。父は希典を鍛えるため真冬、彼を裸にして、井戸の水を頭からぶっかけた、という逸話が残っている。
 世の父親が、母親と同じように、わが子にベタベタと砂糖のように甘さをきかせていては、返って逆効果を招くのかもしれない。「なめたらアカンぜよ」と気を取り直しても中学、高校、大学生になった子は、尊敬するどころか、親を見下げるようになる。父の威厳はもろくも潰れ、見るかげもない。
◇つらつら思うに、甘いのは世の父親のみではない。このごろ、我慢のならぬのは、食品がすべて甘み過剰である。
 特に問題の多いのは加工食品である。アブラっけと、甘みをつけておけば、人は喜んで食べるものと早合点する。調味料は、日本人の伝統食品の一つだが、味噌、醤油、酢、塩に至るまで、塩加減を甘みにし、本来の辛さ、酢っぱさを失っている。あまい味噌、あまい醤油は口あたりはよいかもしれぬが、醸造の本来の味覚を損ねている。
 酢は、もともと酢っぱいものだが、これすら酢味を抑制して、口あたりをよくしているが、ほんまものではないから、体にもよくないし、効果も薄い。なによりも本来の味から遠ざかっている。塩は塩からいものと決めてかかっているが、どっこい、このごろの塩は、甘い。
 このような偽もの時代だから、人間の体にもよくないし、人間の心にもプラスにならない。【押谷盛利】

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2008年07月25日

合併成就への使命感(見聞録)

 長浜市と東浅井郡2町、伊香郡4町による任意合併協議会は24日までに2回の会議を開き、▽長浜市への編入合併▽名称は「長浜市」▽市役所の位置は現在の長浜市役所▽平成21年度中の合併―などを確認。新たに合併基本計画案が提示されるなど、10月の法定協議会設置を目指して、前進している。
◇国内では、これまで市町村合併が盛んに行われた時期が2度あった。「明治の大合併」では7万以上あった市町村が約1万5000に減り、1950~60年代の「昭和の大合併」ではさらに約3400になった。
 長浜市と浅井町、びわ町の合併や坂田郡4町の合併は「平成の大合併」にあたり、現在の1市6町合併協議は、その後半戦といったところか。
 合併そのものの狙いは、税金の無駄を無くして行政運営の効率化を図ることにある。
 日本の将来は超高齢化社会が待っている。保健、福祉、医療費の増大は避けられない。さらに少子化により税収の大幅な改善は見込めない。
 要は財政運営の好転の手段として、今、合併が協議されているわけだ。
 首長や議員などの特別職の純減、職員の適材適所による人員削減で人件費を大幅に節約できる。1市6町の任意合併協議会のシュミレーションでも年間32億円の人件費を削減できると試算している。
◇時代に合った行政区域の再編という視点でも語ることができるだろう。
 現代社会は交通や通信が発達し、いつまでも小さな行政の枠組みを堅持する必要があるのか、という見方だ。
 ヨーロッパではEU(ヨーロッパ共同体)が一つの地域として、通貨を統一し、国境管理を無くし、今、大きく発展している。ユーロの価値も上昇し、国際通貨としての地位を確立した。
 植民地支配時代から世界のトップを走っていたヨーロッパの国々だが、アメリカや日本などの経済発展に追いやられ、ヨーロッパ全体で地域振興を図らなければ、との危機感の表れだった。
 また、第2次世界大戦の悲惨な過去を学び、隣国同士が戦争をしない仕組み作りでもあった。
 自国通貨や国境管理の解消という国の根底に関わるような政策が実現したのも、各国のリーダーの崇高な使命感がそこにあったからだろう。
◇さて、今後の1市6町合併協議の進展は、市町議会の姿勢しだいと言える。
 特に合併後の議員の扱いを巡って、市議会は在任特例、定数特例を認めない方針を示している。もし、特例を認めれば、一時的に議員が約90人にまで増えることになり、経費節減を目指す合併の主旨と反してしまうから、市議会の主張には一理ある。
 気がかりなのは、市議会内に「編入合併だから6町が長浜市の制度に合わせるのは当然」と大上段に構えている議員が一部いること。相手のことをおもんぱかれば、このような態度が許されるはずもない。ただでさえ、「編入合併」は6町民に不安をもたらす。高月町の浅見勝也議長が町民の声を代弁して、平等な協議を訴えたのも当然のことだろう。
 なお、8月には市議会臨時会が開かれ、議長が改選される。合併協議が次なるステップに飛躍できるような議長の選出を、市議会に望みたい。

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2008年07月24日

中国と北朝鮮の戦略

 ぼくが、何回にもわたって北朝鮮問題などを論じているのは実は日本を愛し、日本人の幸せを強く願っているからに過ぎない。そういえば一国利己主義のようだが、そうではなく、日本の将来を考える対朝鮮観が同時に韓国の政治家や国民に道を誤ることのないような友情のメッセージを送ることにつながるのだ。
 もし、韓国が北によって武力革命の洗礼を受ければどういうことになるのか。
 当然のことながら、労働党(共産党)が権力を握る。その政治手法は現在の北朝鮮と同様に、党の独裁支配下、人民の自由は一切剥奪される。
 報道の自由、旅行の自由、政治団体その他の組織を結成することの自由、職業の自由、集会やデモの自由など一切が許されなくなる。
 企業の自由活動も許されず、一切が党組織と党官僚の手に委ねられ、強力な軍事と警察国家になる。
 いわば人民は金正日将軍と党の奴隷にすぎなくなる。
◇ぼくが、そう訴えるのは、現在の北朝鮮や中国の実態がそうなっているから確信をもって言いきれるのだ。
 中国は小平時代の開放政策によって外国資本の導入を許し経済特区を先例に、自由国家並みに資本主義的成長を続けているが、それはあくまでも党の管理下、党のお墨付きの範囲を出るものではなく、いつ何時、封鎖や解体、没収などの制裁を受けるかもしれない。
 いまは仮面をかぶって工業化と近代化を急いでいるにすぎない。それは一握りのお金持ちと各地区に網の目のように派遣されている共産党幹部の繁栄と権威が保障されているだけで、13億人ともいわれる人民大衆の多くは貧困と人権無視の暴政に苦しんでいる。
 その苦しみの現れが、各地にひろがっているデモや当局との激しいトラブルに証明されている。
◇北朝鮮の国内状況のみじめさは中国の比ではない。
 飢餓に泣き、強制労働に泣き、スパイに監視されながら、国を脱出することもできず、集団の力で政府や地区の共産党に訴えることも許されない。もし、そうした動きがスパイの手にキャッチされたら、本人のみならず家族全員が刑務所送りを覚悟しなければならぬ。
 しかも、一切の内部の情報は閉ざされ、人民は知る権利を奪われ、都合のよい宣伝及び、人民の愛国心をそそるニュースや解説を一方的に見聞させられる。
 すべての生殺与奪の権は金正日将軍が握っており、将軍のお慈悲で餓死が救われている、と人民を洗脳教育しているのが実態である。
◇中国にとっても北朝鮮にとっても最大の敵はアメリカであり、それと同盟関係にある日本である。これは厳然たる両共産国の最大の戦略である。
 もし、アメリカがにらみをきかせていなかったら、とっくに中国は台湾を攻略し、その支配下に置いたはずだ。
 同様にアメリカ軍が韓国から引き揚げたならば、即刻、北は南を武力征服し、名実ともに朝鮮民主主義人民共和国を樹立するだろう。
 だから両国とも強力な反アメリカ政策が政治権力の根底にあるのだが、中国は近代国家の建設を先行させて、時をかせいでいると考えてよい。
 北朝鮮は韓国内に反アメリカ感情を浸透させるため、あらゆる機会を利用して、アメリカの悪口をいい、アメリカ帰れをキャンペーンする。
 両国とも日本に強い姿勢でのぞんでいるのは、日本国民がアメリカとの連帯を拒否することを願っているからである。そして巧妙に日本国内の政治家や経済人、報道機関などにくさびを打ちこんでくるのである。
 要するに中国は台湾を、北朝鮮は韓国を共産支配下におくのが最大のねらいである。【押谷盛利】

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2008年07月23日

北朝鮮の深謀と日本

 昨年(07)12月の韓国大統領選で李明博(イ・ミョンパク)氏が与党系候補を破って当選したことは画期的なことだった。世界の平和と民主主義の前進に寄与する意味でアメリカはもちろん、日本も大歓迎すべき結果だったが、なぜか日本のマスコミはそうした積極的評価をしぶった。
 李大統領の選出は、国民がこれまで続いた金大中、廬武鉉両大統領の対北親善外交にノーを宣告したところに意味がある。
 両氏による過去10年間の韓国政治は軸足を大きく北朝鮮に向けたものであり、北朝鮮への経済支援、観光開発、友好政策が顕著だった。そのゆきつくところ、北朝鮮との統一の前提ともいうべき南北連合システムの結成にあった。
◇これは北朝鮮の巧妙なる戦略で、双方対等の協議システムによって、朝鮮半島全体の政治を推進しようとするものであるが、実質的には協議体の構成メンバーの質の差により、北朝鮮主導の運営が明白であり、ゆくゆくは力(武力)による南北統一に向けられる。
 力による南北統一とは北朝鮮の実力(軍事力)によって革命的に韓国の主権を北が握ることを意味する。
 これは、かつてのベトナムを想起させる。ベトナムは北は中国、ロシアの支援を受ける共産党国家、南はアメリカの支援を受ける民主国家であった。
 選挙による民主的手続きで、南北ベトナムの統一は不可能だと知った北は軍事力で南に侵攻して来た結果、それを排除する南ベトナム軍とその支援のアメリカ軍との戦争となった。
 最終的には北軍が南を支配したが、その軍事的、政治的行動の中でひときわ目立ったのが南における北のスパイや工作員の活動であった。
◇これと似た構図を見せているのが現在の朝鮮半島の政治図である。
 北は1950年の朝鮮戦争の失敗を教訓とし、さらにベトナムの統一軍事行動の成果を学んで、失敗の許されぬ革命の準備を進めている。
 ベトナムにおいては、北は「南ベトナムの解放闘争」と呼んだ。資本主義の搾取から人民を解放するのだ、という口実だが、日本のマスコミや一部の市民団体は北の共産党の宣伝を丸受けして、「解放戦争」と叫び「ベトナムに平和を」と、日本国民の協力や支援を促した。
 その組織の一つが「ベ平連(ベトナムに平和を市民連合)」だった。つまるところは、ベトナム共産革命の応援団だった。
◇いまの北朝鮮もまた南(韓国)を統一する口実に「南韓を解放する」と言っている。
 解放とは勝手な言い分で、「南を武力で統一する」という意味である。
 ただし、ベトナムと事情の異なるのは、南(韓国)の人民の民度が高いことと、経済的、文化的に北よりも遥かに秀れ豊かになっていることである。だから、解放するというスローガンが韓国民の腹に納得や賛成を呼ばないのである。
 解放の声に乗ってこないので、それでは政権もろともに親北勢力で固め、ある時機をとらえて、韓国内で学生闘争と労組のゼネストを組織し、それに北の軍事力が支援する形の内乱状況の中で革命的統一を図るというのが目下の戦略である。
 この戦略に協力してきたのが金大中政権であり、その後の廬武鉉政権であった。
 しかし、韓国民の判断は冷静だった。親北政権反対の声を大統領選に結集した。
 北の思惑は完全に外れたが、目下は、その巻き返し闘争が李政権を苦しめている。それが米牛肉反対の学生デモであり、今回、金剛山で起きた韓国人観光女性の射殺事件である。
 北の深謀遠慮は、今後、どんな手を打つか、日本のマスコミや政治家がそれに利用されたりしてはならぬ。【押谷盛利】

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2008年07月22日

今夏の旅行計画は?(見聞録)

 投機マネーの流入と、中国、インドなど新興国の需要増で高騰を続ける原油価格はガソリンのみならず、食品や日用品にまで値上げを招き、日本人の生活に大きな影響を及ぼしている。
 8月にはガソリン1㍑あたり190円になる見込みで、夏休みのマイカーお出掛けが気になるところ。
 今夏の旅行は、航空運賃の燃料代の上昇のため、海外が敬遠され、国内の移動手段もマイカーより鉄道やバスが注目されている。
 JTB西日本によると、7月から9月に出発する海外旅行の予約申し込みは前年比5%減。関西空港では19日、夏休みを海外で過ごす旅行客の出国ラッシュが始まったが、この夏の出入国者数は前年比7%減と予測している。
 韓国や中国、台湾旅行などは人気があるが、ヨーロッパなどの遠方は、航空運賃とは別に負担する燃料代が高く付き、敬遠されているそうだ。
 一方、国内旅行は2%増。テーマパークや温泉街が、往時の活気を復活させる気配を見せている。ようは、原油高騰で何から何まで値上がりしている現在、旅費が安い近場で済ませようとの生活防衛意識が働いている訳だ。
◇鉄道や車の無い時代は、旅行という考え自体が存在しなかった。
 あえて旅行と位置づけるとすれば、お伊勢参り、四国の88カ所巡礼などに見られるような社寺仏閣への参拝など、宗教的な意味合いが強かった。ヨーロッパでは、聖ヤコブの墓の上に建つ大聖堂を目指すフランス―スペインの巡礼街道が知られるし、イスラム教諸国では聖地メッカへの巡礼が信仰者の義務であり、夢だ。
 車の無い時代の交通手段は自分の足。現代のように「楽しさ」や「癒し」を求める快楽的なものではなく、自らの信仰心に生き、確かめる修行のようなものであったのではないか。
◇現代のような旅行が日本で一般化したのは高度経済成長の頃から。鉄道や道路が整備されて移動手段が確保され、一家一台のマイカー。そして、生活に余裕ができ出した頃だろう。
 旅行ブームの今では、飛行機で簡単に地球の裏側へ行けるし、ちょっと奮発すれば、南極にだって。最近では宇宙旅行を売り出す旅行会社も出ており、未知なる世界への探究心は、物欲に満たされてしまった現代人の心を捉えて放さない。
◇とはいえ今の原油高騰。高い燃料代を払うくらいなら、旅行の原点に回帰して、近場のお寺巡りが良いかも。
 例えば、山と緑に囲まれた近江孤篷庵(上野町)は街中の喧騒を忘れて、心身をクールダウンさせてくれるし、標高750㍍の大吉寺(野瀬町)なんかも、深緑の香りとさわやかな風を楽しめそう。少し足を伸ばして湖東三山や、湖西の延暦寺も避暑には良いポイントだ。
 寺院に限らなければ、琵琶湖での水遊びやキャンプ、気軽にチャレンジできるカヤック体験。伊吹山で高山植物を観察するのも楽しいし、醒井養鱒場では清流がヒンヤリとした空気を運び、魚料理に舌鼓。南浜や今荘ではブドウ狩り、長浜港では大花火大会―と、近場にも行楽ポイントは豊富だ。
 ガソリン高騰を、普段見過ごしがちな地元の観光地、行楽地を再発見する機会と、前向きに捉えれば、今夏の旅行にも結構夢はありそうだ。

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2008年07月19日

親中、親北の政治批判

 昭和30年(1955)は、保守合同による自民党、左、右の統一による社会党の誕生した記念すべき年である。この年以来、日本の政治は1993年の細川政権まで、自民、社会両党の調整で進められた。
 言葉を換えれば自社の馴れ合い政治が自民党の永久政権化を危惧させた。このときの自、社の馴れ合い政治を歴史的に55年体制という。
 社会党は統一後も思想的対立から左派、右派の内部争いを温存していたが、左派のうちの最左派をマスコミは容共派ととらえた。容共とは親共産党であり、共産党と手をつないでの政治闘争を容認する一派と目されていた。
◇今は「容共派」は古典的な言葉になったが、それに代わって、親ロ派、親中派、親北派が政治行動の中で目立つようになった。
 たとえば、政府の方針に反して、こっそり国を出て、北朝鮮側と裏話をする山崎拓前自民党副総裁や、帰ってきた拉致被害者5人を北へ送り返さなかったのは約束破りだと安倍さんを悪しざまにいう加藤紘一元幹事長らは親北派の頭目であろう。
 小泉純一郎氏が総理・総裁時代、靖国参拝をめぐって、中国が良識を超えて反小泉のキャンペーンを展開した。それに同調して、内部から小泉批判を上げた政治家が自民党内にいたが、彼らは明白な親中、親北派であった。面白いのは、親中派と親北派の顔ぶれが、だぶっていることである。
 はっきりしていることは、北(朝鮮)も中国も共産党独裁の国家であり、都合のいいときは大事にし、利用するが、都合が悪ければ憎悪し、一つ違えば消されることになりかねない。
 中国についていえば、さきに問題になった反日デモによる日本の公館の破壊活動や、日本の領事館に救いを求めた脱北者を国際法を侵して、領事館から拘束した事件。中国内でのスポーツアジア大会で日本選手へのブーイング、日の丸焼却事件。最近の毒入りギョーザ、チベットでの人権侵害など、一口でいえば法と道徳を無視した横暴さはどう見ても正常な文化国家とは思えぬが、これまでの日本政府や政治家の動きはなぜか、はれものに触るようにおじけづいている。言うべきことを言わない体質が逆に中国側の鼻息を強くさせているきらいがある。
 そこが中国のずるさか、意識的な戦略か、どんな厚待遇を用意しているのか。日本からヘイコラサッサと中国詣りする政治家が与野党にわんさといるではないか。自民党では、山崎拓、加藤紘一、そしていま羽ぶりをきかせているのが二階俊博現総務会長。
 公明党は大親分の創価学会・池田大作名誉会長が、中国入りしては中国首脳と会談している。
 野党の民主党は小沢一郎代表が何百人もの訪中団を組織して胡錦涛総書記に最敬礼している。最敬礼するのは勝手だが、国民を代表して日本の立場や日本人の不信感を訴えなければ何のための訪中か、と疑いたくなる。
◇中国にしても北朝鮮にしても、相手を批判し、攻撃することは熱心だが、自国の誤り等については自己反省もなければ陳謝もしない。
 その横着さを加速させているのは一にも二にも親中派、親北派の政治家であり、福田総理もまたこの派の一味に組み込まれている。残念なのは、日本のマスメディアもまた産経や一部を除き、親北、親中派が力を持っているのか、先方の権力の発表は鵜呑みにするが、相手国の真実と実態についてはほおかむりの姿勢である。利権政治や偏向報道が国民を誤らせ、国益と国民の幸せを潰すのは歴史が証明している。【押谷盛利】

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2008年07月18日

19日はゆかたまつり(見聞録)

 長浜ゆかたまつりが19日夕方、市街地の商店街一帯で開かれる。
 これまでは大通寺の「夏中さん」に合わせて開催していたが、年々、来場者が増加して混雑がひどいので、日程をずらした。
 9回目を迎える今年は、夜店、ビアガーデン、ラーメンコンテスト、コンサート、大道芸に加え、プロバスケットボール選手やスポレックのイメージキャラクターが登場するなど、「なんでもあり」。商店街を訪れる市民や観光客にトコトン楽しんでもらおうとの意気込みが伝わってくる。
 夏休み初日ということもあり、家族連れなどで賑わいそうだ。
◇浴衣で街中を散策する催しは、今や全国各地で行われているが、長浜では1999年に始まった。
 和装産業の振興を図る「全国きものサミット」を秋に控えたプレイベントとして、地元の地場繊維産業振興協議会が企画し、長浜の新たな夏の風物詩として定着を目指した。
 浴衣姿で市街地を散策し、チェックポイントでスタンプを押して回るスタイルは今と一緒だ。
 当時の夏中さんは、娯楽の多様化で人出に陰りが見えていた。そこに浴衣姿の家族やカップルが大挙したとあって、当時の商店主は「今年の夏中さんはカラフル。アベックや親子が浴衣を着ていると『いき』に見える」と、新しい催しの誕生を大歓迎していた。
◇浴衣は平安時代の湯帷子(ゆかたびら)が始まりとされる。入浴用の衣類を指し、蒸し風呂に入る際、汗取りと、身体を隠す目的で使用された。その名残りは「浴衣」の字に見て取れる。
 安土桃山時代ごろから、身体の水分を吸収させるため、湯上りに着るようになり、江戸時代に入ってから庶民の衣類となった。着物に比べて、生地が薄く、風通しが良いことから、夏場に着ることが増えた。
 しかし、戦後の洋服文化は日本の伝統的和服文化を駆逐。簡単に着られる浴衣でさえ、夏場の地位を追われ、温泉宿や旅館、花火大会、盆踊りなどの夏の行事でしか見られないのは、グローバル化の宿命か。
◇最近は一時に比べて浴衣姿が増えた気がする。ゆかたまつりのような、浴衣着をPRするイベントが盛んなのも一因だろうが、「ユニクロ」などのカジュアルブランドが低価格浴衣を扱っているのも大きいのではないか。
 ユニクロは低価格フリースやジーンズを販売して業績を伸ばし、5年前から浴衣分野に参入。従来の百貨店や呉服店では1万円以上する商品もあって、若者には手が届きにくかったが、ユニクロは洋服並みに気軽に買えるようにして、若い女性やファミリー層から人気を集めた。
 今では量販店などでも小物をセットにした低価格浴衣が登場し、和装文化の復興に一役買っている。
 問題は着付けだが、インターネットでは着付け方法を動画で丁寧に紹介しているサイトが数多くあるので、興味のある読者は参考にされては。

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2008年07月17日

李大統領を敵視する北

 今の韓国大統領・李明博(イ・ミョンバク)氏が当選したのは07年12月19日だった。前大統領の廬武鉉(ノ・ムヒョン)系の与党の候補・鄭東泳(チョン・ドンヨン)氏や無所属の李会昌(イ・フェチャン)氏に大差をつけ、得票率48・7%の完勝だった。
 分かり易くいえば、これまで10年間続いた金大中、廬武鉉大統領による親北政権の北に対する太陽政策がストップし、対アメリカ重視の親米政権が誕生したことになる。
 北朝鮮は、過去10年の金・廬時代を通じ、韓国に北朝鮮びいきの強いきずなを布石した。そのことは韓国の政府や行政を親北勢力で牛耳り、近い将来の南北統一への地ならしでもあった。ところが、今回の大統領、ふたを開けたら、国民の声はむしろ反北で、アメリカ・日本との親善外交に傾斜する路線を採択した。
◇したがって、李大統領の出現は「胸くそ悪さ」を超えて1日でも早く潰したいのが北朝鮮の本音である。それを最も的確に示したのは、北のマスコミである。北朝鮮の報道機関はすべて労働党直営の官営メディアで、労働新聞や朝鮮中央通信がこれにあたる。
 これら北のマスメディアは、李大統領の当選について、昨年12月19日以降、今年2月25日の大統領就任式に至るまで実に50日以上も全く報じていないのである。
 南北統一をいう北が、隣国の韓国の政局転換に50日以上も国内報道をしないというこの国の陰険さと国民の知る権利を奪う闇の政治の恐ろしさを示す一事だが、その根底にある李政権憎しの心は、韓国内の工作員やスパイ、親北分子のゲリラ戦となって、ただ一途に李政権潰しの大衆運動を激化させるであろう。
◇その最初の組織的反政権闘争として取り上げたのが、米国牛肉の輸入反対デモ騒動である。
 これは、韓国のマスメディアの煽動もあるが、学生が主力となって食の安全を口実に反米、反李政権の闘争に盛り上げたところに注目したい。
 大統領選における国民のとった対北太陽政策破棄の巻き返しというべきで、選挙では北朝鮮派は負けるから、デモやストで革命的に親米政権を潰すという戦略である。これに似たのが昭和34年、35年、1960年前後の日本の安保闘争である。
 岸内閣による日米安全保障条約の改訂に反対する大々的デモを2年間にわたって組織したが、その大半は全国の大学生を動員した全学連の指導によるものだった。岸内閣によって安保改訂の調印は終わったが、その後、岸総理は辞任した。
◇国会の審議という民主的ルールを排してのデモやストによる大衆的闘争戦術で政治や政治権力を変えようとするのは共産主義的革命のイロハであるが、その革命ののろしに火がつくのは与党政権の失政や国民の貧困と飢えが最高の条件である。
 しかし、治安組織が確立している場合や国民の教育的民度が高ければ、闘争は学生たちの一時的はね上がりと冷静視される。最も危険なのは、ゼネストという労働組合の全面的ストと学生のデモが統一して、相乗効果を上げるときである。
 本来なら、北朝鮮でこそ、そうした革命闘争が勃発すべきなのだが、彼の国ではそれは不可能である。
 一切の権力は労働党が握り、軍と警察が一体化し、国民の末端居住地域単位に至るまでスパイ網が張りめぐらされ、金正日将軍や北政府を批判するものは問答無用で逮捕、銃殺されるからである。
 韓国李政権の運命は日本の安全、平和に直結するのであるが、日本のマスコミはそれに触れたがらない。なぜか。それが問題である。【押谷盛利】

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2008年07月16日

朝鮮の南北統一問題

 政治に疎(うと)いものは、知らず、知らずに一つの強い思想や政治権力の思惑にはまって、結果的には国を誤る世論の形成に一役買うことになる。
 政治に疎いというのは、単なる無関心派もあるが、関心はあっても、真実の探求ではなく、表面に現れた団体の宣伝やマスコミの報道に盲目的に慣らされる場合が多い。
◇具体的に例をあげれば、日本には戦後いち早く「原爆反対」、「平和」の市民運動が組織され、その動きは闘争的といわれるほど活発化した。
 この場合、原爆賛成か、反対かと迫られれば世界唯一、最初の被害者である日本人が賛成するはずがない。十人が十人、みんな反対である。原爆反対の運動は日本よりも、その保有国である米、英、仏、中国、ロシアにおいてこそ盛り上げるべき政治課題である。「平和」についても同様で、日本人で戦争賛成、平和反対論者は一人もいない。それをいいことに「平和」の名を掲げて市民運動を組織するのは、原爆と同様、その背景には政治思想の陰謀が秘められている。
 つまり、大衆運動と結びつけることによって、社会主義革命への前線整備が目的なのである。分かり易くいえば誰もが共感し、納得できる闘争目標をもって、集会、デモ等に参加させ、その参画行動が社会主義教育の実践的効果を果たすのである。
 こうした大衆組織が他の労働組合や学生団体と統一的に全国レベルの大衆闘争に発展させることが政治、思想面における陰の指導者の戦略なのである。その大衆闘争は、かつては、昭和34・35年の安保闘争で国会周辺の治安を麻痺させた。明らかな政治闘争であり、革命の予行演習でもあった。
◇いま、朝鮮半島で、南北共通の民族的悲願は、南北統一であろう。同じ言語、同じ民族でありながら、北と南に政治的に分断国家を形成しているのは、不合理であり、両国民にとっての不幸でもある。ましてや、そのことが国際社会の平和に影響ありとせば、両国の統一は国際的にも歓迎されるべき課題といっていい。
 ただし、問題は統一の課程であり、統一後の国家形態の姿である。目標は正しく、民族の悲願でありながら、これが進まないのは、北と南の政治権力の違いと、国家の成り行き、政治そのものの質の違いが相反するからである。
◇人権が保障され、思想、宗教、職業、結社、集会、表現、デモ等の自由が許される国、つまり、自由、民主主義国家として統一されることが朝鮮半島の民族としては最もベストの選択であり、そうあるべきだと思うものの、実際の半島の政治縮図はそういう方向には至っていない。北は明らかに労働党支配の独裁国家であり、総書記とも将軍とも呼ばれる金正日権力が国民の死活を握っている。逆に南の韓国は、西欧民主国家の道を選び、大統領は国民投票によって決められ、政権は国会の承認によって政治をすすめる。
◇この二つの南北両国家は、思想的、政治的に全く相反するから、一口に統一といっても、先進国のような選挙によるわけにはゆかぬし、統一後の政治のあり方についても意見は全く対立する。
 このような考えに立てば、望ましい統一でありながら、道は遠い。しかし、国民の声は統一への関心が高い。一つには、真実を知らずに、統一そのものが王道楽土に結びつくかの如く思っているか、あるいは政治的に溝を埋めようとする思想工作に乗せられているからであろう。
 いま、韓国において「南北統一」の世論がかき立てられているのは明らかに北側の工作の成功といえるし、その統一の実現は最終的には北の軍事力による武力支配につながる。いわば、北は、目下、韓国内での革命の演習を政治日程にしているのであり、一つは米牛肉の反対デモである。ねらいが巧みなばかりに、真相を知る人は少ない。【押谷盛利】

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2008年07月15日

領土問題への姿勢(見聞録)

 日本が領有権を主張しながら韓国が実効支配している島根県の竹島について、文科省は中学校の学習指導要領に記述する方針を発表した。
 学習指導要領に竹島問題が取り上げられるのは初めてだが、当初検討されていた「竹島は我が国固有の領土」との記述を避け、「我が国と韓国との間に主張に相違がある」と表現が後退した。
 日韓関係の悪化を懸念しての配慮だが、両国が領有権を争っている以上、教科書に双方の主張を掲載するのは必要なことで、この際、学校で竹島問題の詳しい経緯を教えるべきだろう。
◇竹島は日本列島と朝鮮半島の中間に浮かび、東島、西島と呼ばれる小島と周辺の37の岩礁からなる。
 日本は江戸時代初期に領有権を確立し、1905年に島根県への編入が閣議決定された。しかし、1952年、韓国が領有権を一方的に宣言し、武装警察官を常駐させるなどして武力占有。灯台やヘリポートなどを設置し、宿泊施設も建設している。
 日本は不法占拠だとして抗議を行ってきたが、その弱腰を見透かされ、日本の海上保安庁や漁船は領海内に入れない状態が続いている。
◇今回、初めて竹島を領土問題として学習指導要領に盛り込むことにした文科省に対し、韓国政府は「失望と遺憾」の意を表明し、日本大使館前では卵を投げるなどのデモが発生した。
 竹島の島根県への編入を閣議決定した1905年は日本が朝鮮半島併合を始めた年でもある。ゆえに竹島は日本の植民地支配の象徴とされており、日本が領有権を主張するたびに、韓国世論が敏感に反応してきた。
 領土問題を教科書で教えることすら許さない偏狭な愛国主義が、韓国でまかり通るのも、そういう植民地被害の過去があるからではないだろうか。
◇竹島問題に対する日本の大手新聞の反応は―。
 読売は「竹島明記は遅いぐらいだ」として、領土問題を国民にどう教育するかは国の主権に関わると指摘し、一定評価している。
 毎日は、韓国側が文科省発表に抗議したことに、「領土問題には冷静さが必要だ」として、韓国側に過剰反応をいさめている。
 朝日は「日韓は負の連鎖を防げ」として「互いに不信をあおらないような対応に努めたい」とサラリと流している。
 産経は「明確に『日本領』と教えよ」と、韓国に配慮した文科省の記述方針を批判。外交配慮よりも自国主張を行うべきだと日本政府の弱腰を憂えている。
◇世界中の地理をスパイ衛星気分で楽しめるインターネットのソフト「グーグル・アース」では、竹島は「独島」(韓国名)とも表記されている。島をクローズアップして見れば、「独島」として数々の写真が紹介される一方、「竹島」表記はごく一部。世界中のネットユーザーが用いるソフトの中で、このような表記が目立つようでは、国際的にも誤解されかねない。
 自国の主権に関わる領土問題は政府も国民も主張すべきを主張すべきだ。

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2008年07月14日

北に殺された韓国女性

 ぼくは何回となく北朝鮮との国交や日本人の拉致被害者問題に言及してきたが、それはひたすら日本の独立と平和、日本人の安全を願っての、言わば愛国の叫びである。
 日本人の多くは、韓国の政情や世論の動向に無関心だが、その無関心に影響を与えているのは日本のマスコミである。ぼくは一介の田舎新聞の記者に過ぎないが、大局を見る眼と日本のあるべき政治の方向に誤りのなきよう常に自戒しつつ、一方でマスコミ批判に厳しいスタンスを持っている。
◇いま、韓国が国際的にどういう位置にいるか、韓国内の政治、教育、社会情勢はどんな状況にあるのか、知っている人は少ないのではないか。
 日本人が韓国のことを知るには日本のマスコミの報道によるしかないが、残念ながら、日本のマスコミの韓国情報は極めて偏向しており、それは韓国のマスコミとの連帯にもよるが、一般的に言えば、北朝鮮に対しては友好的、アメリカに対しては反米的である。
 もちろん、日本においても産経のように厳しい態度で北朝鮮の政治を分析しているのもあるし、韓国においても北からの共産化を警告するマスコミも存在する。
 しかし、日本にしろ、韓国にしろ、全体としてのマスコミの空気は親北、反米である。
◇ぼくが、とりわけ韓国に深い関心を持つのはこの国が北朝鮮の政治工作と巧みな反米世論の形成による南北統一の可能性を危惧するからである。
 何も知らない日本人は、韓国は北の地続きの隣国であり、その北朝鮮は自由も民主主義も人権もない国であることを百も承知しているはずであり、そんな国に統一されたり、同化されることはあり得ない、とたかをくくっている。
◇ところが、現実の韓国の政治や世情はどうか。現在は李明博大統領がこれまでの金大中、廬武鉉大統領時代の親北政治を大きく転換しつつあり、一見、喜ぶべき状況といえるが、実態は逆に憂うべき政情不安を熟成しつつある。
 日本の新聞は、李明博大統領の当選とそれの背景ともいうべき韓国民の素朴な国民感情を克明、丁寧に分析報道することを避けた。
 李政権誕生の意義を黙殺しかねない冷ややかさは、親北の政治偏向をかいま見る思いであった。
◇おそらく、北朝鮮の対韓指導戦略と韓国内の親北政治勢力や工作隊は、李政権をゆすぶり、打倒する戦術を広範に展開することによって、北の韓国支配の革命演習に結びつけるであろう。
 このほど起きた北朝鮮の観光地金剛山麓における韓国観光女性(53)の射殺事件は、国際的に注目されているが、この事件、多くの謎に包まれている。
 真相は分からないが、常に南北は同一民族、同一言語であるとして、民衆工作している北が、なぜ、銃撃したのか。柵を越えて、観光区域外の海水浴場付近に出たというが、ならば、殺さずに逮捕して、調べるのが本筋でその方が有利ではないか。
 この件で、北は謝罪するどろこか、韓国側に謝罪を要求しているが、盗人がひらき直るような図である。
 韓国ではこの事件の前に、何万人ものの若者を動員して、アメリカ牛肉反対の政治デモがソウルを湧かした。反米闘争で李政権をゆさぶる真のねらいは何か。【押谷盛利】

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2008年07月11日

伊吹山再生の行方(見聞録)

 伊吹山の自然再生構想を考える滋賀県の「伊吹山自然再生協議会」はこれまでに2回の協議会を開いた。
 滋賀県は琵琶湖や河川の自然再生に取り組んだ経験はあるが、山岳部では初めての試み。環境省からの出向職員が核となって、国の支援を受けて協議会を立ち上げた。
◇協議会が目標に掲げるのは、第1に山頂周辺に広がる高山植物の群落地の維持、復元。「お花畑」と親しまれる一帯に外来植物が侵入したり、観光客や登山客が踏み荒らしたりで、被害が出ていることから、その対策。
 第2に景観問題。開発の規制、採石跡地の緑化に努め、草原や森林による新しい山容を創出。
 第3は、伊吹山と人が関わることによって自然環境の大切さを体感できる仕組み、体験型観光「エコツーリズム」の確立だ。
◇小欄が注目しているのは採石後の痛々しい姿をどうするのか、ということ。
 採石前の写真を見ると、伊吹山はなだらかな尾根を持つ均整のとれた美しい姿をしている。それが、昭和26年から始まった石灰石の採掘により、長浜から見て左側の尾根は切り取られたかのように、水平に削られている。
 初めて長浜に訪れた際、いびつな形をした山があるもんだ、との印象を受けた。後に採石の結果と知り、地域シンボルでもある伊吹山をよくもあそこまで…と感じたものだった。
◇石灰石はセメント材料として、ビルや道路、橋など近代的な街造りを支えてきた。伊吹山をはじめとする全国の山々が削られ、日本の経済発展の犠牲となった。
 ゆえに、協議会では山容の変化を憂う声が出ながらも、セメント原料の供給という社会的役割を考えると「やむを得ない」との感情が支配的だ。あの痛々しい姿を、「20世紀文化のモニュメント」と、近代史の遺産かのように語る委員もいた。セメント需要のある限り、たとえ、伊吹山での採石を中止しても、別の山で採石が進むだけ、との意見ももっともだ。
 業者側は採掘跡に高山植物を植えて緑化に取り組んで景観に配慮する一方、小学生などの現場見学を受け付け、社会的役割を訴えている。
 今後もあの平らな部分を掘り下げる方針らしいが、気になる話だ。
◇自然保護と経済発展をどう天秤にかけるのか。その答えが簡単に見つからないのは、先の洞爺湖サミットでも見られた通りだ。
 伊吹山自然再生協議会では、今まで公の場で取り上げられなかった採石問題に踏み込んだことで評価されよう。
 ところで、長浜や東浅井の住民は、借景としての伊吹山の現状をどう考えているのだろうか。自身の生活とは直結しない他所の問題と考えているなら、伊吹山は悲しむだろう。

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2008年07月10日

福田総理の危険な外交

 日本の福田総理は、アメリカのブッシュ大統領の尻馬に乗って、北朝鮮への経済制裁などを解除する方針だが、ブッシュの腹の中は、今年末に任期が終わるので、それまでに北の核開発をストップさせ、泥沼に入っているイラク問題の失点を帳消しにしようとするたくらみである。
 そこで、拉致問題を餌にして、日本を道連れに「北のテロ支援国家」の指定を解除することにした。
 名実ともに「ならずもの国家」として、北の正体を一番よく知っているはずの福田総理は山崎拓元自民党副総裁、加藤紘一元自民党幹事長らの援護を受けて北朝鮮に対するこれまでの経済制裁を解除し、国交交渉へ一歩前進の構えを見せた。そのさい、アメリカの口ききで北の出してきたカードは「拉致被害者の再調査」と、日航・よど号ハイジャックの赤軍派と家族らの送還であった。
 なにを、とぼけ顔におめおめと北の話に乗ったのか。
 これまでに、何回交渉しても「拉致被害者はいない。拉致問題は解決ずみ」としらを切ってきたではないか。横田めぐみさんの生存は脱北者の工作員の証言によっても明らかだが、不法にもインチキの遺骨を送りつけて、それをめぐみさんの骨と主張し続けてきたのである。
◇1998年、北のミサイルが日本海上空から日本を越えて三陸沖に打ち込まれた事件はすでに触れたが、その翌99年3月23日には新潟県沖の日本領海内に不審船が侵略した。発見したのは海上自衛隊の哨戒機だった。海上保安庁の巡視船が追跡したが、速度の速い不審船は北朝鮮領海へ逃げてしまった。
 海上保安庁は荷が重すぎて自衛隊の出動を仰ぐことにしたが、協議がもたもたして、自衛隊に出動を要請したのは事件発生15時間後だった。
 これ以外にも日本海沿岸ではしばしば物騒な事件が伝えられ、あるときは日本人が拉致され、あるときはスパイや工作員が上陸し、スパイ用の器機が海岸に陸揚げされていた。ときには北朝鮮の兵士らしい死体が漂着したこともあった。
 日本の自衛体制は一体どうなっているのか、戸締まり無用論者の声をいいことに独立国の主権を侵されたり、国民の安全がおびやかされているのに毅然とした対策が立てられなかった。
◇それどころか、2001年5月の連休中に世界的な大事件が日本国内で起きた。
 北朝鮮の最高権力者・金正日総書記の長男・金正男とみられる男性が偽造旅券で日本に密入国した。入管当局に拘束されたさい、自ら金総書記の息子である、と名乗っており、明らかに最高権力者の後継者と目されている人物である。
 この男性は若い女性2人と男児1人を連れていたが、うち1人を除き他はすべて偽造旅券による不法入国であった。
 政府は入国の理由や、不法をただすこともなく、4日、わざわざ日航機で北京へ送り、北朝鮮大使館員らに迎えられるほどの厚遇をした。
 本来なら逮捕して、徹底的に取り調べる筋であり、それこそ拉致被害者返還のカードにするべきだった。
 これが逆の立場ならどうなっていたか。大物ではなく、一国民だったとしてもスパイ容疑で逮捕し、20年や30年拘束しているであろう。
◇北朝鮮はこのような数々の前科と拭いきれぬ不信と不法行為を重ねているからこそ、ならずもの国家といわれ、アメリカがテロ支援国家に指定してきたのではないか。
 日本がいま、アメリカの尻馬に乗って経済制裁などをやめれば向こうの思うつぼである。そして、山崎拓氏らの親北政治家によって、日朝国交が表舞台に登場すれば、一時ひるんでいた日本の在日朝鮮人連合が息を吹き返し、日本はスパイの暗躍地となり、核兵器その他の軍事部品が送られ、国家機密がつつぬけになるだろう。
 そのことは、韓国の政治に大きく影響し、韓国の親北世論の高まりと親北政治へのはずみとなるだろう。
 それは南(韓国)に対する北の統一工作の激化とアメリカ軍の引き揚げ問題に発展するだろう。そのことを心配するがゆえに、今回のテロ指定国解除と経済制裁解除に反対するのである。【押谷盛利】

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2008年07月09日

拉致抜きの国交と利権

 日本人が多数拉致されるなか、北朝鮮の食糧危機を人道上の問題として100万㌧のコメ支援を続けていた日本に対して、北朝鮮は何を狂ったのか、1998年、日本の上空を越えて三陸沖の太平洋へミサイルを打ち込んだ。
 当然のことながら国交の正常化交渉はストップし、食糧支援を始め、北の船の出入りも凍結された。
 その10年前の87年には北朝鮮工作員のテロ、大韓航空機爆破事件が起きた。1970年には日本の赤軍派学生9人による日航機よど号ハイジャック事件が記憶に新しい。
 北朝鮮はハイジャック犯人らの面倒を見るばかりか、労働党の指令で彼ら若者の配偶者をあてがうため、さらなる日本人拉致を進め、拉致された日本女性を赤軍派の夫人とした。
 また、この女性たちをスパイにして、ヨーロッパを舞台に、色仕掛けによる男性拉致をも働いた。
 このような不愉快な事件を内含しながら他方、韓国においては工作員やスパイを通じて、親北世論を高めつつ、96年には潜水艦を韓国東海岸に送り銃撃戦を起こしている。
◇そういう北側の不誠実なテロ体質に眼をつむって、日朝国交へ前進を図ろうとする国会の一部有力政治家たちの本心は何か。まじめな日本人はみんな不信感を持つ。安倍前首相が「百害あって利権ありか」と批判したのはまさに、この国民の声を代弁しているのではないか。
◇ぼくは先に、インドネシアの戦後賠償問題に関わる政治家の利権と商社などの暗躍についてふれたが同じことは韓国との間の賠償経緯についてもいえる。
 日韓条約は1965年調印された。日韓国交正常化の下準備交渉は51年から始まったが竹島問題などで難航した。
 口火を切ったのは岸信介政権で、後に総理となった池田勇人、佐藤栄作らが協力した。これら官僚出身の政治家に対し、反対したのは大野伴睦や河野一郎ら党人派政治家だった。いずれも賠償金にまつわる巨額の利権の主導権争いが背景にある。
 そうしたなか、双方の仲に立って調整機能を果たしたのが右翼の陰のリーダー児玉誉士夫だった。彼は韓国政界に強力なコネを持ち、それを背景に日韓交渉の舞台裏で活躍した。
 彼は後の田中角栄時代、76年のロッキード事件にも陰の人として登場している。
 当時の朴正煕大統領の密使が児玉邸を訪れ、その紹介で密使と大野伴睦が会談する。密使は間もなく児玉邸で、伊藤忠商事の瀬島とも会う。63年、日韓交渉は大きく前進し、韓国KCIA部長・金鍾泌と大平正芳外相との間で対韓賠償を無償3億ドル、有償2億ドル、計5億ドルで合意した。
◇韓国への賠償金5億ドルが決まるやたちまち、日本の三井、三菱、丸紅、住友、伊藤忠らの商社が受注とコネ工作に火花を散らす。
 なにしろ、賠償は実物償還だから注文は先方でも支払いは日本政府だ。利権としての甘みはけた外れに大きい。
 韓国側は、発電所や工場建設、道路整備など社会資本の導入を念頭におくから、各商社とも韓国政権への食い込みは必死である。
 朴大統領以下、韓国の実力者は旧陸軍士官学校出身だから、陸士、陸大出身の瀬島龍三とは波長があい、しかもその背景が、党人派の大野伴睦、右翼の児玉誉士夫だから、インドネシア賠償同様、伊藤忠商事は有利なスタートを切った。
◇伊藤忠のソウル駐在員。小林勇一はソウルの近くに計画された嶺東火力発電所の契約寸前に起きた予想外の事件に驚く。
 事件というのは、契約直前に朴政権中枢の幹部から「おれにも3%よこせ」の横やりが入ったからだ。契約のコミッション(バック・マージン)は、与党の財政委員長Kに4%払うことで合意していたから計算が狂ってきた。増加分は伊藤忠とメーカーの日立製作所が半々で泣いた。合計の7%は182万ドル。日本円で6億5000万円余。
◇いま、日本の親北政治家が拉致より、国交をと、変な動きを見せているのは、こうした北との賠償ビジネスが念頭にあるのでは。これが百害と利権の構図である(新潮文庫版・沈黙のファイル参照)。【押谷盛利】

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2008年07月08日

困った大人たち(見聞録)

 警察の110番通報に個人的な要望や問い合わせなど、緊急性のない電話が相次いでいるという。8日付の京都新聞によると、滋賀県警では今年1~6月の通報約5万7000件のうち緊急性のない無効な通報は1万5000件、全体の26%を占めた。最も多かったのはいたずら電話8400件で、無言も3500件あった。
 ▽終電がないからパトカーで家まで送って▽ヘビが出た▽渋滞しているので事故処理を早くして―など身勝手な要求が目立ち、人生相談や家庭内のトラブルの仲裁で警察官が出動したケースもあったという。
◇先日、読者から近所トラブルで困っているとの電話相談があった。ある自治会の公園利用マナーを巡る件。
 その公園は住宅街の中にあるため、硬いボールを使った遊びが禁止されている。ボールが公園のフェンスを飛び越えて、車を傷つけたり、住宅の窓ガラスを割る危険性があるからだ。
 地元自治会がそういうルールを定めているのに、子ども達が守らず、公園の近所の住民が注意しても効果なし。先日は大人を巻き込んだ言い争いになり、警察官が出動する騒動にまで発展したという。
 電話の主は、「非常識な人が多くて困っている。どうしたらいいのか。こういうトラブルのうまい解決法はないものか」と滋賀夕刊に相談してくれたのだが、こちらは「自治会の中でとことん話し合って、近所同士で解決するしかないのでは」と返すのみだった。
◇以前にも別の自治会関係者から猫屋敷に困っているとの相談を受けた。大量の猫を放し飼いにし、庭や道路をフンで汚され、難儀しているとの内容。
 県動物保護管理センターに問い合わせたところ、「飼い主のモラルの責任で、猫に罪はない。解決には地域住民の努力しかない」とアドバイスを受けた。
◇緊急性のない110番通報をはじめ、モラル無き住民や、モンスターと呼ばれる学校や病院で横暴に振る舞う大人。何を彼らが狂わせるのか。
 近所付き合いなど人間関係の希薄化が、相手の心の痛みを知らない人種を増やしている気がしてならない。同じ地域に住みながら意思疎通を拒み、自由とわがままをはきちがえて自己愛に溺れる。
◇そういえば、量販店などに張り出してある「お客様カード」。消費者との情報交換、意思疎通の場として活用されているようだが、理不尽なクレームが目立つ。消費者が「お客様」と呼ばれるうちに、自身が偉くなったと勘違いするのだろうか。
 モラル欠如のがこの世を貧しくする。

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2008年07月07日

戦後賠償の政治と利権

 日本の国益と日本人の生命財産の安全も考えることなく、ひたすら北朝鮮との国交を推進しようとする自民党元副総裁の山崎拓氏に対する前総理・安倍晋三氏の「百害あって利権あり」の痛烈批判は内外に大きな反響を呼んだ。
 今月3日付の週刊新潮に北朝鮮5000億円利権の記事が出ていたが、このような暗い不潔な利権がらみの政治は敗戦後から今日に至るまで尾を引いている。
 その具体的な一例として、元大本営参謀で、中曽根康弘元首相の政治的指南、元、伊藤忠商事会長の「瀬島龍三」のインドネシア賠償ビジネス、日韓条約による賠償金ビジネスを証言入りで、具体的詳細に暴露した一冊の本を紹介しておく。
◇この本は9年前の平成11年、新潮社の発行したもので、編者は共同通信社社会部。本の名は「沈黙のファイル」―瀬島龍三とは何だったのか。
 この本は、大本営の参謀としての戦争中の戦争指導、敗戦によるシベリア抑留、戦後の伊藤忠入社と賠償ビジネス、政界の大物や右翼の巨頭らとの親交を経て、事実上、日本の政界を動かした瀬島龍三の生涯を追っているが、目からうろこが出るほど驚いたのは、インドネシアや韓国との多額の賠償金の多くが、先方の政治家や日本の政治家の政治資金となった事実と、そのビジネスをめぐる商社のすさまじい競争である。
◇その全貌は多岐多彩にわたるから、ごく興味のある一部について、この本の中から紹介する。インドネシア賠償ビジネスについては、自民党元副総裁の大野伴睦、実力者の元・建設相・河野一郎(中曽根康弘の親分で、現衆議院議長・河野洋平の父)、右翼の児玉誉士夫らの名前が登場している。
◇日本軍のインドネシア占領に対する賠償は昭和32年に岸信介首相とスカルノ大統領との会談で803億円を払うことで決着した。ただし、12年間に毎年2000万ドル相当を現物で支払うという条件付きだった。
 インドネシア政府が必要なものを日本企業に注文し、代金は日本政府が保証する。インドネシア政府からの注文を取りつければ、こんなうまみのある商売はない。そこで、インドネシア側とのつなぎ、パイプをどうするかが、商社の戦略の最大のポイントだった。
 ここで、スカルノ大統領の第2夫人・デヴィ夫人が登場する。昭和34年、スカルノが日本を訪問したとき、お気に入りの女性として彼の宿泊先・帝国ホテルに送られたのが当時19歳の本名・根元七保子だった。彼女はその年スカルノに呼ばれてジャカルタ入りし、結局第2夫人になった。インドネシアに顔をきかせていた東日貿易の久保正雄社長のはからいが見事、奏効したもので、久保は、彼女の説得のため現金500万円と東京の一等地100坪の土地を渡している。
 インドネシア賠償は最初は岸信介と関係の深い木下産商が仕切っていたが、久保がデヴィ夫人の後見人としてスカルノとつながるようになってから、大野伴睦、河野一郎、児玉誉士夫ら及び暴力団幹部とも親交を結び、木下産商から伊藤忠に舵を切り換えた。そのころ瀬島は伊藤忠のジャカルタ派遣要員として深く作戦を指導した。
◇インドネシアに初のデパート「サリナ・デパート」の建設計画が持ち上がった。児玉誉士夫、河野一郎のコンビでこのプロジェクトは伊藤忠が仕切ることになった。建設費1279万ドルの6%がスカルノへ、5%の64万ドルが東日貿易に支払われる約束で。
 インドネシア賠償の後は、昭和40年に締結した日韓条約で、総額5億ドルの賠償ビジネスが彼我の政局の裏で火花を散らせた。ここでも瀬島は陰のフィクサーとして活躍した。【押谷盛利】

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2008年07月05日

北朝鮮5000億利権

 安倍晋三前首相と山崎拓元自民党副総裁の北朝鮮問題に関する激しい争いは国民の注視するところだが、不思議にもこの論争、7月3日付の週刊新潮の記事を契機にパタッと鳴りを沈めた。
 ことの起こりは、拉致問題に関し、山崎元副総裁が「圧力一辺倒では何等前進がなかった。対話の努力は百害あって一利なしという人もいるが幼稚な考え方だ」と安倍前首相を批判したことに始まる。
 これを聞いて安倍前首相は「交渉中の政府より甘いことを国会議員がいうのは百害あって利権ありといいたくなる」とかみついた。
 山崎派は親分の一大事と血相を変えていきり立ったが、日本国民の大勢は、「再調査する」との北の文言に目がくらんで北への制裁解除に踏み切った福田首相に不信感を抱くと同時に、その露払い役のように北朝鮮にいい顔をする山崎氏に対して何となく生臭い感じを持ち始めた。
◇百害あって利権ありは、けだし明言であり、日本の独立と国民の安全を心底から願っている安倍氏ならではの毅然たる発言である、とぼくは思う。
 果たせるかな、7月3日付の週刊新潮の特集記事は山崎氏を始め、親北議員の心胆を寒からしめた。
 見出しは「百害あって利権あり」、「安倍・山拓戦争の裏に」、「北朝鮮5000億利権」。
 この記事の中見出しに解説風に大ゴシックの文字が鮮明に国民の関心を呼ぶ。
 「拉致の解明を2の次にしてでも国交正常化に突き進もうとするのが山崎拓・元自民党副総裁を会長に頂く、日朝国交正常化推進議員連盟。2元外交に危惧した安倍晋三前首相は、百害あって利権あり、と批判した。背景には5000億とも言われる利権がある」。
◇ここに登場する日朝国交正常化推進議員連盟は、5月22日、約70人の議員で旗揚げしたばかりである。
 会長は山崎元副総裁。顧問に加藤紘一元自民党幹事長。このほかの大物に菅直人民主党代表代行、福島瑞穂社民党首ら。
 旗揚げの会合の日、この議員連盟のメンバーの中から「日本は拉致問題に拉致されている」とか「国交正常化なくして拉致問題の解決なし」の発言が飛び出した。
 これは、北朝鮮に対して「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」とする方針のもと強い姿勢で臨んできた政府の立場を足元から弱めることになる。
 新潮子は「2元外交こそ百害あって一利なしにも拘わらず、なぜ、そんなに国交正常化を急ぐのか。そこに百害あって利権ありの疑念が湧く」と分析し、過去の日朝交渉の裏面史を伝えている。
◇1990年、元自民党副総裁の故・金丸信氏を団長とする訪朝団が平壌を訪問して以来、政府間の日朝交渉が度々行われるようになり、同時に金丸氏は利権を手に入れた。
 その利権の一つが、日本の建設業界にとって魅力のある川砂利利権。
 次に利権の取り沙汰をされたのが、北朝鮮へのコメ支援。95年3月、故・渡辺美智雄氏を団長とする自社さ与党訪朝団によってコメ30万㌧の支援が決定した。コメ支援を積極的に主導したのは加藤元幹事長。
 コメ支援は付随して、コメを入れる麻袋、運搬用のトラック費用、保管のための倉庫代など、かなりの額で業者が潤い、そこに政治家の口利きが入る。第1次支援以後、数回にわたり、日本は100万㌧以上のコメを支援してきたが、その間、拉致問題は解決するどころか、テポドンまで撃ち込まれた。
◇山崎拓元副総裁は、小泉政権以来の政府方針を無視して、04年4月、突然、中国の大連に渡り、北朝鮮の高官と密談しており、昨年1月には北朝鮮を訪問している。
 国民は冷ややかな眼で眺めていたが、何の話を詰めてきたのか、なしのつぶてであった。
 もし、国交が正常化すれば、莫大な利権が生まれるのでは、とみられるが、その一つが、戦後補償を含めた有償無償の経済援助であり、5000億とも1兆円ともいわれている。
 その巨額の金は、北朝鮮のインフラ整備、例えば電力、鉄道、道路、湾港、ダムなど、いずれも日本の大手ゼネコンがノドから手の出るほどの魅力ある大事業。北は労働党(共産党)独裁。金正日の鶴の一声で動く政治だから、そこを取り持つ日本の親北政治家がいいカッコをするのは目に見えている。
 欲のために国を売るというのは毒ギョーザやインチキウナギの比ではない(7月3日号、週刊新潮参照)。【押谷盛利】

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2008年07月04日

七夕伝説と夏の夜(見聞録)

 7月7日は七夕。芭蕉は「七夕の逢わぬ心や雨中天」と詠ったが、七夕伝説が中国から日本に伝わった1300年前の昔から、織女と牽牛の恋の物語が、いかに日本人の心を打っているか、文学史の中に垣間見ることができる。
 織女は、日本の七夕伝説では「織姫」として知られ、真面目な機織り娘。一方、牽牛は「彦星」にあたり、こちらも仕事熱心な牛飼いだった。2人はやがて結婚し、幸せな生活を送るが、夫婦生活を楽しんで仕事を怠けたため、織女の父親である天帝の怒りを買い、天の川を隔てて引き離された。その後は年に1度、7月7日にだけ会うことを許された、悲しくもロマンティックな伝説。
◇日本では、そもそも七夕は、お盆の一環として祖先の霊を迎え入れるための禊(みそ)ぎの行事だった。人里離れた水辺で、神の嫁となるべき処女が一夜を過ごし、翌日、七夕送りをして穢(けが)れを神に託して持ち去って貰う「祓え」の行事でもあった。要は、盆に先立つ物忌みだった。
 また、収穫した穀物をお供えして、先祖に感謝し、後にお盆として定着するようになったと言われている。
 現在のように願い事を書いた短冊を笹に吊るして、七夕を祝う習わしは、日本固有の畑作の収穫祭と盆迎えの祓えの信仰が、中国の伝説と混ざり合って、成立したと考えられている。
◇天文学では七夕の2星、牽牛と織女とはどんな星だろうか。
 牽牛星は、わし座の1等星アルタイルで、地球から16光年の距離にあり、太陽の8倍の明るさを持つ。
 織女星はこと座の1等星ベガで26光年の距離にあり、太陽の48倍の明るさを持つ。織女星は今から1万3200年前には北極星であり、今から1万2600年後にも再び北極星となって北天の王座に返り咲く。
◇元来、年中行事は、太陰太陽暦で行うものであったから、旧暦の7月7日は現在の8月12日前後ということになり、真夏の行事だった。それは、お盆の禊ぎの行事という日本古来の風習からもうかがえる。
 太陰太陽暦では、この日は「上弦の月」となる。月は夜遅くになると沈むため、月明かりの消えた夜空には天の川がひと際輝いて現れる。
 しかし、現代の太陽暦(グレゴリオ暦)の7月7日は、月齢が定まらないので、織女、牽牛が見えにくかったり、梅雨が明けずに雨雲が空を覆っていたり。
 このため、星祭りの意味が失われ、願い事を短冊に託す派手な飾りつけが流行し、単なるイベントや商店セールの対象となっているのは寂しい限り。
 ベガとアルタイル、そして2人を隔てる天の川にある白鳥座のデネブを結ぶと「夏の大三角形」。空を見上げて星座の伝説に思いを馳せ、現代の煩わしさを忘れるのも、夏の夜の過ごし方か。

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2008年07月03日

ならずもの国家と日米

 北朝鮮を「ならずもの国家」と呼んで、テロ支援国家に指定したアメリカが、北の甘言に釣られて、指定解除することになった。これと呼応して、日本政府もまた経済制裁などを解除するという。これに関し、ぼくは、暗愚なブッシュ大統領と福田総理は国を誤ると批判した。国を誤るだけでなく、世界の平和と秩序を誤る下策である、と指摘しておく。
◇結論から言えば、アメリカの期待するような、北の核放棄はあり得ないし、核拡散のストップもあり得ない。日本人の拉致被害者の真相発表や救済、日本帰国などの誠意は見せない。
 なぜ、大胆に、そんなふうに結論づけるのか。理由は簡単である。過去の北朝鮮の外交的歩みや、もろもろの対外的不法行為を分析すれば一目瞭然である。
 いま、北朝鮮が6カ国会議のテーブルについて、微笑の風を吹かしているのは、一にも二にも「死地」から逃れんとする「助けて」の叫びなのである。食糧を、医薬を、肥料を、エネルギーを、日常の生活物質を、援助してほしい、という叫びにほかならない。
 その「助け」と引き換えに、核開発はやめます、核兵器は持ちません、核拡散はしません、と手形を切るわけで、過去の言動から推論すれば、この手形はことごとく空手形に終わり、約束の守られたためしがない。
 日本人の最も関心の強い拉致被害者についても、韓国へ亡命している元工作員らの証言を通じて、ごく一部を知るだけで、全体像は闇の彼方に閉ざされたままである。
◇北は民主国家のように政権交替がなく、共産党独裁で、金日成―金正日と続く親子の絶対的権力―将軍さまの支配する国であるから、国家や国民の姿は、すべて厚いベールに包まれたままである。例えば、食糧危機を救うため、アメリカ、中国、韓国、日本から多大の食糧や肥料が送られても、それがどんなふうに国民に届いたか、そして、その恩恵を国民がどう感謝しているか、は一切不明である。ひどい話は、食糧の多くが、軍隊へ回された、ともいう。
◇日本の拉致被害者は100人以上とも言われるが、それを知っているのは北朝鮮権力だけ。死亡したとか、先に返した5人以外は生存していないとか、交渉のたびに言うことが違っている。今回の再調査約束にしても、「調査したが該当者はいなかった」と答える可能性が強い。
 3日付の産経記事によれば、1983年ころ、北朝鮮で活動していた工作員の目で、死んだとされている横田めぐみさんの実像が伝えられている。それによると、美しく明るく、厚遇されている、とある。
 日本に入っている拉致被害者に関する情報は、かなり厖大なはずだが、日本政府は、なぜか、北に遠慮して、その情報を国民に知らそうとしない。
 そればかりか、政治家の中には、救援活動に対する冷淡さが聞こえてくる。明らかに妨害する動きさえ伝えられる。
◇ぼくが、北朝鮮は絶対に核放棄などするはずがない、というのは、それを恫喝のカードにするからである。北は韓国に対しても、いざとなればソウルを死の都市にするぞ、と脅すのである。
 1987年、北朝鮮は、大韓航空機をミャンマー沖上空で爆破したが、これは工作員やスパイの巧みな決死的犯罪であることが世界に証明された。その汚名が消えやらぬ10年後の98年、こともあろうに、日本の上空にミサイルを飛ばした。日本をまたいで三陸沖に着弾したが、その戦略はアメリカ本土に向けられている。
 目下、北の目標は韓国の北化と、これの終局での軍事的占領―統一である。その最大の邪魔がアメリカである。だから、一方で、アメリカ帰れ、アメリカ牛肉反対のデモ騒動を仕掛け、親米、親日の李政権の崩壊を狙うわけだ。それに乗せられているのが日本の福田政権と、その誕生の背景政治家である。【押谷盛利】

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2008年07月02日

暗愚なブッシュと福田

 ブッシュ米大統領と日本の福田総理は、暗愚な政治家で、国を誤ったと後世の史家から厳しく指弾されるのではないか。
 いや、後世どころか、現にアメリカでも日本でも議会筋から現在進行している米朝改善、日朝改善の対北朝鮮外交への厳しい批判が舞い上がっている。
◇ぼくはかねてから中国の音頭取りによる6カ国会議を通じての北朝鮮の核放棄は眉唾ものと踏んでいた。ロシアや中国は北にとっては親類筋であり同盟軍であるが、アメリカや日本は不倶戴天の敵である。はっきり言って、北朝鮮が核を開発し、核兵器を持つのはアメリカや日本に対する恫喝外交の武器なのである。
 これを見せびらかすことによって、経済援助を受けたり、テロ指定国の解除のカードにしているわけで、北が核武装から丸裸になることなどおよそナンセンスである。
 ナンセンスを承知で、北の話に乗ったり、ゆるふんの如くだらしない妥協をしているのは、ブッシュ大統領も福田首相も低落している人気を挽回して去りゆく道の花道にしたいからである。
◇つまり、国益や国民の幸せを犠牲にして、閉ざされた対北朝鮮国交を樹立しようとする助平ごころからである。
 ブッシュ、福田の2人の指導者の欲がからみあっての大譲歩というべきで、金正日将軍はハナ歌を歌ってほくそ笑んでいることだろう。
◇いま、世界の注目を集めているのは、なぜ、アメリカが北朝鮮のテロ支援国指定の解除に踏み切ったかという疑問である。
 1987年、大韓航空機爆破事件が起きた。日本人の旅券を持った2人の北朝鮮工作員がミャンマー沖上空で大韓航空機を爆破させた。その翌年、米国は北をテロ支援国家に指定した。
 アメリカの同盟国イスラエルや西欧諸国が北朝鮮に深い不信感を持つのは、北の核兵器技術がシリアやイランなどのならずもの国家に拡散しているという疑いからであるが、その疑いを晴らすことなくテロ支援国指定を解除するというのであるから米議会が反対するのは当然である。
◇北朝鮮のテロ支援行為は、このほかにも1983年のラングーン事件がある。
 現ヤンゴンで、韓国の当時の全斗煥大統領の一行を狙った爆弾テロ事件が起き韓国高官17人が死亡した。時のビルマ政府は北朝鮮の工作員の犯行と断定し、国交を断絶した。
 さらに10年さかのぼって1970年赤軍派9人による日航機・よど号ハイジャック事件が起きた。北朝鮮は9人をかくまって彼らを日本人拉致工作用に利用した。
 それ以前から日本人の拉致被害が相ついだが、当時の日本政府は親北勢力の影響下にあって長くこの事実が伏せられていた。
◇日本人拉致被害者救済と日本への送還は被害者家族はもとより日本人の悲願であり、それは国の独立と国民の安全に関わる問題だが、日本政府は北朝鮮の巧みな外交に乗せられ、かつ、アメリカの裏切りによって「再調査する」という北の文言と引き換えに経済封鎖の解除や北朝鮮船舶の入港を認めることにした。
 そればかりか、6カ国で約したエネルギー支援(重油95万㌧)の負担を強いられる。
◇北とのこれまでの交渉で、調査や約束がいかにウソで固められていたか、日本国民は知り尽くしている。なのに、なぜ何らの具体的な進展の成果を確かめることなく、一方的に北のいうままに制裁解除に踏み切ったのか。
 日本政府の米追従の主体性のなさにもあきれるが、ブッシュ大統領は日本の拉致被害をテロと考えていないのか。イラクで泥沼に入っているあせりから、日本を見捨てて、北朝鮮へ譲歩したのか。これでは同盟国の不信を買うばかりか、核拡散を通じての世界のならずものを得意がらせるだけではないか。【押谷盛利】

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2008年07月01日

テレビ受け狙う政治(見聞録)

 長浜信用金庫が主催した政治評論家・三宅久之氏の講演会は、テレビ番組の人気者というだけあって、600人を超える市民が入場した。
 政治、経済、少子化問題など多岐にわたる歯に衣着せぬ論調は、テレビで観る三宅氏そのものだった。
 興味深かったのは、次期総裁選の話題。
 衆議院の解散総選挙は、今月の洞爺湖サミット後は、いつ行われてもおかしくない情勢だが、福田内閣の支持率が示すように、このまま選挙をすれば自民党が議席を減らすのは間違いない。
 三宅氏は、自民党は総選挙の前に「選挙の顔」である総裁から福田氏を引きずり降ろして、総裁選を行うはずだと推論した。
◇前回の総裁選から判断すると、事実上は麻生太郎氏と谷垣禎一氏の一騎打ちとなる公算だが、三宅氏は「今のワイドショー時代にこの2人じゃダメだ」と自説を披露した。
 というのは、麻生氏と谷垣氏という地味なコンビでの総裁選では有権者の注目を集められない。
 このため、選挙を盛り上げる脇役が必要になる。まずは、紅一点の小池百合子・元環境大臣。彼女は大臣時代に「クールビズ」を取り入れて流行らせたうえ、郵政解散では地元・兵庫の選挙区を捨てて東京で「くのいち」として、郵政反対派と対決するなど、話題豊富。有権者からも人気があり、総裁選の盛り上げ役には不可欠な存在。
 もう一人は後藤田正純氏。「顔がいい」と三宅氏。
◇三宅氏は「この4人が北海道から順番に下ると、テレビのワイドショー番組が取り上げ、民主が消し飛ぶ」と。「麻生が勝つだろう。そしてすぐ解散」とシナリオを描いた。
 9月に党首選が迫る民主党についても、「小沢一郎ではダメ。若手が出て丁々発止、盛り上げないと」と語った。
◇三宅氏の指摘はなるほどそのとおりで、今の政治はワイドショーに取り上げられる機会が増えた。
 郵政解散は記憶に新しい。当時の小泉純一郎首相が郵政民営化反対派に話題の候補を差し向かわせ、ワイドショーは「刺客」「くのいち」と、自民の内紛を大々的に取り上げた。結果、民主をはじめとする野党は、存在感を失い、消し飛んだ。
◇最近では政治家がワイドショーに戦略的に出演し、お茶の間の話題になろうと、テレビ受けを狙っている。
 政治のワイドショー化は、有権者にとって難しい政治が身近に、そして面白くなったかもしれない。しかし、テレビ受けする容姿や口調、盛り上げ方だけで、政治家を判断する危険はありはしないか。
 三宅氏が言うように、有権者はワイドショー番組の影響下で、政治評価を決めるきらいがあり、政治家もそれをよく理解している。
 だからこそ、総裁選4人構想が生まれる訳だが、有権者もただ、それに踊らされてはつまらない。
 三宅氏は「今はワイドショー時代だから」と語ったが、自虐的にも聞こえた。

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