牛肉と韓国の反米闘争
日本と韓国。この両国の関係がおかしくなっているのが悲しい。両国は近くて遠い国なのか、遠くて近い国なのか。地勢的には、対馬海峡を一つ隔てた至近の隣国である。歴史的には古代から彼我の交流は密接で、仏教を含む大陸の文化や産業は韓国を通じて日本に入った。
朝鮮半島は地勢的にロシアや中国と地続きであるため、国際的刺激にふれ過ぎて国の独立と人民の幸福が歴史とともにその振幅を大きくしてきた。
◇日本と韓国の2国間の歴史を分析するのは他日に譲るとして、目下、韓国問題と北朝鮮について触れ、日本の国益を考えてみたい。
◇1945年の日本の敗戦を契機に朝鮮は日本の植民地から解放され、1948年、北韓38度以北は北朝鮮、以南は韓国として独立した。北は金日成を主席とする共産党国家で、中国やロシア(旧ソ連)の支援を受け、韓国は李承晩大統領による民主国家を目指しアメリカの支援を受けた。
北と南が破局的な衝突をしたのが1950年の朝鮮戦争であり、北朝鮮軍がソ連の支援のもと、韓国に侵攻し、ソウルを席巻し、一時は釜山に達する勢いだった。しかし、国連軍や米軍の支援で戦局は一転し、53年に休戦協定が成立した。
◇以来、北と南は互いに反目しあい、今日に至るまで国境での軍事的トラブルや、黄海での北の軍艦による韓国船攻撃、北のスパイの摘発など、両国の緊張は今も続いている。
しかし、韓国側は、金大中、廬武鉉大統領の時代から対北外交に180度の転換がみられ、いわゆる太陽政策なる融和政策を進めるようになった。これは教育面と労働運動のなかで巧妙に進められた北の思想戦の成果といえるが、その太陽政策のカードに利用されたのがアメリカと日本だった。
北は、武力による韓国統一を目前にして、アメリカに潰された恨みから、反米を最大の国是として、その声を韓国に浸透させ、反米感情を組織化することに工作とスパイの重点を置いた。同時に、アメリカと軍事同盟を結ぶ日本をアメリカ従属の敵として、日本叩きを韓国政治の基本にした。
◇金大中、廬武鉉の時代を経て、韓国内は不思議な現象が見られるようになった。これまでは、北の武力トラブルや大韓航空機の爆破事件、韓国民の北による拉致、北のスパイの上陸や工作などに強い姿勢で対処してきた方針がすっかり変わって、何か不幸な事件が起きるごとに、それを大きく報道することを避け、外交の重点に北を支援し、北と親交することを政府の方針とした。国内の不安や政治的、経済的混乱などが生じると、それをアメリカのせいにする空気を意識的に高めてきた。
それは、北と南を分断させている元凶はアメリカだとし、アメリカの軍事搾取によって韓国民は犠牲を強いられ、アメリカの従属国家とされている、と分析し、ことあるごとに「アメリカ出てゆけ」と、アメリカ軍の撤退を要求するようになった。これは北の工作が効果を上げた結果で、悲しいかな、その工作の真実が隠されて、一般韓国民は北の独裁支配の飢餓と人権無視に鈍感にならされてきた。
その反米闘争のカモにされたのが米国産牛肉である。李明博大統領がこれまでの親北外交をチェックし始めたとたん、いち早く、李政権打倒闘争を組織し、その戦略に米国産牛肉を取り上げた。生後30カ月以上の牛肉は安全であるとして、輸入再開が米国と合意されるや、なだれ現象の如く、輸入反対のデモが連日、ソウルで展開され始めた。牛肉こそ、いい迷惑で、デモを組織するねらいは牛肉にあるのではなく、反米そのものが目的なのである。李政権を潰して、再び親北政権を、との戦略がそこにあることを知るべきだが、日本のマスコミは知らぬ顔をしている。韓国内の牛肉デモは北と北のスパイ、工作隊の連合による反米闘争と知るべきである。【押谷盛利】
2008年06月30日 16:47 | パーマリンク
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