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ウソで固めた話と総理

 「ウソつきはドロボーの始まり」とは、子供のころから聞く話だが、サルカニ合戦のサルにしろ、狼少年にしろ、その結末は哀れを誘って一巻の終わりとなる。
 英会話学校「NOVA」の猿橋望(さはし・のぞむ)元社長が逮捕された。
 とかくの噂がたえなかったが、ウソで固めた経営方針に狂いが生じ、最後は3億円の横領という恥ずかしい容疑で臭い飯を食うことになり、事業は破綻(はたん)した。
 人間がインチキ商法に引っかかるのは、かかる方にも一端の責任はある。例えば教育関係なら、○○の資格が優先的に取得できるとか、他の大学へ編入の特典あり、就職引っぱりだこ、などと好条件を並べたてる。
 商売上なら、代理店契約で、会社からの委託商品の販売で利益を保障するとか、購入先を紹介するとか。
 機械や設備を買わされて、製品の買い上げを保障するなどと、好条件で「もうけ欲」を刺激する。
◇欲に弱いのは人間の共通の心理だが、その欲にうまくつけこむのがサギ師である。
 逆にいえば欲の皮が厚いほどサギ師に乗せられやすい。
 例えば資金を出せば月5%の配当を保証するという手がこれである。これは利息ととらえてもよいが、どんな企業でも月5%というようなバカげた金利を払ってまともな経営が出来るわけがない。
 月5%の利息なら年利は60%ということになる。
 常識的判断が作用すれば明らかにインチキと分かるが、欲ぼけが高(こう)じると真偽の判断が狂ってしまう。
◇政治の世界でも同様である。日本の総理といえば、日本の政治を左右する最高の権力者だけに、常に選挙を思い、国民受けをねらうから、それが欲となって真実を見る眼がくもることがある。
 例えば福田さんは北朝鮮との国交に一歩前進の姿を見せ、「拉致被害者を再調査する」という北の話をまる受けして、これまでの経済制裁の解除や北の船の日本の入港を認めることにした。
 北の言質(げんち)がどれほど不信に満ちているか、は、日本国民、みんなが知りすぎるほど知っているのだ。
 ウソで固めたこの国は、民主国家ではないから情報は閉ざされたままであり、日本人の拉致被害者が現実にどんな暮らしをしているのやら、何人が殺されているのやら、全く明らかでない。
 そして、これまでの交渉では、いちいち判で押したように、「拉致はありません」、「すでに解決ずみです」と繰り返してきた。だから、今度、再調査するといっても、あとで、「調査したがいなかった」、「何人が死んだ」と答える可能性が見え見えである。
◇全く信用できぬ話なのに、総理がそれに乗るのは、米と北との交渉で「乗り遅れてはまずい」、あるいは、「北と外交の道筋をつければ点数が稼げる」という欲があるからだ。
 個人の欲ぼけは借金をふくらませたり、事業の破綻に結びつくだけだが、国の総理の欲ぼけは一つ違ったら国の独立や国民の安全をないがしろにする危険がある。
◇これ以外にも政治家の欲ぼけが世の中を悪くしたり、国民に重税をかける原因となるケースが多い。
 道路族やダム族などはウソで固めて国民の信託にドロをぶっかける手合いと思えば間違いない。
 眉に唾をつけねばならぬとは、飛騨牛売りの商人や吉兆の社長ばかりの話ではない。【押谷盛利】

2008年06月26日 13:51 |


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