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ごり押しダム建設(見聞録)

 国土交通省近畿地方整備局は淀川水系の4ダムの推進を打ち出す計画案を公表した。
 計画案は昨年8月に発表した原案通りで、余呉町の丹生ダムをはじめ、大戸川ダム(大津市)、天ケ瀬ダム再開発(京都府宇治市)、川上ダム(三重県伊賀市)の4ダムを建設するというもの。
 今後、関係府県に計画案を提示したうえで、決定する。
◇しかし、整備局の計画案については「見切り発車だ」と批判が集中している。
 というのも、諮問機関である「淀川水系流域委員会」がダム建設を不適切と判断しているにもかかわらず、その意見を無視して計画を原案通りに推し進めようとしているからだ。
 そもそも、流域委は、これまでの行政主導のダム計画に住民の意見を反映させるために誕生した画期的な組織だった。
 1997年の河川法改正では河川整備に住民の意見を反映させることをうたっている。
 これまでの河川整備は、流域住民の声が届くことなく、国が画一的に計画を策定していた。
 それぞれの河川は、形が異なれば、想定される災害の規模も違う。治水、利水などダムの用途も異なれば、流域に住む住民の思いも様々だろう。
 つまり、そういう多様な流域住民の意見を計画に反映させようとしたのが河川法改正であり、流域委はそのシンボリックな存在である。
◇流域委は2001年から7年にもわたる会議を重ねて流域住民の声を聴き、ダムの効果を分析してきた。
 そして整備局の示す4ダムの建設計画案について「建設は不適切」との結論を下した。整備局がダム代替案としての堤防強化や河川改修の研究を十分に行わず、「ダム建設ありき」の姿勢が見えたからだ。さらに、その効果や費用についても疑問が残る。
 例えば、これまでの流域委の検証では、大戸川ダムは200年に1度の大洪水でも淀川の水位を19㌢下げる効果しかない。事業費は大戸川、天ケ瀬、川上の3ダムで計2650億円になる見通しで、当初計画より740億円膨らむことが分かった。
◇流域委の検証はまだ終わっていない。にもかかわらず、整備局の突然の計画案公表は、住民の声を反映させよ、とした改正河川法の主旨と流域委の存在を全面否定するものといえるのではないか。
 治水や渇水対策に効果があるのか、代替案はないのか、自然環境に与える影響は、住民の思いは―。それらの問いをクリアしたうえでの、ダム建設でなければならない。
 今後、ダム計画案は事業費を負担する府県が検証するが、環境派・嘉田知事が整備局のごり押し案をどうけん制するのか、注目したい。

2008年06月20日 13:51 |


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