減らそう「コンビニ受診」(見聞録)
現在開会中の長浜市議会で、市立長浜病院の医師不足問題が取り上げられ、「コンビニ受診」が医師の過密労働の一因になっていると指摘された。
病院の夜間・休日の救急診療は、急病や重篤患者への対応のため、病院側が必要最低限の医師を配置している。しかし、近年、軽症の患者が「平日は仕事がある」「調子が悪い」などという理由で利用するケースが増え、コンビニに行くような感覚で気軽に救急外来を利用する様子から、こう呼ばれるようになった。
次々と訪れる患者に、宿直担当の医師は休む暇もないまま翌日以降の勤務に入り、時には30時間以上もの長時間労働を余儀なくされる。極限まで疲労し、医療崩壊の一因ともなっている。
さらに、軽症患者を診ている間に本当に重篤、救急の患者への処置が遅れる可能性もある。
野田秀樹院長は「今後、さらに救急患者が増えると、本来必要とされる重度症状の患者に支障を来す」とコンビニ受診の増加に危機感を抱いている。
コンビニ受診は救急搬送でも裏づけられ、長浜市消防本部の2007年度統計によると、救急搬送6772件のうち、6割が入院を必要としない軽症だった。
◇市議会一般質問で押谷憲雄議員は、兵庫県丹波市で展開された「病院を守る運動」を紹介しながら、市民への啓発を求めている。
医師不足にあえぐ丹波市の県立柏原(かいばら)病院では、小児科を中心にコンビニ受診が相次ぎ、疲労の極限に達した医師が職場を離れる悪循環が続いていた。
そこで、地元の主婦が「小児科を守る会」を結成し、コンビニ感覚での受診を控えるように啓発活動に取り組んだ。その呼びかけに市民が共感したことで、安易な救急診療が減ったうえ、地域が病院を大切にしているというイメージ効果で、医師の増員も実現した。
◇医師不足問題は、地域医療の現実を無視した国の制度変更だけでなく、地域住民の利用スタイルにも原因がある。
医療を受けるのは当然の権利とばかりに、コンビニ感覚で利用すれば、現場の医師に負担がかかるのは当然だ。
30時間以上、不眠不休で連続勤務する医師に診療してもらいたいだろうか。
丹波市のケースは、地域医療の崩壊を市民の手で救ったケースと言えるだろう。
押谷議員は城西大学(埼玉県)の伊関友伸准教授の言葉を次のとおり紹介している。
「医師という医療資源は、泉と似ている。行政や住民が勝手に汲み上げれば泉は枯れる。行政は病院経営の質を上げ、住民は医療資源を浪費しない。この条件が揃わないと、自治体病院、そして地域医療の崩壊は防げない」。
◇だが、コンビニ受診が特に小児科で多い背景には、核家族化による母親の孤立がある。ひと昔前なら、同居の祖父母から何かとアドバイスをもらえたが、今では症状を判断し、対応する相談相手がいない訳だ。
このため、夜間に子どもを急いで病院に連れていく必要があるかなどを電話で相談できる「小児救急電話相談事業」が各都道府県で実施されている。
滋賀の場合は、電話で「#8000」のボタンを押すか、077(524)7856に連絡すれば、担当の小児科医に相談できる。利用できるのは土・日・祝日・年末年始の午後6~11時と限定的でまだまだ課題を残すが、「滋賀県救急医療情報ネット」のホームページにも情報が掲載されているので参考に。
2008年06月17日 16:12 | パーマリンク
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