千円たばこ是か非か
たばこを1000円にしてはどうか、という議論が国会で持ち上がっている。
喫煙家は税金を吸っているようなものだからいい顔はしないが、国の台所を考える政治家は申し分のない税源である、として、上げた後の税収の使い道まで考える。
◇たばこは嗜好品で、酒やコーヒーのたぐいである。食料品ではないから、これがなくては生きてゆくことが出来ぬ、というものではない。
言わば生活にアクセントをつけるというか、暮らしの中に見出す恒常的な楽しみといえる。
その些細な国民の楽しみを重税によって奪うのか、という反論が一方にある。
たばこくらいお好きなように、といいたいところだが、愛煙家を取り巻く環境はことほど左様に甘くない。
それは健康によくない、というマイナス面を引きずっているからである。
健康によかろうが悪かろうが、吸っている本人が得心していることだから放っておけというのが愛煙家の本音かもしれないが、そうはいかないよ、と柳眉を逆立てるのは、あながち美人ばかりではない。喫煙の煙をいやがる嫌煙家の主張が嫌煙権として公認されつつあるからである。
◇このところ病院、飛行機、娯楽施設、新幹線など禁煙の枠が年々広がってゆくので、自分のカネで、なにがしかの税を払っていながら、小さい顔してこそこそと悪事を働くように喫煙する人を見ると哀れを催すくらいである。
それほど周囲から悪しざまに思われ、袋叩きにあいながら、なぜ、やめられぬのか、といいたくなるが、それが嗜好品の嗜好品たるところで、「死ぬまでオレはやめないよ」とうそぶく人もある。
◇たばこは健康によくない、と製品にプリントしながら堂々と売っているのだから、考えてみれば矛盾だらけである。
いま、政府は後期高齢者の医療を先頭に国民医療費の高騰に頭を痛めているが、これを解決する一番の近道は国民の健康を守ることである。
ならば、健康に悪いといいながら、これを市販している図は、いうことと、していることが逆である。
結局、カネ(税)が欲しいから、国民の健康は二の次ということだろう。
それでも、やはり、ひかかるので、このさい、おやめになる方が賢明ですよ、という暗示をかけて、1000円たばこを実現しようという腹である。
◇それにしても評判の悪いのは、未成年者には売りません、という例の自販機のカード制「taspo(タスポ)」である。それでなくとも面倒臭い手続きや許認可のふんぷんの役所仕事には、あきあきしているのだから、わざわざ戸籍調べみたいなカードをつくるバカはいない。欲しかったらコンビニで買えばよい。このごろは至るところコンビニだらけである。
ひょっとしたら、このカード制、未成年者対策を口実にコンビニ援護策だったのかもしれない。アホに輪をかけて、カード制が客の自販機離れをよんだ。あげくの果ては小売店の売り上げ激減。それどころか、地元の市町に落ちるたばこ税がこれまた激減の見通し。
カード制で得したのは、自販機の改造業界とコンビニだけ。
◇それはともかく、好きなものはやめられぬから、体に悪くともやるがよいが、家の中では家族、ことに赤ちゃんにはよくないし、職場や会合等では、みなから煙たがられるので小さい顔して、外で吸うがよい。【押谷盛利】
2008年06月16日 16:22 | パーマリンク
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