ガソリン高騰と脱石油(見聞録)
原油価格の高騰で石油元売各社は石油製品の卸値を一斉に引き上げ、ガソリン価格はついに1㍑170円代に突入した。
高騰の要因は、投機マネーの原油市場への流入だ。米国のサブプライムローン問題に端を発した金融不安が引き金で、金融市場に見切りを付けた投機マネーが原油市場に流れ込み、価格を吊り上げているのだ。これは何も原油だけでなく、食品分野へも投機が波及し、食品価格高騰の一因にもなっている。
中国やインドなどの新興国のおう盛な需要の増加も原油や食品価格を高める要因といえよう。
米国の原油先物相場が高値で推移していることから、今後も原油価格が上昇するとみられ、米投資銀行ゴールドマン・サックスは2年以内に1バレル150~200ドルになるとの見通しを示している。これは先月22日の史上最高価格135ドルを大幅に上回る金額で、これほど高値になれば、日本でのガソリン価格はゆうに200円を超すと試算されている。
◇原油高騰はガソリン価格だけでなく、製造、運送、通信などあらゆる分野の値上げラッシュを招き、家庭の負担を増す。企業は材料調達やランニングコストの高騰で打撃を受ける。
原油高騰があらゆる価格の上昇を招くという現象は、今の社会の石油依存症ぶりを示すものだろう。
◇先日、ニュージーランドの航空会社がバイオ燃料を使用して航空機を飛行させる計画を明らかにした。
使用するのは次世代バイオ燃料として注目を集めている多年生植物「ヤトロファ」から抽出した油。ヤトロファは食用でないため、トウモロコシを原料にした油と違って、食料供給に直接的に影響しない。さらに、生育が早く、やせた土壌や乾燥した気候に強く、生産効率は菜種の3倍という。
このように、今、先進国では脱石油を模索する動きが加速している。
日本は過去のオイルショックを契機に省エネ技術の研究開発で、世界最高水準にあり、欧米では日本製のハイブリッド車が人気を集めている。脱石油、省エネ分野で産業振興を図れば、消費減退による経済的打撃を防げるのではないか。
◇また、脱クルマというのも、これからの時代の向きかもしれない。環境問題に敏感なドイツでは街の中心部へのクルマの乗り入れを規制し、路面電車やバスなどの公共交通を充実させている都市もある。
新エネルギーの開発も急務。風力や太陽光発電、バイオ燃料の生産は、費用対効果の面から、石油資源に比べて普及は限定的だが、原油高騰が続けば、いつか、価格バランスが逆転する。そういうことを想定して、エネルギー政策に転換が求められよう。
EUでは2020年までに消費電力の13%を風力で賄う計画を立てている。デンマークでは現在、消費電力の2割を風力で賄い、2025年には5割にまで高める方針だ。
日本も石油からの脱却を、そろそろ本気で考える時期なのかもしれない。
2008年06月03日 16:25 | パーマリンク
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