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伊吹山再生に注目(見聞録)

 伊吹山の自然環境を再生しようと、滋賀県の呼びかけで伊吹山再生協議会が設立された。委員には滋賀、岐阜、長浜、米原の行政関係者をはじめ、自然保護団体、学識経験者、採掘業者、そして環境省、文化庁も参加している。
 県では、これまでヨシ群落や内湖など琵琶湖に関する自然再生事業には取り組んできたが、山岳地域では初めての試み。
 伊吹山では西洋タンポポ、ヒメジオンといった外来植物が山頂や登山道に侵入し、伊吹山の固有種であるイブキタンポポ、セイタカタンポポなどを駆逐している。以前は「お花畑」として高山植物が見られた3合目から8合目には、低木林やススキが繁茂し、山頂付近でも外来種に脅かされている。
 外来種の侵入は年間約30万人にのぼる観光客の靴についた種子が原因とみられ、山頂の駐車場や歩道沿いに多く繁殖。また、観光客の踏み荒らしや、ペットのフン害も問題になっている。
◇伊吹山は標高1377㍍。県内最高峰で、日本100名山のひとつ。古くから霊峰とされ、日本武尊が山の神と戦ったという伝説もある。
 湖北、湖東地域、そして反対側の岐阜県でも地域のランドマーク的存在で、それは近隣の学校の校歌にも登場することでうかがえる。
 登山やスキー、パラグライダーなど観光地としても親しまれている。
 そんな、地域のシンボル的存在でありながら、その山容は、鉱石の掘削でいびつな形になり、痛々しい。
◇伊吹山は品質、埋蔵量ともに優れた石灰石鉱山で、近畿、北陸、東海地方へのアクセスの良さから長年、鉱山開発が行われてきた。
 その歴史は1661年まで遡り、当時は石灰石を肥料などに使用していたという。明治期以降、徐々に需要が高まり、戦後の高度経済成長期にはセメントの材料として需要が急増し、山の形が変わるほどの採掘が続いた。
 斜面の一部が水平になるほどの大規模採掘で、現在でも複数の業者が山の中腹や麓で採掘を続けている。
◇さて、再生協議会では山頂のお花畑だけでなく、採掘による景観への影響も課題として取り上げられる。このことは高く評価されよう。
 何より、協議会の委員に採掘企業が参加し、伊吹山の再生を真剣に検討しているのが、嬉しい。
 ただ、気がかりなのは、再生協議会運営や再生計画の策定を、県の「自然環境保全課」が一手に担当しているということ。採掘による景観破壊を課題として取り上げるなら、産業関係の担当課、例えば「新産業振興課」なり、鉱山開発を監督する近畿経済産業局なりの参加があっても良さそうなのだが。
 今後、行政機関の担当課や組織を横断した連携に期待したいし、何より採掘企業がどういう協力姿勢を見せるのか注目したい。
◇20世紀、人類は経済活動ばかりを優先させ、人類を育んできた自然環境を破壊し続けてきた。
 今の伊吹山の山容は、企業や産業の発展と、そこで働く人々を支えてきたあげくの、犠牲者の姿とも見て取れる。
 環境の世紀と言われる21世紀だが、湖北地域のシンボルである伊吹山をどう守り、どう再生させるのか、借景としてその恩恵に浴している長浜や東浅井地域の住民の声も聞きたい。
 なお、協議会は一般公開しているので、誰でも傍聴できる。次回は6月下旬の予定。

2008年05月30日 17:09 |


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