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尻は自分で拭くもの

 自立自営という言葉があるが、学校でも教えないし、世間からは忘れ去られてゆく。
 自立とは人の手を借りずに立つこと。独立と思えばよい。自営は自分で経営する意味だが、分かり易くいえば自分のことは自分ですることといえよう。
 いま、なぜ自立自営を問題にするのか。
 やくたいもない今の時勢や当今の日本人の根性のだらしなさにピリッと灸をすえたい思いが募るからである。
 ウンチをした後の尻はだれでも自分で拭く。赤ちゃんや幼児は自分でできないから親が拭いてくれる。
 日本の社会のもろもろの現象や生活の断面を切りとると、当然拭くべき自分の尻を他人に拭かしたり、政府や自治体の役所に拭かせたりする傾向がおびただしい。
 なんで、そんなふうになったのか。いまさら詮索してもせんない話だが、あまりひどいので少しは説明しておいた方がいいだろう。
◇根本は青二才の民主主義の弊害である。日本人は本当の民主主義を知らずに、借りものを得手勝手に解釈して、都合のよいように身に合わしてしまった。
 民主主義の原理は多数決による政治だが、それが機能するために選挙が行われる。
 そこで、有権者に票をもらうため候補者はお上手口をいい、うまい餌を用意する。
 有権者は候補者の弱味につけこむ形で、あれこれと注文をし、無理をいう。
 これが陳情であり、要求である。
 組合の賃上げ交渉や農協の米価値上げ闘争などはまともな叫びでもあるが、長い年月の票取り合戦は、ゆきすぎもいいとこで、ウンチの後の尻も拭きましょう、というレベルのサービス競争をする。
◇もう、何年も前の話だが、老人医療無料化が叫ばれ、一部で実施された。押し寄せる長寿社会が老人医療の社会問題化を招くのは当たり前すぎる話で、今は無料化どころか、保険料を年金から天引きすることにしたではないか。
◇子供が学校へ行くのに、親が弁当を作るのは当たり前の話だが、弁当の中身や親の負担がからんで、市や町が給食しましょうとなって久しい。社会教育の名目で、よいお話やよい音楽、よい絵の鑑賞など、料金をただにしたり、助成したりする。
 川や道が荒れたり、汚れたりしたら、そこの関係住民がきれいにするのではなく、役所が金を出す。
◇体の調子がいいのか、悪いのか。自分で自分の体はおよその判断がつくが、十把一からげに、みんなを検診する。みんなお上(かみ)の金である。
 お腹(なか)の寸法を計りましょう。余計なお世話だが、それがあなたの健康にプラスしますから、と医者や看護師の仕事を増やす。
◇仕事がいやで遊んでいると、失業対策とかの名目で、職業訓練をどうぞという。
 昔は「こじき」といったが、今はホームレス。3日したらやめられんといっているのに、役所仕事は、宿舎を提供したり、食べ物の段取りまでしてくれる。
◇国民も困ったもので、病院で、わめき倒したり、自分が不調法して転んでも、道が悪いの、なんだかんだと役所のせいにする。
 手術の結果がよくない場合、医者の責任だ、と、ほざくだけで、寿命のことや普段の健康管理には目をつむる。
 ろくに子供のしつけもせずに、学校へどなり込む親、給食費を払わぬ親。公営住宅に入っても家賃を払わぬもの。
 おかしな民主主義に政治が加担して、この国を「わや」にしてはご先祖に相すまぬ。【押谷盛利】

2008年05月15日 15:28 |


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